Kleines Kleinod
午前のトレーニングを終え、本を持ち休憩するためにある場所へと向かう。本を読むために庭に用意してある椅子には先客がいた。
「何読んでんだ?」
「じゃん!表紙が可愛かったから中身を見ないで買った本。いわゆるジャケ買いってやつ」
高々と掲げて見せてきたのは、確かに彼女が好きそうな可愛らしい動物が描かれた表紙の本だった。
「そーかよ」
「意外に面白くてね。読み終わったら、ジュニアにも貸してあげる」
「おう。じゃあ俺もこいつを読み終わったら貸してやるよ」
そう言って、持っていた本を彼女の前に出した。
「あ!この前の小説の続き!読みたい読みたい!早く読んで貸して!」
「残念、まだ半分しか読んでねぇよ」
「主人公がどうなったのか気になるの!」
「あーそれはなぁ」
「言わないで!先に読んでも二人共読み終わるまで内容は話さない決まりだよ!」
「わかってるよ。ほら、ちょっと寄ってくれ。俺も座るからさ」
空いた場所に腰を落とし、しおりを挟んでいた場所を開いた。
「読んだらまた次の話の予想をしようよ。まだ続くでしょ?お話」
「このペースならな。いいぜ?俺の考察が正しいって事を証明してやる」
「前回は全然違ってたくせに」
「あれはあの話を書いた作者がすごかったんだ」
「へー」
本を読みながら話していたのが、いつの間にかぺらりぺらりと本のページをめくる音だけになる。この時だけは、いつも騒がしい彼女も大人しくなる。
(ほんと面白いなこの作者が書く本…昨日買ったばかりだけど、もう半分読んじまったしな)
楽しみにしていた本を早く読み終わってしまうのはもったいないと思う気持ちと、早く読んで彼女と語り合いたいと思う気持ちが相反する。
(…あ、読み終わっちまった)
気づけば最後のページとなっており、息を吐いて空を見上げた。目線だけ彼女へと向ければ、琥珀色の瞳にたくさんの文字が反射して映っている。
(相変わらず綺麗な色してんな…)
じっと見ているとその視線に気付いたのか、彼女がこちらへと顔を向けた。
「どうしたの?」
「…えっ!や、別に…ほ、ほら!読み終わったから貸してやるよ!」
急に近づいた距離に恥ずかしくなって、慌ててしおりを本の最初のページに挟んで彼女に渡した。
「やった!こっちが読み終わったら読もう」
嬉しそうに受け取った彼女は、大事そうに抱えると本を読むのを再開した。
(今考えたらすごい近いな俺達…)
小さい頃は二人座っても余裕のあった椅子が、今はお互いぴったりと身体を引っ付けて座っている状態だった。そもそも座る前に気づかなかったのかというと、それがずっと普通に続いていたため感覚が麻痺しているのだと思う。
(もう昔みたいに引っ付いてられなくなんのか…性別だって違うし、当たり前か…)
10歳を超えたぐらいから同じだった身長はどんどん差が開き、訓練をしている俺の身体は筋肉がついて太く逞しくなっていく反面、彼女は細くしなやかな見た目へと変わっていった。ふとした瞬間、その違いにどぎまぎしてしまう自分がなんとなく不思議だった。
(別にそんな気にする事でもないってのにな…こいつはこいつのままだし…)
ふと隣に見えた栗色の癖毛に指を絡めて引き抜けば、重力を無視して上へと向いた。
「何するの」
「相変わらずすげぇ癖毛だなと思って」
次々と指に絡めては抜いてを繰り返し、いつもよりも癖が強めな髪型に仕上がった。それがまるで彼女の元気さを表しているようで思わず笑ってしまう。
「今度ジュニアが頭刈った時、じょりじょりするからね」
「…おう、好きにしろよ」
特に嫌がりもせず完全に心を許してくれている彼女に、もう少し引っ付いててもいいかなと思い始めた。できる事ならずっとこのまま変わらないでいてほしいと願いながら、彼女の髪の毛にまた指を通した。
