さぁ、今こそ!



「はぁっ、んぅっ!め、め苦し……!!」

「ん……」

腫れてしまうのではないかというくらいめめに何度も唇を吸われ、その後は舌が千切れそうなほど、口内をめめの熱い舌に蹂躙されては人生で初めての刺激に頭がクラクラする。

呼吸のタイミングがわからない俺は酸欠状態となり、めめから逃れようとするも、腰と頭にしっかりと腕を回され、めめからちっとも離れることが出来ない。

「ふぅ!ハァっ、ハァっ……めめ」

「……すごいエロい顔してるよ」

俺の限界を察しためめが俺の口内から荒々しく舌を抜き取り、どちらとも言えない唾液で塗れた俺の口の周りを手で優しく拭ってくれる。

その姿は先程まで大胆なキスを仕掛けた人物とは思えないほどで、俺は優しく微笑むめめに胸が大きく締め付けられた。

「めめ……体が熱くて堪らへん」

「…………」

めめとのキスで熱った体が解放を望み、俺は羞恥心も忘れてめめの首に腕を回し抱き付く。

こんな感覚はライブツアーの最中にしか感じたことがなく、その時ばかりは俺もめめをおかずに自慰をするが、今はそれ以上に心も体も強い刺激を求めている。

「めめ、お願い……早く俺を抱いて」

「…………」

掠れる声で俺が必死で懇願するもめめから返事は返ってこない。

……俺との触れ合いでめめのモノも二人の腹の間で反応しきっていることはわかっているのに。

「めめ!なぁ、なんか言って!!」

「……あんまり俺を煽らないで」

低く呟かれた声に俺がめめの表情を伺うと、

「え……」

「……こっち見んな」

そこには眉根を寄せ、顔を真っ赤にして前髪を掻き上げ俯くめめの姿があった。

「な、なんでそんな顔、っくしゅん!!」

俺から顔を逸らすめめを問い詰めようと、めめの顔に両手をあてた瞬間、肌寒さに体が震え、くしゃみが出る。

「……もう秋だし、山の中は寒いね。康二、俺にしっかり捕まって」

「ほぇ?うわっ!」

あぐらをかいた姿勢から、めめは俺を抱え軽々と立ち上がる。

いきなりのことに驚いた俺は落ちないようにめめにしがみ付き、それにより密着した上半身が心地よく、めめともっと互いの体温を共有したいと思った。

「…………」

「あったかい……」

露天風呂に向かっためめは俺を抱えたまま静かに腰を下ろし、少し熱めの湯船が体に馴染んでいく。

俺が温泉の気持ちよさに浸っていると、

「やぁッ!? 」

めめが突然体に巻いたタオルの上から、俺の勃ち上がった陰茎に手を伸ばす。

「まずはここの熱を解放してあげよっか」

「あッ、ふぅ、あぁっ……!!」

これまで自身でしか触れたことのない場所をめめの大きな手でゆっくりと丁寧に扱かれ、俺の体は大きく仰反る。

初めて漏れる感高い声は本当に自分のものなんかと思うほど、俺はめめから与えられる刺激に悦びの声を上げた。

「っ、康二気持ちいい?」

「んぅっ!ああっ…!!気持ちいい!!」

上下に動いていた手が今度は先っぽの形を入念に確認するように動き、さらにめめから断続的に贈られる強い刺激に俺は気が狂いそうになる。

「はぁ、康二っ……」

「めめ!お願い直接触って!!」

誰かに触ってもらうのがこんなにも気持ちいいなんて。

俺の熱に浮かされためめは快感でよがる俺をジッと見つめ、そんなめめの視線に再度やられた俺の体はもっと、もっとと強い刺激を求めてはめめの逞しい体に縋る。

「一回イかせてあげる」

俺のお願いにめめは湯で張り付いたタオルを捲り、俺の竿を直に強く扱いていく。

それだけではなく、親指の腹で尿道を擦られれば感じたことのない衝撃に俺の意識が何度も吹っ飛ぶ。

「やぁッ!ふぁっ、ンンッ!!……あァッ!

