隣に
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その夜も店は静かに忙しく、店の者は誰一人として休む暇はない。
それは店にとって喜ばしい事であり、繁盛している事を意味していた。
「疲れたにゃちょっと休みたいにゃゆっくりまったりしたいにゃ」
「にゃーにゃー言ってないでさっさと運びなさいな。私の半分しか仕事してないでしょうに」
そんな中、そのめまぐるしさに愚痴をこぼす化け猫と、それを諭しながら何枚もの皿を持ったギャルソンの姿があった。ふわふわと浮遊しながらも確実に料理を運ぶギャルソンに声を掛けられた化け猫は、一瞬首をかしげてはまじまじとギャルソンを見つめるのでギャルソン自身何事かと顔をしかめた。
「な、何ですか。私が何か?」
「え?にゃんか…その姿を見るのが久しぶりだったから…」
「はあ?…あ、そういえば」
「ここ暫くそっちじゃなくて人っぽい方が多かったにゃ」
「ひ、人っぽいって…一応人の姿なんですけどね…」
人の姿、それは闇のギャルソンを意味し、同時に人の姿で居た理由も存在する。ふわふわと浮く自分を改めて見たギャルソンは、化け猫の言葉に幽体で居るのは久しぶりなのだと実感するのだった。
「そういえばナナシちゃんはまだ来ないのかにゃ?」
ずき、と胸に刺さるようなその言葉に一瞬表情を硬くしたギャルソンだったが、直ぐに表情を戻し咳払いを一つしては自分の持っていた皿全てを化け猫に渡した。
「そうやって長話で休もうったって駄目ですよ。これ運んで来なさい」
「え~!酷いにゃあ…」
「すべこべ言わず運ぶ!それが終わったら少しだけ休憩していいですから」
「本当かにゃ!?いってきます!」
「落とさないで下さいよ!全く…」
化け猫が去った後、ギャルソンは一人立ち尽くし、ゆっくりとその目線を店の玄関口へ向けた。玄関が開く気配はなく、それを知ってか知らずか開かない扉を見つめ続けるのだった。
(熱があるじゃないですか!駄目ですよ、安静にしてなきゃ)
(でも…)
(でももだってもありません。治るまでここに来ては駄目ですからね!)
(…はい)
「…人が来ること自体可笑しいのですよ」
自分以外だれもいないその場所で、誰でもない自分に言い聞かせるように呟いた。
数日前の記憶が頭を過ぎり、待ち望んでいるその人との会話が蘇った。
.
1/3ページ
