☆チョッパー、親になる ※夢主は子供です
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▽帽子
麦わらの一味は幾日の航海の末、とある島に停泊していた。
ティナはチョッパーの背中に乗って町を散策中。
色々な物に興味を持つティナの目をひいたのは、1軒の帽子屋。
「チョッパー見て。ルフィとチョッパーとおんなじー」
店先に飾ってある色々な帽子を見て、楽しそうに指をさす。
「ほんとだ。ティナにも帽子買ってやろうか」
「え!?いいの?」
「いいぞ。どれがいい?何か気に入ったのあるか?」
チョッパーの背中からおりて、目をキラキラと輝かせながら店内にある帽子を見て回っている。
その姿ですら、チョッパーには可愛いものに映り、自然と表情が優しくなっていく。
帽子をかぶって見せ、これは?これは?と楽しそうに聞いてくるそれに付き合う。
店内の帽子を全部試着したのではないかと思う程のそれに、さすがのチョッパーも苦笑いに変わっていく。
「ティナ、そろそろ決まったか?」
今日の目的は帽子を買う事ではない。薬屋に寄りたいのだ。
「あんねー、あの、うささんのやつがいい!」
「え、うささん?どこにあるんだ?」
キョロキョロと探すチョッパーに、お目当ての帽子を持ってきた。
「これ!かわいいねぇ」
全体的に白く、うさぎの耳と思われるモノがだらんと頼りなく垂れているニット帽。
それを被り、うさぎの耳を持ち上げてぴょんぴょんとうさぎ跳びするティナ。
「それ似合うなぁ。すいません、あの帽子ください」
にこやかに店員に言うチョッパーの顔が、一瞬にして青ざめていく。
「1500ベリーです」
そう、値段。
今日はナミから2千ベリーしかもらっていないのだ。
どうしよう……薬も買いたいから足りない。でもティナ気に入ってるしな。
どうしようと悩むチョッパーに、店員が「1500ベリーです」と追い打ちをかける。
隣で、うさぎの耳をパタパタさせて遊んでいる姿を見て買う決断をした。
「チョッパーとおそろい。嬉しい」
「そうだな。お揃いだな」
ナミに事情話せばきっとまたお金くれるよな?
「バッッッカじゃないの!?」
「ヒィー!ご、ごめんなさい!」
船に戻って、ダイニングにいるナミに事情を話したチョッパーは凄い形相で睨まれている。
その目付きに怯え、勢いよく後退るがローソファーに当たってしまい、これ以上は逃げられない。
「だ、だって、喜んでるし、似合ってたから……そ、その、ダメって言えなくて……」
「ダメって言えない?」
重圧のかかりそうな低い声で、チョッパーに聞き返すナミ。耳の奥で、サーッと血の気がひいていく音がした。
「あんた仮にも親でしょ!我慢させる事も覚えさせなさい!それから帽子返して薬買って来ること!いい?分かったわね?」
一気に怒鳴りつけられたチョッパーは、声も出せずに頷く事しか出来なかった。
「早く!今すぐ!」
外を指さされ、猛ダッシュで甲板へと下りて行った。
「あー……怖かったー……」
恐怖から、バクバクと音を立てている心臓をどうにか落ち着かせる。
チョッパーは、今までもティナに我慢を覚えさせてきたつもりだ。
順番だったり、ご飯前や寝る前のおやつだったり。
今回は、チョッパーが自分から買ってあげると言い出した事。
ティナにせがまれて、ワガママを言われて買う事にしたわけではない。なのに、それをお金がないからという理由で、やっぱりダメですなんて言っていいのだろうか。
自然ともれるため息。
「……言いにくいな……おれに言えるかな」
船の縁に蹄をついて、肩を落としているとさした影。
「チョッパー」
「おう、チョッパー。なにやってんだ?」
見上げると、ルフィに肩車をしてもらっているティナがいた。ティナの頭には、やはりうさぎの帽子。
相当気に入っていると見たチョッパーは、言葉をなくす。
「ルフィ、チョッパー変」
「うーん……きっと腹減ってるからだな」
「おー、さすがルフィ!あったまいー」
「ティナ!」
ニシシと笑いあうルフィとティナの間に、チョッパーの力のこもった声が割って入った。
ティナの肩が小さく揺れたのが見てとれ、思いのほか自分の声に圧があった事に気が付いた。
何も怯えさせたかったわけでも、叱りたいわけでもない。
「なんだ?どした?」
俯いているチョッパーと、自分の頭にしがみついているティナに、状況が飲み込めず疑問符を浮かべるルフィ。
何か言いたそうに口を開いては閉じて、俯いてはティナを見上げてを繰り返していたチョッパーを、ルフィは首を傾げて見ている。
