人生は白竜ゲー。
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『3人で野球拳をしないと出られない部屋』という文字がモニターに映し出されている。
「野球拳?なにそれ?」
「サッカープレーヤーに野球だと?」
「……え?そこから?」
野球拳は知らないけどこの部屋は知ってる。○○しないと出られない部屋って言うんだよね。そこに私と白竜くん、そして雨宮さんが閉じ込められたみたいだ。白一色の壁と床。出口はそこの茶色いドアだけ。雨宮さんがドアノブをガチャガチャ動かした。
「開かないよ」
「ならその野球拳?とやらをやればいいんだろう。やるぞ」
「そうだね」
「ちょっ!?待って君達、野球拳知らないの?!」
「知らない」
「知らん」
「むぐぐ……!」
雨宮さんが頭を抱えている。どうしたんだろう。
「…知らないなら仕方ない。教えてあげる。野球拳っていうのはね…」
私と白竜は次の言葉を待つ。直後に放たれたのは衝撃的な内容だった。
「ジャンケンをして、負けたら一枚ずつ服を脱ぐゲームなんだよ……」
「………」
「………」
「………」
「…太陽、もう一度言ってみろ」
「だから服を……ってわああ!いきなり殴らないでよ!」
「服を脱ぐだと?!貴様、女子の前で!」
「ちょっと!白竜くんやめて!」
「僕が悪かったから!!」
なんとか二人を宥める。そうか……野球拳とはそんなゲームなのか。じゃんけんで負けて服を脱ぐ。となると、負け続けていくうちに最後には……はっ!これ以上考えてはいけない!
「…ジャンケンて、運頼みだもん。勝ち目がない……」
独りごちると、白竜くんが雨宮さんと一緒に私に背を向けて何かごにょごにょし始めた。何を話しているのかな?
「太陽、シオンはすこぶる運が悪い奴なのは知っているな?」
「うん」
「ジャンケンも弱いぞ、アイツは。だから……それなりの覚悟はした方が良い」
「は!?それって…ダメだよ!」
「こればかりは仕方がないことだ。出られなきゃ困るのは俺達だ」
「令和だよ!?新作発売されるんだよ!?コンプラ違反でレベルファイブが黙ってないよ!?」
「この部屋に閉じ込められた原因はなんだ?お前だろう、太陽……お前が変な落とし穴に落ちたからこんなことになってるんだぞ…!」
「僕を助けに来た2人も落ちてきたじゃないか…まぁ、言われてみればそうだね。これは僕のせい」
「そうだ。だが、太陽にだけ責任を負わせる程俺も終わってはいない」
「白竜…!」
「何が起きても連帯責任だ、いいな?」
「ありがとう!」
何の話をしているのかよくわからないけど、2人とも納得している模様。私は改めて部屋の中をぐるっと見回す。隅っこにカメラを発見したので、2人に教える。
「ねぇ、あそこ見て。カメラがある」
「あ…ホントだ」
「ちっ。不正はできないか…」
「ん?何の話?」
「い、いや?こっちの話さ。アハハ…」
「???」
白竜くんは何故舌打ちしてるんだろう。雨宮さんもなんだか不自然……
「よし、やろうか…」
「うん」
「あぁ…シオン。すまんな…」
「ん?なんのこと?」
そう返しても何も言ってくれない。なんか雰囲気が重くてやりにくい。とりあえずジャンケンをするんだよね?
「行くよ……じゃーんけーん」
ぽん!三人同時に出す。私の出したのはパー。対して他の二人はチョキ。最初から負けちゃった!
「…そうだよね……」
まぁ最初はこんなものだ。仕方が無い。私はジャージの上を脱ぐ。いつもの雷門ユニフォームが出てきた。
「脱いだよ。次は負けない!」
「……」
「……」
「2人とも黙っちゃって……何があったの?」
「いや……本当に脱ぐなんて思わないじゃないか……」
「え?だってルールだし」
「ルールだしって」
さっきからこの2人は何なんだろう。おかしいこと言ってるつもりはないんだけどな?
