デビュー十年目
※オリキャラあり
目「はぁ、っ……!!
ごめん、康二もう勃たない……っ」
「いややっ、めめ!まだ、やぁっ、ん……!!
……こんなんじゃ全然足らへんっ!!」
めめの額からポタポタと流れ落ちる汗と俺の頬を伝う涙が混ざり合う。
歯を食いしばり苦しげに俯くめめに俺が泣きじゃくれば、めめの表情がさらにクシャッと歪む。
目「……俺が康二の気の済むまで舐めてあげるから」
小さくなっためめのモノが緩み切った俺の尻から抜き取られ、めめは俺の精子でビショビショになったものを綺麗にするように腹、玉、尻の穴へと隅々まで舐め取っていく。
「はっ……ア、アンッ——!!」
そして、めめの舌先が大きく勃ち上がる陰茎をなぞり、天を向く先っぽを口に含んだ瞬間。
俺はめめの口内で何度目かわからない絶頂を迎える。
目「…………」
弓形となる俺を情欲を含んだ目で見つめ、めめはもうほとんど出なくなった俺の精子を一滴すら余すことなく、しっかりと吸い出す。
俺はそんな終わりのない欲望から救ってくれる、この世で一人しかいない愛しい人物の視線を縋るように見つめ返すことしか出来ず、
「……めめっ、お願い抱いて!!こんなんじゃ満足出来ひん……!!」
目「……こんな時に言うのはずるいって思う。
けど、康二は俺を選んでくれる?」
一週間触れられなかった恋人の熱を小さな子どものように泣き喚きながらも必死で求め、
「あっ、う…蓮っ、俺は………!」
黒い瞳の中に俺だけを写すめめの視線を遮るように
静かに目を閉じた。
「社長、向井です」
「入れ」
二回ノックをすれば中から重圧のある低い声が返って来て、背筋が無意識に伸びる。
「失礼します」
目「康二、待ってたよ」
「え、なにこれ?なんの集まり?」
佐&阿「…………」
開いた社長室のドアの先には俺を呼びつけた社長の姿だけではなく、俺の恋人であるめめやマネージャー、そしてさっくんやあべちゃんの姿があり、場の空気はなんやか唯ならぬ雰囲気やった。
そんな中、俺はただ一人、ニッコリと微笑むめめに何か良からぬものを感じて息を呑む。
「……向井も座れ」
「は、はい」
社長にソファーに座るように促され、俺は空いているめめの隣に浅く腰掛けた。
はて、向かいに並んでいるさっくんとあべちゃん、そして社長の後ろに並ぶマネージャーの表情は強張っているのに、なぜ俺の隣に座るめめだけはこんなにも生き生きとしてるんやろか……。
「(まぁ、このメンバー的に呼ばれた理由はアレやろな……)」
「向井、お前目黒と交際しているのか?」
俺が複雑な表情で隣にいるめめを見ていると、社長から確信に触れた質問が飛んでくる。
「は、はい。……タイから帰国後目黒と付き合ってます」
「で、佐久間と阿部も交際を始めたと?」
阿&佐「はい」
「(なんや、二人も付き合うことにしたんか、良かったなぁ〜)」
両手を顔の前に重ね、ジッとこちらを見て問いかける社長に俺は背筋を伸ばして、答え、同じ質問にさっくんとあべちゃんも社長の鋭い視線に臆することなく、社長を見据えて返事をする。
どうやらあの一件から二人もめでたく結ばれたらしく、俺は心の中でガッツポーズをし、社長の後ろにいるマネージャーも云々と頷き二人の交際を喜んでいた。
「「…………」」
そして、時が止まり再び重たい空気が流れる。
「……現在、事務所の方針では交際と結婚は個人の自由としている。しかし、お前たちはメンバー同士、そして男同士だ。それを今公にしたいとなると話は別だ」
「(あれ?もしかして俺の知らない間に話が進んどる……)」
目を伏せ語る社長に俺は首を傾げ、隣にいるめめをチラッと盗み見れば、やはりそこにはどこか楽しそうなめめがいて……
「もし、認められないと言ったらどうする?」
社長の問い掛けにめめは
目「俺たちはグループを脱退します」
阿「そして、LGBTQを日本だけじゃなくてもっと世界に広めていく」
佐「新たなグループを立ち上げます」
「……うんうん」
その話を今初めて聞く俺の頭には『?』が浮かび、さっくんが自信満々に言い切った後にようやく話の内容の理解が追いつき、それに驚いた俺は間抜けな声を出して立ち上がる。
「は、はぁーっ!?!?!?!」
