短編集
「どうぞ」
「お邪魔します。そういえば最近俺の家ばっかやったから、めめん家来るの久しぶりやね。
あ、めめちょっと待ってな。靴紐キツく結びすぎてもうて靴が脱げへん」
ドアのロックを解除し、玄関の扉を開いて俺を先に中に誘導するんはめめの昔からの癖で、めめがこんなことをするのは実は俺だけやってめめ自身は気付いてるんやろか?
めめが付き合ってからも長いこと俺を大切に扱ってくれることが嬉しく、俺はその行動に自然と笑みが溢れ、玄関先で靴を脱ごうとするが上手く脱げず、俺は靴紐を緩めるために廊下に腰を下ろす。
「それ俺がデビュー前にプレゼントした靴じゃん。だいぶ古くなってるみたいだけど、そろそろ履き替えたら?」
「そうなんやけど、めめがくれたもんはどんなものでも大事にしたいんよ」
大切に履いていたが年季が入りところどころ傷んでしまった白いスニーカーをめめは注視し、俺はスニーカーを眺めながらめめがこれを贈ってくれた日のことを思い返す。
そういえばめめがこれを買ってくれた日も今日みたいな寒い日やったわ。
Snow Manに加入するにあたり、慣れない東京に上京し、必要なものを買い揃えるのにめめに付き添いをお願いした数年前の冬。
『目黒くん、今日雨降るなんて聞いてたか?』
『いや、全然』
めめと急いで駆け込んだ靴屋。
買い物の途中で突然大雨が降り、二人でびしょ濡れになってしまった。
『髪も濡れてもうたな、風邪引かないように気を付けんと』
『……ありがと。そういえば康二くん服はたくさん持ってるみたいだけど、明日履く靴がないよね』
俺が風邪を引かないようにと持っているハンカチでめめの濡れた頬を拭いてやると、めめは照れくさそうに俯き、俺の足元を見ては俺の靴が今履いている一足しかないことに気付く。
『目黒くんはほんまに俺のことよう見とるな。靴も何足か買っとかなあかんね』
『じゃあ、その靴は康二くんが東京に来た記念に俺にプレゼントさせて』
あの頃、家族や長年活動した仲間と離れ、慣れない土地に引越し、新たに出来たメンバーの中で俺は果てのない孤独と不安を感じていた。
でも、そんな俺をめめはいつだって見守り支えてくれた。
『ええの?』
『……前に舞台でお世話になったお礼と、あと俺がプレゼントした靴を履いた康二くんともっといろんなところに行きたいなって』
俺が驚いた顔でめめを見ればめめは恥ずかしそうに俺から顔を逸らし、人差し指で頬を掻いた。
『ふふっ、そんな風に言ってもらえてめっちゃ嬉しいわ。じゃあ、その靴はめむろくんが選んで?』
俺の言葉にめめは嬉しそうにはにかみ、めめが俺のために時間をかけて靴を選んでくれた事実が俺の不安定だった心を満たしてくれた。
そして、次の日は二人してくしゃみを連発して、さっくんに「お前らどうせあの雨の中デートしてたんだろ〜」なんてからかわれてな。
……俺は初めて舞台で共演した時から俺をなにかと慕ってくれためめに恋心を抱いており、めめと二人で過ごす時間は全てデートやと思ってたから、内心さっくんに心を読まれたのではないかとドキドキしていた。
「今の俺があるんはあの頃からめめが俺を支えてくれたからやし、どんなに辛い時でもこの靴を履いて靴紐を結ぶ度に俺にはめめっていう強い味方がおるんやでって頑張れた」
めめが一生懸命選んでくれた白のスニーカーと俺のメンバーカラーということで追加で購入し、付け替えたオレンジの靴紐は何度も洗ってくたびれてしまってるけど、この靴は例えボロボロになっても俺の大事な体の一部みたいなもんなんや。
愛おしくて堪らないめめとの大切な記憶。
スニーカーを眺めながら自然と口角が上がって行く俺にめめはボソッと呟く。
「全く康二は……俺がさっき言ったこと忘れちゃってさ」
「え?うわ………!!」
めめの言葉が聞こえず、俺が顔を上げた瞬間。
いきなり視界が反転し、俺のすぐ目の前には眉根を寄せ、切迫詰まっためめの顔があった。
「あんま可愛いことばっかしてくれると、俺加減出来なくなるって言ったよね?」
「……う、うん」
玄関で押し倒されるという初めての経験に俺は思考が追い付かず、さらに押し倒した際に俺が頭を床にぶつけないよう俺の頭部を支えるめめの大きな手の温もりを感じ、今、俺の顔はトマトのように真っ赤に染まっていることやろう。
「毎日、毎日俺は康二のことで頭がいっぱいで苦しいのに……康二の言葉や態度がさらに俺を狂わせるんだ」
「あ……やっ!ふ、んぅっ!め、めっ!!」