「次こそは勝つよ!」
「分かったよ……じゃーんけーん」
次に出したのはグー。他の2人はパーなのでまたもや私が負ける。大人しくジャージの下を脱いでハーフパンツになった。
「う…今度こそ!じゃーんけーん…」
「あっ」
「おい!バカ!」
白竜くんが珍しく取り乱す。なんでだろうって思った瞬間、自分はチョキを出していた。雨宮さんはグーで白竜くんは私とあいこ。こうなったら彼ともう一度ジャンケンすることになる。
「ごめん、勝ち逃げしちゃった…」
「シオン…絶対勝てよ?お前の尊厳が掛かっているからな…!」
「も、勿論…!じゃーんけーん…」
ぽん!と私が出したのはパー。白竜くんはグー。勝ったぞ!
「ほっ…」
「………」
白竜くんは黙ってジャージの上を脱いだ。良かった…いや何も良くないが。
「よし、もう一回…じゃーんけーんぽん!あいこで……」
「わ、負けた!」
今度は雨宮さんの負け。ちょっと恥ずかしそうにしながらも一枚脱ぐ。あ。そういえば……
「そろそろ開いたかな?」
「え?」
「試してみよう」
私が率先してドアへと歩く。雨宮さんと白竜くんが後を追ってくるのが分かる。さてドアは……
「開かない!」
「なんで!?脱ぎ足りないってことかい!?」
「ふざけた扉だ!」
悔しいがまだまだ脱がないといけないみたいだ。再びジャンケンを繰り返す。私が二回勝って2人が私と同じユニフォーム姿になったとき、状況が変わった。
「……もう」
「まずい、シオンが2回も負けた」
「どうしよう…あと一回負けたら…」
今の私は靴下とスパイクを脱いで素足の状態。寒いです。雨宮さんの言葉通り、もう一回負ければ上と下、どちらかを脱ぐことになる。この2人に下着を晒したくない!絶対に負けたくない!
「次が大事だ。シオン、気合いを入れろ」
「うん!」
「行くよ……じゃーんけーんぽん!」
あいこで……あいこで……あいこで……あいこで……
「埒があかないよ!」
「勝たないと!勝たないと!」
「落ち着けシオン!焦らずしっかりだ!」
「でも……!」
ここまであいこが続くと流石に動揺してしまう。負けるかもしれない!その思いがどんどん強くなる。早く決めなきゃいけないのに!
「焦るな。しっかり考えて決めろ。今までのように考えなしにただ出すのではなく」
「そ、そうだよね」
そうか……焦ったってしょうがない。白竜くんの言う通り冷静にならなくちゃ。よし……じゃーんけーんぽん!
「よし!負けた……!」
「やった勝った!白竜くんありがと!」
「あぁ……」
負けた白竜くんは靴を脱いだ。
「私もう負けられない!」
「シオンさんに勝たせるんだ!じゃーんけーんぽん!」
雨宮さんはパー。私と白竜くんはチョキを出した。彼は白竜くんと同じように靴を脱ぐ。そんなこんなで全員素足にユニフォーム姿になったところで勝負は見えなくなった。さぁ、誰が先に脱ぐ事になるのか……
「いよいよ佳境だよ」
「うん」
「あぁ」
深呼吸をする。雨宮さんと白竜くんも同じ動作をしている。真剣勝負。負けたら恥ずかしい姿になる。その一戦が始まる。その時、一枚の紙がヒラリと落ちてきた。
「これ…なんだろう?」
「……『次が最後のジャンケンです。負けたら全て脱ぐこと』」
「…ひぇえ」
「ともかく、これがラストか…(色んな意味で)負けるわけにはいかない」
「そうだ。俺達がシオンの尊厳を守らねばならん」
「後出しでもする?」
「いや、監視カメラの目があるからな……あれがある限り、誰かが見ているのは確かだ」
「う……じゃあ普通にやるしかないか」
今度は雨宮さんが音頭を取る。この勝負は……必ず勝つ!負けてたまるもんか!
「じゃーんけーん……」
ぽん!と、私が出したのはパー。対する2人は………
「え………」
二つのシザーハンズ。私の尊厳はここで砕かれる。白竜くんと雨宮さんは仲良しだから同じ手が出るのだろう。彼らは唖然としている。なんか納得しちゃったよ。あぁ………………もう。仕方ない。
「……これで出られるなら脱ぐよ、私」
「ちょ、待ってよ!?」
「脱がないとここから出られない。そういう部屋なんでしょ?それだったら……」
「でも……!」
「2人も私のために協力してくれたよね。なのに今更脱がないのは無責任すぎない?」
「待て待て待て待て!早まるな!」
覚悟を決めた。こんな地獄、この行動一つで終わらせられるんだ。私はユニフォームに手を掛ける。それを止めるように白竜くんが私の腕を掴む。
「おい!?そんな簡単に……」
「離してよ!もう決めたの!」
「シオンさん!?ダメだってば!」
「止めないで!」
「シオン!」
白竜くんと雨宮さんが急に私の動きを抑え始めた。身動きが取れない!離せ~!
