☆チョッパー、親になる ※夢主は子供です
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▽おままごと
「あなたー、ごはん出来たわよー」
メインマストに凭れて寝ているゾロは、話しかけられているのにも気付いていない。
「あなたー!ごーはーん!」
額を叩かれた痛みで漸く目を覚まし、大きな欠伸をして伸びあがった。
「なんだ、メシか」
「そうです、ごはんです。はやく食べないとさめちゃうわよ」
「…………」
自分の前にあるそれらを見て言葉を失った。
フランキーとウソップに作ってもらったおままごとセットで、ゾロを相手に今日もおままごと。
木で作られた机の上に、アルミで作られた食器を広げて、ゾロにご飯と見せかけて差し出す。
「メシってこれか……」
「なーに?卵焼きが良かったの?めらま焼きにしちゃったわよ。そういうのは、きのう言ってくれないと困っちゃう」
今日の朝食には目玉焼きがあるようだ。
他にも皿や器、フォークとスプーンが並べられているが、何も乗っていない為、他になんの料理があるのか分からない。
机を挟んだ向かいに座るティナは、全くもう!と怒りながらも、いただきます、と手を合わせた。
「あなた、はやく食べないとお仕事におくれちゃうわよ」
「……あ、ああ……いただきます……」
食器の上には何も乗っていないが、ゾロは律儀にフォークを手にして食べる真似をする。
こんなの今に始まった事ではないが、付き合わされる度に、おれは何をやっているんだと頭を抱える。
考えたら負けだと思考を停止させ、今や無心でそのおままごとに付き合っているが、そう簡単に羞恥心は消えない。
他のクルーにこの光景を見られて、「ゾロが、あのゾロがおままごとしてるぞ」とか「ゾロもおままごとに付き合ったりするのねー」とか色々からかわれて笑われて、苦い思いもしたのだ。
今となっては、そうからかう声も聞こえなくなったが、ニヤニヤしている表情は今も尚健在。
おいしい?と聞かれ、ああと答えるが不満のようで。
「ちゃんとおいしいって言って」
「……おいしいです」
ガキじゃなかったら殴ってるぞこんなの!
机の下で、拳を握りしめるゾロ。
しかし、良かったーと破顔するそれを見れば、一気に怒りが鎮まる単純な自分にも嫌気がさす。
息をついて再び食事を進めていく……フリをする。
「ねぇあなた。私達にも子供欲しいわね」
突拍子もないそれに、持っていたスプーンと器が机に落ちた。
「……なっ!な、ななな何言ってんだてめぇー!そんな言葉どこで覚えてきやがった!」
衝撃発言に動揺を隠しきれない。
何をそんなに慌てているのか、きょとんとしながら答える。
「サンジくんがね、言ってたよ?ナミさんとの子供欲しいなぁって。だからね、私達も――」
「あんのエロコック……!」
ゾロは額に青筋を浮かべて立ち上がると、どこかに行ってしまった。
「あなたー、お仕事行ってっさーい!」
見えなくなったゾロに手を振り、ティナは使ったおもちゃを箱に戻していく――が、ある事に気が付いた。
「おべんと渡すの忘れた」
ままごとセットの中から四角い箱を取り出し、ふんふん~と鼻歌を奏でながらゾロを探す。
ただ今、ゾロは仕事という名のサンジとの戦いを終え、別の仕事場であるジムで筋トレ中。
ゾロは、仕事を掛け持ちしているようだ。
「あ、いた」
ひょっこり出した顔に驚きを隠せない。
このジムは展望室と兼ねている為、サニー号の中で1番高い位置にある。
ここまで来るのにロープと梯子という不安定な足場しかない為、一人で登るなとチョッパーにきつく言われているのをゾロも知っている。
ゾロは、慌ててティナを抱きかかえてベンチに座らせた。
「なんで来たんだよ。チョッパーからあれだけ言われてただろ。もし落ちてたら死んでたんだぞ」
ティナの前に腰を落として目線を合わせ、怒気を含んだ声で叱りつける。
いつもゾロは、親であるチョッパー経由で注意してもらう為、直接本人に言うのは今回が初めてだった。
それは決して言うのが面倒なのではなく、チョッパーには親である自覚と、ティナには親の言いつけをきちんと守ってもらいたいという二人を想っての行動。でも今回は勝手が違う。
「あ……あ……え、えっと……」
いつもと違う怖いゾロに、困惑するティナ。
上手く言葉が出てこないのか、口をパクパクさせたかと思えば、何も発さず閉じてしまった。
眉がハの字に下がり、瞳が今にも泣きそうに濡れていく。
「お前に何かあったら、ここの奴ら全員悲しむんだ。悲しませていいのか?」
頭が左右に振られ、やだ……と小さく呟くように言うと俯いた。
「じゃあ、もう1人で上がってくるんじゃねーぞ。約束出来るな?」
俯いた頭が更に沈みこんで、頷いたのが分かった。
いい子だ、とその頭を撫でる。
「で?なんで来たんだ?俺に用事があったのか」
オーバーオールの胸元に入れていた箱を取り出して、見せてきた。
「なんだこれ?」
受け取ってみるが、なんの変哲もないただの箱。
蓋を開けて見ても、その中には何も入っていない。
更に分からず首を傾げる。
機嫌を窺っているのか、チラッと見ては俯くティナ。
「ほら、もう怒ってねぇから言ってみ?」
再び頭に手を置いて親指で前髪をあげると、やっと言葉が出てきた。
「……おべんと。忘れてたからとどけに来た」
