人生は白竜ゲー。
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雨は、まるで世界が泣いているかのように窓を打ち続けていた。
「シオン。君との婚約を、解消させて貰う」
その一言は、絹を裂くような静けさで落ちた。ティーカップの縁に添えた指が、かすかに震える。紅茶の琥珀色が、小さな波紋を描いて揺れた。向かいに座る、私の婚約者様は、まるで春の陽射しのように穏やかな微笑みを浮かべたまま、私をまっすぐに見つめていた。
「理由を、お教えいただけますか」
掠れた声は、自分でも他人事のように響いた。彼は一度だけ、長い睫毛を伏せた。
「別に、君に落ち度は一切ない。ただ私の心はもう、別の場所に囚われてしまった」
ああ、そうだったのか。カップをソーサーに戻す音が、ひどく遠く、澄んで聞こえた。三年前、父が病床に伏せったあの夜。「貴女を護りたい」と、彼は私の凍えた手を包み込んでくれた。その手の温もりは、今も幻のように掌に残っている。なのに、今はもう。
「その…お相手は」
問うまでもないな。最近、屋敷に通うようになった公爵家のご令嬢。陽光を閉じ込めたような金髪と、陶器のように愛らしい微笑み。私など最初から比べる対象にすらなれない。婚約者様は、静かに頷いた。
「彼女は麗しく、気立ても良い。君とは大違いだ。」
「……っ」
やっぱりね。胸の奥で、何かが音もなく崩れ落ちていく。彼の中で私という存在はあってないようなものだったらしい。そうだよね、こんなに可愛げのない令嬢なんていらないよね。
「もちろん、君との婚約は家の決定だ。だが私は、彼女と生きることを選んだ」
「……そう……ですか」
「あぁ。だから早く私たちの前から消えたまえ」
私は、彼の婚約者に相応しくなかった。その事実が胸に突き刺さる。けれど同時に、どこか安堵している自分もいた。これでもう、彼への想いを断ち切らねばならないと苦しまなくて良いのだから。
「では……このお話はまた後日」
そう言って席を立つ私に、彼は何も言わなかった。ただ静かに紅茶を飲み下し、私を見つめるだけだった。それが余計に惨めで苦しくて仕方がなかったけども、これ以上この場に居たくなかったので足早に部屋を出ていった。
「婚約破棄されちゃったーーーー!」
自室のベッドにダイブして、枕に顔を埋める。ああもうどうしよう。これからどうすればいいんだろう?没落しかけたこの家の存続を、この婚約に掛けてたのに……これからどうすればいいんだろう?「シオン様」と、侍女さんが咎めるような口調で言うけれど気にしない。だって私失恋したんだよ!!しかも婚約者様から一方的に!!そりゃ落ち込みますよ!!!
「でもこれでよかったのかも……」
ぽつりと零す言葉は自分でも驚くくらい弱々しいものだったけど仕方ない。だって本当に好きだったんだもん。家の存続と彼のためなら何だって出来ると思ってたし、実際そうしてきたつもりだよ。でもダメだったみたい。すると、自室の部屋がノックされて誰かが入ってきた。
「シオン……大丈夫ですか?」
「あ…お母さん…」
心配そうに私を見つめるのは、母。私の隣に腰掛けるとそっと抱きしめてくれた。その温もりがとても心地よくて思わず涙ぐんでしまう。
「お母さん……私……」
「泣きたい時は泣いていいんですよ」
そう言って優しく背中を撫でてくれる手に甘えているとだんだん落ち着いてきた気がする。そして私は母の胸の中でポツリと話す。
「わたし……なにがいけなかったのかなぁ……」
「貴女は何も悪くありませんよ」
「でも、わたし……おにあいじゃ……なかったんだよ?あの人みたいに……きれいでもかわいくもなくて……」
「そんなことありません」
母は私を抱きしめる力を強くする。そして諭すように言葉を紡いだ。
「……貴女は、誰よりも素敵な人です。私の宝物、シオン」
あたたかな掌が私の頬を優しく撫でる。その励ましで、何でも立ち上がれるんだよ。ありがとう。
「お母さん。私、この家を守り抜いてみせるから…!」
「シオン……もういいのです」
「え、な、なんで…?」
「今回のことを聞いて分かりました。やはり私達は、家をたたむべきです」
「お母さん、何言って……」
「……分かっています。公爵家の方との婚約が決まった時は、本当に嬉しかった……でも」
母はそこで言葉を詰まらせた。私は黙って続きを待つことしかできないでいた。そしてしばらくの後再び語り出す母の声は震えていた。その目には涙が浮かんでいて思わず息を呑む。
「……家の命運を、実の娘に背負わせようとしている事に心底申し訳ないと思っていました」
「お母さん、それは私が決めたことだよ。お父さんが死んじゃってから支えてくれたのはお母さんだから」
「それでも、私はシオンにこんな重荷を背負わせたくはなかったのに……!」
とうとう泣き出してしまった母の肩をそっと抱き寄せると、その温もりが伝わってきた。ごめんね。悲しませてごめんね。そんな気持ちを込めてゆっくりと背中を撫でるうちに段々と落ち着いてきたようだ。そして母は涙を拭いながら私を見る。
「シオン……本当にごめんなさい……」
「ううん、全然平気!」
だってもう覚悟は決めてるから。私はもう泣かない、強く生きるって決めたの!だから大丈夫!!