近い距離でギロリと睨まれ肩がすくんだ瞬間、めめに唇を押し付けられ、まるで引き抜こうとしているのではないかというくらいに力強く舌を絡め取られる。
外から帰ってきて、まだ冷たい互いの唇。
数分前にエレベーターでされたキスと違い、めめが俺の体に覆い被さり、頭を押さえられていることでどんなに呼吸が苦しくとも逃げることは一切叶わない。
「…………」
「う、ん、っ……ンーッ!!ごほっ!!」
まるでsexをしているかのようにめめの舌は俺の口内をジュボジュボと犯し、俺はめめの口から流れ落ちてくる唾液を飲み干すことが出来ず、受け止められなかったソレは俺の顎を伝い、床を汚して行く。
激しく擦り付けられるめめのザラザラとした舌の表面が脳が痺れるほど気持ちよく、俺の下肢が痛いほどめめに反応している。
しかし、さすがに呼吸が苦しくなって咽せた俺にめめはキスを止め俺の唇から離れてニヤリと微笑む。
「康二、すっごいエロい顔してる」
「ごほっ、ごほっ!」
めめから放たれた言葉に俺はさらに咽せめめを睨む。
「大丈夫……?」
「……誰のせいや誰の。いいから早ようベットに連れてって。床は寒いし背中が痛い」
意地悪な顔をしたかと思えばすぐに心配したり……
こんなにも俺の心を掻き乱す目の前の男に俺は心底惚れ込み、そして俺は精神面だけではなく、この男なしでは生きていけない”体”にもなってしまっていて……
腹に張り付く液体が気持ち悪く、全ての解放を早く早くと待ち望んでいる。
「……そんな風に誘って、康二が嫌だって言ってもやめないからね」
「…………」
先程、ライブ会場から俺を連れ去った時と同じ表情をし、めめは俺を抱えて自室へと足早に歩き出す。
そんなめめの言葉にコクリと頷いたが最後。
俺はめめの海より深く、山より高い一年分を超える愛を一身に受けることになる。
「はっ、あっ、めめ……」
「康二っ…… 」
ベットの端に腰掛け舌を絡め合いながら互いの服を荒々しく脱がしては床へと放り、早々と俺のジャケットとシャツを脱がし終え、俺のパンツのホックを下げためめはまだ俺がめめのシャツのボタンを外している最中にも関わらず俺をベットに押し倒し、俺の唇にしゃぶりつく。
縦横無尽に俺の舌を堪能するめめの舌に俺も必死で応え、めめの愛を貪り、もっともっとと強請っては今度は俺がめめの呼吸を奪って行く。
「んんっ、ふ、んぅ……めめ、すき」
「っ、はぁ……俺も康二を愛してるよ」
見つめ合い、愛の言葉を囁けばめめは俺の顔中にキスの雨を降らせて今度は俺の首筋に軽く吸い付き、めめと過ごす三日間の間に粉雪のように儚く消えてしまうであろう、うっすらとした跡を残し、その後は期待に立ち上がった俺の乳首に指を這わせては舌先で弄んでいく。
「やっ、めめぇ!気持ちいっ……!!」
「……やばい、康二の匂いにクラクラする」
大晦日のライブで汗をかき、二人ともシャワーを浴びずに帰って来たため、そう言われれば俺の首筋や乳首も汗でしょっぱいんやないやろか。
「せやから、シャワー浴びよって言うたやないか!」
先に服を脱がされた俺の上半身の匂いを犬のように嗅いでいくめめに恥ずかしくなり、俺はめめの顔を突っぱねる。
「俺は康二の汗の匂いも好きだから」
「っ〜変態!! 」
クスクスと笑うめめに俺が両腕で顔を隠せばめめは俺が脱がす途中だったシャツを頭から脱いで床へとなげ捨て、自身のズボンのチャックを下げる。
今度はめめの汗の香りが部屋に充満し、俺の鼻腔は強く反応し、それによりちんこも完全に勃起した。
「こんなに硬くして……康二も俺の体臭大好きだもんね?」
「うるさっ……は、うっ!!」
勃ち上がった竿をめめにズボンの上からねっとりと撫で上げられ、無意識に腰が浮く。
「ねぇ、
康二は俺の汗の匂い好き?」
「…………」
……これは絶対好きって言わへんと先へ進まへんやつやん。いや、もちろんめめの匂いも好きやけど。
汗の匂いが好きですなんて変態染みていることを言葉に出すなんて、その、なんか恥ずかしいやん。
しかも、俺の答えをわかってて聞いてくるあたりめめは本当に意地の悪い奴や。
「やっぱ嫌だよね。俺、シャワー浴びてくるよ 」
「あ〜っ!好き!めめの汗の匂いも俺は全部好き!せやからあんまり焦らさんといてぇな!!」
顔を隠していた手をダンッ!とベッドに打ち付ければめめは腹を抱えて笑い、俺は途端に情け無くなる。
「ははははっ!やっぱり康二は面白いなぁ。
よく出来ました。じゃあ、康二はどうされたい?
