挑発
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『今日、いっぱい甘えてもいいですか?』
その言葉が私の思考を麻痺させ、妙な期待が胸いっぱいに膨らんだ。
「一体どうしたのですか…?」
「…ん?何がですか?」
「貴女がこんな事するなんて珍しいから…」
部屋に入るや否や、早急に私を座らせては抱擁と頬擦りで猫の様に甘える彼女。
細い腕が私を掴んで離そうとはせず、頬と頬を擦り寄せてはその温かさと香りを私に伝えた。情けないようだが、その度に嬉しさと恥ずかしさでどうする事も出来ず、彼女の行為を静かに受け入れるしかなかった。
「今日はギャルソンさんにいっぱい甘える日だからです」
「そう、ですか」
「嫌ですか?」
「…柄にもなく照れてます」
「ふふ!じゃあ今日はずっとそうですよ」
「おや、それは嬉しい限りで」
結局こちらの質問には答えなかったが、今日はこの調子で甘えるらしい。何とも嬉しい告知に胸の高揚が治まらず、彼女の行動に抱いた疑問すら考えさせる余裕をなくしていた。
頬を擦り寄せていた彼女はゆっくりとその頬を離すと、次に唇を私の頬へと付けた。柔らかい唇が私の頬を流れ、次第に唇同士が重なると彼女からのはむ様な口付けが私の唇を刺激する。ああ、こんな事する子じゃなかったはずなのだけれども、これを教えたのは私だった。喜ばしいような複雑な気持ちと共に初めて彼女からの口付けを貰った私は、口内に侵入してきた彼女の舌を味わうたびにぞくぞくとした何かが身体中を駆け巡る感覚に酔いしれていた。
そんな私の心情を知ってか知らずか、彼女は口を離すとゆっくり顔を私の首元に埋めて、また小さな口付けをし始める。こそばゆい感覚が首元に走り、耳元に彼女の息遣いが届くと私の欲が走り出した。
「…ナナシさん、ナナシ…」
「ん…はい?」
「私もその、そろそろ」
彼女を押し退け、自分からも口付けしようと顔を近づけたが、彼女の手が私の口を押さえてそれを許す事はなかった。
「今日のギャルソンさんは甘えられる日なので何もしちゃ駄目です」
「え」
突然のおあずけに私は面食らう。
まさか止められるとは思ってもなかった私は、戸惑っている内に完全に主導権を握られてしまったのだ。
渋々ながらに伸ばした手を引っ込めると彼女は続きと言わんばかりに私を押し倒し、うずうずとする私の欲求は見透かされているのであろうか、にこにことしながらこちらを見下ろした。
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