☆チョッパー、親になる ※夢主は子供です
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▽もう噛まない
太陽が顔を出し、サニー号も朝を迎える。
薄暗い男部屋に動く1つの影。
「んしょ、んしょ」
という小さい一つの声は、いびきと寝言の大合唱には敵わない。
「あら?いない……」
ひょこっと顔を出して木製のハンモックの中を覗いていくが、お目当ての人がいない。
見張り番のフランキーに加えて、もう起きて活動を始めているサンジの姿もないが、お目当ての人はまだ起きない事を知っている。
薄暗い中、目を凝らして辺りを見回す。
「いたー。もう、あんな所で寝てー。しょうがない子」
寝ている人を起こしてはいけない。
小さな声で独り言を呟きながら梯子をおりていく。そして、ローソファーで寝ているお目当ての人に近付いた。
「あなたー朝よー!起きてー!」
「ぐはっ」
腹にダイブを決めると、ゾロは息苦しそうに悶えた。
「目ぇ潰しますわよ」
瞼をこじ開けられ、まだ寝ていたい体に逆らって上半身を起こした。
ソファーにちゃんと座り直しながら、上に乗っているティナを落とさないように片膝に乗せて安定させる。
「ティナ、お前さっき目ェ潰すとか言っただろ」
疑問符を浮かべているような表情で見つめられ、まぁいいやと肩を落とした。
周りを見回し、まだ寝ているクルーを見て、またかと項垂れる。
「あなたおはよう。早く起きないとお仕事遅れちゃうわよ」
「今日は休みだ。寝かせろ」
言いながらティナをソファーの外に追い出し、背を向けてまた横になった。
「んもう!あなたきのーも同じ事言ってたわよ」
「あー、あれだ。長期休暇なんだよ。チョッパー起こして遊んでこい」
片手をあげて、ヒラヒラ振るゾロのその手を掴んで口に入れた。
「いっ!てぇー…また噛みやがったな」
歯型がくっきりとついた手。
ティナは最近、人の手を噛むという事を覚えたようだ。
「ティナおはよう……何やってんだ……?」
「チョッパーだ、チョッパーおはよう。あんねぇ、ゾロがいじめるの」
まだ眠たそうに目を擦って起きてきたチョッパーに駆け寄り、ゾロを指さした。
無理矢理起こされたかと思えば、とんだ言いがかりをつけられ、大きなため息をつくゾロ。
「こっちがいじめられてんだよ。おいチョッパー、そいつまた噛んだぞ。どうにかしろよ」
寝る気も失せたゾロは、そう言い残して男部屋から出て行った。
「また噛んだのか?ダメだって言ったじゃないか」
自分と目線を合わせてきつく言いつけるチョッパーに、泣き出しそうになる。服の裾を両手で掴んで、泣かないようにと口を一文字に結んでいるティナ。
「んあー?何やってんだぁ?」
「ティナがチョッパーに叱られてんだよ。口挟むなよルフィ」
いつから起きていたのか、今起きてきたルフィに簡潔に説明するウソップ。
「そんなに噛んでばっかいると嫌われるんだぞ。分かったな?」
「きやわれるのはやだ……」
しゅんと項垂れ、謝罪するティナの頭を撫でる。
「次噛んだら船から下ろすからな」
「ちょっと待てい!」
「お前がちょっと待てい!」
やっと落ち着いてきたところに割り込んできたルフィの襟首を掴んで、ウソップは部屋から引きずり出した。
「何すんだよウソップ!ティナが下ろされるんだぞ!」
「あーっとー、ルフィ君?君は一体何を聞いていたのかな?」
ウソップは、チョッパーが言っていた事を掻い摘んで説明すると、ルフィが納得したようなそれを浮かべた。
「ティナが人を噛まなきゃずっとこの船にいられるって事か」
「分かってくれて良かったよ……」
安堵の息を吐くウソップに、ルフィが一つ提案をした。
「じゃあさ、ティナの口を縫い付けるってのはどうだ?そしたら噛めねぇだろ?」
「そうだな。そうしたら噛めねぇ喋れねぇ何も食えねぇ……って、殺す気か!」
そんな中、まだ男部屋にいるチョッパーはティナを見て、腕を組んで首を傾げている。
以前までは、噛む事なんてなかったのに、急に噛むようになったのだ。今も、自分の指を口に入れて噛んでいる。
何か病気にでもかかっているのだろうか。
そう心配したチョッパーは、ティナに尋ねた。
「ティナ、何か気になる事とかあるのか?何か噛んでたら落ち着くのか?」
噛むのやめよう、と一旦口に入れている指を離させる。
「……あんねぇ、歯が痛いの……」