「元気出たよ、お母さん!今なら皇帝も倒せそうな気がする!」
「え?」
「てへへ。今のはちょっと盛りました。比喩です、比喩」
「あらそう……あ、皇帝と聞いて思い出しました」
「?」
「……ダメ元で皇帝陛下と婚約するのはどうでしょう?」
「……皇帝陛下って『あの』?」
「はい。この国の皇帝、『白き暴君』です」
『白き暴君』。それはこの帝国で、最も恐れられている人物だ。彼は、一国を統べる皇帝でありながら自ら戦場に立ち、敵国の兵士を薙ぎ払う。その圧倒的な力の前に敵は為す術もなく倒れていくという。そしてなにより傍若無人で有名。気に入らない事があれば全て力でねじ伏せてしまうらしい。あと言えるのは、物凄いイケメンなんだとか。見たことないけど。
「……やっぱりダメですね。貴女は大切なひとり娘…」
「分かった。私、皇帝陛下に会いに行く」
「えっ!?そんな、シオン!!」
「陛下は確か、私と同じくらいじゃなかったかな?お嫁さんを探すパーティーも2週間後にあるって」
母が強く私の袖を引く。でもその手を止めるようにそっと私からも母の手を握り返す。
「大丈夫、この家を守れるのは私だけ……きっと役目を果たしてみせるよ」
「シオン…貴女に何かあったらと思うと……!」
「こんなことで立ち止まってはいられない。決して諦めない……その気持ちだけは信じて欲しいの」
「シオン……わかりました……」
母はしばらく悩んだ後、ゆっくりと頷いた。そして私の目を真っ直ぐ見て言った。
「決して無理はしないように。私は、貴女が生きてさえいてくれればそれで良いのです」
「うん、ありがとうお母さん。私、頑張るね!」
父は亡くなり、母も身体が弱くなっている。だから私がこの家を、家族を守らなければならない。たとえ白き暴君が相手だろうと負けるわけにはいかない!そうと決まれば準備をしよう!
二週間後。皇室主催のパーティー会場に訪れた。いよいよ本番。この先に皇帝陛下がいるんだ……うわぁ緊張する…!
「よし…行くぞ」
気合を入れて鏡に映った自分の姿を確認する。水色のドレスの裾を軽やかに揺らしながら歩き出す。この日のために練習してきたんだから大丈夫だ、自信を持ちなさい私。そう思いながらも実際足音はとても小さい。ゴクリと喉を鳴らす音が耳に届くようだ。会場に入って人混みを通り抜ける間にひそひそと誰かの話す声が聞こえる。
「おい……あれ見ろよ……」
「おぉ…かなり美人だな…」
「今日の参加者は上玉ばかりと聞いたが……予想以上だな……」
あれ……?思っていたような反応じゃない……?不思議に思いつつも、そんなことはおくびにも出さずにこやかに微笑む。そうすれば大体は綺麗に見えるはずだから。周りを見渡すと他の令嬢の方々がお見えになっている。みんな綺麗だ……でも!私達には皇帝陛下への謁見が控えている……粗相だけはしないようにしなきゃ……!
