本編
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▽池田屋
ちょっと目を離した隙にこれだよ……
天人と絡んで何やら揉めているのは、先程まで一緒にいた人物。
入隊して約2年近く経ち、俺の手助けなしでも任務を遂行出来るまで成長した――が、目を離すとすぐ何かしでかしている。
数日前から相次いでいる、連続爆破テロについての調査を一緒に行っていたはずだ。
助けに行くか、と進めた足を途中で止めた。
揉めているわけではなさそうだが、聞こえてきた会話が会話なだけに……
「もしや、おたくも大使館持ってんの?」
「俺のじゃねーけどな」
「おたくのじゃなかったら見放して故郷帰ったら?爆破でもしたら元も子もないでしょ」
「いやァ、それも考えてんだけどな。どうせなら錦飾って帰りてーなーって。そしたら親孝行にもなんだろ?」
「うっ……あんたイイ奴だ。親御さん大事にしなよ」
ツッコミどころ満載だな……
美緒ちゃんっていくつだったっけ?
まだ話に花が咲いている天人と美緒ちゃん。
聞いていたらキリがないので、話に割って入る事にした。
「あのーお話中すいませーん」
「あ、仕事中だった」
忘れてたんかい!
「お前大事な事忘れんなって。引き止めて悪かったな。仕事頑張れよ」
「おう、ありがとねー。親御さんによろしく」
なんで友情が芽生えてんだ!?
美緒ちゃんと天人は互いに手を振って別れた。
とりあえず戒めも込めて片方の頬を引っ張ったら、なにすんの!と睨まれた。
睨まれたところで怖くもなんともないけど。
「退は誤解をしている。あれは聞き込みだ」
「聞き込みって内容じゃなかった気がするのは俺だけか?」
「か、絡まれてた……そう、絡まれてた。あいつめぇ!」
「すっげー仲良く話してただろーが。凄い和気あいあいだっただろーが。あいつめぇ!じゃねーよ全く」
美緒ちゃんは俺の前に躍り出ると、両手を腰に持ってきて俺の顔を見上げた。
「あー。その顔信じてない顔だー。本当に絡まれてたんだって。真選組のくせに生意気なーとか言われてさ、大使館爆破されろって言ったらそれは困るとか云々」
情報を得られなかったんだから、聞き込みでも絡まれてたでも大差はない。
何言ってるか分かんねーけど、無事だったしいっか。
↓美緒視点↓
「戌威星の大使館か……狙う確率高いですね。なんせ地球に最初に来た天人ですから。さすが副長ともなれば目の付け所が違うときた」
「俺を誰だと思ってやがる。そこらのと一緒にするな。レベルがちげーんだよ」
得意げに言う副長をおだてる私。
そして、その傍らでアイマスクを着けて惰眠を貪る沖田隊長。
退の姿が見えないけど、どこに行っているのやら。
大使館が見える屋敷の2階で、テロが来るのを待ち受ける。
本当に今日、この大使館が狙われるか定かではない。
副長の推測だから、当てになるかならないかはその日次第だ。
やる気がないのか、わざと見逃しているのか、今までいくつもの大使館を爆発させられている。
「副長、今日ここじゃなかったら次ど――」
言葉がかき消され、耳をつんざくようなけたたましい爆音が轟いた。
「副長、来ましたね」
「とうとう尻尾出しやがった」
双眼鏡を取り出して覗く。
拡大された先には、大使館の警備隊と思しき犬の天人に追いかけられている4人のテロリスト。
その中に見覚えのある人物が1人。
まさかね、テロに加担とかするような人じゃないし。
「いやぁそれにしても何あれ。白?銀?髪の色すげー」
「おーいどこ見てんだ?お前もアレだな。目の付け所がちげーな」
「マジですか!?副長に褒められる日が来るなんて……いやぁ参ったなぁ」
「褒めてねーよ!何こいつ鬱陶しいわー」
その後退を呼ぶと、テロの主犯である攘夷浪士、桂達の拠点を抑えるよう命じた。
「山崎、ウゼーからコイツも連れてけ」
「はいよ」
「副長、『ウゼーから』は余計です」
↓退視点↓
制服からミントンのユニホームに着替えて、真選組だと勘づかれないよう配慮する。
勿論、ミントンの道具が入っているバッグは欠かせない。
気を張り詰めていると、美緒ちゃんが突然どうでもいい事を聞いてきた。
「ねー退。私銀髪にしようかと思うんだけど」
「……は?」
「銀髪ってなんか良くない?カッコイイよねぇ?」
なんだ?なんで今髪の話?