——めめっ、イっちゃ……!!」

「こ、うじ……!」

バシャバシャと湯船が音を立てるほどにめめは俺の逸物を攻め立て、脳天が痺れるような快感に俺は訳もわからず、ただただ、めめの名前を必死で叫び、めめに強く抱きつくことしか出来へん。

さらには口からはしたなく涎を流し、そんな俺の姿を食い入るように見上げるめめに

——もう、早く心だけでなく、この体も奪ってもらいたかった。





「ハァっ、ハァっ、ハァっ」

「康二、イっちゃったね」

これまでに感じたことのない絶頂に自分の体を支える事が出来ず、俺はめめにしなだれかかる。

そんな俺を愛しむようにめめは俺の顔にたくさんのキスの雨を降らせていく。

俺の脳内はめめと肌を合わせることを事前にわかっていたものの、実際その時が来てみれば全くついていくことが出来ず、正直なにもかもがいっぱいいっぱいやった。

湯船には俺が吐き出した卑猥なものが浮かび、好きな人の手でイかされたという事実、めめと触れ合い上がって行く体温、少し熱めのお湯が俺の脳を沸騰させ……

「やばい……クラクラする」

「え?ちょっ、康二!!」

俺の意識はプツリと途切れる。








「う、ん……」

おでこにあたる冷たい感覚に重たいまぶたを開く。

「あ、康二大丈夫?」

見慣れぬ広い天井によく見慣れためめの顔が視界に入り、俺は安心する。

「……すまん。俺のぼせてもうて」

「俺こそごめん。なんか康二にたくさん無理させちゃったかな……」

俺が額に乗せられた冷たいタオルに手をあて、申し訳なさそうに謝れば、めめは俺以上に申し訳なさそうで、その姿に俺は居た堪れなくなる。

「……無理なんてしてへんよ。めめなんか飲むもんある?」

「あ、うん」

やんわりと微笑む俺にめめは驚いた顔をし、蓋を開けて冷たいポカリを差し出す。

——熱を帯びた体を潤す、サラッとした冷たい液体。

やけど、そんなものに俺が満たされるわけもなく、俺が欲しているのはもっと濃いドロっとした熱く白いめめの……

己の体内に入り込んだめめの唾液の味、そしてめめの汗の香りを知り、俺の体はめめの全てを望み、渇望していた。

「なぁ」

「ん?」

しかし、脱水で倒れた体はまだ気だるい。
今めめに行為を強請れば確実にまた倒れる。

「俺の隣で寝てくれへん?」

「いいよ、おいで」

遠慮がちに俺が問えばめめはふわりと微笑み、広いベットの俺の横に寝そべり、シーツに右腕を伸ばした。

「……お邪魔します」

俺が用意した浴衣を着て、がっしりと筋肉のついた腕に俺を誘うめめの妖艶な姿に俺は無意識に唾を飲む。

……早くめめに抱かれたい。

「ゆっくり寝な」

「……夜はちゃんと俺を抱いてくれるん?」

めめの腕に頭を乗せれば、お互いの吐息があたる距離へと近付き、俺の胸の音がめめに聞こえてるんじゃないかとドキドキした。

「康二が元気になったらね」

だから、今はお休み。

「……おやすみ、めめ 」

やんわりと微笑み、俺の額にキスをするめめに俺はこの上ない幸せを感じた。





熱い、熱い……
体が熱くて堪らへん。

こんなにも熱いのは酒のせいでも、ライブツアーで受けた何万人もの歓声や視線を浴びたからだけやない。

『体が熱くて熱くてたまらへん……

なぁ、お願いめめ。俺を抱いて』

『は…………』

体をなにかが這うような感覚に俺に背を向けためめを押し倒し、あろうことか俺はベッドに倒れこんだめめに跨り”とんでもないお願い”をする。

薄暗い室内で見たことのない顔で驚くめめがおかしくて、その整った顔をもっと崩してみたいと思った。

『俺、今すごくめめに抱かれたい』

『…………』

俺の首を傾げる姿にめめは眉根を寄せ、俺のぷくりと膨れ上がった乳首に手を伸ばす。

『あっ、ん!!』

『……すげぇ、エロい』

大好きな人から与えられた甘美な刺激は俺の体全体に電流を流し、初めて感じるなんとも堪らないその気持ち良さにそれはもう癖になりそうやった。

『めめ、もっと』

『一応確認するけど、俺が康二を抱いてもいいんだよね?』

俺が吐息を吐き出せば、めめは俺を押し倒し、逃げられないように俺の両手に指を絡めて、シーツに貼り付けた。

唇と唇が触れる寸前で俺の目を見て問うめめに俺はうっとりとし、素面なら絶対言わないような言葉をベラベラと吐き出す。

『……うん。俺な、自分でする時はいつもめめとエロいことしてんの想像してするんやで。せやから、俺の初めてをめめに奪って欲しい』