首を傾げると、しがみついているティナの体も自然と少し傾くわけで。
それが楽しくなったのか、今度は首だけではなく体を横に倒して遊ぶ。ティナの落ち込んでいたそれも良くなり、声をあげて笑っている。
2人の楽しそうな声を聞きながら、チョッパーは意を決して口を開いた。
「ティナ、そ、そのうさぎの帽子、返してきていいか?」
「えぇぇー!?」
ティナだけかと思いきや、ルフィまで声をあげた。
「なんでだよチョッパー。おれこの帽子気に入ってんのによー」
「私もー!なんでなんで?」
2人になんでだと責められ困り果ててしまう。
「私が悪い子だから?」
突拍子もないそれに、首がちぎれそうになる程横に振る。
「違う。ティナは悪い子じゃない。いい子だよ。だけど、だけど……」
チョッパーは、帽子を返さないと薬を買えない事、ナミに叱られる事を正直に話した。
「そうかぁ……薬なきゃ困るよなぁ」
「よなぁ……」
ルフィの肩からおりたティナは、ルフィの隣に座ってルフィと同じように腕を組み、同じ方向に体を傾ける。
これ以上どう説得すればいいか分からない。
すると、ルフィが「帽子、返すか」と言ったのだ。
まさかルフィがそう言ってくれるとは思わなかった。ルフィも、味方についてくれるならいけるかもしれない。
「やだよー」
帽子を両手で握って、深く被るティナ。
「薬買えないと大変なんだぞ」
「やだよー」
これは長期戦覚悟かと思いきや――
「返さないとナミに叱られ――」
「これいらない!きらい!」
「早っ!」
よほどナミに叱られたくないのか、嫌いとまで言いだしてしまった。これにはチョッパーは唖然とし、ルフィは爆笑。
無事に帽子を返品し薬が買え、ナミに叱られずにすんだ。
「ティナ、安いのだったら買ってあげられるぞ」
「もう帽子いらない」
「え?なんでだ?」
「うーん……なんか、いらなくなっちった」
あれだけチョッパーとお揃いと気に入ってかぶっていたのに、そう言う心境の変化についていけず首を傾げる。
本当にいいのかと確認をとっても、いらないと言うので、何も買わずに船に戻った。
それでも、我慢させた分お釣りの範囲内でならと、ティナがルフィと遊んでいる間に何かないかと町を歩く。
「ティナ、今日お風呂にこれ浮かべよう。コレ可愛いだろ」
あれから町を探し回って、安くて可愛い物を見つけ出して買ってきたのだ。
「うわっ!かわいい!アヒルさんだー!」
ただ浮かべるだけのアヒルのおもちゃ1つだけだが、気に入ってくれたようで、チョッパーにも笑顔が戻る。
麦わらの一味は幾日の航海の末、とある島に停泊していた。
ティナはチョッパーの背中に乗って町を散策中。
色々な物に興味を持つティナの目をひいたのは、1軒の帽子屋。
「チョッパー見て。ルフィとチョッパーとおんなじー」
店先に飾ってある色々な帽子を見て、楽しそうに指をさす。
「ほんとだ。ティナにも帽子買ってやろうか」
「え!?いいの?」
「いいぞ。どれがいい?何か気に入ったのあるか?」
チョッパーの背中からおりて、目をキラキラと輝かせながら店内にある帽子を見て回っている。
その姿ですら、チョッパーには可愛いものに映り、自然と表情が優しくなっていく。
帽子をかぶって見せ、これは?これは?と楽しそうに聞いてくるそれに付き合う。
店内の帽子を全部試着したのではないかと思う程のそれに、さすがのチョッパーも苦笑いに変わっていく。
「ティナ、そろそろ決まったか?」
今日の目的は帽子を買う事ではない。薬屋に寄りたいのだ。
「あんねー、あの、うささんのやつがいい!」
「え、うささん?どこにあるんだ?」
キョロキョロと探すチョッパーに、お目当ての帽子を持ってきた。
「これ!かわいいねぇ」
全体的に白く、うさぎの耳と思われるモノがだらんと頼りなく垂れているニット帽。
それを被り、うさぎの耳を持ち上げてぴょんぴょんとうさぎ跳びするティナ。
「それ似合うなぁ。すいません、あの帽子ください」
にこやかに店員に言うチョッパーの顔が、一瞬にして青ざめていく。
「1500ベリーです」
そう、値段。
今日はナミから2千ベリーしかもらっていないのだ。
どうしよう……薬も買いたいから足りない。でもティナ気に入ってるしな。
どうしようと悩むチョッパーに、店員が「1500ベリーです」と追い打ちをかける。
隣で、うさぎの耳をパタパタさせて遊んでいる姿を見て買う決断をした。
「チョッパーとおそろい。嬉しい」
「そうだな。お揃いだな」
ナミに事情話せばきっとまたお金くれるよな?
