雨勝り

Tiffany side




パニ「よし、やっとできた…」



テヨンが破いてしまった絵をテープでくっつけて一枚の絵に戻した
完成したものを両手で持って目の前にかざして見る
そこには世界中の幸せを受け止めているかのように幸せそうに笑う私がいた



パニ「あなたが羨ましいわ…」



テヨンからの愛情をたくさん注がれて幸せそうに笑っている自分に向かって呟く



パニ「私の想いはテヨンを苦しめるだけなのかな?
ねえ、私…どうすればいいと思う?」



当たり前だけど、どんなに呼びかけても彼女から返事は返ってこない




私との思い出を少しずつ処分しているテヨン
私を「信じられない」と言ったテヨン
ずっとテヨンと一緒にいた私だからわかる
どれもこれもテヨンの私への“別れ”を示していることは明らかだった

人間関係の中で“信頼”を重んじるテヨンの口から出た「信じられない」という言葉
それは何よりも深く私の心に突き刺さっている


テヨンが好き
心から好き

だけど…



これ以上私の想いを押し付けてテヨンを苦しめるのは嫌だった
だって、それは前に私がしたことと何も変わらない



テヨンの苦しみから目を逸らして自分の想いを受け入れて欲しいなんて、
テヨンが言った通り、そんなの…自分勝手だわ

私はこの絵を描いてもらえるくらいテヨンから愛されてた
それでいいじゃない
それでいいのよ…


お願い…
お願いよ
もうテヨンを苦しめたくないの…



自分に向かって何度もそう言い聞かせるけれど、私の胸は激しく痛み、尚もテヨンへの想いを訴えてくる


わかってる…
わかってるわ

この想いを振り切るのはきっと今までの恋の何倍も辛いってわかってるの
わかってるのよ…




涙が込み上げて嗚咽がもれてくる



パニ「ぅっく…グスツ……うぅっ…」



テヨン好きよ
大好き…
私、自覚がなかった頃からあなたに運命を感じてたのよ?
笑っちゃうでしょ

…だけど、この運命の糸はあなたを苦しめるだけみたい


私ね あなたに笑顔でいてほしいの
あなたが私を笑顔にしてくれたみたいに



だから…
だからね
運命の糸を解くことにしたの
私が無理やりテヨンの指に結び付けていた糸を



ごめんねテヨン
今までごめんね…
あなたは私が無理やり括りつけた糸に絡まって苦しんでたんだよね


もう大丈夫
もう大丈夫よ
もう苦しまないでね…




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