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『夏休み番外編⑦ 弟の学園訪問』
※がっつりオリキャラ(夢主血縁者)出てきます。
めちゃめちゃ喋ります。名前あります(変換無し)。
本編の設定ページ追加済み。簡易プロフィール確認はこちらをどうぞ!→夢主設定 ※ネタバレ注意、随時追記
悪質なイタズラを仕掛けたことで六年生全員から指名手配で追われることになった鉢屋三郎が、外出(逃亡)先からこっそり戻って来ると。
学園の正門の前で入ろうかどうしようか迷っている様子の、見かけない少年の姿があった。
殺気も警戒も感じられないので敵の類でないことだけは分かったが、
「…うちの学園に何か御用ですか?」
「うわあっ?!」
気配を消して近付き、声をかけると相手は驚いたように声をあげ、こちらを振り返る。
ーーーーーーーーーーその顔つきに、一瞬見覚えがあるような気がして三郎は内心記憶を探りつつ、笑顔を作って「すみません、驚かせてしまって。」と気さくに話しかけた。気配を消したことに気付かなかったということは忍の者でもないな、と分析しながら。
ふと彼の手元を見ると、風呂敷に包んだ荷物を抱えていることに気付く。すると相手がおずおずと、口を開いた。
「あの、突然すみません。六年生の、上町という生徒の家族の者なんですが。今、こちらにおりますでしょうか?」
そう言われて、一人合点がいく。
似ていると思った面影は、"あの人"だと。
「クルァアアアアア三郎!!神妙にお縄につけぇえええい!!!」
すると遠くの方から、正に三郎が頭に思い浮かべたその人物が、インナーと制服の袴のみを身に付けた格好で叫びながら、怒涛の勢いで迫ってきていた。
タイミング良く現れたその人に向けて、三郎はわざとらしく肩をすくめて見せる。
「先輩、ご来客ですよ?そんな大きな声出さないで下さい。」
「誰のせいだと思っ…ん?来客?」
先に気付いたのは、三郎の隣に立つ少年の方だった。
「姉上!お久しぶりです。」
彼にそう声をかけられた、その瞬間。
直前まで三郎を狙い定めて般若の如き形相をしていたひまりは一瞬驚いた表情の後、ぱあっと嬉しそうな満面の笑みを浮かべて。
「拓〜〜〜!久しぶり!!元気だった?」
なるほどこれが以前言っていた弟かと、三郎が密かに答え合わせをしている横でひまりは、走ってきて同じくらいの背丈の弟を力一杯抱きしめた。弟の方が、恥ずかしそうに身を僅かに捩って呻く。
「い、痛いです姉上…。」
「あはは、ごめんごめん。あら、また仕送り持ってきてくれたの?ごめんね、重たいのに…」
「僕だって、いつまでも子どもじゃありませんよ。これくらい、重くなんかないです。」
「ひ、拓……ちょっと見ないうちに、立派になって………!」
「半年前にもお会いしてるじゃないですか…。あ、そうだ姉上。こちらの方が」
「長旅で疲れたでしょ?さあ入って、ゆっくりしていって。」
「あ、はい。ありがとうございます。…それで姉上、こちらの」
「荷物もらうわね。お茶淹れるから、食堂行こっか。」
「…はい。あの……」
「ひまり先ぱーい?僕の存在消そうとしてません?」
自分を居ないものとして話を進めようとするひまりに、三郎がジト目で後ろから声をかける。
「姉上、僕のことも一応紹介していただけませんか?先程も声をかけていただきましたし…」
弟にもそう言われ、渋々……といった様子で振り返ったひまりは今にも舌打ちしそうな表情をしていた。
「…あんたには前にちょっとだけ話したことあると思うけど、弟の拓よ。因みに歳は十三だから、あんたの方が年長なんだからね。」
「何か、言い方にトゲがあるように感じるんですけど僕の気のせいですかね?」
「さあ?気のせいかどうか、自分の行いを顧みたら?…で、拓。これ鉢屋、五年生の後輩。以上です。さあ食堂に行きましょう!」
ひまりが、大事な弟と三郎をこれ以上絡ませたくない、と思っているのが三郎本人にもひしひしと伝わってくる。弟の方が苦笑しながらまあまあ、と彼女を宥めている様子から、同じようなことが過去にもあったのだろうと推察できた。