「皇帝陛下の御成です!」
案内係の人の声で全員がそちらへと目を向けた。私はそれを陰からこっそり見ていた。あ、あれが……!顔はやっぱりイケメン。すごく背が高いしゴツゴツしてる……それにしても白いな…肌なんか私より白いんじゃないの?それに何だ、あのオーラは。まるで竜が背後でゆらめいているような神々しさがある……周囲の目が真剣だ。間違いない…本当にとんでもない人だと本能でわかる。それと同時にこうも思った。『あ。ダメだ。これは無理だ』。私は踵を返し、そそくさとホールの端の方へ逃げ出した。背後からどよめきが起きる気配がしたけれど気にせず走り去った。
「え、あれって……没落貴族の……シオン嬢?」
「あ、本当だわ。どこ行くのかしら?」
そんな声が耳に届くが、もうどうでも良い。私は皇帝の顔を見ただけでこのパーティー会場を抜け出した。そして、誰もいない中庭の噴水に腰掛けて一人笑う。
「……ははっ、あはは…流石は皇帝陛下。オーラが違いすぎる……」
皇帝も倒せそうなんて豪語してたくせに情けないね。ごめんなさいお母さん……やっぱり、終わったかも。でも別に死ぬわけではないしこのままお母さんと2人で田舎暮らしも良いかもしれない。それはそれで楽しそうだな……
「シオン」
あぁ……呼ばれてる。お母さんが心配して来てくれたのかな。怪しまれないように時間を潰そうかと思ったけど、やっぱり帰ろうかな。でもなんかお母さんにしては声が低いような…
「シオン」
「なぁに、お母さん…」
「誰がお母さんだ」
「……へ?」
突然、背後から思いもよらない声がして素っ頓狂な声を上げてしまう。バッと振り向くと、声の主は全然お母さんじゃありませんでした。
「ダレーーーーッ!?」
「おい!人の顔を見るなり誰だはないだろう!」
「いや、だって……え!?暴君!?」
「せめて皇帝と呼べ!」
「同じじゃん!」
「そうだけども違う!」
皇帝陛下をお母さんと言っちゃったよすんごく恥ずかしい!これは処刑まっしぐらかな!?私は凄く慌てているのだが、斬首されて死ぬ前に聞いておきたいことがある。
「ビックリしたぁ…あの……皇帝陛下が何故このような場所に……?」
「お前に会いに来た」
「え?私に?なんでですか?」
「……俺のことを、覚えてるか?」
「初対面じゃないですか、私たち」
「は?何を忘れている、子供の頃に一緒に遊んでいただろうが」
「こどものころ……?」
幼少期の記憶を掘り返す。ちょうど5歳くらいの私は、同じくらいの白い髪の男の子といつも遊んでいた。遠いあの日は楽しかった思い出ばかり。その子の名前は………
「………あ!思い出した!白竜くんだ!」
「思い出すのに何秒かかってるんだ!」
いやだって白竜くんはあの頃の白竜くんだし。でもそっかぁ。我が国の皇帝陛下が彼だったのか……いや、それよりもなぜ私に話しかけてきたのか。
「ホント久しぶりだね……元気だった?」
「あぁ。お前は?」
「……元気、だったよ」
「そうは見えないが」
白竜くんは、戸惑う私の姿が気に入らないのか不機嫌そうに目を細めるがすぐに真顔に戻った。そして詰め寄ってくると更に問いただしてくる。
「このパーティーに来たという事は、婚約者を探しているのか」
「あ…うん。婚約破棄されて…」
「婚約者がいたのか?」
「……浮気されちゃって。それでうちの存続がかかってる状態。何とか立て直したいんだけどね……」
彼になら話してもいいや。私はそのまま正直にペラペラ喋る。
「元婚約者のことは好きだったから尽くしていた……でも、捨てられた」
「……そうか」
「私、好きな人には尽くして当たり前だと思って…」
「そこだ」
白竜くんが私の言葉を遮ってこう言った。
「その元婚約者とやらは献身的に尽くすお前を、都合の良い女としか見ていなかった。可哀想にな」
「か、かわいそうって…」
「断言する。お前はダメ男製造機だ」
「だっダメ男製造機ぃ!?」
「浮気された時点で切り捨てれば良かったものを。未練がましい」
「うぅ……」
確かにそれはそうかもしれない。そもそもすぐに別れるべきだったんだ。なんか今更自己嫌悪に襲われる……
「それはそうとシオン。そいつはどこの男だ。言え。俺が首を刎ねてやる」
「怖いよ!こんなときに暴君にならないで!?」
「いいから言え」
「い、言わない!だってもう終わったことだから…」
「……」
「この話はおしまい。ね?」
「……わかった」
ほっ。分かってくれたみたい。でも何故だろう……私を見る白竜くんの瞳が熱い気がするんだ。この熱視線は何だかとてつもなくヤバい雰囲気。逃げた方が良さそうだ。
「えっと、そういうわけなんだけど……これで終わりにして、帰ってもいいかな……」
「いいわけあるか」
「おっと……」
突然腕をぐいと引っ張られ身体を抱き寄せられる。そしてそのまま顎を持ち上げられて、至近距離で見つめ合う形になる。
「な……なに……?」
「俺の婚約者になれ」
「誰が?」
「シオンが」
「……え」
「子供の頃から好きだった。離ればなれになってからずっと探してた」
「急に口説くね……」
