キン肉マン
「あんたの下着ってよぉ、色気ねぇよな…いてっ!?」
洗濯物を片づけている途中で私の下着を広げ、まじまじと見ている男の尻を思いっきり叩いた。
「デリカシーがないよりかはマシだと思いますけど?」
彼が持っていた下着を取り上げて片付ける。
「私は見た目よりも機能を重視してるんです。別に誰に見せるわけでもないんだし、地味で良いと思うんですけど」
「いや、俺が見るだろ」
「え?」
「ひでぇな」
呆れた顔を彼に向ければ、拗ねたように唇を尖らせた。
次の日。少し帰りが遅くなると彼から連絡があり、先に食事済ませてのんびりとしていた。
「ただいま。帰ったぜ」
「お帰りなさい」
声のした方へ顔を向ければ、なにやらご機嫌な彼が小さな紙袋を持っていた。
「ほら、これやるよ」
その紙袋をソファーへ座っていた私の頭の上に置いた。
「何ですか?」
「そりゃ開けてみてからのお楽しみだ」
彼がお酒がつまみ以外のお土産なんて珍しいと思いながら中身を開ける。
「…は?」
出てきたのはレースのついた真っ赤な下着達。
「何これ!?」
「見ればわかんだろ。少しくらい色気のあるもん、一つや二つ持っててもいいじゃねぇか」
「まさかこれ買いに行って遅くなったんですか!?」
「おう」
アイドル超人がこれを買いに行ったのだと思うと、私の方が恥ずかしいしファンの人達に申し訳なくなる。本人は満足そうにしているが。
「なぁ、今からどれか着て見せてくれよ。まだ風呂入ってねぇんだろ?」
「絶対嫌です!」
「いいじゃねぇか。せっかく買ってきたんだからよ」
「私は頼んでません!何ですかこれ!着る意味あるのかわかんないぐらい不安ですし!しかも何で全部赤なんですか!闘牛の本能でもあるんですか!?」
「おい、知ってるか。闘牛ってのは赤色に反応してんじゃなくて、布の動きに反応してるんだぜ」
「今そんな情報いりません!」
「まぁまぁ、試しに一回。な?」
宥めるようにして私を風呂場へと誘導し、しっかりと下着の入った袋を置いて彼は出ていった。とりあえずお風呂を済ませ、脱衣所でしばらくこれと睨み合った。これが普通に出回っているという事は、普段からこういうのを着て生活している人がいるという事だろうか。世の中色んな人がいるから、こっちの方がいいと思う人もいるのだろう。
「それにしても不安すぎる…」
袋の中にはいくつか入っており、どれを見ても心許ない。このほぼ紐の状態の物は、いったいどうやって着るのか教えてほしい。
とても悩んだが、彼がせっかく買って来てくれたのだから一度くらいは応えてあげてもいいだろう。仕方なく、この中で一番布面積の多そうなものを選んだ。リビングへ行くと私の足音に反応して、テレビを見ていた彼がこちらを向いた。
「…なんだよ、着てねぇのか」
私がいつものパジャマを着ているのを見て、落ち込んだようにソファーに倒れこんだ。
「だっ…誰が下着姿で出て来るかってんですよ!」
「いいじゃねぇか、俺しか見てねぇんだからよ~楽しみにしてたんだせ?」
「…う、うるさいですね!ちゃんと着てますよ!ほら!」
「あん?」
彼がソファーから起き上がったのを見て、パジャマを少しだけたくし上げ下着が見えるようにする。
「こ、これで良いですか!?もう着ませんからね!」
すぐさま服を整え、赤くなっているであろう顔を見られないように俯いた。
「......なぁ。さっき闘牛は赤色に反応しねぇって言ったけど、ありゃ嘘だな」
「はい?」
顔を上げれば、自分を見ていた彼と視線が合った。
「普通に反応する」
そう言うと、目線は外さずにゆっくりとソファーから立ち上がった。なんとなく嫌な予感がして一歩後ろへと下がる。
「なんで逃げんだよ」
「あ、あなたが近づいて来るからですけど…」
「「…」」
彼が闘牛であったとしても私は闘牛士ではないので、この牛を上手くかわせる自信がない。
「…っ!」
一目散に部屋へと逃げ込み、鍵をかけほっと息をついた。すると、部屋のドアがミシミシと音をたて始める。
「こんな薄っぺらいドア一枚で俺を止められると思うなよ」
「あっ、ちょっと!?また懐す気ですか!」
「壊されたくなきゃ大人しく出てこいよ。いつもあんたが逃げるから、こいつを壊す事になるんだろ?」
これまで何回も部屋へ逃げては、簡単にドアを壊され連れ出されるというのがお決まりになっている。どんなに説得しても、諦めの悪い彼は止まる事を知らない。
「…っ!わかりました!出ますからやめて下さい!」
そう言うと外が静かになった。ただ珍しい姿を見たいだけなのかもしれないとわずかな希望を持ち、ゆっくりとドアを開けた。
「…おう、今日はおりこうさんじゃねぇか」
見上げた彼の目は、悪魔超人と名乗っていた頃を思い出させるほどにギラギラとしていた。
(あ、ダメだこれ)
終わったなと思った時には、抵抗むなしく担ぎ上げられ寝室へと連れていかれるのであった。
