夜 桜



「ふぁ…!んんっ、ちょっ、やぁッ、んあっ…はぁッ」

康二を枕元に押し倒し唇を奪い取る。

俺は息を吸わせぬ間も与えないほど、康二の舌を貪り、康二のシャツを捲り上げぷくりと立ち上がった乳首をこねくりまわしてやる。

「…………」

快感によがって顔を赤くし、瞳を潤わせる康二の姿をもっと、もっとこの目で見てみたい。

素っ裸にして、翔太君で染まった心も体も目黒蓮で埋め尽くしたい。

——俺はこの時、初めて男が狼になる瞬間を知った。



「康二の綺麗な乳首をさ……ずーっと俺の舌で尖らせたいと思ってた」

「ッ〜!!」

先程、康二が自身の唇を舐めあげたように、俺も康二に見せ付けるように舌舐めずりをすると、康二が身を怯ませて縋るように俺を見る。

「ダメ、今日はもう逃がさないから。康二はありのままの俺を知りたいんでしょ?」

「あっ!う、ンッッ、あぁっ!め、め…そ、こだめぇッ!!」

まだ触れてない右の乳頭をまずは舌の先端で何度か転がし、乳輪のふちを辿り、チュッと吸い付けば康二の腰が跳ねる。

康二のベッドの上で聞く嬌声は甘く、切なく、心地良く……

目を閉じて聞いているだけでイけるような気がした。

「……あとココね、見たことはあっても実際に触るのは初めてだな」

「あっ…ハァっ、んんぅ……ッ!」

「もう、パンッパンだね」

口付けや胸への快感で康二の下半身もしっかりと屹立し、ズボンの中で窮屈そうに解放を待ち望んでいる。

お風呂やトイレで何度も盗み見た康二のモノは男としての機能を果たす時、一体それがどんな形状で大きさはどれくらいなのか、その感度だって早くこの目で確かめたかったが、まずは康二の恥じらう姿をしっかりと堪能することにした。

「め、めぇ、もっとぉ… 」

「…………!」

しかし、手のひらで大きさを確かめるように睾丸から陰茎に向かって軽く撫で上げていくと、そんな刺激だけじゃ物足りない康二がなんと腰を上げて俺の手に自身のソレを擦り付けてきた。

先走りがたくさん溢れているのか、ズボンが少しだけ湿っている。

「お願い……パンツがビショビショで気持ち悪いんよ。早く、下ろして」

俺を誘惑する官能的な姿に俺はゴクリと唾を呑み、結論付けた。

目の前にいる向井康二という男は魔性だ。
自分の魅力を熟知している。

康二を言葉で攻め立て、微々たる快感で康二を焦らしたつもりでいたが、どうやら俺の方が上手く転がされていたらしい。 

「…………」

俺が何も言わず、康二のズボンに下着ごと両手をかけると康二は脱ぎやすいように腰を軽く上げ俺を急かす。

「めめっ、早くっ…!」

「…………っ」

康二に言われるがまま、ズボンを下げると固くいきり立った康二のモノがブルンと自身の腹を叩き、先っぽからは康二の言う通り蜜が止めどなく溢れ艶を増し、なんとも卑猥な物体が現れる。  

