ユメはない
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〜 847年 9月 〜
近頃はどうやら、涼しい日々が続いている。
「じゃあ教科書の29ページ、開いてね〜」
開けた窓から吹く風で、靡く髪を押さえながらそう言った。
今期入った子たちは、例年に比べて真面目な子が多そうだ。
黒や茶色、金色のつむじ達がしっかり私に向いている。
「(…板書なんて必死に取らなくていいのになぁ)」
壁の歴史を説明しながら、ふふっと笑いを漏らし、そう思う。
この子達に必要なのは、壁の歴史を学ぶことじゃない。
____________________…必要なのは、“真偽を見抜く眼”と実地訓練のはずだ。
それなのにまあ昼下がりの暖かい日差しと、満腹から迫り来る眠気によくも打ち勝てるなぁと1人微笑んでいると、視界に入った、真っ直ぐに挙がる手。
その手の主を辿れば、いつも通り、綺麗な“翠”とかち合った。
…あぁ、こういう事か。
私はその“翠”を見て、感じる。
彼らは確か、あの“惨劇の地”の子供達だ。
だから、だろう…。
「あぁ、質問かな…“エレンくん”?」
_____________________…その“翠”は、酷く眩しい。
《 ユメはない 》
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