とりあえず今は髪よりも桂だ。
デパートの屋上までエレベーターを使って、一般客に紛れながら移動する。
屋上に設けてある遊具で遊ぶ子供、それを見守る親。
平日でも結構親子連れが多く集まっている。
それらを他所に、落下防止の為に設置してある金網に近付いた。
「退さん、ここは私に任せていただいてもよろしいでしょうか?」
「じゃあよろしく」
「フッ……私の双眼鏡が火を吹くぜィ」
「火事には気を付けて」
美緒ちゃんは地面に置いたバッグの中から双眼鏡を取り出して、金網ギリギリまで近付くと、コンクリートに仰向けになった。
その様子を窺っている俺の目に映ったのは、ミニスカートから伸びている艶かしい生足魅惑のそれが。
下着までは見えていないが、見えそうなギリギリのラインを攻めている。
脚がきちんと閉じられていないので、見ようによっては見えてしまいそうだ。
他の客、特に男からの視線も気になる。
美緒ちゃんは、俺がいない時でもこんな姿勢になって捜査をしているのだろうか。
このやり方はダメとは言わないが、もう少し気を遣ってほしいところではある。
とりあえずスカートの中が見えるのを阻止しようと、その脚の間に片脚を割り入れて覆いかぶさった。
しまったァァァ!これはこれでマズイ体勢だったァァァ!
「うっ……重い……退重いよ。なんで上乗るの」
「美緒ちゃん、やっぱり変わるから」
「ホテル池田屋の入口の前に殺気立った2人がいる。あれで間違いないよね?」
「どれ?」
その頭上に差し出された双眼鏡を手に取って覗くが、美緒ちゃんの頭頂部が邪魔で見えにくい。
腕でその頭を押し下げれば「首が変な方向に」などと小さな声で痛みを訴えてきている。
首の痛みは我慢してもらう事にして、言われた場所に狙いを定めれば、確かに美緒ちゃんの言う通りで間違いなさそうだ。
「ねー、あの人たち何してるの?」
「こら、見ちゃいけません」
「警察に連絡した方がいいかな」
ええええ……一応俺ら警察なんだけど……
背後から聞こえてきた声に、ショックを受ける。
「退、間違いなかったら副長に連絡して」
なんでコイツこんなに冷静なのォォ!?
背に受ける会話も気にしていたら仕事にならないと切り替える事にした。
美緒ちゃんの体の上から立ち上がり、副長に報告を入れる為に携帯を取り出す。
仰向けから立ち上がろうとするその背後に回って、下着が見えそうなのを阻止しながら、副長に報告をした。
桂の拠点を抑える事と突然降って沸いた彼女のパンチラ阻止、両方のミッションを達成して安堵の息をつく。
首痛かったーと、首を挟むように両手で首筋を摩っている彼女と目が合った途端、その瞳が輝いた。
「退、私達もつっこみます?ん?」
剣も持たずに素振りをしながら、テロの本拠地に乗り込みたいというようにうずうずしている美緒ちゃんには申し訳ないが、俺らの出る幕はない。
それを伝えると、あからさまにショックを受けてしまった。
「俺らはあくまで監察だから。前衛で戦いたかったら、沖田隊長の1番隊に入れば?」
「ヒィ!沖田隊長の下につけと?恐ろしいことをおっしゃる。あの人、敵と一緒に私も撃つよ絶対」
まァ、入るって言われても俺が阻止するけどね。
同じ真選組内だと言っても、俺がいない所には行かせたくない。
ましてや、実働部隊という監察以上に命を危険に晒す場所なんて特に――
ちょっと目を離した隙にこれだよ……
天人と絡んで何やら揉めているのは、先程まで一緒にいた人物。
入隊して約2年近く経ち、俺の手助けなしでも任務を遂行出来るまで成長した――が、目を離すとすぐ何かしでかしている。
数日前から相次いでいる、連続爆破テロについての調査を一緒に行っていたはずだ。
助けに行くか、と進めた足を途中で止めた。
揉めているわけではなさそうだが、聞こえてきた会話が会話なだけに……
「もしや、おたくも大使館持ってんの?」
「俺のじゃねーけどな」
「おたくのじゃなかったら見放して故郷帰ったら?爆破でもしたら元も子もないでしょ」
「いやァ、それも考えてんだけどな。どうせなら錦飾って帰りてーなーって。そしたら親孝行にもなんだろ?」
「うっ……あんたイイ奴だ。親御さん大事にしなよ」
ツッコミどころ満載だな……
美緒ちゃんっていくつだったっけ?
