短編集
「はっ……体が熱い……お願い、康二触って」
「どうやめめ懐かしいやろ?この感覚」
ベッドに横になり、瞳を潤ませながら懇願してくる恋人の姿に俺の口角がグイッと上がった。
まさか俺が”あの時の仕返し”をするだなんて露ほど思ってなかったやろうめめの今の格好はベッドのヘッドボードに長い布で両手を括り付けられ、その身に纏っているのは黒のタンクトップ一枚のみでさらに下半身は剥き出しというなんとも間抜けな格好となっている。
「そうだね……康二と山の中でしたsexめちゃくちゃ気持ち良かったなぁ」
「っ……!」
てっきり俺の行動に怒るか、羞恥を感じると思っていためめは俺の予想に反し、いやらしい吐息を吐き出しながら、俺との性行を思い出し頬を緩ませた。
めめの言葉にその時のことが俺の脳内で鮮明に甦る。
……いくらあそこが山奥であったとはいえ、めめの前で外でおしっこをさせられ、さらにはそれを舐められるという恥辱極まりない行為を思い出しては沸騰しそうなほど顔に熱を帯び、俺は首を横に大きく振ることでその記憶を振り払う。
「あー、あの時の可愛い康二を思い出したらガチガチに勃ってきた」
「……この状況でずいぶん余裕やんな、めめ」
「ん、ぅっ……!!」
立派に成長しためめの息子を人差し指でピンと弾いてやれば、めめの表情は苦痛で歪み、腰が跳ね、めめの尿道からピュ、ピュッと先走りの汁が飛び出て黒のタンクトップを汚す。
「こんな刺激で感じて、めめって意外とMっ気あったんやね」
人生で初めての拘束、そして言葉攻め。
なんやかんやいつもリードしてくれる男らしく、ちょっと意地悪な恋人が感じる姿を鼻で笑い、辱める。
「……康二になら、なにをされてもいいよ 」
まるで聖女のようにふんわりと微笑むパートナーが実は得体の知れない媚薬を飲ませ目隠しをし、玩具を突っ込み野外で獣のようにsexをし、恋人が放尿する姿に喜ぶ”とんでもない変態”だということを俺はこの身を持って知っている。
「じゃあ、今日は俺がめめをたっぷり可愛がってやんな」
これはふっかさんからもらった媚薬で過去に地獄の二週間を味合わせためめへのお仕置きや。
その顔をめちゃくちゃに歪ませ、めめが例え何度許しを乞うても俺はすぐには許さない。
真っ黒な世界 ?
「康二!お願い、お金貸して♩」
両手を自身の顔の前で合わせ、可愛く首を傾げて突如姿を現したのはグループの最年長で、今聞いてもらって分かるようにグループ一お金にだらしないふっかさんや。
「…………」
つぶらな瞳でおねだりをする男に俺は白けた眼差しを送ることしか出来ない。
……この男が原因で去年の秋に俺の腰と声帯は崩壊し少し早めのインフルエンザにでも感染したのかというくらいの風邪に見舞われ、一週間ほど仕事を休んでは周囲に迷惑をかけた。
「やっぱ、だめかな? 」
それだけやない。
目の前でニコニコと胡散臭く微笑む男から恋人がお金を貸したお礼としてもらった媚薬。
その許容範囲を越えた使用により、俺の体は丸二週間ほどめめの男根を求めて、めめが仕事でいない時間はひたすら自慰をし、めめが仕事から帰って来れば同じ量の秘薬を飲んだめめに夜通し愛される日々がしばらく続き、それは俺が仕事に復帰しても媚薬の効果が俺たちの体から抜けることはなく、俺のちんこは痛いくらいに勃ちっぱなしで勃起してることを周りに隠すのに大変やった。
やけど、その週は運良くグループの仕事が続き、めめとも四六時中一緒だったため、実は休憩の合間に二人でトイレで抜きあったり、その致したりもして……。
あれは思い出すだけでほんまに苦しい日々やったと思う。
まぁ、めめは毎日俺に求められてするsexにめちゃくちゃ喜んでたけど、よく二週間もあんなに大きなフル勃起のモノを平然とした顔で隠せたもんや。
そんなことがあり、めめと濃密な時間を過ごした俺は薬の効果が薄れてきた頃には怒りの炎が揺らめき、めめとふっかさんと長いこと口を聞かなかった。
「どうせ俺が断ったらめめのとこ行くんやろ?」
「うん、もちろん行くよ?」
一度あの刺激を味わっためめが次になにをしてくるか溜まったもんじゃない俺は、ふっかさんがめめにお金を借りて得体の知れないモノを寄こす前に真っ先にそれを阻止しなければならない。