俺と同じようで俺の性器とは全く違うソレから俺は目が離せなくなってしまった。  

さらにシャツを一枚だけ羽織った、エッチな姿の康二から放たれるオスの匂いに脳天がクラクラする。

「(乳首だけであんなに感じるんだから、ここを触ったら……)」

意識がぶっ飛ぶんじゃないか?
俺の脳内にすぐ様快感に乱れてよがり狂う康二が浮かび、俺の一物も最大限まで張り詰め少し痛いくらいだ。

「……めめ?」

眉根を寄せ軽く息を上げてジッと康二を見つめる俺に康二は枕の上でちょこんと首を傾げ、その目はどこか期待に満ちていて康二も強い刺激を欲していた。

「……康二、いっぱい気持ちよくしてあげるからね」

「……うん」

康二が頷いた後、俺は康二の両脚を開き、我慢汁を纏った康二の裏筋を舌の表面でゆっくりと舐め上げる。

「んぅ、ッツ!!」

康二が両手で口元を押さえ、体を仰け反らせた。

見える喉仏の先がなんだかエロい。  

「………」

初めて口にしたカウパー液はしょっぱく、もちろん決して美味くはないが、これが康二から放たれているものだと思うといくらでも飲み干せた。

「あっ、あぁっ…!んっ、う、やッ、はぁぁ…っ!!」

続いて尖った先端をくるりと一周舐め回してやると、康二の感じる声がさらにはしたなさを増し、俺は軽く口を窄めて康二の鬼頭に吸い付いき、そのままぢゅぼっと音が鳴るくらい引っ張り上げ、さらに俺の口内の奥深くまで咥え込むと康二の腰が跳ね、俺の頭を両手で押さえつけた。

「ッ!」

それにより、康二のペニスが俺の喉奥に当たり、俺は息が苦しくなる。

だけど、康二に支配されているような感覚に心が高揚し、俺は実はMっ気があるのかもしれないなとふと考えながら、舌の表面で裏側をたくさん擦ってやると康二はそれに悦び、自ら腰を振った。

「めめぇっ……!!ぁんっ、いいッ、気持ちぃいッ! 」

好きな人の感高い声と淫気、痴態に当てられ、俺もなんだか気が狂いそうになる。

「……?」

俺はもっとよがり狂う康二の姿が見たくて、このままフェラで一度康二をイかせようとバキュームを繰り返そうとするのだが、俺の頭に当てていた康二の手がそれを止めた。

「ハァっ……おれっ、イくんはめめと一緒がええねん」

吐息を上げながら、焦点の合わぬ目で見つめられ、さらに可愛いことを言うこの男は本当に淫乱の小悪魔だ。

しょっぴーもきっと、毎晩この悪魔に性を吸い取られていたに違いない。

エッチで俺を翻弄する康二を逆に組み敷いて、声が枯れるほど泣かせてみたいが、二人の初夜だ。

やはり俺は康二を大切に扱いたいという理性の方が僅かに勝る。

「……じゃあ、後ろを慣らすからもう少し我慢してね」

康二の陰茎から口を離し、俺は枕元に飾られた康二との写真の隣に置いてあるクリームを手に取り適量を掌に出し、温める。

これは康二が俺を好きなことを察し、変な気を利かせたラウールからの贈り物だ。

『康二君とのあっ、つっ〜い夜に使ってね♡』

というメモを先程帰ってきて、着替えの際に見つけた時は思わずクリームをゴミ箱に投げ捨てようとしたが、もしかしたら今夜康二と……なんて僅かな期待が頭に過ぎり捨てるのは思い止まった。

もちろんメモの方はクシャクシャに丸めて容赦なく捨てた。

「ん……」  

俺は滑り気のあるクリームが体温と同じくらいになったのを感じ、右手の人差し指に纏わせ先ずは康二の入り口の周りに塗り込んで行く。

「っ…」

「……ん?」

久々であろう康二の秘部をゆっくり解さねばと、少しずつ指を中に侵入させようとした時、俺は僅かな違和感を感じた。

「康二。あのさ、変なこと聞くけど……」

「……なに?」

康二も俺の言いたいことを察したのか、なんだか少し気まずそうだ。

「えと、後ろってこんなにキツいものなの?普通はもっとこうさ……」

俺は言葉に詰まる。

そうだ。
これは俺の想像上だが、普通男同士でsexをしていたなら、穴の周りがもっとこう緩くなったりするんじゃないかと思う。

しかし、康二の恥部はキュッと締まっていて……

「…………俺な、こっち使ったことないねん」

「へ?」

目を逸らして小さく呟く康二に俺は最初聞き間違えたのかと思い、間抜けな声が漏れ、現状を理解出来ていない俺に康二が真っ赤な顔で声を上げる。

「だから、そこは使ったことないって言うてるんや!」

「えぇ!?つまり……つまり?」












「……つまり、え〜と、康二は受けじゃなくて攻めってこと?」

康二が翔太君に挿れる方であったなら、俺はこのまま先に進んでもいいのだろうかと深刻に悩んだが、どうやらそれは見当違いだったようで、ここに来て変なところで康二の関西の血が騒ぐ。