「また会えたらもう離さないと決めていたからな」
私は目を逸らすことも出来ず、白竜くんの目を見る。すると彼はふっと笑った。その笑顔に思わずドキッとする。顔がいい!しかし……
「それで、返事は?まぁ決まっているだろうがな……」
「お断りします」
「………………は?」
私は白竜くん会場に足を踏み入れたときの圧倒的なオーラに気圧されて萎縮している。身分も違う。幼馴染み(忘れていた)とはいえこれは無理だと。彼にはもっと相応しい女性がいるはず。もうさっさと帰ってお母さんと田舎でスローライフしたいなぁ。
「何故だ…!」
「私なんかが皇帝陛下と釣り合うわけないし……それに私はもう目的を見失って……」
「関係ない。お前は俺のものだ」
「ひぃぃ、暴君が発動したぁ!」
白竜くんの目が据わってる!怖い!でも私も負けじと言い返す。
「私、きみのことよく覚えてないよ?!」
「これから知っていけばいい」
「でも、私……白竜くんのこと……その……」
「ん?」
「す……好きじゃないし!」
好きじゃないし!の声がエコーがかかる。いたたまれなくなって俯く。白竜くんは相変わらず黙ったままでそれがとても気まずい。その数秒後、身体に伝わるドス黒いオーラを感じて思わず顔を上げる。見ると彼の表情は……言葉では形容できないものになっていた。
「それが……皇帝に対する言い方か?」
「ヒュッ……」
「徹底的に躾けないと駄目らしいな」
怖くて声が出ない。やってしまった。腕に閉じ込められたまま耳元で低い声が私の鼓膜を震わせる。拘束から抜け出そうと藻掻くが、全然動けない。
「もう一度言う……シオン。お前は、俺と結婚するんだ。分かるな?」
「は……はい……」
「いい子だ」
白竜くんは返答に満足気に微笑むと私の頭を撫でた。そして私を解放したかと思うとそのままお姫様抱っこして歩き出す。
「あっ!?あの、どこへ……?」
「俺の寝室だ」
「てことは、まさか…!?!」
「あぁ。やるぞ、シオン」
「わぁぁああ!」
もう完全に暴君スイッチが入っている!誰か助けて!しかし、そんな願いも虚しく、私はそのまま寝室へと運ばれて行った。そのあとの記憶は定かではない。
「んぅ……」
目が覚め、上体を起こすとそこは見知らぬ部屋。隣には裸の皇帝が眠っている。そうだ、私は昨日ここで彼に……思い出したら急に恥ずかしくなってきた!
「はぁ…どうしてこうなった?」
そう呟くと同時に後ろから優しく抱き締められる。自分とは異なる人肌の温もりが心地よくて私は身体を預けた。
「おはよう。シオン」
「おはようございます。皇帝陛下」
「それはやめろ。今までの通りに呼んでくれ」
「……白竜くん」
「それでよし」
頭を撫でる手を払い除ける力もないくらいぐったりしている私を楽しそうに見下ろす。朝から顔色が変わってない彼は羨ましいな……対する私はまさに満身創痍だ。それを訴えるかのように恨みがましい目で見るが効果はないようだ。それどころかまた布団に押し戻されてしまう。あぁ、白竜くんの香りに包み込まれている。やけに安心する香りだ……
「昨日はやり過ぎたか……」
「……反省してくれない?全身痛いよ」
「すまん。お前があまりにも可愛い反応するから歯止めが効かなくなった」
「!」
かぁーっと自分の顔に熱が集まるのがわかる。突然なに?情緒不安定になる私をよそに彼は私を抱き枕のように更に腕に抱え込む。うぅ……ドキドキして全然落ち着けないや。その内、満足したのか白竜くんが身じろぎするのを感じた。
「好きな奴には尽くして当然、と言ったな」
「あれはその……間違ってたかもしれない」
「いや、お前は正しい。俺も尽くすタイプだ」
「そうなの?意外……」
白竜くんは、私を抱き寄せたまま続ける。その声色は優しい。まるで子守唄のように心地よい。
「だからシオンが俺に尽くしてくれるなら、俺もお前に3倍尽くす。改めて、俺の婚約者になってくれ」
「……私なんかで本当にいいの……?」
「あぁ」
そう言って微笑む彼を見て胸が締め付けられるような感覚を覚える。なんだろうこの気持ち……元婚約者のときには感じたことのない感情に戸惑うけれど、嫌な気持ちはない。
「……なら、喜んでお受けします」
「……良かった」
白竜くんは私の首筋に顔を埋めるとそこに強く吸い付く。チクッとした痛みが走ると同時に私は彼のものになったことを実感した。
「だが、もし俺から離れたら……お前に何をするか、自分でも分からない」
「やっぱり暴君……」
おしまい
おまけ
「これで我が家も安泰……?やったー!やったよお父さんお母さん!」
「急にどうした」
「あ、しまった。つい感情が昂って」
「……前から思っていたが、シオンは愉快だな。見ていて飽きない」
白竜くんは目を細めてこっちを見る。穏やかな表情だ。
「私、白竜くんの笑った顔好きかも。こっちまで笑顔になれる」
「!……お前な」
照れたのかそっぽを向いてしまった。あの白き暴君にも可愛いところがあるじゃないか。しかし声に出したら何をされるか分かったものじゃないので言わないでおく。
