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外と中の境界線で繰り広げられた痴話喧嘩は、とりあえず立ち話をやめて座って話すという事で収まり、いつもの談話室で両サイドを彼らに挟まれて座るという、何とも不思議な形で聞く事となった。
「あの、ギャルソンさん」
「「なんですか?」」
「…や、やっぱり」
恐る恐る口を開いたナナシに対し、寸分の狂いもなく同時に答えた二人。姿形は違えど、全く一緒の声の二人に対してナナシは確信を抱いた。
「ちょっと…ナナシさんが声掛けるのは私に決まってるじゃないですか。喋らないで下さい、紛らわしい!」
「おや、自分の名前を偽るつもりは毛頭ないですよ?それに可愛い女性に声を掛けられたら返事をしてしまうのは当然じゃないですか」
「はあ!?…あーもー!これだから会わせたくなかったんですよぉ!」
とは言えこの二人、何故だかあまり仲が良くなさそうに見えるのは気のせいではないらしい。左右から同じ音声で自問自答のように聞こえてくる痴話喧嘩を止めるべく、ナナシは核心である一番の疑問を投げかけた。
「えっと…お二人はどういったご関係で?ご兄弟か何かでしょうか…?」
すると二人はぴたりと喧嘩をやめ、お互いの顔を見合わせたと思えば、少し困った顔でナナシに向き直った。
最初に口を開いたのは男性の方で、アイシャドウをした目を細め、優しく微笑みながらナナシへ一礼した。
「申し遅れました。私、闇のレストランの支配人で闇のギャルソンと申します。お化けギャルソンがいつもお世話になっております」
「あ、いえ…!こちらこそお世話になってます!」
とても丁寧な物言いに、思わず礼を返すナナシ。やはりこの物腰と声色はいつも話しているギャルソンと同じである。しかしこの自己紹介だけでは二人の関係はわからない。困ったナナシはお化けギャルソンの方へ目配らせをして補足を求めると、ややあって溜息と共に語りだしたのだった。
「…ナナシさんにはお話してなかった事なのですが、私は元々ここの支配人ではなかったのですよ。他のお店を経営していまして、流れ流れてここを見つけた訳なんです」
「は、初耳ですね」
「私はね、闇のレストランの支配人だったんです」
「闇の…?」
初耳であるその言葉にナナシは目を見開いた。
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