「太陽もこいつを止めてくれ!」
「うん!シオンさん落ち着いて!僕たちだって男なんだよ!」
「離してってば~!」
「こら暴れるな!怪我するだろ!」
「う~!白竜くんの意地悪!ここで脱がなきゃ誰が脱ぐの!」
「お前そんなキャラじゃないだろ!気でも触れたか!?」
「私は冷静だよ!」
「どう見ても冷静とは言えないよ!お願いだから脱がないで!」
「も~!2人ともやめて~!」
「うぅ…!やめて…はなしてよぉ……」
「…シオン!シオン!起きろ!」
「う~、…はっ!あ、あれ……?」
「あーよかった、起きた!」
気が付くとあの白い部屋にいたはずが、ベンチに横たわっていた。白竜くんと雨宮さんが私の顔を心配そうに覗き込んでいる。もしや、今までのは……
「夢……?」
「お前、だいぶ魘されていたぞ。何の夢を見たんだ?」
「……野球拳しないと出られない部屋に閉じ込められて……」
「や、野球拳やってたの?」
「なんだそれは…」
「雨宮さんはともかく、白竜くんは知らないならいいの」
ベンチから起き上がると、日が傾いてオレンジ色の空が広がっている。夕焼け小焼けがなる時間だ。今日はもう帰りましょう。三人揃って帰路に着く。
「シオン、結局あの夢はどういう感じだったんだ?」
「……教えないよ」
別に話してもいいけど……やっぱりやだ。思い出したくない。なんか最後の方で恥ずかしいことしてた気がするんだ。
「気になるなぁ」
「そこは聞かないで貰えると…」
「おい太陽。シオンは話したくないと言っている。詮索は止めてやれ」
「…わかったよ。シオンさんゴメンね」
「……ありがとう」
白竜くんの配慮のお陰で嫌な思いをせずに済んだ。あぁやっぱり白竜くんって優しいなぁ。そんなことを考えつつ、私達は家に帰っていくのであった。
おしまい
「野球拳?なにそれ?」
「サッカープレーヤーに野球だと?」
「……え?そこから?」
野球拳は知らないけどこの部屋は知ってる。○○しないと出られない部屋って言うんだよね。そこに私と白竜くん、そして雨宮さんが閉じ込められたみたいだ。白一色の壁と床。出口はそこの茶色いドアだけ。雨宮さんがドアノブをガチャガチャ動かした。
「開かないよ」
「ならその野球拳?とやらをやればいいんだろう。やるぞ」
「そうだね」
「ちょっ!?待って君達、野球拳知らないの?!」
「知らない」
「知らん」
「むぐぐ……!」
雨宮さんが頭を抱えている。どうしたんだろう。
「…知らないなら仕方ない。教えてあげる。野球拳っていうのはね…」
私と白竜は次の言葉を待つ。直後に放たれたのは衝撃的な内容だった。
「ジャンケンをして、負けたら一枚ずつ服を脱ぐゲームなんだよ……」
「………」
「………」
「………」
「…太陽、もう一度言ってみろ」
「だから服を……ってわああ!いきなり殴らないでよ!」
「服を脱ぐだと?!貴様、女子の前で!」
「ちょっと!白竜くんやめて!」
「僕が悪かったから!!」
なんとか二人を宥める。そうか……野球拳とはそんなゲームなのか。じゃんけんで負けて服を脱ぐ。となると、負け続けていくうちに最後には……はっ!これ以上考えてはいけない!
「…ジャンケンて、運頼みだもん。勝ち目がない……」
独りごちると、白竜くんが雨宮さんと一緒に私に背を向けて何かごにょごにょし始めた。何を話しているのかな?
