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『夏休み番外編⑤ 釣りに行こう!』
※短め。
「…三郎どこ行ったんだか。全く、肝心な時に居ないなんて。」
朝から三郎を探し回っていたけれど、学園のどこにも見つからなくてぶちぶち不満を独りごちる。
食材調達に駆り出してやろうと思ったのに。まあ、実習の課題で出かけてるのかもしれないけど。
仕方ない一人で行くかと正門に向かいかけると、偶然、伊作と行きあった。
「あれ、これから出かけるのかい?」
伊作は、私が外出着を着ていたのでそう声をかけてくる。
「うん。今日の晩ごはんの食材調達に、海行って、魚でも釣ってこようかなって。」
「そっか。いつもすまないね…。」
「いいわよ、別に。私も食べるし、折角なら新鮮な方がいいでしょ。」
「あの、…迷惑じゃなかったら僕も一緒に、行っていいかな?」
「え…うん。いい、けど…。」
「じゃあ正門前で待ってて、すぐ準備してくるから!」
そう言って伊作は、出かける支度をするため走って長屋の方に戻っていった。
突然の展開に、頭が追いつかなかったけれど。
段々と理解が進むにつれ、心の臓が高鳴ってしまった。
…これってつまり、まさか。
ちゃっかり海釣りデートコース行けちゃう、…ってコト!!?
イヤイヤ浮かれるな浮かれるな、と己をたしなめつつも導き出された答えに、つい、正門に向かう足取りが軽くなってしまった。
「いっけいけどんどーん!ははは、また釣れた!」
「…もそ。五匹目…」
「おいバカ留、お前もっとあっちの方で釣りしろよ!」
「はあ?自分が釣れないからって人のせいにしてんじゃねーよバカ文次!」
「お前ら二人ともうるさい。魚が逃げるからまとめて他所へ行け。」
「なんっっだと仙蔵!だったらお前が移動しやがれ!」
「あーもう、だから静かにしてってば…。」
天気の良い海辺に、バンダナとインナーと制服の袴のみ&裸足というスタイルで、ギャースカ騒ぎながら釣り糸を垂らすーーーーーーーーーー男六人の姿。
……はい。
分かってました。分かってましたよこうなることくらい。
どうせ伊作が自室に戻る途中、偶然会った留三郎に海行くって話して、なら俺も手伝いに行ってやるよということになって、二人が話しているのを小平太が聞きつけて馬鹿デカい声で私も海行きたい!!って叫んでその声に長次と仙蔵も集まってきて、留三郎とどっちが多く魚釣れるか勝負してやると何故か文次郎も出てきて、最終的に六人全員がついてくるという結果になることくらい。
分かってた。分かってた、けど…
あんたら、空気を読むって知ってる?
…と私が恨めしい気持ちでその背中を睨みつけているとは知りもせず、アホ共は賑やかに騒ぎながら釣りをしている。
「大体、小平太や長次ばっか釣れるのおかしいだろ!てめぇらそこ代われ!」
「べーっ、やなこった!」
「…勝負でもするか…?」
「上等だ、力尽くで勝ち取ってやるぜ!」
そのうち釣りポイントを巡って場所取り争いが始まり。文次郎にいちゃもんをつけられたせいか、長次まで喧嘩に乗り気で。
ため息をついて、私はその場をそっと離れた。こんな騒がしいんじゃ、私も釣りができない。
「ほんっと、どこ行っても毎度毎度うるさいんだから…。」
少し離れた岩場を見つけ、そこに腰掛ける。
遥か彼方まで広がり、ゆらゆらと揺れる水面は日差しを受けて光が瞬く。
喧騒は遠く、波が足元の岩肌にちゃぷ、とぶつかる音だけの静かな時間。
久しぶりの海の景色を、ついそのまま眺めてしまった。
そこに足音が近付いてきて、振り返ると苦笑しながら歩いてくる伊作が見えた。
……頭の先からつま先まで、びしょ濡れで。