「何読んでんだ?」
「じゃん!表紙が可愛かったから中身を見ないで買った本。いわゆるジャケ買いってやつ」
高々と掲げて見せてきたのは、確かに彼女が好きそうな可愛らしい動物が描かれた表紙の本だった。
「そーかよ」
「意外に面白くてね。読み終わったら、ジュニアにも貸してあげる」
「おう。じゃあ俺もこいつを読み終わったら貸してやるよ」
そう言って、持っていた本を彼女の前に出した。
「あ!この前の小説の続き!読みたい読みたい!早く読んで貸して!」
「残念、まだ半分しか読んでねぇよ」
「主人公がどうなったのか気になるの!」
「あーそれはなぁ」
「言わないで!先に読んでも二人共読み終わるまで内容は話さない決まりだよ!」
「わかってるよ。ほら、ちょっと寄ってくれ。俺も座るからさ」
空いた場所に腰を落とし、しおりを挟んでいた場所を開いた。
「読んだらまた次の話の予想をしようよ。まだ続くでしょ?お話」
「このペースならな。いいぜ?俺の考察が正しいって事を証明してやる」
「前回は全然違ってたくせに」
「あれはあの話を書いた作者がすごかったんだ」
「へー」
本を読みながら話していたのが、いつの間にかぺらりぺらりと本のページをめくる音だけになる。この時だけは、いつも騒がしい彼女も大人しくなる。
(ほんと面白いなこの作者が書く本…昨日買ったばかりだけど、もう半分読んじまったしな)
楽しみにしていた本を早く読み終わってしまうのはもったいないと思う気持ちと、早く読んで彼女と語り合いたいと思う気持ちが相反する。
(…あ、読み終わっちまった)
気づけば最後のページとなっており、息を吐いて空を見上げた。目線だけ彼女へと向ければ、琥珀色の瞳にたくさんの文字が反射して映っている。
(相変わらず綺麗な色してんな…)
じっと見ているとその視線に気付いたのか、彼女がこちらへと顔を向けた。
「どうしたの?」
「…えっ!や、別に…ほ、ほら!読み終わったから貸してやるよ!」
急に近づいた距離に恥ずかしくなって、慌ててしおりを本の最初のページに挟んで彼女に渡した。
「やった!こっちが読み終わったら読もう」
嬉しそうに受け取った彼女は、大事そうに抱えると本を読むのを再開した。
(今考えたらすごい近いな俺達…)
小さい頃は二人座っても余裕のあった椅子が、今はお互いぴったりと身体を引っ付けて座っている状態だった。そもそも座る前に気づかなかったのかというと、それがずっと普通に続いていたため感覚が麻痺しているのだと思う。
(もう昔みたいに引っ付いてられなくなんのか…性別だって違うし、当たり前か…)
10歳を超えたぐらいから同じだった身長はどんどん差が開き、訓練をしている俺の身体は筋肉がついて太く逞しくなっていく反面、彼女は細くしなやかな見た目へと変わっていった。ふとした瞬間、その違いにどぎまぎしてしまう自分がなんとなく不思議だった。
(別にそんな気にする事でもないってのにな…こいつはこいつのままだし…)
ふと隣に見えた栗色の癖毛に指を絡めて引き抜けば、重力を無視して上へと向いた。
「何するの」
「相変わらずすげぇ癖毛だなと思って」
次々と指に絡めては抜いてを繰り返し、いつもよりも癖が強めな髪型に仕上がった。それがまるで彼女の元気さを表しているようで思わず笑ってしまう。
「今度ジュニアが頭刈った時、じょりじょりするからね」
「…おう、好きにしろよ」
特に嫌がりもせず完全に心を許してくれている彼女に、もう少し引っ付いててもいいかなと思い始めた。できる事ならずっとこのまま変わらないでいてほしいと願いながら、彼女の髪の毛にまた指を通した。
