明けない夜
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「ねえギャルソンさん」
「はいナナシさん」
「私、ギャルソンさんと話していると時間を忘れてしまいそうになるんです」
「それはそれは、嬉しい事を言ってくれますね」
ゆっくりと頭を撫でればほら、やわらかな髪の感触が指に伝わっていつまでも撫でていたくなってしまう。
「ねえギャルソンさん」
「はいナナシさん」
「それって楽しいから時間を忘れてしまうって事ですよね」
「そうだったら私は心から喜びますよ。もっとも、私は今とても楽しいです」
ふいに肩を抱けばほら、華奢な身体からぬくもりと彼女の優しい香りにこの手を離したくなくなってしまう。
「ねえギャルソンさん」
「はいナナシさん」
「本当に私だけが時間を忘れてるだけなんでしょうか」
「もとより私に時間は関係ありませんが、時間が止まればいいと思うほどに今この瞬間が好きですよ」
そのまま抱きしめればほら、身体中が彼女で満たされていく感覚と耳元で感じる彼女の吐息にずっとこの状態でいたくなってしまう。
「ねえギャルソンさん」
「はいナナシさん」
「私」
「なんでしょうか」
顔をあげて彼女を見ればほら、小刻みに震えて怯えた顔を私に見せた。笑顔じゃない彼女の表情が新鮮で、つい慰めるのも忘れて魅入っていたくなってしまう。
「いつもは朝日が差したら帰るのに、いつまでも日が差してこないのを不思議に思ってるんです」
ほらほら
「もう半日以上ここに居る気がしてならないの…それなのに外は真っ暗で時計も時間が進んでなくて…」
ついつい
「ねえギャルソンさん」
ずっとこのままで
「どうして」
いたくなってしまったから
「朝が、来ないの?」
ですよ
fin.
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