Pretender
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「…違う違う違う違う!!」
怒りと悲しみで振り回した腕が彼女に当たる。ごろごろという音と共に崩れ落ちる彼女。
「あ…」
ああ、せっかく、せっかく組み立てたのに、縫ったのに
彼女の眼球がころころと転がり、部屋の隅にまとめて置いたそれにぶつかると動きを止めた。
「…全く違うのですよそれらは」
眼球を拾って、それらをよく見せてあげた。
「こっちは腕だけ同じだったんです、それ以外全く似ても似つかなかったんです、こっちは脚以外お世辞にも似てなかったんですよ、これはよくよく見たら全く似てなくてね」
もう必要ない塊たちを一つ一つ見せてあげた。彼女を形成するそれ、彼女を形成するために必要だったそれら。
手のひらで踊る眼球は、まだ輝きを失っていない。崩れた彼女に近づくと、空洞を作っていたそこに、眼球を埋め込んであげた。腕も脚も首も目も全て戻してみる。
だけど何故だろうか
「こんなに似ているのに何が違うのでしょうか」
温かくないところ、目がとれること、髪の長さが若干短いこと、瞼がないこと?
「ああ、そうか」
声を出さないこと、血生臭いこと、笑わないこと、縫い目があること?
「これは」
その答えに気づいた私
咽び泣く
泣く
fin.
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