「バッッッカじゃないの!?」
「ヒィー!ご、ごめんなさい!」
船に戻って、ダイニングにいるナミに事情を話したチョッパーは凄い形相で睨まれている。
その目付きに怯え、勢いよく後退るがローソファーに当たってしまい、これ以上は逃げられない。
「だ、だって、喜んでるし、似合ってたから……そ、その、ダメって言えなくて……」
「ダメって言えない?」
重圧のかかりそうな低い声で、チョッパーに聞き返すナミ。耳の奥で、サーッと血の気がひいていく音がした。
「あんた仮にも親でしょ!我慢させる事も覚えさせなさい!それから帽子返して薬買って来ること!いい?分かったわね?」
一気に怒鳴りつけられたチョッパーは、声も出せずに頷く事しか出来なかった。
「早く!今すぐ!」
外を指さされ、猛ダッシュで甲板へと下りて行った。
「あー……怖かったー……」
恐怖から、バクバクと音を立てている心臓をどうにか落ち着かせる。
チョッパーは、今までもティナに我慢を覚えさせてきたつもりだ。
順番だったり、ご飯前や寝る前のおやつだったり。
今回は、チョッパーが自分から買ってあげると言い出した事。
ティナにせがまれて、ワガママを言われて買う事にしたわけではない。なのに、それをお金がないからという理由で、やっぱりダメですなんて言っていいのだろうか。
自然ともれるため息。
「……言いにくいな……おれに言えるかな」
船の縁に蹄をついて、肩を落としているとさした影。
「チョッパー」
「おう、チョッパー。なにやってんだ?」
見上げると、ルフィに肩車をしてもらっているティナがいた。ティナの頭には、やはりうさぎの帽子。
相当気に入っていると見たチョッパーは、言葉をなくす。
「ルフィ、チョッパー変」
「うーん……きっと腹減ってるからだな」
「おー、さすがルフィ!あったまいー」
「ティナ!」
ニシシと笑いあうルフィとティナの間に、チョッパーの力のこもった声が割って入った。
ティナの肩が小さく揺れたのが見てとれ、思いのほか自分の声に圧があった事に気が付いた。
何も怯えさせたかったわけでも、叱りたいわけでもない。
「なんだ?どした?」
俯いているチョッパーと、自分の頭にしがみついているティナに、状況が飲み込めず疑問符を浮かべるルフィ。
何か言いたそうに口を開いては閉じて、俯いてはティナを見上げてを繰り返していたチョッパーを、ルフィは首を傾げて見ている。
首を傾げると、しがみついているティナの体も自然と少し傾くわけで。
それが楽しくなったのか、今度は首だけではなく体を横に倒して遊ぶ。ティナの落ち込んでいたそれも良くなり、声をあげて笑っている。
2人の楽しそうな声を聞きながら、チョッパーは意を決して口を開いた。
「ティナ、そ、そのうさぎの帽子、返してきていいか?」
「えぇぇー!?」
ティナだけかと思いきや、ルフィまで声をあげた。
「なんでだよチョッパー。おれこの帽子気に入ってんのによー」
「私もー!なんでなんで?」
2人になんでだと責められ困り果ててしまう。
「私が悪い子だから?」
突拍子もないそれに、首がちぎれそうになる程横に振る。
「違う。ティナは悪い子じゃない。いい子だよ。だけど、だけど……」
チョッパーは、帽子を返さないと薬を買えない事、ナミに叱られる事を正直に話した。
「そうかぁ……薬なきゃ困るよなぁ」
「よなぁ……」
ルフィの肩からおりたティナは、ルフィの隣に座ってルフィと同じように腕を組み、同じ方向に体を傾ける。
これ以上どう説得すればいいか分からない。
すると、ルフィが「帽子、返すか」と言ったのだ。
まさかルフィがそう言ってくれるとは思わなかった。ルフィも、味方についてくれるならいけるかもしれない。
「やだよー」
帽子を両手で握って、深く被るティナ。
「薬買えないと大変なんだぞ」
「やだよー」
これは長期戦覚悟かと思いきや――
「返さないとナミに叱られ――」
「これいらない!きらい!」
「早っ!」
よほどナミに叱られたくないのか、嫌いとまで言いだしてしまった。これにはチョッパーは唖然とし、ルフィは爆笑。
無事に帽子を返品し薬が買え、ナミに叱られずにすんだ。
「ティナ、安いのだったら買ってあげられるぞ」
「もう帽子いらない」
「え?なんでだ?」
「うーん……なんか、いらなくなっちった」
あれだけチョッパーとお揃いと気に入ってかぶっていたのに、そう言う心境の変化についていけず首を傾げる。
本当にいいのかと確認をとっても、いらないと言うので、何も買わずに船に戻った。
それでも、我慢させた分お釣りの範囲内でならと、ティナがルフィと遊んでいる間に何かないかと町を歩く。
「ティナ、今日お風呂にこれ浮かべよう。コレ可愛いだろ」
あれから町を探し回って、安くて可愛い物を見つけ出して買ってきたのだ。
「うわっ!かわいい!アヒルさんだー!」
ただ浮かべるだけのアヒルのおもちゃ1つだけだが、気に入ってくれたようで、チョッパーにも笑顔が戻る。