「シオン。君との婚約を、解消させて貰う」
その一言は、絹を裂くような静けさで落ちた。ティーカップの縁に添えた指が、かすかに震える。紅茶の琥珀色が、小さな波紋を描いて揺れた。向かいに座る、私の婚約者様は、まるで春の陽射しのように穏やかな微笑みを浮かべたまま、私をまっすぐに見つめていた。
「理由を、お教えいただけますか」
掠れた声は、自分でも他人事のように響いた。彼は一度だけ、長い睫毛を伏せた。
「別に、君に落ち度は一切ない。ただ私の心はもう、別の場所に囚われてしまった」
ああ、そうだったのか。カップをソーサーに戻す音が、ひどく遠く、澄んで聞こえた。三年前、父が病床に伏せったあの夜。「貴女を護りたい」と、彼は私の凍えた手を包み込んでくれた。その手の温もりは、今も幻のように掌に残っている。なのに、今はもう。
「その…お相手は」
問うまでもないな。最近、屋敷に通うようになった公爵家のご令嬢。陽光を閉じ込めたような金髪と、陶器のように愛らしい微笑み。私など最初から比べる対象にすらなれない。婚約者様は、静かに頷いた。
「彼女は麗しく、気立ても良い。君とは大違いだ。」
「……っ」
やっぱりね。胸の奥で、何かが音もなく崩れ落ちていく。彼の中で私という存在はあってないようなものだったらしい。そうだよね、こんなに可愛げのない令嬢なんていらないよね。
「もちろん、君との婚約は家の決定だ。だが私は、彼女と生きることを選んだ」
「……そう……ですか」
「あぁ。だから早く私たちの前から消えたまえ」
私は、彼の婚約者に相応しくなかった。その事実が胸に突き刺さる。けれど同時に、どこか安堵している自分もいた。これでもう、彼への想いを断ち切らねばならないと苦しまなくて良いのだから。
「では……このお話はまた後日」
そう言って席を立つ私に、彼は何も言わなかった。ただ静かに紅茶を飲み下し、私を見つめるだけだった。それが余計に惨めで苦しくて仕方がなかったけども、これ以上この場に居たくなかったので足早に部屋を出ていった。
「婚約破棄されちゃったーーーー!」
自室のベッドにダイブして、枕に顔を埋める。ああもうどうしよう。これからどうすればいいんだろう?没落しかけたこの家の存続を、この婚約に掛けてたのに……これからどうすればいいんだろう?「シオン様」と、侍女さんが咎めるような口調で言うけれど気にしない。だって私失恋したんだよ!!しかも婚約者様から一方的に!!そりゃ落ち込みますよ!!!
「でもこれでよかったのかも……」
ぽつりと零す言葉は自分でも驚くくらい弱々しいものだったけど仕方ない。だって本当に好きだったんだもん。家の存続と彼のためなら何だって出来ると思ってたし、実際そうしてきたつもりだよ。でもダメだったみたい。すると、自室の部屋がノックされて誰かが入ってきた。
「シオン……大丈夫ですか?」
「あ…お母さん…」
心配そうに私を見つめるのは、母。私の隣に腰掛けるとそっと抱きしめてくれた。その温もりがとても心地よくて思わず涙ぐんでしまう。
「お母さん……私……」
「泣きたい時は泣いていいんですよ」
そう言って優しく背中を撫でてくれる手に甘えているとだんだん落ち着いてきた気がする。そして私は母の胸の中でポツリと話す。
「わたし……なにがいけなかったのかなぁ……」
「貴女は何も悪くありませんよ」
「でも、わたし……おにあいじゃ……なかったんだよ?あの人みたいに……きれいでもかわいくもなくて……」
「そんなことありません」
母は私を抱きしめる力を強くする。そして諭すように言葉を紡いだ。
「……貴女は、誰よりも素敵な人です。私の宝物、シオン」
あたたかな掌が私の頬を優しく撫でる。その励ましで、何でも立ち上がれるんだよ。ありがとう。
「お母さん。私、この家を守り抜いてみせるから…!」
「シオン……もういいのです」
「え、な、なんで…?」
「今回のことを聞いて分かりました。やはり私達は、家をたたむべきです」
「お母さん、何言って……」
「……分かっています。公爵家の方との婚約が決まった時は、本当に嬉しかった……でも」
母はそこで言葉を詰まらせた。私は黙って続きを待つことしかできないでいた。そしてしばらくの後再び語り出す母の声は震えていた。その目には涙が浮かんでいて思わず息を呑む。
「……家の命運を、実の娘に背負わせようとしている事に心底申し訳ないと思っていました」
「お母さん、それは私が決めたことだよ。お父さんが死んじゃってから支えてくれたのはお母さんだから」
「それでも、私はシオンにこんな重荷を背負わせたくはなかったのに……!」
とうとう泣き出してしまった母の肩をそっと抱き寄せると、その温もりが伝わってきた。ごめんね。悲しませてごめんね。そんな気持ちを込めてゆっくりと背中を撫でるうちに段々と落ち着いてきたようだ。そして母は涙を拭いながら私を見る。
「シオン……本当にごめんなさい……」
「ううん、全然平気!」
だってもう覚悟は決めてるから。私はもう泣かない、強く生きるって決めたの!だから大丈夫!!
