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クローバー



《四つ葉のクローバーを見つけたら願いが叶うんだって》

そんなことを聞いたのはいつだったか。僕は森の中を彷徨いながら、クローバーを探していた。
原っぱの中も、日当たりの良い崖も、何度も何度も探してみたが、見つからない。

(どうしても見つけたいんだ…)

僕は森の中にある泉のほとりに座り込んだ。そしてふと空を見上げる。

鳥たちが空を飛び交いながら声をかけあっている。ピィピィという心地よい鳴き声に僕は目を瞑った。
ふと目を覚ますと泉の水を飲みに来ている動物がいた。僕も水を飲もうと口を近づけたところで、水面に自分の姿が映る。
長く伸びた鼻、毛むくじゃらな大きな黒い身体、牙の光る口、釣りもできる長い尻尾。

(僕は人間になりたい…そして、君に会いたい)

もうどのくらい前になるかは覚えていないが、怪我をしていた僕を助けて手当してくれた。人間にとって、僕は大きくて、怖いもののはずなのに。


森に遊んでいた子供たちが話していた言葉をもう一度思い出す。

(必ず四つ葉のクローバーを探し出して、人間になる)

僕は4本の足で立ち上がるとまた探し出した。鼻先で掻き分けながら探すのは難しいけど、大分と慣れたものだ。

必ず見つけ出すから…!


fin.




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願い事が叶いますように。
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