「相変わらずなんですから姉上は…お話くらいさせてください。えっと、鉢屋さん、でよろしいですか?」
ひまりが小さく膨れる横で、その弟が人当たりの良さそうな笑顔で三郎の方に向き直る。
「名乗らないままで失礼しました。改めて、弟の拓と言います。姉がいつもお世話になっております。」
「こちらこそ。ひまりさんの後輩の、鉢屋三郎です。」
「ひまりさん言うな、気色悪い。」
「もー先輩ってば、今日何でそんな冷たいんですかあ?」
「『何で』だア?!よくもそんなケロッとしてられる…」
「…?姉上、どうかなさったんですか?」
キョトンとした弟に訊かれ、ひまりは般若に戻りかけた表情を慌ててコロッと笑顔にシフトさせた。
「い、いえいえどうもなさっていませんですわよ〜?」
「あッ!!見つけたぞ鉢屋てめぇえええ!!!」
無理矢理和やかな空気になりかけたその時、遠くから今度は潮江文次郎を筆頭に六年生六人全員が走ってこちらに向かってきていた。
「俺がその腐った性根を叩き直してやボゴホォッ!?!?!?」
叫ぶ文次郎の顔面に、ひまりが目にも止まらぬ速度で投げた石が直撃した。本日二回目。
「て、てめぇ何回も石投げやがって陽太、」
「ーーーーーーー待て文次郎、…"拓君"が来ている、抑えろ。」
起き上がりざまひまりを責め立てようとした文次郎の肩を、先に気付いた仙蔵が掴んで止めさせる。
加えてその弟の後ろから、矢羽音で「停戦!停〜〜戦〜〜〜!!」と送り必死で頭の上にバッテンを作ってみせる、その姿に。
六人は一瞬にして、空気を読んだようだった。
「拓君!久しぶりだね。」
「おー、元気そうだな!」
声をかけてくる伊作や小平太たちに、彼も笑顔で応えた。
「皆さんも、いらっしゃったんですね。ご無沙汰しております。」
どうやら、弟の前ではいい姉として振る舞いたいというひまりの意思を他の六人も尊重しているようで。
三郎にとって幸運なことに、仕掛けた悪戯についての追及(制裁)は、これでしばらく避けられそうであった。
続くかもしれない。
※がっつりオリキャラ(夢主血縁者)出てきます。
めちゃめちゃ喋ります。名前あります(変換無し)。
本編の設定ページ追加済み。簡易プロフィール確認はこちらをどうぞ!→夢主設定 ※ネタバレ注意、随時追記
悪質なイタズラを仕掛けたことで六年生全員から指名手配で追われることになった鉢屋三郎が、外出(逃亡)先からこっそり戻って来ると。
学園の正門の前で入ろうかどうしようか迷っている様子の、見かけない少年の姿があった。
殺気も警戒も感じられないので敵の類でないことだけは分かったが、
「…うちの学園に何か御用ですか?」
「うわあっ?!」
気配を消して近付き、声をかけると相手は驚いたように声をあげ、こちらを振り返る。
ーーーーーーーーーーその顔つきに、一瞬見覚えがあるような気がして三郎は内心記憶を探りつつ、笑顔を作って「すみません、驚かせてしまって。」と気さくに話しかけた。気配を消したことに気付かなかったということは忍の者でもないな、と分析しながら。
ふと彼の手元を見ると、風呂敷に包んだ荷物を抱えていることに気付く。すると相手がおずおずと、口を開いた。
「あの、突然すみません。六年生の、上町という生徒の家族の者なんですが。今、こちらにおりますでしょうか?」
そう言われて、一人合点がいく。
似ていると思った面影は、"あの人"だと。
「クルァアアアアア三郎!!神妙にお縄につけぇえええい!!!」
すると遠くの方から、正に三郎が頭に思い浮かべたその人物が、インナーと制服の袴のみを身に付けた格好で叫びながら、怒涛の勢いで迫ってきていた。
タイミング良く現れたその人に向けて、三郎はわざとらしく肩をすくめて見せる。
「先輩、ご来客ですよ?そんな大きな声出さないで下さい。」
「誰のせいだと思っ…ん?来客?」
先に気付いたのは、三郎の隣に立つ少年の方だった。
「姉上!お久しぶりです。」
彼にそう声をかけられた、その瞬間。
