Tiffany side


ここはアメリカ
韓国から遠く離れたアメリカ

なのに、私の目の前にはテヨンがいて、
彼女は私を見るなり、堰を切ったように泣きじゃくり始めた

小さい子みたいに感情のままに泣いているテヨン
彼女を早く抱きしめてあげたい衝動に駆られ、
私は傘もささず、雨に降られながらテヨンに近づいていった


テヨ「うぅ～っ…っく…ｸﾞｽｸﾞｽｯ…う～っ…」


パニ「…テヨンっ…」


抱きしめるために腕を広げようとした瞬間、彼女は私に泣きじゃくりながら叫ぶ



テヨ「なんで勝手にいなくなるのっ！
ｸﾞｽｯ……なんでいなくなるのっ？」


パニ「えっ…？」


テヨ「う～っ…ｸﾞｽｸﾞｽｯ…ティファニーのばかぁっ！」



テヨンの放った言葉の意味がよくわからずに呆然としている私に、
彼女が傘を置いて泣きながら抱きついてきた
彼女にぎゅっと抱きしめられ、
抱き返そうとしたところで自分の体が濡れていることに気づいて慌てる



パニ「テヨン、濡れちゃうわっ」


テヨ「いいの！そんなのどうでもいいのっ！ｸﾞｽｯ」


パニ「でも、風邪引いちゃ…」


テヨ「いいのっ！」


強くそう言われた後、テヨンの抱きしめる力がさらに強くなる

なんだかよくわからないけれど、彼女が私を求めてくれているのは伝わってきた
そして、どうやら私はまた何かテヨンを泣かせるようなことをしてしまったらしい

私は彼女を抱き返し、
「ごめんね…」
そう小さく呟いて彼女の頭を抱きしめた
すると、テヨンは私の肩口に目元を当てたまま頭を小さく振る

そして、彼女は小さく絞り出すような声で言った


テヨ「ティファニー…そばにいてよぉ…っ」



テヨンのその言葉に、その声に、
胸が締め付けられるように苦しくなる
やっと彼女の心の声を聞けたような気がした


パニ「うん…
ずっとテヨンの傍にいるわ…」


ようやくテヨンの心ごと抱きしめることができた
愛おしさに涙があふれる

彼女の全てを抱きしめるように、私は大切にテヨンを包み込んだ