雨花

Jessica side




シカ「ただいま~」



疲れた…



小さくため息をつきながら玄関に入った後、リビングに通じる通路をトボトボと歩く
部屋に入ってバッグを置き、ベッドに座ってからそのまま後ろに倒れこんだ


バフンッ



あぁ~メイク落とさないといけないのに…
でも、今は動きたくない…



胸の中にモヤモヤが渦巻いていて気持ちがそっちに捕らわれる



なんであんなこと言われなきゃいけないのよ…



今日の出来事を思い出してまた怒りがこみ上げる
でも、気にしちゃダメだとわかっていてもこうやっていちいち落ち込んでしまう自分にも腹が立った


なんで私、同じこと繰り返しちゃうんだろ…





天井を見ながらぼんやりしていると、ドアが数回ノックされた


コンコンッ




シカ「は~い…」




ベッドに寝転んだまま、おざなりに返事をする



カチャ…



テヨン「ジェシカ…?大丈夫?」



テヨンがドアを少し開けて、小さく声をかけてきた



シカ「あぁ…大丈夫よ」



寝転がったまま視線も合わせずにそう言うと、テヨンが小さくため息をついたのがわかった
彼女が静かに部屋に入ってくる音が聞こえる



テヨン「こういうのはさ…、
何回あっても、気にしちゃダメだってわかってても、やっぱり気にしちゃうよね」


シカ「…」


テヨン「シカ、ドライブしない?
私ちょうどドライブしようと思ってたんだ
それで誘いに来たの」


シカ「…」


テヨン「行きたくないならいいよ
一人で行ってくるから…」


シカ「……行く」


テヨン「じゃあ行こ」



体をゆっくりと動かしてテヨンを見ると、彼女も少し疲れたような顔をしていた



シカ「テヨンも気分転換したい何かがあったってことね?」



そう言うと、テヨンは小さく苦笑いをした



シカ「まあいいわ、行きましょ」




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