そのうすべに色を隠して。
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『十六頁 君という星を見つけたなど』
※前ページの主に後半の話を、小平太視点で。小平太メイン。
前に来た時とは、夜空を見上げたその表情が違っていて、それは、単に以前見たことのある景色だから、というわけではないようで。
やっぱり、元気がなかったんだなと。ずっと口にしなかった予想はその瞬間、確信に変わった。
泣きそうな、顔だった。
何で泣きそうだったのか、そこまでは分からない。でも、言いたくないのなら聞かないほうがいいと思った。
ただ私には、思うことが一つだけあって。
ひまりは、笑ってる方が、私は好きだ。
怒りんぼだし女のくせに凶暴だし、何かと口うるさいし、そのくせ虫は苦手で大袈裟なほど騒いで、…でもそれでも、そんなひまりでも私は笑っていてほしいといつも思っている。
もちろん、大好きな友達の一人として。
だから、嬉しかった。
「ありがとね、小平太。」
その場に腰を降ろした私の隣に、ひまりもそうして座って、笑ってくれたことが。
泣きそうでも、それを隠して、瞳が涙で滲んでいることを誤魔化すように、目を細めて。私に笑いかけてくれたことが。
ーーーーーーーートクン、と。
きっとその顔を見た時から、心の臓がいつもと違う音を立てていた気がする。
もしかしたらもっと前からか、或いはそれよりも後だったか。はっきりとは分からない。"いつも"とどう違うのか、と訊かれてもうまく答えられない、それくらい、僅かな違いだったから。
きっと、嬉しいからだ。多分。ワクワクしてるのかな。うん、でも、一緒にいるだけでやっぱり楽しい。
大好きな友達だから。なのだろう。
トクン、トクン。ずっと、いつもと違う音。
少し苦しいような、でもやっぱり幸せで。
膝を抱えたまま、目を閉じる。ひまりに寄りかかると、「小平太、寝たの?」と呆れる声。
眠いのではなく、心地良かったからそうしただけ。寄りかかると自分のこめかみに、ひまりの細い肩から伝わる体温と、匂い。
呆れつつも、ひまりはじっと動かず私に肩を貸してくれていた。
そのうち、本当にほんのちょっとだけ眠ってしまったようで。ハッと目を開くと、私に肩を貸していたひまりも更に重なるように私に寄りかかって、眠っていた。なんだ、ひまりだって、星見ずに寝てしまったんじゃないか。
「おーい、ひまり?そろそろ帰るぞー。」
眠ってしまってそのまま寄りかかってくるその体を片腕で支えながら、ぺちぺち、と丸いほっぺたを叩くというほど強くもなく叩くけれど。これはしばらく、起きそうにない。
その顔は、もう泣いてなかった。どこか、口元もちょっと微笑んでいるようにも見えた。
気が付くと私は、ひまりの前髪の間に覗いた白い額に、口吸いしていた。
ひまりの寝顔をずっと見ていたら、なんか、そうしたくなって。
もしかしたら怒るかな、と思ったけれど。まあ、その時はその時だ。それに今は、起きる気配も全然ないし。
「隙だらけだぞー、ひまり。」
ひとりごちて、一人で小さく笑った。そして、熟睡状態のその女の子の軽い体を背負って、私は忍術学園へと戻っていった。
結局その翌日、どうやって感知したのか、小松田さんに無断外出がバレて、二人揃って烈火の如く怒られてしまい。
それでもひまりは、小松田さんがいなくなった時に、連れ出した方の私に向かって怒るなんてことはしなくて。
小松田さんも、もうちょっと融通利かせてくれてもいいのにね、と。
イタズラっぽく笑う彼女に、私もまた、笑い返すのだった。
※前ページの主に後半の話を、小平太視点で。小平太メイン。
前に来た時とは、夜空を見上げたその表情が違っていて、それは、単に以前見たことのある景色だから、というわけではないようで。
やっぱり、元気がなかったんだなと。ずっと口にしなかった予想はその瞬間、確信に変わった。
泣きそうな、顔だった。
何で泣きそうだったのか、そこまでは分からない。でも、言いたくないのなら聞かないほうがいいと思った。
ただ私には、思うことが一つだけあって。
ひまりは、笑ってる方が、私は好きだ。
怒りんぼだし女のくせに凶暴だし、何かと口うるさいし、そのくせ虫は苦手で大袈裟なほど騒いで、…でもそれでも、そんなひまりでも私は笑っていてほしいといつも思っている。
もちろん、大好きな友達の一人として。
だから、嬉しかった。
「ありがとね、小平太。」
その場に腰を降ろした私の隣に、ひまりもそうして座って、笑ってくれたことが。
泣きそうでも、それを隠して、瞳が涙で滲んでいることを誤魔化すように、目を細めて。私に笑いかけてくれたことが。
ーーーーーーーートクン、と。
きっとその顔を見た時から、心の臓がいつもと違う音を立てていた気がする。
もしかしたらもっと前からか、或いはそれよりも後だったか。はっきりとは分からない。"いつも"とどう違うのか、と訊かれてもうまく答えられない、それくらい、僅かな違いだったから。
きっと、嬉しいからだ。多分。ワクワクしてるのかな。うん、でも、一緒にいるだけでやっぱり楽しい。
大好きな友達だから。なのだろう。
トクン、トクン。ずっと、いつもと違う音。
少し苦しいような、でもやっぱり幸せで。
膝を抱えたまま、目を閉じる。ひまりに寄りかかると、「小平太、寝たの?」と呆れる声。
眠いのではなく、心地良かったからそうしただけ。寄りかかると自分のこめかみに、ひまりの細い肩から伝わる体温と、匂い。
呆れつつも、ひまりはじっと動かず私に肩を貸してくれていた。
そのうち、本当にほんのちょっとだけ眠ってしまったようで。ハッと目を開くと、私に肩を貸していたひまりも更に重なるように私に寄りかかって、眠っていた。なんだ、ひまりだって、星見ずに寝てしまったんじゃないか。
「おーい、ひまり?そろそろ帰るぞー。」
眠ってしまってそのまま寄りかかってくるその体を片腕で支えながら、ぺちぺち、と丸いほっぺたを叩くというほど強くもなく叩くけれど。これはしばらく、起きそうにない。
その顔は、もう泣いてなかった。どこか、口元もちょっと微笑んでいるようにも見えた。
気が付くと私は、ひまりの前髪の間に覗いた白い額に、口吸いしていた。
ひまりの寝顔をずっと見ていたら、なんか、そうしたくなって。
もしかしたら怒るかな、と思ったけれど。まあ、その時はその時だ。それに今は、起きる気配も全然ないし。
「隙だらけだぞー、ひまり。」
ひとりごちて、一人で小さく笑った。そして、熟睡状態のその女の子の軽い体を背負って、私は忍術学園へと戻っていった。
結局その翌日、どうやって感知したのか、小松田さんに無断外出がバレて、二人揃って烈火の如く怒られてしまい。
それでもひまりは、小松田さんがいなくなった時に、連れ出した方の私に向かって怒るなんてことはしなくて。
小松田さんも、もうちょっと融通利かせてくれてもいいのにね、と。
イタズラっぽく笑う彼女に、私もまた、笑い返すのだった。