ワンピで学パロ!

私は騒がしいのが好きじゃない。すぐ近くから聞こえる男子たちの馬鹿笑いにイライラしながらも本を読み耐えていた。
(話すなら遠くで話せばいいのに…)
心の中で嫌味を唱え、本に集中する。そうしていればいつの間にか気にならなくなるだろうと、目の前に目線を落とした。
「あ、ねぇ〇〇さん、何読んでんの?」
突然声をかけられ驚いて振り向くと、近くで騒いでいた男子達が全員私を見ていた。
「……何」
「あ、いや…何読んでんのか気になって…」
私は声をかけた張本人を睨んだ。
「お前やめろってシャチ〜!邪魔すんなよなー!」
「めっちゃ怒ってんじゃん、こわ!」
「……」
私はため息をつくと本を読むのを再開した。騒いで迷惑かけておきながら読書の邪魔をして、最後にはまるでこちらが悪いかのように揶揄って終わり。最悪である。
「ほんと最低…」
私はぼそりと呟いて、本のページを巡った。

帰りのホームルームが終わり、鞄を持って廊下を歩く。今日は図書館に寄って帰ろうかなと考えていた時だった。
「あ、あの〇〇さん!」
聞いた事のある声に振り返りたくないと思いながらも、無視するわけにもいかず少しだけ顔を向けた。
「…何」
そう冷たく返事をすれば、先程読書の邪魔をした彼がおどおどしながら立っていた。
「えっと…さっきはごめん。本読んでるの邪魔しちゃって」
「わかった、今度から気をつけて」
私はこれ以上関わるまいと簡潔に返事をして、すぐさま前を向いて歩き始めた。
「あ、いや、待って!でも何読んでるのか気になったのはほんと!〇〇さんいつも本読んでるから、面白いのかなって思って」
「だから何。それ聞いて、あなた読むの?」
授業も真面目に受けず、成績もそこまで良くない彼が本を読むなどありえないだろうと白けた目で見つめた。
「へ?もちろん読む読む!そしたら話題ができるじゃん」
「あなたの友達に話して楽しいの?それ」
するとキョトンとして彼は私を見た。
「いや、話す相手は〇〇さんだけど?」
「は?」
何を言っているのか理解できず、私は呆然と立ち尽くす。
「なんで私がアンタと話さないといけないの。いつもいる友達と話せばいいでしょ」
「え、それは〜そうなんだけど…えーと」
彼はもじもじと指を合わせ、恥ずかしそうにしている。私は余計に意味がわらからず顔を引き攣らせた。
「同じクラスだから仲良くした方がいいとかって理由なら、気にしなくていいから。私、人と関わるの好きじゃないし」
「いや、そうじゃなくて!あ、でも仲良くしたいとは思ってる!」
「じゃあ何!」
「好きです!」
しんと廊下が静まり返る。実際は部活や雑談をしている声は聞こえるのだが、今この場所だけ静けさが漂っていた。
「…なにそれ。罰ゲームか何か?」
「えっ、違います!本気です!」
「信用できない」
私はため息をつくと歩くのを再開した。どうせ明日には今の事をネタにして笑うのだろうと、そんな想像に嫌気がさした。
「ちょ、ちょっと待って!どうやったら本気って信じてくれる!?」
焦った様子で追いかけてくるので一瞬本気かと思ったが、日頃の行いを思い出しその迷いを振り払う。
「こんなに冷たくされて、まだそう思えるの?」
「いや、今のはオレの告白のタイミングが悪かったし、今まで接点もほとんどないから何でってなるのわかるから…」
「そこまでわかってて何で言ったの」
「えーと、下手に誤魔化すと変な感じになりそうだな〜とか考えてたら、口から出てしまいました!困らせてごめん!でも好きです!」
そう言って勢いよく頭を下げた。私はそれを呆然として見つめた。
(こんな私のどこに…?)
冷たい態度しかとった記憶しかなく、余計に信じられなかった。だから彼がふざけているとしか思えない。
「…私、本にしか興味ないの。だから…」
「じゃあ本についてだったら話してくれるって事!?」
「は?」
嬉しそうに顔を上げた彼を見て、私はまた呆然とした。
「まずは仲良くなりたいし…本読むの苦手だけど読んでみる!だから、話しかけてもいい?」
「……」
ここまで食い下がられると不信感より呆れが勝つ。そこまで言うのならやってみればいいと思った、嘘ならすぐやめるだろうし私もわかりやすくていい。
「…本の話だけならね」
「マジで!やった!早速図書館行って本借りてこよ〜!あ、せっかくだし一緒に本見に行ったりとか…」
「嫌」
「ですよね〜ま、いっか!いつか一緒に行けたらいいなと思ってます!じゃあ、また明日!」
「……」
自分でも思うがかなり冷たい態度をしているはずなのに全く気にしていない。というか気付いてすらいない彼に呆れて、私はその場でしばらく立ち尽くしていた。
「…図書館行くのやめとこ」
今行ったら彼がいそうな気がして、これ以上面倒な目にあいたくないと私は真っ直ぐ家に帰る事にした。

「おはよ!〇〇さん!」
「……おはよ」
教室に入ってきていつものように友達に挨拶を交わした後、私の所へと来た。にこにこと笑いながら後ろ手に何かを持って私の机の横に立つ。
「…どうしたの」
私が質問した事に会話をして良いと判断したのか、さらに表情を明るくすると一冊の本を出した。
「じゃーん!昨日図書館で借りてきた本!〇〇さんが読んでる本と同じ人が書いてるやつ!」
自慢げに語る彼の持つ本を見て、私は苦笑いを浮かべた。
「…それ、絵は同じ人だけど著者は別の人だよ」
「え、マジ?」
「ほら」
私は作者の名前が記載してある所を指差した。
「げ、本当だ!だからか!絵柄は可愛いのに書いてる事は難しくて全然わかんねーの!」
(わかってないのか…)
「でもなるほどなーってのは時々思う事はあるんだ。言葉が難しくて時間かかるけど」
「ふぅん」
わからないなりに理解しようとしている姿勢には感心した。
「〇〇さん、これ読んだ事ある?」
「あるけど」
「そっか!じゃあもうちょっと待ってて。あともう半分だからさ!」
「え…」
彼はそう言うと自分の席へと戻って、本を開き読み始めた。
(何…もしかして読み終わったら、その本について話そうとか?ちょっと待ってよ、その本読んだの小学生の頃なのに…どんな内容だったかなんて覚えて…)
そこでふと気づく。
(私…アイツと話す前提で考えてる…)
自分の体温が一気に上昇したのを感じた。
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