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「おやすみなさい、ナナシ」
いつからあったのかは分からない鏡台、装飾の施されたブラシに女性が好みそうな宝石箱。真新しいシーツの敷かれたベッドに窓際には瑞々しいバラの活けられた花瓶。
薄暗い部屋の明かりを吹き消されると、月明かりのみがその部屋を照らし出した。
「おやすみなさい、ギャルソンさん」
扉の隙間から顔を覗かせ眠る前の挨拶をするギャルソンに対し、ナナシはシーツに腰掛けながら穏やかに微笑んで答えた。
それを見て安心したのか、普段ナナシのよく知るギャルソンの優しい瞳で微笑みを返しては、ゆっくりと静かに扉を閉じた。
がちゃ、がちゃ。
扉の鍵の音、扉のドアノブを固定する複数の錠の音。
一日の終わりを告げるその音で、微笑んでいたナナシの顔は、哀れみ嘆く辛そうな表情へと変化していく。
全部、全部私が悪い。
ギャルソンさんをこんな風にしてしまったのは私だ。
あの日、あの時から何百回と脳内を巡る言葉。
シーツの上でうずくまり、枯れ果てて尚溢れる涙で膝を濡らし続けた。
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