「ちゃうわ!!……あのな、めめ。俺、しょっぴーとはお互いのを触り合ったり、素股とかしかしたことないんや」

途切れ途切れに言葉を紡ぐ康二を俺はきっと、信じられないようなものを見る目で見ているのだろう。

康二の複雑な表情ですぐに分かった。

「……なんで?」

俺は純粋に首を傾げる。
謎だ。謎にも程がある。

「……なんでって?」

「いや、好きなら普通ヤるでしょ。翔太君が男同士のsexに嫌悪感があったとか?」

しょっぴーの話を俺にすることに抵抗があるのだろう康二は俺に話してもいいとなのか慎重に考えながら、話し出す。

「初めてする時に俺がめちゃくちゃ痛がってから、しょっぴーが俺には痛い思いも辛い思いもさせたくないし、康二には無垢な姿でいて欲しいって言い出して……」

「…………」

ジュニア時代、遊び人で割と有名だったあの男が恋人を前にしてヤらないだと?

康二をそこまで神聖化する程、愛していたのか。

そして、そんじょそこらの女よりもドエロい康二を前によくもこれまで手を出さずにいられたもんだと俺は翔太君に尊敬すら覚える。

そして、感謝した。

「要するに康二は……処女?」

「……その言い方はなんか嫌やな」

「………………俺が初めて?」

「そーやで、だからめめ、ちゃんと優しくしてやー」

眉根を寄せ、口をへの字にして抑揚なく話す康二に俺の熱は一気に向上、脳内が大爆発する。

「もちろん康二に優しくしたいけど、もう流石に俺のここも限界だよ」

初めての康二のお尻に俺の大きな竿を挿れるなら、予想していた以上にもっと長い時間をかけなければならないだろう。

「……めめのすごい」

「んっ、こーじ……ッ」

だが、康二の淫らに乱れた姿に俺のモノはもうこれ以上ないくらいギンギンで正直キツく、情け無いが康二に現状を白状するしかなかった。

康二の手を掴み俺の勃起したものを触らせると、康二は惚れ惚れとソレを撫で、さらに絶妙な力加減で玉を揉まれ気持ちよさに思わず声が漏れる。

「めめ、正直でかわええな。

……じゃあ、一回イっとこか」

「…ふっ」

俺の感じる表情に康二は満足気に微笑み、枕元からゆっくりと起き上がって俺にキスをする。

熱に浮かされた俺は康二に唇、舌、口内をされるがままに身を委ねた。

康二はゆっくり、ねっとりと俺の舌に自身の舌を絡ませ、俺のワイドパンツの中に手を差し入れ、康二の骨ばった手が俺のいきり立つ男根を慰めていく。

「あッん、こ、じ…ッ!!」

「ん……」

康二の女性よりも遥かに大きな手に包まれ、強弱をつけて上下に扱かれ、さらに我慢汁でぬめった鬼頭を手のひらで軽く擦られて俺は今まで受けたことのない快感に自分でも聞いたことのない高い声を上げる。

康二の前で女のように声を上げても別に羞恥心は無かった。

なぜなら、 

「こうじっ……俺っ、もう!!イくっ———」

「ふっ……」

視線が絡み合った康二が俺すらも知らない、
俺の一面を目の当たりにし、心底嬉しそうだったからだ。

「アッ、ちょっと…!」

ドクドクと俺のペニスが脈打ち、康二の手の中に溜まりに溜まった俺の精子を吐き出す。
最後の一滴まで絞り出すように鬼頭を軽く握られ、俺の腰が引けた。

「めめ、スッキリしたか?」

「う、ん……まぁ、っ、」

俺のパンツの中から手を引いた康二の手は少し黄色みのかかった俺の子種によりベトベトで、康二はその手を自分の顔の前に持って行き、指を開いて卑猥なソレをわざわざ俺に見せつけ、悪戯っ子のように微笑み首を傾げながら綺麗に舐め取っていく。

スッキリしたはずが、スッキリさせた本人がまた俺の体の熱を上げる。

「めめ俺、まだイってないで?早く触って、な?」

唯一纏ったシャツをわざとはだけさせ、スラっとした両脚を開き、己のモノを見せ付ける犯罪級な恋人に俺は完全に脱げ出すことは不可能な沼に堕ちたのだと、心の中で歓喜の声を上げた。

続く
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