……というか俺が断るのを分かっていて、なぜふっかさんはめめの前にいつも俺のところにお金を貸して欲しいと言いに来るんやろか。
「今回に限り五十万貸すわ。だからもう断る俺にめめを通して復讐するんはやめてなー」
「え!?そんなにいいの!?康二ありがと〜う!んで、復讐だなんて、そんな人聞きの悪い………」
「……これまでふっかさんのせいで俺は散々な目に合ってるんやで 」
ヘラヘラ笑う男を俺が下からジッと睨めば、ふっかさんは俺から気まずそうに目を逸らす
「分かった、本当ごめんって。
実は康二がめめと付き合ってから、康二の生活がめめばかりになって嫉妬してた」
頭を掻いて俺に申し訳なさそうに謝るふっかさん。
ふっかさんがそんなことを考えていたのは意外やった。
「はぁー、ふっかさんが嫉妬してやってることが逆に裏目に出てるで……」
「たまには俺とも遊んで欲しいなって。
はい、コレ 」
俺が深いため息を吐き、額に手を当てればふっかさんの表情はまた胡散臭いものへと戻り、俺の前にオレンジの液体が入った小さな小瓶を差し出す。
「……なにコレ」
もちろん聞かなくてもこれがナニか十二分に理解しているが、念のために確認を入れる。
「こないだ康二がめめと使ったのとはまた違う即効性の媚薬」
「一応聞くで。これを俺が誰に使えと?そして、ふっかさんはなんでこんなもの持ってて、誰に使ってるん? 」
俺の問いにニヤリと微笑むふっかさんにグループの今後が心配になる。
「康二はめめ以外に使う相手はいるの?いなければ俺と熱い夜を過ごしてみる?」
「は?そんなん聞かなくても俺がめめ以外に相手がいるわけないやろ?
そんで、冗談でもふざけたこと言うなや。
俺は恋愛感情のない人間とは絶対ヤらない」
俺が真っ直ぐにふっかさんを見つめ、ふっかさんの誘いを拒絶すれば、ふっかさんはやるせないように力無く微笑む。
「めめも同じように康二しかいないって言ってたなー。
俺にもね、一応好きな人がいて結構必死こいてアピールしてるんだけど、健気な人で全然こっちを見てくれなくて、すっごい傷付いてるの。
散財したり、これを使って女の子とするのは限界を越えた俺のストレス発散方法。
グループに迷惑はかけないし、俺は意外と寂しがり屋だから、康二もたまには俺と一緒に出掛けてね?」
「……来週のオフやったらめめも仕事やし、空いてるからどっか飯でも食いに行こか、約束やで」
デビューから数年を迎えても、ふっかさんがグループの最年長としていつも気を張っているのを俺は知っていて、めめと付き合う前までは俺はそんなふっかさんの肩の力が抜けるようにと誰よりもスキンシップを取っては甘えまくってたんやけど、めめと付き合うてからはめめがヤキモチを妬くため触れ合うことも少なくなっていった。
「うん、楽しみにしてる。じゃあ、また」
「ほなな」
嬉しそうに笑うふっかさんに俺も自然と笑顔になり、ふっかさんが楽屋から退室した後、小瓶に入った俺と同じメンバーカラーの液体を俺は顔の前に掲げてほくそ笑む。
「ただいま康二」
「おかえり、めめ寒かったや……ンッ、ふぅ、はぁっ、」
帰ってきためめを玄関で迎えれば、めめは会いたかったよと俺を抱き締めて深い口付けを交わし、ねっとりと絡められるめめの舌に俺は腰が砕けそうになる。
俺の顔に触れるめめの唇と頬はまだ冷気をまとって冷たいのに、大好きなめめと密着した体は一気に熱を帯びていく。
「今日はもっと康二とキスしたいな」
いつもやったら、歯止めが効かないめめに俺がストップをかけて風呂に入らせ、ご飯を食べるように施すんやけど、今日はなぜだか俺もめめとこのままキスをしていたい気分やった。
「っ、んん……めめの口の中、あまい」
バニラのように甘いめめの口内に俺はうっとりとし、めめの首に腕を回し、何度も舌を絡めればめめはそれに悦び俺の腰を自身にグッと引き寄せる。
「あぁ、今日は長丁場の撮影で台詞も多かったし、のど飴を舐めてたからかな。
……このままキスしてたらシたくなっちゃいそうだし、康二と離れ難いけど俺はお風呂に入ってくるね」
「うん、撮影お疲れ様。今日はめめの好きな海鮮たっぷりの鍋やで」
至近距離で見つめ合い、困ったように笑うめめは俺のおでこにキスをしてから名残惜しそうに俺から離れて風呂場へと向かう。
俺はそんなめめの背中を見送った後、鼻歌を歌いながらリビングへと戻る。