まだ話に花が咲いている天人と美緒ちゃん。
聞いていたらキリがないので、話に割って入る事にした。
「あのーお話中すいませーん」
「あ、仕事中だった」
忘れてたんかい!
「お前大事な事忘れんなって。引き止めて悪かったな。仕事頑張れよ」
「おう、ありがとねー。親御さんによろしく」
なんで友情が芽生えてんだ!?
美緒ちゃんと天人は互いに手を振って別れた。
とりあえず戒めも込めて片方の頬を引っ張ったら、なにすんの!と睨まれた。
睨まれたところで怖くもなんともないけど。
「退は誤解をしている。あれは聞き込みだ」
「聞き込みって内容じゃなかった気がするのは俺だけか?」
「か、絡まれてた……そう、絡まれてた。あいつめぇ!」
「すっげー仲良く話してただろーが。凄い和気あいあいだっただろーが。あいつめぇ!じゃねーよ全く」
美緒ちゃんは俺の前に躍り出ると、両手を腰に持ってきて俺の顔を見上げた。
「あー。その顔信じてない顔だー。本当に絡まれてたんだって。真選組のくせに生意気なーとか言われてさ、大使館爆破されろって言ったらそれは困るとか云々」
情報を得られなかったんだから、聞き込みでも絡まれてたでも大差はない。
何言ってるか分かんねーけど、無事だったしいっか。
↓美緒視点↓
「戌威星の大使館か……狙う確率高いですね。なんせ地球に最初に来た天人ですから。さすが副長ともなれば目の付け所が違うときた」
「俺を誰だと思ってやがる。そこらのと一緒にするな。レベルがちげーんだよ」
得意げに言う副長をおだてる私。
そして、その傍らでアイマスクを着けて惰眠を貪る沖田隊長。
退の姿が見えないけど、どこに行っているのやら。
大使館が見える屋敷の2階で、テロが来るのを待ち受ける。
本当に今日、この大使館が狙われるか定かではない。
副長の推測だから、当てになるかならないかはその日次第だ。
やる気がないのか、わざと見逃しているのか、今までいくつもの大使館を爆発させられている。
「副長、今日ここじゃなかったら次ど――」
言葉がかき消され、耳をつんざくようなけたたましい爆音が轟いた。
「副長、来ましたね」
「とうとう尻尾出しやがった」
双眼鏡を取り出して覗く。
拡大された先には、大使館の警備隊と思しき犬の天人に追いかけられている4人のテロリスト。
その中に見覚えのある人物が1人。
まさかね、テロに加担とかするような人じゃないし。
「いやぁそれにしても何あれ。白?銀?髪の色すげー」
「おーいどこ見てんだ?お前もアレだな。目の付け所がちげーな」
「マジですか!?副長に褒められる日が来るなんて……いやぁ参ったなぁ」
「褒めてねーよ!何こいつ鬱陶しいわー」
その後退を呼ぶと、テロの主犯である攘夷浪士、桂達の拠点を抑えるよう命じた。
「山崎、ウゼーからコイツも連れてけ」
「はいよ」
「副長、『ウゼーから』は余計です」
↓退視点↓
制服からミントンのユニホームに着替えて、真選組だと勘づかれないよう配慮する。
勿論、ミントンの道具が入っているバッグは欠かせない。
気を張り詰めていると、美緒ちゃんが突然どうでもいい事を聞いてきた。
「ねー退。私銀髪にしようかと思うんだけど」
「……は?」
「銀髪ってなんか良くない?カッコイイよねぇ?」
なんだ?なんで今髪の話?