触る?舐める?」
ニコニコと機嫌を良くしためめに俺はデートの約束を忘れてしまったことはもう怒ってないんやなと安心し、俺はめめの欲望にさらなる油を注ぐ。
「このまま挿れて欲しい…… 」
「え」
思ってもみなかった俺の言葉にめめは驚き、信じられないような目で俺を見下ろす。
「……このままめめのを俺のナカに挿れて」
「っ、さっきからそんなに俺を煽ってさ、もう後悔しても知らないからな?!」
俺の言葉を理解しためめは深くため息を吐き、俺のズボンと下着を一気に下ろし、その後に自身のズボンと下着も膝まで落とし、俺以上に張り詰めた肉棒を俺の尻穴になんの迷いもなく突き刺した。
そして、俺は自分の存在さえも忘れるくらいの気持ちよさに絶頂する。
「も、む、りっ……」
「……俺は忠告したよ。俺をこんなに興奮させたのは康二なんだからちゃんと責任を取ってもらわないと。
それとさ 」
激しいかと思えば物足りないくらいバックの体制でゆっくりと腰を打ちつけられ、痺れるような刺激に俺の目からは涙の粒が溢れて行く。
「あっ!ン、ウゥッ、な、に……?」
「去年、どうして俺との約束を忘れた?」
予想もしていなかっためめの問いかけと止まった腰の動きに俺はゆっくりとめめを振り返る。
「わ、わかんない……」
「まぁ、そうだろうね」
そう答えた俺にめめは一瞬切な気に微笑み、次の瞬間には俺に罰を与えるかのように荒々しく律動を再開して行く。
「アッ!ああっ、めめぇ、やぁっ……!! 」
「っ、はぁ……っ!!」
「ぁ……ァァアッ、んぅっ!!
ごめんなさいっ、めめっ、お願い!もう許してぇ!!」
めめから絶え間なく与えられる、体の芯まで貫くような強烈な刺激に俺は酔いしれるどころか、苦しさを感じてまうほどめめは何度絶頂を迎えても飽きることなく俺を抱き、この身が誰のものであるかを教え込んでいく。
俺の頬に滴り落ちるめめの汗、
俺の瞳に映るめめの快感に歪む顔。
でも、俺を捕らえて離さない黒い瞳の奥にあるのは深く体を交える愉悦ではなく、静かな苛立ち。
「絶対許さない。
姫はじめどころか三が日は俺とずっとベッドの上で過ごしてもらうから。覚悟して」
「嘘……」
……いやいや、姫はじめがこんなに激しかったら、あと残りの二日間で俺は一体どうなってまうん!?
遠くで聞こえる除夜の鐘。
新たな年はまだ始まったばかり。
恋人は言う。
「去年の三十日にやり残したことがあるんだ。
それは康二に一年の感謝と愛を伝えることだよ。
忙しくて会えなくても俺は一分一秒たりとも康二を忘れたことはないのに、俺とデートの約束をした時の康二はどこか上の空だった。
年末はずっとモヤモヤしてたし、先輩と過ごしてる間は康二が俺のことなんて1ミリも考えていないんじゃないかと思うと発狂しそうでさ。
だから、康二が今後俺のことを片時も忘れないように俺の存在をたくさん刻んであげる。
今年は”ヤり残す”ようなことがないようにね」
これが初夢であったら良かったと思う。
しかし、意識がはっきりする度にめめは俺を抱き、俺はショートしてを繰り返し、この正月がほぼほぼ寝正月で終わったのは言うまでもない。
ちなみに俺がめめとの約束を忘れてた原因なんやけど、めめがデートを提案したその日も俺とめめは久しぶりに二人きりになれたことに感情が昂り、何度も激しいsexをした後で、めめの前では極力出さないように気を付けていたけど、ドームツアーや個人の仕事が重なりあの日は多忙を極めて疲れが蓄積していたからついつい思考が停止して生返事をしてしまったのだと思う。
そして、先輩と飲みに行った三十日だって終始めめのことを考えていたんやで?
約束を忘れてしまったことの申し訳なさと、この一年のめめへの感謝や愛を俺やって本当はめめに一年の最後に伝えたかった。
俺たちSnow Manはグループとしても個人としても日々進化してるけど、俺がこの世で一番大切なのはグループでもファンでも仕事でもなく、目黒蓮。
目黒蓮ありきの向井康二なのよ。
どんな時もめめの存在があったから、今の俺がいる。
めめを忘れてしまう瞬間があるのだとしたら、それは俺の限界を超えているということや。
せやから今年はめめとなるべく二人きりの時間を過ごせるように少し仕事を抑えような?
そして、二人でもっと素敵な場所に行こう。
たくさんの思い出をつくってめめを笑わせたる。
今年はデビューから五周年。
そして、俺とめめが付き合って五年目を迎える年でもある。
「……あぁ、今年もええ年になりそうやな」
俺を組み敷き幸せそうに微笑む恋人になんだかんだ言いつつ俺も幸せや。
「康二がいれば俺は幸せだよ」
「ん、俺も……めめ愛してるで」
どうかこの関係が十年後も二十年後も末長く続きますように。
end