「歯?」
「うん。なんかねぇ、痛くてね、すんごい気になるの。気になるから噛んじゃう。ナミさんにもダメよーって言われたけどねー、んー……」
「虫歯か?」
ちゃんと歯も磨かせているし、仕上げもちゃんとやっているが、それでも虫歯になってしまったのだろうか。
チョッパーは口を開けさせて歯を見るが、虫歯があるようには見えない。
「ここが痛いの……」
指が触れたのは、下の前歯。その時に僅かに動いたのが目に入り、全てに納得し安堵した。
「なんだ……良かった。何か病気かと思って凄い心配したぞ。良かった、ティナは病気じゃなかったんだな」
「ん?元気だよ?」
「なんでおれ気付かなかったんだ……」
1人納得し、どっと気が抜けたチョッパーを、指を噛みながら不思議そうに見ているティナ。
「ティナ、その歯気になるだろうけど、あんまり触っちゃダメだぞ。もうすぐ抜けるから」
「え、抜けるの!?抜けたらおやつ食べれなくなるよー」
「抜けてもまた生えてくるんだ。次は大人の歯になるんだぞ」
「おとな!すごい!おとなの歯っておっきい?こーんくらいおっきい?」
両腕を大きく回して体現して見せるティナに、「それは歯じゃないぞ」と苦笑する。
その数日後、下の前歯が1本抜けた。
「あら、ようやく抜けたのね。良かった。気になってたのよ」
「え、ナミ。知ってたのか?」
「アンタが大騒ぎする前から知ってたわよ。私も仕上げ磨きしてるんだから。ティナともその事で話してたのよね」
ねー、と隣に座ってお茶を飲んでいるティナと顔を見合わせるナミ。
「そうなのか……俺もちゃんとしてたのに気が付かなかったんだ……」
「あらー。歯ブラシの違和感も気付かないなんて、私の方が親としての素質あるんじゃない?」
ナミの挑発に、何も言い返せず下唇を噛む。
「私がティナの親になっちゃおうかしら。ね、ティナ」
「歯がないの変な感じするよー」
ティナの頭を撫でながら同意を求めたが、ティナはそれよりも抜けた所が気になるようだ。
「ナミ!おれはお前に負けないからな!おれだってティナの事ちゃんと見れるんだ!」
「あらそう。頑張って」
「チョッパー頑張ってー」
ナミの上から目線の応援と違い、純粋に応援してくれているティナの気持ちに応えるべく、頑張るぞ!と右腕を天に突き上げた。
太陽が顔を出し、サニー号も朝を迎える。
薄暗い男部屋に動く1つの影。
「んしょ、んしょ」
という小さい一つの声は、いびきと寝言の大合唱には敵わない。
「あら?いない……」
ひょこっと顔を出して木製のハンモックの中を覗いていくが、お目当ての人がいない。
見張り番のフランキーに加えて、もう起きて活動を始めているサンジの姿もないが、お目当ての人はまだ起きない事を知っている。
薄暗い中、目を凝らして辺りを見回す。
「いたー。もう、あんな所で寝てー。しょうがない子」
寝ている人を起こしてはいけない。
小さな声で独り言を呟きながら梯子をおりていく。そして、ローソファーで寝ているお目当ての人に近付いた。
「あなたー朝よー!起きてー!」
「ぐはっ」
腹にダイブを決めると、ゾロは息苦しそうに悶えた。
「目ぇ潰しますわよ」
瞼をこじ開けられ、まだ寝ていたい体に逆らって上半身を起こした。
ソファーにちゃんと座り直しながら、上に乗っているティナを落とさないように片膝に乗せて安定させる。
「ティナ、お前さっき目ェ潰すとか言っただろ」
疑問符を浮かべているような表情で見つめられ、まぁいいやと肩を落とした。
周りを見回し、まだ寝ているクルーを見て、またかと項垂れる。
「あなたおはよう。早く起きないとお仕事遅れちゃうわよ」
「今日は休みだ。寝かせろ」
言いながらティナをソファーの外に追い出し、背を向けてまた横になった。
「んもう!あなたきのーも同じ事言ってたわよ」
「あー、あれだ。長期休暇なんだよ。チョッパー起こして遊んでこい」
片手をあげて、ヒラヒラ振るゾロのその手を掴んで口に入れた。
「いっ!てぇー…また噛みやがったな」
歯型がくっきりとついた手。
ティナは最近、人の手を噛むという事を覚えたようだ。
「ティナおはよう……何やってんだ……?」
「チョッパーだ、チョッパーおはよう。あんねぇ、ゾロがいじめるの」
まだ眠たそうに目を擦って起きてきたチョッパーに駆け寄り、ゾロを指さした。
無理矢理起こされたかと思えば、とんだ言いがかりをつけられ、大きなため息をつくゾロ。
