埋め合わせ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それからギャルソンはナナシ講座とばかりに、ああでもなくこうでもないと指導まで始めてしまい、挙げ句にはナナシはこんなことを言っていた、こんなポーズもしていた、などと次第に要求が高くなっていったのだった。
これには善意で始めた行為も嫌になっていくのと同時に、先程からナナシが言っていたという台詞に多々疑問を感じずにはいられなかった。
「…支配人。本当にナナシちゃんがこんな事言ってたのかにゃ?」
「え……。もちろん」
「絶対嘘にゃ!あんたただ言って欲しい事言わせてるだけにゃ!」
「だから!だから、その…だって一週間も会えないんですよ!?会えない分言って欲しかった事言ってもらって何が悪いんですか!」
「この人開き直った!」
少しでも同情した自分が情けなくなってきた化け猫は、元の姿に戻ろうと立ち上がりまた一回転しようとした。しかし。
「な、なにするにゃ!離すのにゃ…!」
「何戻ろうとしてるんですか!まだ今日のノルマ達成してませんよ!」
「ノ、ノルマ?」
「さっき一週間分のナナシメドレー考えてたんです。今日の分は後13の台詞と5つのポーズが残ったままなんですってば!」
「いくつあるのにゃ!?っていうか一週間もする気ないにゃー!いい加減にするにゃ!」
「これもお店の為ですよ?私が元気ないと回転率下がりますし、ね?それで次なんですけど、ナナシさんの声のまま語尾に『にゃ』つけてもいいと思うんですよね。絶対にやってはもらえないでしょうしいい機会ですから…」
「嫌ぁ!」
「あ、嫌がるシリーズも」
こうして一週間、店の支配人は寂しがることなく愛しい彼女の帰りを待つ事が出来たのだった。
ただ一名、ある従業員の壮絶な努力と犠牲があった事を忘れないで頂きたい。
fin.
3/3ページ
