siri
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ゆっくりと弧を描くかのように、青白く冷たい手がひと撫でしてから退いていく。スカート一枚ではギャルソンの冷たい手の温度が直に届き、ナナシのお尻にはじんわり冷たい感覚だけが残っていた。
偶然とは言いがたいその手つきに、まさかとは思うが痴漢という言葉が頭を過ぎる。だけどそんな事をする人とは思いたくないナナシは、首を振って何も無かったと自分に言い聞かせた。
「失礼致しました。とにかくそこへお掛けになって下さい」
「は、はい」
先ほどのやり取りで棒立ちしていたナナシに、ギャルソンも同様に何も無かったかのように席に着くように諭した。
やはり気のせいだったのだろうか、流石に悪い事をした後、こんな平気な顔が出来る人はいないであろう。
そう考え気を抜いていたナナシに、再度あの感覚が走った。
「ひっ…」
思わず変な声が出てしまったナナシ。
理由は簡単、座った椅子があまりにも冷たかったからだ。
そして冷たかった理由、それもとても簡単である。
「な、何で手があるんですか!」
「おや、すみません。ゴミが落ちていたもので」
「手のひらを上にして拾えるんですか…」
「いえいえ、ナナシさんがゴミの上に座ってはいけないと思った咄嗟の行動ですよ」
「あ、そうだったんですか。ありがとうございます」
にこりと微笑まれ、ナナシもつられて笑ってしまう。二人の間ににこやかな雰囲気が流れたが、素早くギャルソンから三歩離れるとスカートを引っ張りお尻を隠した。
「…って流石にその言い訳は苦しすぎますよ!明らかにおかしいです!」
危うく笑顔で真実が隠されてしまうところであったが、またギャルソンの手がこちらに伸びてきていることに気が付いたのだ。
ギャルソンの矛盾点を突くが、やはり彼の顔色は変わることはない。
「…ナナシさんは素晴らしい洞察力をお持ちで。そこまで推理力を働かせることができるなら、探偵になられてはいかがですか?美少女名探偵とその助手幽霊ギャルソン…いい響きだと思いますよ」
「び、美少女なんてそんな…って、んもぉ!馬鹿にしてるでしょう!」
「ふむ…流石に無理でしたか」
確たる証拠と犯人。ギャルソンの言うとおり探偵気分ではあるが、被害者もまた自分。しかも罪状は痴漢行為。
澄ました顔でどこまでも卑猥な行為に走るギャルソンに対し、故意にお尻を触られていたという事実を知ったナナシは、羞恥で胸がいっぱいになった。
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