「こっちがいじめられてんだよ。おいチョッパー、そいつまた噛んだぞ。どうにかしろよ」
寝る気も失せたゾロは、そう言い残して男部屋から出て行った。
「また噛んだのか?ダメだって言ったじゃないか」
自分と目線を合わせてきつく言いつけるチョッパーに、泣き出しそうになる。服の裾を両手で掴んで、泣かないようにと口を一文字に結んでいるティナ。
「んあー?何やってんだぁ?」
「ティナがチョッパーに叱られてんだよ。口挟むなよルフィ」
いつから起きていたのか、今起きてきたルフィに簡潔に説明するウソップ。
「そんなに噛んでばっかいると嫌われるんだぞ。分かったな?」
「きやわれるのはやだ……」
しゅんと項垂れ、謝罪するティナの頭を撫でる。
「次噛んだら船から下ろすからな」
「ちょっと待てい!」
「お前がちょっと待てい!」
やっと落ち着いてきたところに割り込んできたルフィの襟首を掴んで、ウソップは部屋から引きずり出した。
「何すんだよウソップ!ティナが下ろされるんだぞ!」
「あーっとー、ルフィ君?君は一体何を聞いていたのかな?」
ウソップは、チョッパーが言っていた事を掻い摘んで説明すると、ルフィが納得したようなそれを浮かべた。
「ティナが人を噛まなきゃずっとこの船にいられるって事か」
「分かってくれて良かったよ……」
安堵の息を吐くウソップに、ルフィが一つ提案をした。
「じゃあさ、ティナの口を縫い付けるってのはどうだ?そしたら噛めねぇだろ?」
「そうだな。そうしたら噛めねぇ喋れねぇ何も食えねぇ……って、殺す気か!」
そんな中、まだ男部屋にいるチョッパーはティナを見て、腕を組んで首を傾げている。
以前までは、噛む事なんてなかったのに、急に噛むようになったのだ。今も、自分の指を口に入れて噛んでいる。
何か病気にでもかかっているのだろうか。
そう心配したチョッパーは、ティナに尋ねた。
「ティナ、何か気になる事とかあるのか?何か噛んでたら落ち着くのか?」
噛むのやめよう、と一旦口に入れている指を離させる。
「……あんねぇ、歯が痛いの……」
「歯?」
「うん。なんかねぇ、痛くてね、すんごい気になるの。気になるから噛んじゃう。ナミさんにもダメよーって言われたけどねー、んー……」
「虫歯か?」
ちゃんと歯も磨かせているし、仕上げもちゃんとやっているが、それでも虫歯になってしまったのだろうか。
チョッパーは口を開けさせて歯を見るが、虫歯があるようには見えない。
「ここが痛いの……」
指が触れたのは、下の前歯。その時に僅かに動いたのが目に入り、全てに納得し安堵した。
「なんだ……良かった。何か病気かと思って凄い心配したぞ。良かった、ティナは病気じゃなかったんだな」
「ん?元気だよ?」
「なんでおれ気付かなかったんだ……」
1人納得し、どっと気が抜けたチョッパーを、指を噛みながら不思議そうに見ているティナ。
「ティナ、その歯気になるだろうけど、あんまり触っちゃダメだぞ。もうすぐ抜けるから」
「え、抜けるの!?抜けたらおやつ食べれなくなるよー」
「抜けてもまた生えてくるんだ。次は大人の歯になるんだぞ」
「おとな!すごい!おとなの歯っておっきい?こーんくらいおっきい?」
両腕を大きく回して体現して見せるティナに、「それは歯じゃないぞ」と苦笑する。
その数日後、下の前歯が1本抜けた。
「あら、ようやく抜けたのね。良かった。気になってたのよ」
「え、ナミ。知ってたのか?」
「アンタが大騒ぎする前から知ってたわよ。私も仕上げ磨きしてるんだから。ティナともその事で話してたのよね」
ねー、と隣に座ってお茶を飲んでいるティナと顔を見合わせるナミ。
「そうなのか……俺もちゃんとしてたのに気が付かなかったんだ……」
「あらー。歯ブラシの違和感も気付かないなんて、私の方が親としての素質あるんじゃない?」
ナミの挑発に、何も言い返せず下唇を噛む。
「私がティナの親になっちゃおうかしら。ね、ティナ」
「歯がないの変な感じするよー」
ティナの頭を撫でながら同意を求めたが、ティナはそれよりも抜けた所が気になるようだ。
「ナミ!おれはお前に負けないからな!おれだってティナの事ちゃんと見れるんだ!」
「あらそう。頑張って」
「チョッパー頑張ってー」
ナミの上から目線の応援と違い、純粋に応援してくれているティナの気持ちに応えるべく、頑張るぞ!と右腕を天に突き上げた。