Jessica side




シカ「もしもし？テヨン？」



仕事の合間を縫ってかけ続けた電話とメール
ようやく聞けたテヨンの声は小さく弱々しいものだった



テヨン「ジェシカ？何度も連絡くれてたんだね
ごめんね、さっき気付いたんだ」


シカ「ううん、気にしないで
大丈夫？」


テヨン「大丈夫
心配かけてごめんね」


シカ「いいのよ
ねぇ今どこにいるの？」


テヨン「ん？ホテル…
その…もう少しだけ泊まろうかと思ってるんだ」



テヨンが宿舎に戻るのを躊躇う気持ちはなんとなくわかったから、
私は無理に帰ってくるようには言わなかった




シカ「わかったわ
でも、着替えいるでしょ？
私、今日の午後からオフだから持っていくわよ
昨日の今日だから、まだ会うのは気まずいでしょ？」


テヨン「うん…
その…どう？」


シカ「どうって？」


テヨン「…ティファニーの様子」


シカ「ずっと泣いてたわ」


テヨン「そう…」



テヨンは電話の向こうで黙りこんでしまった




シカ「テヨン、あなたのスケジュールは明日もオフにしてもらってるの
だからホテルでゆっくりしてて
後で着替えとか持っていくわ」


テヨン「ありがとう
ごめんね…」


シカ「ねぇ何か食べたの？
ちゃんと食事してる？」


テヨン「ん～……　まぁね」


シカ「その様子じゃ食べてないんでしょ
何か消化にいいもの持って行くわ」


テヨン「でも、食べれないかも…」


シカ「食べられる分だけ食べればいいわ
何も食べないよりマシよ」


テヨン「はは…　そうだね」


シカ「テヨン、考えすぎちゃダメよ
こういうのは考え込んじゃダメなの」


テヨン「うん…」





今目の前にいないテヨンに話しかけているのが段々もどかしくなってくる

早くテヨンに会いたかった
大丈夫だって言ってあげたかった






シカ「待ってて
すぐ行くから」


テヨン「うん…　
あの…でも、なるべく皆にはホテルの場所とかまだ教えないで欲しいんだ…
まだしばらく一人でいたくて…」


シカ「わかったわ
あなたの許可無しに誰にも教えることはないから安心して」


テヨン「ん…
その…秘密にさせてごめんね」


シカ「もう…、何言ってるの」



こんなときまで私のことを気遣うテヨンが優しすぎて胸が痛くなる




シカ「用意したらすぐ行くわ
何か欲しいものがあったら連絡して」


テヨン「シカ…ありがとう
ごめんね」