Red or Pink 9

Tiffany side


韓国で暮らすことは、私の強い希望だった

母が生まれ育った国
私は母が好きだったらしい場所を訪ね、幼かった頃の母の夢を知り、
母の面影を追って自分の中の空白を埋めた
最初は言葉も理解できないことが多かったけれど、
母を知りたい一心で勉強し、日常会話くらいはこなせる程度になった

それから、韓国の高校に進学したいと言った私に父は特に反対をせず、
母の弟であるおじに話をして韓国で暮らす手はずを整えてくれた





カランカラーン



韓国に渡り、おじが経営する喫茶店を訪れると、
私を見つけた彼がカウンターの中から笑顔を見せた
その目元が母にそっくりで、私は安心感を覚える


マスター「やあティファニー
久し振りだな」


パニ「おじさん、お久し振りです」


マスタ「はははっ 参ったな、おじさんは止めてくれよ
呼ばれ慣れてないし、一気に老けた気がするよ」


パニ「でも…」


マスタ「そうだな…
これからはうちでバイトするんだし、マスターって呼んでくれ」


パニ「ふふふっ はい、マスター」


マスタ「よしっ いい子だ」



彼は満足そうに笑い、それから彼の奥さんを呼んできた


マスタ妻「ティファニー、久し振りね
待ってたわ!」


奥さんは嬉しそうに私にハグをして迎えてくれた



マスタ「ははっ うちの奥さんは一緒に暮らすのが本当に嬉しくて堪んないみたいでな
この前は山のように洋服やら何やら買いこんでたよ」


マスタ妻「だって~!うちには子どもがいないんだもの
こんな可愛い子と一緒に暮せるなんて夢みたいだわ
今度一緒に買い物に行きましょ!」


マスタ「はははっ ティファニー、すまないがほどほどに付き合ってやってくれ」


パニ「ふふふっ 嬉しいです
こちらこそ本当にありがとうございます
お世話になります
よろしくお願い致します」


お辞儀してご挨拶をすると、
同じような表情で穏やかに微笑む二人に「これからよろしくな(ね)」と頭を優しく撫でられた

なんだか小さい頃に戻ったみたいでとってもくすぐったい
照れ笑いを返すと、マスターが母に似た笑顔で嬉しそうに笑った



それから、その日お二人は喫茶店をお休みにして私の歓迎会を開いてくれた




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