洗濯物を片づけている途中で私の下着を広げ、まじまじと見ている男の尻を思いっきり叩いた。
「デリカシーがないよりかはマシだと思いますけど?」
彼が持っていた下着を取り上げて片付ける。
「私は見た目よりも機能を重視してるんです。別に誰に見せるわけでもないんだし、地味で良いと思うんですけど」
「いや、俺が見るだろ」
「え?」
「ひでぇな」
呆れた顔を彼に向ければ、拗ねたように唇を尖らせた。
次の日。少し帰りが遅くなると彼から連絡があり、先に食事済ませてのんびりとしていた。
「ただいま。帰ったぜ」
「お帰りなさい」
声のした方へ顔を向ければ、なにやらご機嫌な彼が小さな紙袋を持っていた。
「ほら、これやるよ」
その紙袋をソファーへ座っていた私の頭の上に置いた。
「何ですか?」
「そりゃ開けてみてからのお楽しみだ」
彼がお酒がつまみ以外のお土産なんて珍しいと思いながら中身を開ける。
「…は?」
出てきたのはレースのついた真っ赤な下着達。
「何これ!?」
「見ればわかんだろ。少しくらい色気のあるもん、一つや二つ持っててもいいじゃねぇか」
「まさかこれ買いに行って遅くなったんですか!?」
「おう」
アイドル超人がこれを買いに行ったのだと思うと、私の方が恥ずかしいしファンの人達に申し訳なくなる。本人は満足そうにしているが。
「なぁ、今からどれか着て見せてくれよ。まだ風呂入ってねぇんだろ?」
「絶対嫌です!」
「いいじゃねぇか。せっかく買ってきたんだからよ」
「私は頼んでません!何ですかこれ!着る意味あるのかわかんないぐらい不安ですし!しかも何で全部赤なんですか!闘牛の本能でもあるんですか!?」
「おい、知ってるか。闘牛ってのは赤色に反応してんじゃなくて、布の動きに反応してるんだぜ」
「今そんな情報いりません!」
「まぁまぁ、試しに一回。な?」
宥めるようにして私を風呂場へと誘導し、しっかりと下着の入った袋を置いて彼は出ていった。とりあえずお風呂を済ませ、脱衣所でしばらくこれと睨み合った。これが普通に出回っているという事は、普段からこういうのを着て生活している人がいるという事だろうか。世の中色んな人がいるから、こっちの方がいいと思う人もいるのだろう。
「それにしても不安すぎる…」
袋の中にはいくつか入っており、どれを見ても心許ない。このほぼ紐の状態の物は、いったいどうやって着るのか教えてほしい。
とても悩んだが、彼がせっかく買って来てくれたのだから一度くらいは応えてあげてもいいだろう。仕方なく、この中で一番布面積の多そうなものを選んだ。リビングへ行くと私の足音に反応して、テレビを見ていた彼がこちらを向いた。
「…なんだよ、着てねぇのか」
私がいつものパジャマを着ているのを見て、落ち込んだようにソファーに倒れこんだ。
「だっ…誰が下着姿で出て来るかってんですよ!」
「いいじゃねぇか、俺しか見てねぇんだからよ~楽しみにしてたんだせ?」
「…う、うるさいですね!ちゃんと着てますよ!ほら!」
「あん?」
彼がソファーから起き上がったのを見て、パジャマを少しだけたくし上げ下着が見えるようにする。
「こ、これで良いですか!?もう着ませんからね!」
すぐさま服を整え、赤くなっているであろう顔を見られないように俯いた。
「......なぁ。さっき闘牛は赤色に反応しねぇって言ったけど、ありゃ嘘だな」
「はい?」
顔を上げれば、自分を見ていた彼と視線が合った。
「普通に反応する」
そう言うと、目線は外さずにゆっくりとソファーから立ち上がった。なんとなく嫌な予感がして一歩後ろへと下がる。
「なんで逃げんだよ」
「あ、あなたが近づいて来るからですけど…」
「「…」」
彼が闘牛であったとしても私は闘牛士ではないので、この牛を上手くかわせる自信がない。
「…っ!」
一目散に部屋へと逃げ込み、鍵をかけほっと息をついた。すると、部屋のドアがミシミシと音をたて始める。
「こんな薄っぺらいドア一枚で俺を止められると思うなよ」
「あっ、ちょっと!?また懐す気ですか!」
「壊されたくなきゃ大人しく出てこいよ。いつもあんたが逃げるから、こいつを壊す事になるんだろ?」
これまで何回も部屋へ逃げては、簡単にドアを壊され連れ出されるというのがお決まりになっている。どんなに説得しても、諦めの悪い彼は止まる事を知らない。
「…っ!わかりました!出ますからやめて下さい!」
そう言うと外が静かになった。ただ珍しい姿を見たいだけなのかもしれないとわずかな希望を持ち、ゆっくりとドアを開けた。
「…おう、今日はおりこうさんじゃねぇか」
見上げた彼の目は、悪魔超人と名乗っていた頃を思い出させるほどにギラギラとしていた。
(あ、ダメだこれ)
終わったなと思った時には、抵抗むなしく担ぎ上げられ寝室へと連れていかれるのであった。