「…何でずぶ濡れなの?」
「いやあ、皆が喧嘩してるの止めようとしたんだけど…」
「逆に巻き込まれて、海に落ちちゃったのね。」
ははは…と恥ずかしそうに笑いながら、伊作は濡れてしまったバンダナを頭から取り外す。絞って、波が来ない岩の上に広げて置くと、インナーの端も摘んで絞った。
「あーあ。これ乾いたら絶対白くなるよなあ…。」
「はは、海水だもんね。まあ帰って洗うしかない……ーーーーーーーーーー」
喋る途中。予告なくインナーを脱ごうとする伊作の、お腹が少し見えた瞬間反射的に目を逸らしてしまった。
濡れたのをそのままずっと着てるのは気持ち悪いから、…なのは、分かる。けど。
「どうかした?」
「な、何でもない。」
……心の臓に悪いから目の前で、急に服脱がないでよ。
そんなこと言えるはずもなく。
他の奴だったら何とも思わないのに。…どうしても、君にだけこんなにドキドキしてしまうなんて。
不自然に言葉が切れて目も合わせない私に伊作はキョトンと首を傾げているけれど、何でもないと答えたからか特に追及はしてこない。脱いだインナーをバンダナと同じようにギュッと絞って、干しているその隣に広げた。
少し間を空けて隣に座られて、ますます顔を見れなくなる。
「ごめん、まだ一匹も釣れてなくて。」
「…いや、私も。…おかしいね、釣りに来たのにさっ。」
なんとか、話しながら。
被った海水の雫が、髪の毛先からぱたぱたと肩に落ちては太陽の光を反射してキラキラと、背中や二の腕に流れていく。
普段は見えないその胸板が厚いのは、思いの外ちゃんと鍛えられてる証拠で。
いけないと思うのとは裏腹に、それでも、取り繕いながら結局は盗み見てしまう。
…文次郎から言わせればふしだら、なのかもしれない。恥ずかしくて、顔がもっと熱くなってきた。
喉が詰まったように言葉が続かなくて焦る気持ち。指先を弄る。海猫が笑っているかのような鳴き声。
「こ…小平太がけっこう釣ってたし、どうせ晩御飯の分なんだから皆で山分けでもいいかな〜?なんて…」
「ーーーーーーーひまり、何か顔赤くない?」
「えっ、そ!そんなことないよ…!」
「大丈夫?また熱中症なんじゃ…」
「だだ大丈夫だってば!ちゃんと持ってきた水飲ん」
またしても、言葉が途切れた。
その瞬間、バシャアと海からせり上がった波に私も伊作もびしょ濡れになってしまい、顔を見合わせたまま一瞬呆然とする。
…否。波じゃない。
海の中から水をかけてきた小平太と文次郎が、濡れ鼠になった私たちを見て爆笑している。
「油断大敵だな!」
「〜〜〜っ何してくれてんのよ!これお気に入りだったのに!せめて制服の時にし」
今度は後ろから、海水の急襲。
キッと振り返ると留三郎、仙蔵、長次が釣った魚を入れる用だった桶に汲んだ海水をぶっかけてきて。伊作も、さっきよりもたくさん水を滴らせながら文句を言っている。
「ちょっともう、ひどいよ皆して…」
「ははっ、ざまーみろ!」
「人目につく場所でこれ見よがしにイチャつくお前らが悪い。」
「…よそでやれ、もそ。」
熱かった顔は海水ですっかり冷やされ、そしてまた別の意味で熱くなる。
「……もぉおお!!どいつもこいつもいい加減にしろ!!!」
「うわひまりがキレた、逃げろ!」
「ひまり、走ったら危ないよ…!」
釣りという目的もすっかり忘れて。
キレ散らかす私の怒号と、伊作が心配する声と、走り回る音。いつまでも止まない笑い声。
それら全てが潮騒と共に、晴れ渡る海の空に木霊していった。
後書き。
今回最大の反省点。
ち.い.か.わ.みたいな言い回しを避けることができませんでした。
(思わず流行りに乗っちゃった…って事!!?)