「なんだ、向井は聞いていなかったのか?」
口をパクパクさせて呆然とする俺に部屋にいる全員からの視線が集まる。
「脱退するって、ど、どういうことやめめ!!」
目 「康二も世間に俺たちの関係を公表しようって言ってくれたじゃん」
俺はめめの両肩を掴み、体を揺らして問うとめめは眉根を寄せ低い声で呟く。
「公表しようとは言うたけど、公表出来ないならグループを脱退するとまでは言うてへんやろ!?」
目「だって、メンバー同士の恋愛は世間に公表出来ないって社長が」
「なんだ、なんだ仲間割れか?」
社長がいるにも関わらず、大きな声を上げる俺にマネージャーは冷や汗を流し、あべちゃんとさっくんはオロオロしだす。
しかし、当の社長は揉め始めた俺とめめを見てなんだか楽しそうや。
「めめっ、なんでこんな大事なこと俺に話さずに社長に言うたん!?」
目「なんでって康二は俺と同じ気持ちじゃないの……?」
ただ一人状況について行けない俺の頭にはただただ”脱退”という二文字だけが残り、一気に焦りや不安の感情に苛まれ、目には涙が滲む。
こういう時は一番に支えてくれる存在であるはずの恋人であるめめが、今回は俺を動揺させるそもそもの元凶やなんて……!
「俺はSnow Manを脱退しとうない!あべちゃんもさっくんも自分らの恋愛のためならグループを捨てられるんか!?」
佐「俺は残りの人生を亮平と悔いなく生きていくって決めたから」
俺を真っ直ぐに見上げて返答するさっくんにはなんの迷いもない。
そして、
阿「俺もやっぱり大介と堂々と交際したいし、大介は俺だけの人だって全世界に知らしめたい」
佐「亮平……」
「っ……うわっ!??」
あべちゃんは隣にいるさっくんの左手を握って、その手の甲に口付けをする。
あべちゃんらしからぬ男らしい言動にさっくんだけじゃなく、外野の俺までその光景に見入っていると、左腕を急に強く引っ張られ体が大きくそちらに傾く。
目「……二人はああ言ってるけど、康二は違うの?」
「めめっ、急に引っ張ったら危ないやんか!
…………俺はちゃうで」
ソファーの背もたれを咄嗟に掴むことで、めめにダイブするのをなんとか回避した俺はあべちゃんに嫉妬し、至近距離で怒りを含んだ眼差しでこちらを睨むめめを負けじと睨み返してやる。
目「……それは、康二の中で俺が”一番”じゃないってこと?」
「……俺やってめめを世界で一番に愛してる。
でも、そやからといってSnow Manを脱退するんはちゃうねん」
めめから放たれた言葉に俺の目尻が急激に熱くなり、一筋の涙が頬を伝い、それに呼応するようにめめの表情も切なく歪む。
目「……ごめん。康二を泣かせたかったわけじゃないんだ」
「…………っ、すいません、失礼します!!」
佐「康二!!」
阿「大介、行っちゃダメだ」
めめに優しく涙を拭われ、その手の温もりに感情がひっちゃかめっちゃかとなった俺は堰を切ったように社長室から逃げ出す。
そんな俺をさっくんが追いかけようとするが、あべちゃんがすぐさまそれを止めた。
「(あべちゃんもさっくんもほんまにSnow Manを脱退する気なんや……!)」
俺は両目を手で押さえ、行く当てもなく事務所の中を走り抜ける。
「おっと」
「すんまへん……っ! 」
途中誰かにぶつかってしまったが、泣いている顔を見られるのが嫌で、簡単な謝罪をしてその場から急いで離れる。
「康二……?」
めめside
「さて、向井は泣いていたが本当に脱退するのか?」
康二がいなくなった社長室で社長はさぁ、どうする?とまるでゲームを楽しむように笑い俺に問いかける。
「これまでグループの繁栄のためにどんな仕事も断らず、倒れてでも死に物狂いでやって来ました。
ここまで頑張れたのは俺の心の中に常に”向井康二”がいてくれたからです。
俺には康二の存在が必要不可欠だし、康二のいない人生にもうなんの価値もありません。
これからも康二と同じ時間を共有していくにはやっぱり世間に付き合っていることを隠したくないんです。ファンのためにも、そしてなにより俺と康二の幸せのためにも。
公表を認めてもらえないなら、俺はSnow Manを辞めます。……例え康二がそれを反対したとしても」
