魅惑の唇
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探究心と下心は紙一重、私はそう思っています。
例えば今ある状況が一番の具体例と言うべきでしょうか、この胸を突き動かしているのは探究心か下心なのか。
選択肢は二つ。紳士的に上着をかけて彼女を寝かせておく、もしくは
「野蛮ですが私を魅了してならないこの唇を堪能するか、ですね」
どちらを取るか、このあどけない寝顔と柔らかそうな薄桃色の唇が私を誘惑し始めた。
誘惑、というのも今まさにソファーですやすやと眠る彼女、ナナシさんの唇に誘惑されているのです。
この唇、どう素晴らしいか事細かに説明すると長くなってしまうので省略しますが、喋るたびに艶やか、且つ柔らかそうな動きが私を虜にしました。何と言えばいいのでしょう、私の名を呼ぶ彼女の唇の動きが堪らなく好きで、普通喋る時は目と目を合わせるべきなのでしょうが、いつも悟られぬように注意してこの唇を凝視してしまうほどに魅了して已まないのです。
この唇に齧り付きたいと日々悶々としていた私の気持ち、お分かりでしょうか?例えるならばそう、店の外からケーキ屋で焼かれるスポンジの香りのみを堪能しているのと同様であり、口に入れるその瞬間を想像しては生唾を飲むような…。…例えがおかしかったですかね。とにもかくにも、私は彼女の唇を夢見て、執念を燃やしていたと言っても過言ではありません。ああ、今こうして目の前で彼女の唇を好きなだけ見ることが出来るこの喜び!かつてこれほどまでに接近したことがあったでしょうか。
寝ている彼女の唇は形もよく柔らかそうで、ついつい指を伸ばして突付いてみれば、ふにふにとした感触が返ってくるのです。堪らずその指を舐めては笑みがこぼれますが、今の私ではこれで満足する事は出来ませんでした。きっと口を付ければ無我夢中に貪るでしょう、貪れば彼女は飛び起きて私を拒絶するでしょう、ですがこれが欲求なんでしょう、ああもう我慢が出来ないのです!
「…ナナシさーん…三秒以内に起きないなら口付けを許可とみなしますよー…」
言いました、私は忠告しました、例え声量が蚊の羽音以下でも忠告したのです。
…さあ三秒経ちました、ナナシさんから許可が下りたのです。頂きましょう、そうしましょう!
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