(ワァン……!)
※短め。
「…三郎どこ行ったんだか。全く、肝心な時に居ないなんて。」
朝から三郎を探し回っていたけれど、学園のどこにも見つからなくてぶちぶち不満を独りごちる。
食材調達に駆り出してやろうと思ったのに。まあ、実習の課題で出かけてるのかもしれないけど。
仕方ない一人で行くかと正門に向かいかけると、偶然、伊作と行きあった。
「あれ、これから出かけるのかい?」
伊作は、私が外出着を着ていたのでそう声をかけてくる。
「うん。今日の晩ごはんの食材調達に、海行って、魚でも釣ってこようかなって。」
「そっか。いつもすまないね…。」
「いいわよ、別に。私も食べるし、折角なら新鮮な方がいいでしょ。」
「あの、…迷惑じゃなかったら僕も一緒に、行っていいかな?」
「え…うん。いい、けど…。」
「じゃあ正門前で待ってて、すぐ準備してくるから!」
そう言って伊作は、出かける支度をするため走って長屋の方に戻っていった。
突然の展開に、頭が追いつかなかったけれど。
段々と理解が進むにつれ、心の臓が高鳴ってしまった。
…これってつまり、まさか。
ちゃっかり海釣りデートコース行けちゃう、…ってコト!!?
イヤイヤ浮かれるな浮かれるな、と己をたしなめつつも導き出された答えに、つい、正門に向かう足取りが軽くなってしまった。
「いっけいけどんどーん!ははは、また釣れた!」
「…もそ。五匹目…」
「おいバカ留、お前もっとあっちの方で釣りしろよ!」
「はあ?自分が釣れないからって人のせいにしてんじゃねーよバカ文次!」
「お前ら二人ともうるさい。魚が逃げるからまとめて他所へ行け。」
「なんっっだと仙蔵!だったらお前が移動しやがれ!」
「あーもう、だから静かにしてってば…。」
天気の良い海辺に、バンダナとインナーと制服の袴のみ&裸足というスタイルで、ギャースカ騒ぎながら釣り糸を垂らすーーーーーーーーーー男六人の姿。
……はい。
分かってました。分かってましたよこうなることくらい。
どうせ伊作が自室に戻る途中、偶然会った留三郎に海行くって話して、なら俺も手伝いに行ってやるよということになって、二人が話しているのを小平太が聞きつけて馬鹿デカい声で私も海行きたい!!って叫んでその声に長次と仙蔵も集まってきて、留三郎とどっちが多く魚釣れるか勝負してやると何故か文次郎も出てきて、最終的に六人全員がついてくるという結果になることくらい。
分かってた。分かってた、けど…
あんたら、空気を読むって知ってる?
…と私が恨めしい気持ちでその背中を睨みつけているとは知りもせず、アホ共は賑やかに騒ぎながら釣りをしている。
「大体、小平太や長次ばっか釣れるのおかしいだろ!てめぇらそこ代われ!」
「べーっ、やなこった!」
「…勝負でもするか…?」
「上等だ、力尽くで勝ち取ってやるぜ!」
そのうち釣りポイントを巡って場所取り争いが始まり。文次郎にいちゃもんをつけられたせいか、長次まで喧嘩に乗り気で。
ため息をついて、私はその場をそっと離れた。こんな騒がしいんじゃ、私も釣りができない。
「ほんっと、どこ行っても毎度毎度うるさいんだから…。」
少し離れた岩場を見つけ、そこに腰掛ける。
遥か彼方まで広がり、ゆらゆらと揺れる水面は日差しを受けて光が瞬く。
喧騒は遠く、波が足元の岩肌にちゃぷ、とぶつかる音だけの静かな時間。
久しぶりの海の景色を、ついそのまま眺めてしまった。
そこに足音が近付いてきて、振り返ると苦笑しながら歩いてくる伊作が見えた。
……頭の先からつま先まで、びしょ濡れで。
「…何でずぶ濡れなの?」