「太陽、シオンはすこぶる運が悪い奴なのは知っているな?」
「うん」
「ジャンケンも弱いぞ、アイツは。だから……それなりの覚悟はした方が良い」
「は!?それって…ダメだよ!」
「こればかりは仕方がないことだ。出られなきゃ困るのは俺達だ」
「令和だよ!?新作発売されるんだよ!?コンプラ違反でレベルファイブが黙ってないよ!?」
「この部屋に閉じ込められた原因はなんだ?お前だろう、太陽……お前が変な落とし穴に落ちたからこんなことになってるんだぞ…!」
「僕を助けに来た2人も落ちてきたじゃないか…まぁ、言われてみればそうだね。これは僕のせい」
「そうだ。だが、太陽にだけ責任を負わせる程俺も終わってはいない」
「白竜…!」
「何が起きても連帯責任だ、いいな?」
「ありがとう!」
何の話をしているのかよくわからないけど、2人とも納得している模様。私は改めて部屋の中をぐるっと見回す。隅っこにカメラを発見したので、2人に教える。
「ねぇ、あそこ見て。カメラがある」
「あ…ホントだ」
「ちっ。不正はできないか…」
「ん?何の話?」
「い、いや?こっちの話さ。アハハ…」
「???」
白竜くんは何故舌打ちしてるんだろう。雨宮さんもなんだか不自然……
「よし、やろうか…」
「うん」
「あぁ…シオン。すまんな…」
「ん?なんのこと?」
そう返しても何も言ってくれない。なんか雰囲気が重くてやりにくい。とりあえずジャンケンをするんだよね?
「行くよ……じゃーんけーん」
ぽん!三人同時に出す。私の出したのはパー。対して他の二人はチョキ。最初から負けちゃった!
「…そうだよね……」
まぁ最初はこんなものだ。仕方が無い。私はジャージの上を脱ぐ。いつもの雷門ユニフォームが出てきた。
「脱いだよ。次は負けない!」
「……」
「……」
「2人とも黙っちゃって……何があったの?」
「いや……本当に脱ぐなんて思わないじゃないか……」
「え?だってルールだし」
「ルールだしって」
さっきからこの2人は何なんだろう。おかしいこと言ってるつもりはないんだけどな?
「次こそは勝つよ!」
「分かったよ……じゃーんけーん」
次に出したのはグー。他の2人はパーなのでまたもや私が負ける。大人しくジャージの下を脱いでハーフパンツになった。
「う…今度こそ!じゃーんけーん…」
「あっ」
「おい!バカ!」
白竜くんが珍しく取り乱す。なんでだろうって思った瞬間、自分はチョキを出していた。雨宮さんはグーで白竜くんは私とあいこ。こうなったら彼ともう一度ジャンケンすることになる。
「ごめん、勝ち逃げしちゃった…」
「シオン…絶対勝てよ?お前の尊厳が掛かっているからな…!」
「も、勿論…!じゃーんけーん…」
ぽん!と私が出したのはパー。白竜くんはグー。勝ったぞ!
「ほっ…」
「………」
白竜くんは黙ってジャージの上を脱いだ。良かった…いや何も良くないが。
「よし、もう一回…じゃーんけーんぽん!あいこで……」
「わ、負けた!」
今度は雨宮さんの負け。ちょっと恥ずかしそうにしながらも一枚脱ぐ。あ。そういえば……
「そろそろ開いたかな?」
「え?」
「試してみよう」
私が率先してドアへと歩く。雨宮さんと白竜くんが後を追ってくるのが分かる。さてドアは……
「開かない!」
「なんで!?脱ぎ足りないってことかい!?」
「ふざけた扉だ!」
悔しいがまだまだ脱がないといけないみたいだ。再びジャンケンを繰り返す。私が二回勝って2人が私と同じユニフォーム姿になったとき、状況が変わった。
「……もう」
「まずい、シオンが2回も負けた」
「どうしよう…あと一回負けたら…」
今の私は靴下とスパイクを脱いで素足の状態。寒いです。雨宮さんの言葉通り、もう一回負ければ上と下、どちらかを脱ぐことになる。この2人に下着を晒したくない!絶対に負けたくない!
「次が大事だ。シオン、気合いを入れろ」
「うん!」
「行くよ……じゃーんけーんぽん!」
あいこで……あいこで……あいこで……あいこで……
「埒があかないよ!」
「勝たないと!勝たないと!」
「落ち着けシオン!焦らずしっかりだ!」
「でも……!」
ここまであいこが続くと流石に動揺してしまう。負けるかもしれない!その思いがどんどん強くなる。早く決めなきゃいけないのに!
「焦るな。しっかり考えて決めろ。今までのように考えなしにただ出すのではなく」
「そ、そうだよね」
そうか……焦ったってしょうがない。白竜くんの言う通り冷静にならなくちゃ。よし……じゃーんけーんぽん!