「元気出たよ、お母さん!今なら皇帝も倒せそうな気がする!」
「え?」
「てへへ。今のはちょっと盛りました。比喩です、比喩」
「あらそう……あ、皇帝と聞いて思い出しました」
「?」
「……ダメ元で皇帝陛下と婚約するのはどうでしょう?」
「……皇帝陛下って『あの』?」
「はい。この国の皇帝、『白き暴君』です」
『白き暴君』。それはこの帝国で、最も恐れられている人物だ。彼は、一国を統べる皇帝でありながら自ら戦場に立ち、敵国の兵士を薙ぎ払う。その圧倒的な力の前に敵は為す術もなく倒れていくという。そしてなにより傍若無人で有名。気に入らない事があれば全て力でねじ伏せてしまうらしい。あと言えるのは、物凄いイケメンなんだとか。見たことないけど。
「……やっぱりダメですね。貴女は大切なひとり娘…」
「分かった。私、皇帝陛下に会いに行く」
「えっ!?そんな、シオン!!」
「陛下は確か、私と同じくらいじゃなかったかな?お嫁さんを探すパーティーも2週間後にあるって」
母が強く私の袖を引く。でもその手を止めるようにそっと私からも母の手を握り返す。
「大丈夫、この家を守れるのは私だけ……きっと役目を果たしてみせるよ」
「シオン…貴女に何かあったらと思うと……!」
「こんなことで立ち止まってはいられない。決して諦めない……その気持ちだけは信じて欲しいの」
「シオン……わかりました……」
母はしばらく悩んだ後、ゆっくりと頷いた。そして私の目を真っ直ぐ見て言った。
「決して無理はしないように。私は、貴女が生きてさえいてくれればそれで良いのです」
「うん、ありがとうお母さん。私、頑張るね!」
父は亡くなり、母も身体が弱くなっている。だから私がこの家を、家族を守らなければならない。たとえ白き暴君が相手だろうと負けるわけにはいかない!そうと決まれば準備をしよう!
二週間後。皇室主催のパーティー会場に訪れた。いよいよ本番。この先に皇帝陛下がいるんだ……うわぁ緊張する…!
「よし…行くぞ」
気合を入れて鏡に映った自分の姿を確認する。水色のドレスの裾を軽やかに揺らしながら歩き出す。この日のために練習してきたんだから大丈夫だ、自信を持ちなさい私。そう思いながらも実際足音はとても小さい。ゴクリと喉を鳴らす音が耳に届くようだ。会場に入って人混みを通り抜ける間にひそひそと誰かの話す声が聞こえる。
「おい……あれ見ろよ……」
「おぉ…かなり美人だな…」
「今日の参加者は上玉ばかりと聞いたが……予想以上だな……」
あれ……?思っていたような反応じゃない……?不思議に思いつつも、そんなことはおくびにも出さずにこやかに微笑む。そうすれば大体は綺麗に見えるはずだから。周りを見渡すと他の令嬢の方々がお見えになっている。みんな綺麗だ……でも!私達には皇帝陛下への謁見が控えている……粗相だけはしないようにしなきゃ……!