とりあえず今は髪よりも桂だ。
デパートの屋上までエレベーターを使って、一般客に紛れながら移動する。
屋上に設けてある遊具で遊ぶ子供、それを見守る親。
平日でも結構親子連れが多く集まっている。
それらを他所に、落下防止の為に設置してある金網に近付いた。
「退さん、ここは私に任せていただいてもよろしいでしょうか?」
「じゃあよろしく」
「フッ……私の双眼鏡が火を吹くぜィ」
「火事には気を付けて」
美緒ちゃんは地面に置いたバッグの中から双眼鏡を取り出して、金網ギリギリまで近付くと、コンクリートに仰向けになった。
その様子を窺っている俺の目に映ったのは、ミニスカートから伸びている艶かしい生足魅惑のそれが。
下着までは見えていないが、見えそうなギリギリのラインを攻めている。
脚がきちんと閉じられていないので、見ようによっては見えてしまいそうだ。
他の客、特に男からの視線も気になる。
美緒ちゃんは、俺がいない時でもこんな姿勢になって捜査をしているのだろうか。
このやり方はダメとは言わないが、もう少し気を遣ってほしいところではある。
とりあえずスカートの中が見えるのを阻止しようと、その脚の間に片脚を割り入れて覆いかぶさった。
しまったァァァ!これはこれでマズイ体勢だったァァァ!
「うっ……重い……退重いよ。なんで上乗るの」
「美緒ちゃん、やっぱり変わるから」
「ホテル池田屋の入口の前に殺気立った2人がいる。あれで間違いないよね?」
「どれ?」
その頭上に差し出された双眼鏡を手に取って覗くが、美緒ちゃんの頭頂部が邪魔で見えにくい。
腕でその頭を押し下げれば「首が変な方向に」などと小さな声で痛みを訴えてきている。
首の痛みは我慢してもらう事にして、言われた場所に狙いを定めれば、確かに美緒ちゃんの言う通りで間違いなさそうだ。
「ねー、あの人たち何してるの?」
「こら、見ちゃいけません」
「警察に連絡した方がいいかな」
ええええ……一応俺ら警察なんだけど……
背後から聞こえてきた声に、ショックを受ける。
「退、間違いなかったら副長に連絡して」
なんでコイツこんなに冷静なのォォ!?
背に受ける会話も気にしていたら仕事にならないと切り替える事にした。
美緒ちゃんの体の上から立ち上がり、副長に報告を入れる為に携帯を取り出す。
仰向けから立ち上がろうとするその背後に回って、下着が見えそうなのを阻止しながら、副長に報告をした。
桂の拠点を抑える事と突然降って沸いた彼女のパンチラ阻止、両方のミッションを達成して安堵の息をつく。
首痛かったーと、首を挟むように両手で首筋を摩っている彼女と目が合った途端、その瞳が輝いた。
「退、私達もつっこみます?ん?」
剣も持たずに素振りをしながら、テロの本拠地に乗り込みたいというようにうずうずしている美緒ちゃんには申し訳ないが、俺らの出る幕はない。
それを伝えると、あからさまにショックを受けてしまった。
「俺らはあくまで監察だから。前衛で戦いたかったら、沖田隊長の1番隊に入れば?」
「ヒィ!沖田隊長の下につけと?恐ろしいことをおっしゃる。あの人、敵と一緒に私も撃つよ絶対」
まァ、入るって言われても俺が阻止するけどね。
同じ真選組内だと言っても、俺がいない所には行かせたくない。
ましてや、実働部隊という監察以上に命を危険に晒す場所なんて特に――