「いやあ、皆が喧嘩してるの止めようとしたんだけど…」
「逆に巻き込まれて、海に落ちちゃったのね。」
ははは…と恥ずかしそうに笑いながら、伊作は濡れてしまったバンダナを頭から取り外す。絞って、波が来ない岩の上に広げて置くと、インナーの端も摘んで絞った。
「あーあ。これ乾いたら絶対白くなるよなあ…。」
「はは、海水だもんね。まあ帰って洗うしかない……ーーーーーーーーーー」
喋る途中。予告なくインナーを脱ごうとする伊作の、お腹が少し見えた瞬間反射的に目を逸らしてしまった。
濡れたのをそのままずっと着てるのは気持ち悪いから、…なのは、分かる。けど。
「どうかした?」
「な、何でもない。」
……心の臓に悪いから目の前で、急に服脱がないでよ。
そんなこと言えるはずもなく。
他の奴だったら何とも思わないのに。…どうしても、君にだけこんなにドキドキしてしまうなんて。
不自然に言葉が切れて目も合わせない私に伊作はキョトンと首を傾げているけれど、何でもないと答えたからか特に追及はしてこない。脱いだインナーをバンダナと同じようにギュッと絞って、干しているその隣に広げた。
少し間を空けて隣に座られて、ますます顔を見れなくなる。
「ごめん、まだ一匹も釣れてなくて。」
「…いや、私も。…おかしいね、釣りに来たのにさっ。」
なんとか、話しながら。
被った海水の雫が、髪の毛先からぱたぱたと肩に落ちては太陽の光を反射してキラキラと、背中や二の腕に流れていく。
普段は見えないその胸板が厚いのは、思いの外ちゃんと鍛えられてる証拠で。
いけないと思うのとは裏腹に、それでも、取り繕いながら結局は盗み見てしまう。
…文次郎から言わせればふしだら、なのかもしれない。恥ずかしくて、顔がもっと熱くなってきた。
喉が詰まったように言葉が続かなくて焦る気持ち。指先を弄る。海猫が笑っているかのような鳴き声。
「こ…小平太がけっこう釣ってたし、どうせ晩御飯の分なんだから皆で山分けでもいいかな〜?なんて…」
「ーーーーーーーひまり、何か顔赤くない?」
「えっ、そ!そんなことないよ…!」
「大丈夫?また熱中症なんじゃ…」
「だだ大丈夫だってば!ちゃんと持ってきた水飲ん」
またしても、言葉が途切れた。
その瞬間、バシャアと海からせり上がった波に私も伊作もびしょ濡れになってしまい、顔を見合わせたまま一瞬呆然とする。
…否。波じゃない。
海の中から水をかけてきた小平太と文次郎が、濡れ鼠になった私たちを見て爆笑している。
「油断大敵だな!」
「〜〜〜っ何してくれてんのよ!これお気に入りだったのに!せめて制服の時にし」
今度は後ろから、海水の急襲。
キッと振り返ると留三郎、仙蔵、長次が釣った魚を入れる用だった桶に汲んだ海水をぶっかけてきて。伊作も、さっきよりもたくさん水を滴らせながら文句を言っている。
「ちょっともう、ひどいよ皆して…」
「ははっ、ざまーみろ!」
「人目につく場所でこれ見よがしにイチャつくお前らが悪い。」
「…よそでやれ、もそ。」
熱かった顔は海水ですっかり冷やされ、そしてまた別の意味で熱くなる。
「……もぉおお!!どいつもこいつもいい加減にしろ!!!」
「うわひまりがキレた、逃げろ!」
「ひまり、走ったら危ないよ…!」
釣りという目的もすっかり忘れて。
キレ散らかす私の怒号と、伊作が心配する声と、走り回る音。いつまでも止まない笑い声。
それら全てが潮騒と共に、晴れ渡る海の空に木霊していった。
後書き。
今回最大の反省点。
ち.い.か.わ.みたいな言い回しを避けることができませんでした。
(思わず流行りに乗っちゃった…って事!!?)
(ワァン……!)