「皇帝陛下の御成です!」
案内係の人の声で全員がそちらへと目を向けた。私はそれを陰からこっそり見ていた。あ、あれが……!顔はやっぱりイケメン。すごく背が高いしゴツゴツしてる……それにしても白いな…肌なんか私より白いんじゃないの?それに何だ、あのオーラは。まるで竜が背後でゆらめいているような神々しさがある……周囲の目が真剣だ。間違いない…本当にとんでもない人だと本能でわかる。それと同時にこうも思った。『あ。ダメだ。これは無理だ』。私は踵を返し、そそくさとホールの端の方へ逃げ出した。背後からどよめきが起きる気配がしたけれど気にせず走り去った。
「え、あれって……没落貴族の……シオン嬢?」
「あ、本当だわ。どこ行くのかしら?」
そんな声が耳に届くが、もうどうでも良い。私は皇帝の顔を見ただけでこのパーティー会場を抜け出した。そして、誰もいない中庭の噴水に腰掛けて一人笑う。
「……ははっ、あはは…流石は皇帝陛下。オーラが違いすぎる……」
皇帝も倒せそうなんて豪語してたくせに情けないね。ごめんなさいお母さん……やっぱり、終わったかも。でも別に死ぬわけではないしこのままお母さんと2人で田舎暮らしも良いかもしれない。それはそれで楽しそうだな……
「シオン」
あぁ……呼ばれてる。お母さんが心配して来てくれたのかな。怪しまれないように時間を潰そうかと思ったけど、やっぱり帰ろうかな。でもなんかお母さんにしては声が低いような…
「シオン」
「なぁに、お母さん…」
「誰がお母さんだ」
「……へ?」
突然、背後から思いもよらない声がして素っ頓狂な声を上げてしまう。バッと振り向くと、声の主は全然お母さんじゃありませんでした。
「ダレーーーーッ!?」
「おい!人の顔を見るなり誰だはないだろう!」
「いや、だって……え!?暴君!?」
「せめて皇帝と呼べ!」
「同じじゃん!」
「そうだけども違う!」
皇帝陛下をお母さんと言っちゃったよすんごく恥ずかしい!これは処刑まっしぐらかな!?私は凄く慌てているのだが、斬首されて死ぬ前に聞いておきたいことがある。
「ビックリしたぁ…あの……皇帝陛下が何故このような場所に……?」
「お前に会いに来た」
「え?私に?なんでですか?」
「……俺のことを、覚えてるか?」
「初対面じゃないですか、私たち」
「は?何を忘れている、子供の頃に一緒に遊んでいただろうが」
「こどものころ……?」
幼少期の記憶を掘り返す。ちょうど5歳くらいの私は、同じくらいの白い髪の男の子といつも遊んでいた。遠いあの日は楽しかった思い出ばかり。その子の名前は………
「………あ!思い出した!白竜くんだ!」
「思い出すのに何秒かかってるんだ!」
いやだって白竜くんはあの頃の白竜くんだし。でもそっかぁ。我が国の皇帝陛下が彼だったのか……いや、それよりもなぜ私に話しかけてきたのか。
「ホント久しぶりだね……元気だった?」
「あぁ。お前は?」
「……元気、だったよ」
「そうは見えないが」
白竜くんは、戸惑う私の姿が気に入らないのか不機嫌そうに目を細めるがすぐに真顔に戻った。そして詰め寄ってくると更に問いただしてくる。
「このパーティーに来たという事は、婚約者を探しているのか」
「あ…うん。婚約破棄されて…」
「婚約者がいたのか?」
「……浮気されちゃって。それでうちの存続がかかってる状態。何とか立て直したいんだけどね……」
彼になら話してもいいや。私はそのまま正直にペラペラ喋る。
「元婚約者のことは好きだったから尽くしていた……でも、捨てられた」
「……そうか」
「私、好きな人には尽くして当たり前だと思って…」
「そこだ」
白竜くんが私の言葉を遮ってこう言った。
「その元婚約者とやらは献身的に尽くすお前を、都合の良い女としか見ていなかった。可哀想にな」
「か、かわいそうって…」
「断言する。お前はダメ男製造機だ」
「だっダメ男製造機ぃ!?」
「浮気された時点で切り捨てれば良かったものを。未練がましい」
「うぅ……」
確かにそれはそうかもしれない。そもそもすぐに別れるべきだったんだ。なんか今更自己嫌悪に襲われる……
「それはそうとシオン。そいつはどこの男だ。言え。俺が首を刎ねてやる」
「怖いよ!こんなときに暴君にならないで!?」
「いいから言え」
「い、言わない!だってもう終わったことだから…」
「……」
「この話はおしまい。ね?」
「……わかった」
ほっ。分かってくれたみたい。でも何故だろう……私を見る白竜くんの瞳が熱い気がするんだ。この熱視線は何だかとてつもなくヤバい雰囲気。逃げた方が良さそうだ。
「えっと、そういうわけなんだけど……これで終わりにして、帰ってもいいかな……」
「いいわけあるか」
「おっと……」
突然腕をぐいと引っ張られ身体を抱き寄せられる。そしてそのまま顎を持ち上げられて、至近距離で見つめ合う形になる。
「な……なに……?」
「俺の婚約者になれ」
「誰が?」
「シオンが」
「……え」
「子供の頃から好きだった。離ればなれになってからずっと探してた」
「急に口説くね……」
