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「えっと…」
その日、いつもの通りナナシが怪談レストランへ行った時の事。
いつもの通り扉を開け、いつもの通り明るい挨拶と共に入店するはずだったのだが、いつも通りに待っていてくれたふわっふわなギャルソンの他に、いつもとは違う真っ黒なタキシードを着た男性の姿があった。
慌てふためいて冷や汗をかいているギャルソンと、こちらを見つめてニコニコと笑う男性を目にし、ナナシはどういう状況なのかいまいち掴めず、二人を交互にみては首を傾げるばかりである。
「え?あ、ちょ…」
「こ、今夜はちょっと取り込んでいまして…ね?本当に残念なのですが、今夜はお預けということで…」
すると慌ててこちらにやってきたギャルソンは、その白くてふわふわした両手でナナシの背を押しつつ、無理に作ったような笑顔で扉の外に押し出そうとしてくるではないか。
ますます何が何だか判らないナナシは、そのまま外へと押し出されそうになるのだが、それに反して腕は店の中へと引っ張られている。よく見れば背をギャルソンが押し、そして腕は男性の青白い手が掴んでいた。
「こんなに素敵な女性を寒空の中追い出すなんて酷いじゃないですか。どうぞ、中でお話しましょうよ、ね?」
(あれ…?)
紳士的な物言い、柔らかな声、そして目が合った瞬間、ナナシは不思議な現象に見舞われた。
「だめです、絶対だめ!ナナシさんも早く逃げてください!てか貴方、何さりげなく腕掴んでるんですか!離しなさいって!」
「おやおや…せっかく会いに来てくれた愛らしい人をないがしろにするなんて私には出来ませんよ」
「貴方に会いに来た訳じゃないです!離しなさい!」
「あーもーうるさい人ですねえ、ナナシさん困ってるじゃないですか。いつもそうなんですか?ナナシさん、すみませんね。今お茶を淹れますから」
「だから話しかけないで下さいって!あとここ私の店ですよ!?何支配人顔してるんですか!?」
目をつぶってこの会話を聞くと、頭がこんがらがってくる。
不思議な現象というのも、二人が全く同じ声をしているのだ。
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