「よし!負けた……!」
「やった勝った!白竜くんありがと!」
「あぁ……」
負けた白竜くんは靴を脱いだ。
「私もう負けられない!」
「シオンさんに勝たせるんだ!じゃーんけーんぽん!」
雨宮さんはパー。私と白竜くんはチョキを出した。彼は白竜くんと同じように靴を脱ぐ。そんなこんなで全員素足にユニフォーム姿になったところで勝負は見えなくなった。さぁ、誰が先に脱ぐ事になるのか……
「いよいよ佳境だよ」
「うん」
「あぁ」
深呼吸をする。雨宮さんと白竜くんも同じ動作をしている。真剣勝負。負けたら恥ずかしい姿になる。その一戦が始まる。その時、一枚の紙がヒラリと落ちてきた。
「これ…なんだろう?」
「……『次が最後のジャンケンです。負けたら全て脱ぐこと』」
「…ひぇえ」
「ともかく、これがラストか…(色んな意味で)負けるわけにはいかない」
「そうだ。俺達がシオンの尊厳を守らねばならん」
「後出しでもする?」
「いや、監視カメラの目があるからな……あれがある限り、誰かが見ているのは確かだ」
「う……じゃあ普通にやるしかないか」
今度は雨宮さんが音頭を取る。この勝負は……必ず勝つ!負けてたまるもんか!
「じゃーんけーん……」
ぽん!と、私が出したのはパー。対する2人は………
「え………」
二つのシザーハンズ。私の尊厳はここで砕かれる。白竜くんと雨宮さんは仲良しだから同じ手が出るのだろう。彼らは唖然としている。なんか納得しちゃったよ。あぁ………………もう。仕方ない。
「……これで出られるなら脱ぐよ、私」
「ちょ、待ってよ!?」
「脱がないとここから出られない。そういう部屋なんでしょ?それだったら……」
「でも……!」
「2人も私のために協力してくれたよね。なのに今更脱がないのは無責任すぎない?」
「待て待て待て待て!早まるな!」
覚悟を決めた。こんな地獄、この行動一つで終わらせられるんだ。私はユニフォームに手を掛ける。それを止めるように白竜くんが私の腕を掴む。
「おい!?そんな簡単に……」
「離してよ!もう決めたの!」
「シオンさん!?ダメだってば!」
「止めないで!」
「シオン!」
白竜くんと雨宮さんが急に私の動きを抑え始めた。身動きが取れない!離せ~!
「太陽もこいつを止めてくれ!」
「うん!シオンさん落ち着いて!僕たちだって男なんだよ!」
「離してってば~!」
「こら暴れるな!怪我するだろ!」
「う~!白竜くんの意地悪!ここで脱がなきゃ誰が脱ぐの!」
「お前そんなキャラじゃないだろ!気でも触れたか!?」
「私は冷静だよ!」
「どう見ても冷静とは言えないよ!お願いだから脱がないで!」
「も~!2人ともやめて~!」
「うぅ…!やめて…はなしてよぉ……」
「…シオン!シオン!起きろ!」
「う~、…はっ!あ、あれ……?」
「あーよかった、起きた!」
気が付くとあの白い部屋にいたはずが、ベンチに横たわっていた。白竜くんと雨宮さんが私の顔を心配そうに覗き込んでいる。もしや、今までのは……
「夢……?」
「お前、だいぶ魘されていたぞ。何の夢を見たんだ?」
「……野球拳しないと出られない部屋に閉じ込められて……」
「や、野球拳やってたの?」
「なんだそれは…」
「雨宮さんはともかく、白竜くんは知らないならいいの」
ベンチから起き上がると、日が傾いてオレンジ色の空が広がっている。夕焼け小焼けがなる時間だ。今日はもう帰りましょう。三人揃って帰路に着く。
「シオン、結局あの夢はどういう感じだったんだ?」
「……教えないよ」
別に話してもいいけど……やっぱりやだ。思い出したくない。なんか最後の方で恥ずかしいことしてた気がするんだ。
「気になるなぁ」
「そこは聞かないで貰えると…」
「おい太陽。シオンは話したくないと言っている。詮索は止めてやれ」
「…わかったよ。シオンさんゴメンね」
「……ありがとう」
白竜くんの配慮のお陰で嫌な思いをせずに済んだ。あぁやっぱり白竜くんって優しいなぁ。そんなことを考えつつ、私達は家に帰っていくのであった。
おしまい