真っ直ぐに社長を見つめ、揺るがない意志を伝える。
俺がグループを大切に思っていたのは間違いなく、Snow Manの中に康二がいたからだ。
彼がSnow Manのメンバーになるまでにどれだけ血反吐を吐くような努力をし苦悩していたか、そしてそれを生かして今はSnow Manの一員として様々な分野で活躍を遂げている。
——それは康二が『Snow Man』であるからこそ。
俺は康二が宝物だと思っているSnow Manというグループのメンバーとして常に康二の隣に並んでいたかったし、グループが有名になっていくことに康二が花が開いたような笑顔で喜べば俺だってつられて笑顔になる。
康二と出会ってから俺の全ては向井康二を軸に回っている。
……だから、康二と付き合っていることを世界に認めてもらえないのならば、Snow Manのメンバーでいることはただの足枷でしかない。
阿&佐「…………」
俺の言葉にあべちゃんと佐久間くんも頷く。
正直紆余曲折あって結ばれ、互いの指を絡めあいながら頷く二人が羨ましかった。
「お前たちには申し訳ないが、この件はSnow Manだけじゃなく事務所全体に関わることだ。一旦保留とさせてもらう。いいな?」
佐「はい、もちろんです 」
阿「色良い返事をお待ちしてます」
見つめ合う二人には強い絆が感じられ、二人が階段の踊り場で抱き合っていた若き日を思い出す。
遠回りはしたが、二人はいずれこうして結ばれる運命だったのだろう。
……でも、もしかしたら俺と康二の愛はグループを超えられないのかもしれない。
「では佐久間と阿部は解散」
阿「はい」
佐「失礼します」
「あべちゃん、佐久間くん明日からのニューヨークよろしくね」
二人で手を繋ぎ、丁寧にお辞儀をし退室する佐久間くんとあべちゃんを俺は笑顔で見送る。
阿「うん。また明日ね」
佐「お先!」
三人でアイコンタクトをし、二人が退室すれば社長は俺を見て大きな溜息を吐く。
「……まさかホワイトパーティの前日のこのタイミングをあえて狙ったのか?」
「いや、たまたまですよ。俺と康二が恋人同士になったのは最近ですし。そして、俺らが招待されたのはバンコクの方じゃなくてニューヨークのビリオネアが主催するパーティ」
ホワイトパーティとはパーティ文化のある欧米などでよく開催されていて、全身白のドレスコードが指定されているパーティだ。
今回は一昨年に俺が主演し、数々の賞を受賞した映画の監督で、日本のみならず世界で活躍する映像界の巨匠と呼ばれる街風大和(つむじ やまと)氏から直接招待状が送られ、俺、康二、あべちゃんと佐久間くん、ラウール、そしてマネージャーの六人が参加することになった。
主催はニューヨークのセレブであり、主演する映画は誰もが一度は見たことのある世界のトップ女優のベル•ミレンだ。
ベルと街風氏はベルが幼い頃から交流があって、さらにベルは街風氏の影響で新日家としても有名で、ミレンが行うパーティは世界のどんな上位のセレブでも中々出席することが出来ないのだが、俺の演技や近年のSnow Manの世界的な活躍を街風氏に注目され、そこから世界のトップが集まる”宴”にお呼ばれされた。
この揺るぎない事実が俺がSnow Manを脱退してもこの先の人生に置いてなんの支障もないという最強の切り札になっている。
そして、タイのバンコクで年末年始に開催される「ホワイトパーティ・バンコク」はタイ国内最大級のLGBTQ+向けの音楽ダンスパーティで、世界五十カ国以上、二万人を超える人々が白の衣装を身にまとい参加し、名立たるDJやアーティストが新年を祝い全世界から注目されている心踊る圧巻のショーだ。
……タイといえば、康二。
そして、LGBTQを広めて行きたい俺たちにまさに相応しい場であると思っている。
「世界を味方につけるとはとんだ策略家だな」
ここに来てから康二の前以外、笑を絶やさぬ俺に社長とマネージャーは苦笑いをする。
「俺は康二と添い遂げるためなら、運も縁もタイミングも全てを味方につけます」
康二と二人で幸せになる準備はもうとっくに出来ている。
——あとは康二が俺に全てを委ねて、俺の胸の中に飛び込んでくるだけ。
続く
目「はぁ、っ……!!