直前まで三郎を狙い定めて般若の如き形相をしていたひまりは一瞬驚いた表情の後、ぱあっと嬉しそうな満面の笑みを浮かべて。
「拓〜〜〜!久しぶり!!元気だった?」
なるほどこれが以前言っていた弟かと、三郎が密かに答え合わせをしている横でひまりは、走ってきて同じくらいの背丈の弟を力一杯抱きしめた。弟の方が、恥ずかしそうに身を僅かに捩って呻く。
「い、痛いです姉上…。」
「あはは、ごめんごめん。あら、また仕送り持ってきてくれたの?ごめんね、重たいのに…」
「僕だって、いつまでも子どもじゃありませんよ。これくらい、重くなんかないです。」
「ひ、拓……ちょっと見ないうちに、立派になって………!」
「半年前にもお会いしてるじゃないですか…。あ、そうだ姉上。こちらの方が」
「長旅で疲れたでしょ?さあ入って、ゆっくりしていって。」
「あ、はい。ありがとうございます。…それで姉上、こちらの」
「荷物もらうわね。お茶淹れるから、食堂行こっか。」
「…はい。あの……」
「ひまり先ぱーい?僕の存在消そうとしてません?」
自分を居ないものとして話を進めようとするひまりに、三郎がジト目で後ろから声をかける。
「姉上、僕のことも一応紹介していただけませんか?先程も声をかけていただきましたし…」
弟にもそう言われ、渋々……といった様子で振り返ったひまりは今にも舌打ちしそうな表情をしていた。
「…あんたには前にちょっとだけ話したことあると思うけど、弟の拓よ。因みに歳は十三だから、あんたの方が年長なんだからね。」
「何か、言い方にトゲがあるように感じるんですけど僕の気のせいですかね?」
「さあ?気のせいかどうか、自分の行いを顧みたら?…で、拓。これ鉢屋、五年生の後輩。以上です。さあ食堂に行きましょう!」
ひまりが、大事な弟と三郎をこれ以上絡ませたくない、と思っているのが三郎本人にもひしひしと伝わってくる。弟の方が苦笑しながらまあまあ、と彼女を宥めている様子から、同じようなことが過去にもあったのだろうと推察できた。
「相変わらずなんですから姉上は…お話くらいさせてください。えっと、鉢屋さん、でよろしいですか?」
ひまりが小さく膨れる横で、その弟が人当たりの良さそうな笑顔で三郎の方に向き直る。
「名乗らないままで失礼しました。改めて、弟の拓と言います。姉がいつもお世話になっております。」
「こちらこそ。ひまりさんの後輩の、鉢屋三郎です。」
「ひまりさん言うな、気色悪い。」
「もー先輩ってば、今日何でそんな冷たいんですかあ?」
「『何で』だア?!よくもそんなケロッとしてられる…」
「…?姉上、どうかなさったんですか?」
キョトンとした弟に訊かれ、ひまりは般若に戻りかけた表情を慌ててコロッと笑顔にシフトさせた。
「い、いえいえどうもなさっていませんですわよ〜?」
「あッ!!見つけたぞ鉢屋てめぇえええ!!!」
無理矢理和やかな空気になりかけたその時、遠くから今度は潮江文次郎を筆頭に六年生六人全員が走ってこちらに向かってきていた。
「俺がその腐った性根を叩き直してやボゴホォッ!?!?!?」
叫ぶ文次郎の顔面に、ひまりが目にも止まらぬ速度で投げた石が直撃した。本日二回目。
「て、てめぇ何回も石投げやがって陽太、」
「ーーーーーーー待て文次郎、…"拓君"が来ている、抑えろ。」
起き上がりざまひまりを責め立てようとした文次郎の肩を、先に気付いた仙蔵が掴んで止めさせる。
加えてその弟の後ろから、矢羽音で「停戦!停〜〜戦〜〜〜!!」と送り必死で頭の上にバッテンを作ってみせる、その姿に。
六人は一瞬にして、空気を読んだようだった。
「拓君!久しぶりだね。」
「おー、元気そうだな!」
声をかけてくる伊作や小平太たちに、彼も笑顔で応えた。
「皆さんも、いらっしゃったんですね。ご無沙汰しております。」
どうやら、弟の前ではいい姉として振る舞いたいというひまりの意思を他の六人も尊重しているようで。
三郎にとって幸運なことに、仕掛けた悪戯についての追及(制裁)は、これでしばらく避けられそうであった。
続くかもしれない。