『はっ、なに言ってんの……お前ヤバすぎ』

『めめ、早く触って』

俺の言葉に顔を真っ赤にするめめをもっと掻き乱してやりたくて、俺はふわりと微笑み小悪魔を装う。

悪魔の誘惑に落ちてしまった目の前の生真面目な男は

吸い寄せられるように俺の唇に己の唇を重ねる。

俺は長いことめめとキスすることを夢見てた。








「……俺は欲求不満か」

夢の中と同じようにライトの落とされた室内。
もうじきめめに抱かれるというのに夢で見るほど、めめとの行為にどれだけの期待を抱いているのかと自分に呆れてまう。

「すぅ……」

「…………」

体を何度も綺麗に洗った後、外の寝湯でも穴が空くんじゃないかというほど眺めためめの綺麗な寝顔。

今日はめめと恋人同士のように手を繋いで、絶景を見て、キスをして

……こんな日が現実に訪れるなんて夢にも思わなかった。

頭の下にある腕と腰に回された手に胸が高鳴る。

「めめ……」

めめ越しに見える外は薄暗く、秋になり日が沈むのも早くなった。

うっすらと生えた髭が愛おしく、俺がその硬い感触を楽しんでいると、

「……もう大丈夫そうだね」

ゆっくりと目を開いためめは目を細めて笑い、その姿に俺の口角も自然と上がってゆく。

オレンジの世界は終わりを告げ、次に来るのは漆黒の世界。

「…あぁ。準備は万端やで」

待ち侘びためめとの夜がやって来る。


 





「なにこれ!めっちゃ美味そうやん!」

「山の幸、海の幸のフルコースすっげぇ贅沢!」

地元の朝採れの新鮮な野菜が使われた、いくつもの前菜は小さな硝子の小鉢に入っており、赤、緑、黄色、紫と見ための色鮮やかさはまるで俺たちのグループを連想させる。

さらに秋を感じる松茸と鱧の土瓶蒸し、地元の和牛とフォアグラのアンサンブル、のびると銀杏のかき揚げ、魚は俺たちが好きな刺身を何点か盛ってもらい、締めは栗の炊き込みご飯、デザートは柿をまるまる器として使用した柿のババロア。

メニューの中にある食べたいものを好きなだけ注文出来るという夕食のプランはこのオーベルジュの中で一番高いプランで、頼みたいだけ頼んだ料理のクオリティーの高さに俺とめめのテンションは爆上がりや。


『めめと早くシたい……』

『ここは夕食が一番すごいんだ。

性欲は睡眠欲、食欲が満たされた後に解消するのがベストじゃない?』

眠りから覚めた後、とうとうめめとSEXを……なんて思い、心をはやらせた俺がめめに抱き付き、お願いすればめめはクスッと笑って俺にお預けを宣言する。

『…………』

『お腹が空いたらエッチに集中できないでしょ?』

この時の俺は正直食欲よりも性欲の方が勝り、いつまでもめめの手のひらで転がされ、ジレンマが募っていたんやけど、テーブルいっぱいに出された豪華な夕食を見て目を見張った。


「めめ、見てみて!お酒もたくさん選べるんやて! 」

めめがこの旅行にいくらかけているのか、予想もつかないが料理のメニューと一緒に書かれた酒は日本の銘酒だけではなく、海外のものまで数知れず。

久々の休みやし、めめもなんか飲む?と上機嫌に問う俺にめめの表情が険しいものへと変わる。

「あっ、康二。この旅行中お酒は禁止ね」

「あっ、はい。すんまへん」

めめにまじまじとした顔で言われ、去年のライブツアーの最中に俺は泥酔してめめにホテルまで送ってもらったという話を思い出し、めめに頭を下げた。

そん時の記憶は全くないが、そういえばさっき夢で見ためめと俺の格好はその日と同じだったような、違うような……



「星空が見える温泉っていいね」

「ずっと入ってられるな……」

オーベルジュのメインの目的である食を二人きりで楽しんだ後は山奥でくっきりと見える無数の星を眺めながらめめと温泉に浸る。

「さっきは倒れたのに?」

「それはめめがっ……!」

せっかくのロマンチックな空間でめめに茶化され、その瞬間を思い出し照れた俺は勢い余って立ち上がる。

「…………」

「………ごほん」

湯船から現れた俺の下半身をマジマジと見つめるめめに俺は咳払いをし、静かに湯船へと体を沈めた。

「ふっ、隠さなくていいのに

これから康二の全てを見せてもらうんだから」

「ッツ……!! 」

湯の中で緩やかに俺の尻を撫で、尻穴に軽く指を食い込ませためめは意地悪く微笑む。

その姿は暗い世界の中で獲物に目を光らせる、まさに夜の狼。

——その時は来た。
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