ごめん、康二もう勃たない……っ」
「いややっ、めめ!まだ、やぁっ、ん……!!
……こんなんじゃ全然足らへんっ!!」
めめの額からポタポタと流れ落ちる汗と俺の頬を伝う涙が混ざり合う。
歯を食いしばり苦しげに俯くめめに俺が泣きじゃくれば、めめの表情がさらにクシャッと歪む。
目「……俺が康二の気の済むまで舐めてあげるから」
小さくなっためめのモノが緩み切った俺の尻から抜き取られ、めめは俺の精子でビショビショになったものを綺麗にするように腹、玉、尻の穴へと隅々まで舐め取っていく。
「はっ……ア、アンッ——!!」
そして、めめの舌先が大きく勃ち上がる陰茎をなぞり、天を向く先っぽを口に含んだ瞬間。
俺はめめの口内で何度目かわからない絶頂を迎える。
目「…………」
弓形となる俺を情欲を含んだ目で見つめ、めめはもうほとんど出なくなった俺の精子を一滴すら余すことなく、しっかりと吸い出す。
俺はそんな終わりのない欲望から救ってくれる、この世で一人しかいない愛しい人物の視線を縋るように見つめ返すことしか出来ず、
「……めめっ、お願い抱いて!!こんなんじゃ満足出来ひん……!!」
目「……こんな時に言うのはずるいって思う。
けど、康二は俺を選んでくれる?」
一週間触れられなかった恋人の熱を小さな子どものように泣き喚きながらも必死で求め、
「あっ、う…蓮っ、俺は………!」
黒い瞳の中に俺だけを写すめめの視線を遮るように
静かに目を閉じた。
「社長、向井です」
「入れ」
二回ノックをすれば中から重圧のある低い声が返って来て、背筋が無意識に伸びる。
「失礼します」
目「康二、待ってたよ」
「え、なにこれ?なんの集まり?」
佐&阿「…………」
開いた社長室のドアの先には俺を呼びつけた社長の姿だけではなく、俺の恋人であるめめやマネージャー、そしてさっくんやあべちゃんの姿があり、場の空気はなんやか唯ならぬ雰囲気やった。
そんな中、俺はただ一人、ニッコリと微笑むめめに何か良からぬものを感じて息を呑む。
「……向井も座れ」
「は、はい」
社長にソファーに座るように促され、俺は空いているめめの隣に浅く腰掛けた。
はて、向かいに並んでいるさっくんとあべちゃん、そして社長の後ろに並ぶマネージャーの表情は強張っているのに、なぜ俺の隣に座るめめだけはこんなにも生き生きとしてるんやろか……。
「(まぁ、このメンバー的に呼ばれた理由はアレやろな……)」
「向井、お前目黒と交際しているのか?」
俺が複雑な表情で隣にいるめめを見ていると、社長から確信に触れた質問が飛んでくる。
「は、はい。……タイから帰国後目黒と付き合ってます」
「で、佐久間と阿部も交際を始めたと?」
阿&佐「はい」
「(なんや、二人も付き合うことにしたんか、良かったなぁ〜)」
両手を顔の前に重ね、ジッとこちらを見て問いかける社長に俺は背筋を伸ばして、答え、同じ質問にさっくんとあべちゃんも社長の鋭い視線に臆することなく、社長を見据えて返事をする。
どうやらあの一件から二人もめでたく結ばれたらしく、俺は心の中でガッツポーズをし、社長の後ろにいるマネージャーも云々と頷き二人の交際を喜んでいた。
「「…………」」
そして、時が止まり再び重たい空気が流れる。
「……現在、事務所の方針では交際と結婚は個人の自由としている。しかし、お前たちはメンバー同士、そして男同士だ。それを今公にしたいとなると話は別だ」
「(あれ?もしかして俺の知らない間に話が進んどる……)」
目を伏せ語る社長に俺は首を傾げ、隣にいるめめをチラッと盗み見れば、やはりそこにはどこか楽しそうなめめがいて……
「もし、認められないと言ったらどうする?」
社長の問い掛けにめめは
目「俺たちはグループを脱退します」
阿「そして、LGBTQを日本だけじゃなくてもっと世界に広めていく」
佐「新たなグループを立ち上げます」
「……うんうん」
その話を今初めて聞く俺の頭には『?』が浮かび、さっくんが自信満々に言い切った後にようやく話の内容の理解が追いつき、それに驚いた俺は間抜けな声を出して立ち上がる。
「は、はぁーっ!?!?!?!」
「なんだ、向井は聞いていなかったのか?」