「また会えたらもう離さないと決めていたからな」
私は目を逸らすことも出来ず、白竜くんの目を見る。すると彼はふっと笑った。その笑顔に思わずドキッとする。顔がいい!しかし……
「それで、返事は?まぁ決まっているだろうがな……」
「お断りします」
「………………は?」
私は白竜くん会場に足を踏み入れたときの圧倒的なオーラに気圧されて萎縮している。身分も違う。幼馴染み(忘れていた)とはいえこれは無理だと。彼にはもっと相応しい女性がいるはず。もうさっさと帰ってお母さんと田舎でスローライフしたいなぁ。
「何故だ…!」
「私なんかが皇帝陛下と釣り合うわけないし……それに私はもう目的を見失って……」
「関係ない。お前は俺のものだ」
「ひぃぃ、暴君が発動したぁ!」
白竜くんの目が据わってる!怖い!でも私も負けじと言い返す。
「私、きみのことよく覚えてないよ?!」
「これから知っていけばいい」
「でも、私……白竜くんのこと……その……」
「ん?」
「す……好きじゃないし!」
好きじゃないし!の声がエコーがかかる。いたたまれなくなって俯く。白竜くんは相変わらず黙ったままでそれがとても気まずい。その数秒後、身体に伝わるドス黒いオーラを感じて思わず顔を上げる。見ると彼の表情は……言葉では形容できないものになっていた。
「それが……皇帝に対する言い方か?」
「ヒュッ……」
「徹底的に躾けないと駄目らしいな」
怖くて声が出ない。やってしまった。腕に閉じ込められたまま耳元で低い声が私の鼓膜を震わせる。拘束から抜け出そうと藻掻くが、全然動けない。
「もう一度言う……シオン。お前は、俺と結婚するんだ。分かるな?」
「は……はい……」
「いい子だ」
白竜くんは返答に満足気に微笑むと私の頭を撫でた。そして私を解放したかと思うとそのままお姫様抱っこして歩き出す。
「あっ!?あの、どこへ……?」
「俺の寝室だ」
「てことは、まさか…!?!」
「あぁ。やるぞ、シオン」
「わぁぁああ!」
もう完全に暴君スイッチが入っている!誰か助けて!しかし、そんな願いも虚しく、私はそのまま寝室へと運ばれて行った。そのあとの記憶は定かではない。
「んぅ……」
目が覚め、上体を起こすとそこは見知らぬ部屋。隣には裸の皇帝が眠っている。そうだ、私は昨日ここで彼に……思い出したら急に恥ずかしくなってきた!
「はぁ…どうしてこうなった?」
そう呟くと同時に後ろから優しく抱き締められる。自分とは異なる人肌の温もりが心地よくて私は身体を預けた。
「おはよう。シオン」
「おはようございます。皇帝陛下」
「それはやめろ。今までの通りに呼んでくれ」
「……白竜くん」
「それでよし」
頭を撫でる手を払い除ける力もないくらいぐったりしている私を楽しそうに見下ろす。朝から顔色が変わってない彼は羨ましいな……対する私はまさに満身創痍だ。それを訴えるかのように恨みがましい目で見るが効果はないようだ。それどころかまた布団に押し戻されてしまう。あぁ、白竜くんの香りに包み込まれている。やけに安心する香りだ……
「昨日はやり過ぎたか……」
「……反省してくれない?全身痛いよ」
「すまん。お前があまりにも可愛い反応するから歯止めが効かなくなった」
「!」
かぁーっと自分の顔に熱が集まるのがわかる。突然なに?情緒不安定になる私をよそに彼は私を抱き枕のように更に腕に抱え込む。うぅ……ドキドキして全然落ち着けないや。その内、満足したのか白竜くんが身じろぎするのを感じた。
「好きな奴には尽くして当然、と言ったな」
「あれはその……間違ってたかもしれない」
「いや、お前は正しい。俺も尽くすタイプだ」
「そうなの?意外……」
白竜くんは、私を抱き寄せたまま続ける。その声色は優しい。まるで子守唄のように心地よい。
「だからシオンが俺に尽くしてくれるなら、俺もお前に3倍尽くす。改めて、俺の婚約者になってくれ」
「……私なんかで本当にいいの……?」
「あぁ」
そう言って微笑む彼を見て胸が締め付けられるような感覚を覚える。なんだろうこの気持ち……元婚約者のときには感じたことのない感情に戸惑うけれど、嫌な気持ちはない。
「……なら、喜んでお受けします」
「……良かった」
白竜くんは私の首筋に顔を埋めるとそこに強く吸い付く。チクッとした痛みが走ると同時に私は彼のものになったことを実感した。
「だが、もし俺から離れたら……お前に何をするか、自分でも分からない」
「やっぱり暴君……」
おしまい
おまけ
「これで我が家も安泰……?やったー!やったよお父さんお母さん!」
「急にどうした」
「あ、しまった。つい感情が昂って」
「……前から思っていたが、シオンは愉快だな。見ていて飽きない」
白竜くんは目を細めてこっちを見る。穏やかな表情だ。
「私、白竜くんの笑った顔好きかも。こっちまで笑顔になれる」
「!……お前な」
照れたのかそっぽを向いてしまった。あの白き暴君にも可愛いところがあるじゃないか。しかし声に出したら何をされるか分かったものじゃないので言わないでおく。