「ふぅ、さっぱりしたー。あれ?康二お酒飲んでるの?」
首にタオルを巻き黒いタンクトップ、下はグレーのスウェットを着ためめがTVを見ながら水色のラベルの缶ビールをあおる俺を背後からそっと抱きしめる。
「ん、めめちゃんと髪を乾かさないと風邪引くで……。明日は休みやし、やっぱ鍋といったら酒やん!めめも飲む?」
顔に触れるめめの髪が俺の頬をくすぐったくて、俺はめめを振り返り、首にぶら下がったタオルでめめの髪を拭いてやればめめは嬉しそうに相好を崩す。
「そうだね。明日は午後から撮影だし、俺もたまには康二と一緒に飲もうかな」
「じゃあ、めめの分もビール持ってくるわ」
子どものように微笑む目の前の男が普段はクールで落ち着いているけど、ベッドに入った途端、獲物を逃さない狼に豹変することを俺はよく知っている。
「寝る前には今日も康二を抱きしだくから、お酒はほどほどにね?」
……いくら鍛えようとも俺がめめには酒の強さと力では敵わないことも。
作戦は練れば練るほどに成功度が上がる。
めめside
「ん……康二?」
「あっ、めめ結構飲んどったけど大丈夫か?」
体の中心に熱が集っていく感覚に目を覚ませば、そこは俺と康二のベッドの上。
心配そうに俺の顔を覗き込む康二が可愛くて、俺は無意識に康二の頬を触れようと手を伸ばすが……
「……ねぇ、康二。これは一体どういう状況?」
伸びない手に不思議に思った俺は目線を動かし、なぜか万歳をした自分の腕の先を辿る。
見上げた終着点はベッドボードに拘束された自分の両手首。
そして、尻に直接触れるシーツの感覚に俺が身にまとっているのはタンクトップ一枚だけだと気付く。
「見ての通り無様な状況や」
「ふはっ……!!」
果たして、至極楽しそうに微笑む目の前の男は俺の知ってる向井康二なのだろうかと一瞬、思考が停止するが、すぐにイタズラが成功した子どものようにしてやったりの顔を見せてくれる恋人に俺は思わず笑い声を上げ、今、この身に熱を帯びているのは浴びるほど飲んだ酒のせいではないことを把握する。
「おかしな状況やな、なんでこんなことになってるん?」
酒の缶は自分で開けた。
ともすれば、俺がトイレに行っている間に康二が媚薬の入ったものと入れ替えたに違いない。
はて、はてとわざとらしく首を傾げる恋人がこんな状況にも関わらずどうしようもなく可愛いく思えるのは惚れた弱みなのだろう。
「はっ……体が熱い……お願い、康二触って」
「どうやめめ懐かしいやろ?この感覚」
もちろんこれが数ヶ月前の仕返しであることは分かり切っている。
「(ふっかさんは本当策士だなー。まさか康二がふっかさんにお金を貸す日が来るとはね)」
勝ち気に笑うちょっとSっ気のある康二も俺は好きだよなんて思いながら、先程外出先で会ったグループの先輩を脳裏に思い浮かべる。
「そうだね……康二と山の中でしたsexめちゃくちゃ気持ち良かったなぁ」
「っ……!」
強気な康二の問いかけに甦るのは媚薬の効果でいつも以上に俺とのsexに感じまくり、二人だけの世界で俺を必死で求める康二と、この世界で俺しか知らない康二の痴態。
あれは良かった。
実はもう一度あの日々を康二と送りたいと思っていたところだ。
甘美な経験に俺は頬を緩ませれば、茹でたこのように顔を真っ赤に染めた康二は当時の記憶を振り払うように首を振る。
「あー、あの時の可愛い康二を思い出したらガチガチに勃ってきた」
「……この状況でずいぶん余裕やんな、めめ」
俺の息子が臨戦体制に入ったところで、冷めた目で俺を見下ろす康二が俺の熱を簡単に解放するとは思えない。
「ん、ぅっ……!!」
その予想は当たっており、康二は自身の腹に付くほど固さを増した俺の逸物を人差し指でピンと弾き、そんな刺激にすら感じた俺は陸に打ち上げられた魚のように腰を跳ねさせ、先走りが溢れていくのを感じる。
「こんな刺激で感じて、めめって意外とMっ気あったんやね」
人生で初めての拘束、そして言葉攻め。
いつも俺の下でアンアンと鳴いて甘える恋人にまさかこんな一面があったなんてね。
……最高だ。
「……康二になら、なにをされてもいいよ 」
夢見心地のように微笑む俺を康二は鼻で笑う。
「じゃあ、今日は俺がめめをたっぷり可愛がってやんな」
こんな康二を俺が、俺だけが知っているという事実に俺の体は最高潮に熱くなっていく。
続く