口をパクパクさせて呆然とする俺に部屋にいる全員からの視線が集まる。
「脱退するって、ど、どういうことやめめ!!」
目 「康二も世間に俺たちの関係を公表しようって言ってくれたじゃん」
俺はめめの両肩を掴み、体を揺らして問うとめめは眉根を寄せ低い声で呟く。
「公表しようとは言うたけど、公表出来ないならグループを脱退するとまでは言うてへんやろ!?」
目「だって、メンバー同士の恋愛は世間に公表出来ないって社長が」
「なんだ、なんだ仲間割れか?」
社長がいるにも関わらず、大きな声を上げる俺にマネージャーは冷や汗を流し、あべちゃんとさっくんはオロオロしだす。
しかし、当の社長は揉め始めた俺とめめを見てなんだか楽しそうや。
「めめっ、なんでこんな大事なこと俺に話さずに社長に言うたん!?」
目「なんでって康二は俺と同じ気持ちじゃないの……?」
ただ一人状況について行けない俺の頭にはただただ”脱退”という二文字だけが残り、一気に焦りや不安の感情に苛まれ、目には涙が滲む。
こういう時は一番に支えてくれる存在であるはずの恋人であるめめが、今回は俺を動揺させるそもそもの元凶やなんて……!
「俺はSnow Manを脱退しとうない!あべちゃんもさっくんも自分らの恋愛のためならグループを捨てられるんか!?」
佐「俺は残りの人生を亮平と悔いなく生きていくって決めたから」
俺を真っ直ぐに見上げて返答するさっくんにはなんの迷いもない。
そして、
阿「俺もやっぱり大介と堂々と交際したいし、大介は俺だけの人だって全世界に知らしめたい」
佐「亮平……」
「っ……うわっ!??」
あべちゃんは隣にいるさっくんの左手を握って、その手の甲に口付けをする。
あべちゃんらしからぬ男らしい言動にさっくんだけじゃなく、外野の俺までその光景に見入っていると、左腕を急に強く引っ張られ体が大きくそちらに傾く。
目「……二人はああ言ってるけど、康二は違うの?」
「めめっ、急に引っ張ったら危ないやんか!
…………俺はちゃうで」
ソファーの背もたれを咄嗟に掴むことで、めめにダイブするのをなんとか回避した俺はあべちゃんに嫉妬し、至近距離で怒りを含んだ眼差しでこちらを睨むめめを負けじと睨み返してやる。
目「……それは、康二の中で俺が”一番”じゃないってこと?」
「……俺やってめめを世界で一番に愛してる。
でも、そやからといってSnow Manを脱退するんはちゃうねん」
めめから放たれた言葉に俺の目尻が急激に熱くなり、一筋の涙が頬を伝い、それに呼応するようにめめの表情も切なく歪む。
目「……ごめん。康二を泣かせたかったわけじゃないんだ」
「…………っ、すいません、失礼します!!」
佐「康二!!」
阿「大介、行っちゃダメだ」
めめに優しく涙を拭われ、その手の温もりに感情がひっちゃかめっちゃかとなった俺は堰を切ったように社長室から逃げ出す。
そんな俺をさっくんが追いかけようとするが、あべちゃんがすぐさまそれを止めた。
「(あべちゃんもさっくんもほんまにSnow Manを脱退する気なんや……!)」
俺は両目を手で押さえ、行く当てもなく事務所の中を走り抜ける。
「おっと」
「すんまへん……っ! 」
途中誰かにぶつかってしまったが、泣いている顔を見られるのが嫌で、簡単な謝罪をしてその場から急いで離れる。
「康二……?」
めめside
「さて、向井は泣いていたが本当に脱退するのか?」
康二がいなくなった社長室で社長はさぁ、どうする?とまるでゲームを楽しむように笑い俺に問いかける。
「これまでグループの繁栄のためにどんな仕事も断らず、倒れてでも死に物狂いでやって来ました。
ここまで頑張れたのは俺の心の中に常に”向井康二”がいてくれたからです。
俺には康二の存在が必要不可欠だし、康二のいない人生にもうなんの価値もありません。
これからも康二と同じ時間を共有していくにはやっぱり世間に付き合っていることを隠したくないんです。ファンのためにも、そしてなにより俺と康二の幸せのためにも。
公表を認めてもらえないなら、俺はSnow Manを辞めます。……例え康二がそれを反対したとしても」
真っ直ぐに社長を見つめ、揺るがない意志を伝える。
俺がグループを大切に思っていたのは間違いなく、Snow Manの中に康二がいたからだ。
彼がSnow Manのメンバーになるまでにどれだけ血反吐を吐くような努力をし苦悩していたか、そしてそれを生かして今はSnow Manの一員として様々な分野で活躍を遂げている。
——それは康二が『Snow Man』であるからこそ。
俺は康二が宝物だと思っているSnow Manというグループのメンバーとして常に康二の隣に並んでいたかったし、グループが有名になっていくことに康二が花が開いたような笑顔で喜べば俺だってつられて笑顔になる。
康二と出会ってから俺の全ては向井康二を軸に回っている。
……だから、康二と付き合っていることを世界に認めてもらえないのならば、Snow Manのメンバーでいることはただの足枷でしかない。
阿&佐「…………」
俺の言葉にあべちゃんと佐久間くんも頷く。
正直紆余曲折あって結ばれ、互いの指を絡めあいながら頷く二人が羨ましかった。
「お前たちには申し訳ないが、この件はSnow Manだけじゃなく事務所全体に関わることだ。一旦保留とさせてもらう。いいな?」
佐「はい、もちろんです 」
阿「色良い返事をお待ちしてます」
見つめ合う二人には強い絆が感じられ、二人が階段の踊り場で抱き合っていた若き日を思い出す。
遠回りはしたが、二人はいずれこうして結ばれる運命だったのだろう。
……でも、もしかしたら俺と康二の愛はグループを超えられないのかもしれない。
「では佐久間と阿部は解散」
阿「はい」
佐「失礼します」
「あべちゃん、佐久間くん明日からのニューヨークよろしくね」
二人で手を繋ぎ、丁寧にお辞儀をし退室する佐久間くんとあべちゃんを俺は笑顔で見送る。
阿「うん。また明日ね」
佐「お先!」
三人でアイコンタクトをし、二人が退室すれば社長は俺を見て大きな溜息を吐く。
「……まさかホワイトパーティの前日のこのタイミングをあえて狙ったのか?」
「いや、たまたまですよ。俺と康二が恋人同士になったのは最近ですし。そして、俺らが招待されたのはバンコクの方じゃなくてニューヨークのビリオネアが主催するパーティ」
ホワイトパーティとはパーティ文化のある欧米などでよく開催されていて、全身白のドレスコードが指定されているパーティだ。
今回は一昨年に俺が主演し、数々の賞を受賞した映画の監督で、日本のみならず世界で活躍する映像界の巨匠と呼ばれる街風大和(つむじ やまと)氏から直接招待状が送られ、俺、康二、あべちゃんと佐久間くん、ラウール、そしてマネージャーの六人が参加することになった。
主催はニューヨークのセレブであり、主演する映画は誰もが一度は見たことのある世界のトップ女優のベル•ミレンだ。
ベルと街風氏はベルが幼い頃から交流があって、さらにベルは街風氏の影響で新日家としても有名で、ミレンが行うパーティは世界のどんな上位のセレブでも中々出席することが出来ないのだが、俺の演技や近年のSnow Manの世界的な活躍を街風氏に注目され、そこから世界のトップが集まる”宴”にお呼ばれされた。
この揺るぎない事実が俺がSnow Manを脱退してもこの先の人生に置いてなんの支障もないという最強の切り札になっている。
そして、タイのバンコクで年末年始に開催される「ホワイトパーティ・バンコク」はタイ国内最大級のLGBTQ+向けの音楽ダンスパーティで、世界五十カ国以上、二万人を超える人々が白の衣装を身にまとい参加し、名立たるDJやアーティストが新年を祝い全世界から注目されている心踊る圧巻のショーだ。
……タイといえば、康二。
そして、LGBTQを広めて行きたい俺たちにまさに相応しい場であると思っている。
「世界を味方につけるとはとんだ策略家だな」
ここに来てから康二の前以外、笑を絶やさぬ俺に社長とマネージャーは苦笑いをする。
「俺は康二と添い遂げるためなら、運も縁もタイミングも全てを味方につけます」
康二と二人で幸せになる準備はもうとっくに出来ている。
——あとは康二が俺に全てを委ねて、俺の胸の中に飛び込んでくるだけ。
続く
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