まだ続いてたのか……と心の中でげんなりするが、自分の為にここまで来たのかと思うと愛しくてしょうがない。
「悪かったな、怒鳴っちまって」
ううん、と首を振ったかと思えば、ダイブするように抱きついてきた。
「私も1人で来てごめんなさい」
しおらしく謝られてはそれ以上何も言えず、いや、もう、とうに言いたい事は言い終わっているので、必要以上に言葉には乗せず「ん」という一言だけ返す。
抱きついてきたその小さな体の向きを変えて、膝の上に横向きに座らせた。
「あなた汗くさいわよ」
口元を両手で覆って、ふふっと笑うティナの目に涙は見えず、いつもの楽しそうなそれがある。
「仕事頑張ったんだよ。許せ」
「もうお仕事終わる?私もやりたーい」
「お前に出来そうなのねーぞ」
ここのジムは、主にゾロしか使わない為、ゾロ基準の筋トレ道具しか置いていない。
ティナを片腕に乗せて立ち上がり、目についたそこで足を止めた。
「鉄棒やるか」
「これやった事ないよー。こあい?」
ティナを一旦鉄の絨毯に下ろすと、脇に手を入れて持ち上げた。
「大丈夫だ。両手で掴んでぶら下がってみろ」
1度ゾロを見上げてから鉄棒を見て、恐る恐る両手でそれを掴んだ。
「掴めたな?離すぞ。力入れて握ってろよ」
「おー」
ゆっくりと慎重に、ティナの体から両手を離していく。上手にぶら下がれた事に安堵する。
ティナは、「私すごい?」と興奮したような声で問いかけてきた。
「ああ、すげー。そのまま体持ち上げるからな」
腰を持って、鉄棒を腹部に当たるまで持ち上げた。
「ヒヒッ、たかーい!ゾロよりたかーい!」
「手ェ離すぞ。お前は手ェ離すなよ、握ってろよ」
「おー」
ゾロが体から手を離した瞬間、ティナの体が腰から折れ曲がった。
咄嗟に手を差し出すが、鉄棒を離さなかったのか、それ以上落ちる事もなく、鉄棒を支点に折りたたんだまま。
その光景に冷や汗をかいたのはゾロだけのようで、ティナは楽しそうに笑って足をジタバタ動かしている。
落ちなかった事に安堵の息をつく。
「ゾロすごいよコレー。見てー。見てるー?ねー、ゾロ見てるー?」
「ああ、見てる。凄いな」
暫くゾロの手を借りて鉄棒を楽しんだ。
その後は、ゾロの背中に乗って腕立てや指立てに付き合ったり、一緒に筋トレをして過ごした。
「あなたー、朝ごはん出来たわよー」
何度太陽と月が入れ替わろうとも、おままごとは飽きないらしい。
「たまには違う奴相手にしろよ」
「えー!だってゾロがパパ役じゃないとやだもん」
面倒ではあるものの、少しばかり優越感に浸るゾロだった。
「あなたー、ごはん出来たわよー」
メインマストに凭れて寝ているゾロは、話しかけられているのにも気付いていない。
「あなたー!ごーはーん!」
額を叩かれた痛みで漸く目を覚まし、大きな欠伸をして伸びあがった。
「なんだ、メシか」
「そうです、ごはんです。はやく食べないとさめちゃうわよ」
「…………」
自分の前にあるそれらを見て言葉を失った。
フランキーとウソップに作ってもらったおままごとセットで、ゾロを相手に今日もおままごと。
木で作られた机の上に、アルミで作られた食器を広げて、ゾロにご飯と見せかけて差し出す。
「メシってこれか……」
「なーに?卵焼きが良かったの?めらま焼きにしちゃったわよ。そういうのは、きのう言ってくれないと困っちゃう」
今日の朝食には目玉焼きがあるようだ。
他にも皿や器、フォークとスプーンが並べられているが、何も乗っていない為、他になんの料理があるのか分からない。
机を挟んだ向かいに座るティナは、全くもう!と怒りながらも、いただきます、と手を合わせた。
「あなた、はやく食べないとお仕事におくれちゃうわよ」
「……あ、ああ……いただきます……」
食器の上には何も乗っていないが、ゾロは律儀にフォークを手にして食べる真似をする。
こんなの今に始まった事ではないが、付き合わされる度に、おれは何をやっているんだと頭を抱える。
考えたら負けだと思考を停止させ、今や無心でそのおままごとに付き合っているが、そう簡単に羞恥心は消えない。
他のクルーにこの光景を見られて、「ゾロが、あのゾロがおままごとしてるぞ」とか「ゾロもおままごとに付き合ったりするのねー」とか色々からかわれて笑われて、苦い思いもしたのだ。
今となっては、そうからかう声も聞こえなくなったが、ニヤニヤしている表情は今も尚健在。
おいしい?と聞かれ、ああと答えるが不満のようで。
「ちゃんとおいしいって言って」
「……おいしいです」
ガキじゃなかったら殴ってるぞこんなの!
机の下で、拳を握りしめるゾロ。
しかし、良かったーと破顔するそれを見れば、一気に怒りが鎮まる単純な自分にも嫌気がさす。
息をついて再び食事を進めていく……フリをする。
「ねぇあなた。私達にも子供欲しいわね」
突拍子もないそれに、持っていたスプーンと器が机に落ちた。
「……なっ!な、ななな何言ってんだてめぇー!そんな言葉どこで覚えてきやがった!」
衝撃発言に動揺を隠しきれない。
何をそんなに慌てているのか、きょとんとしながら答える。
「サンジくんがね、言ってたよ?ナミさんとの子供欲しいなぁって。だからね、私達も――」
「あんのエロコック……!」
ゾロは額に青筋を浮かべて立ち上がると、どこかに行ってしまった。
「あなたー、お仕事行ってっさーい!」
見えなくなったゾロに手を振り、ティナは使ったおもちゃを箱に戻していく――が、ある事に気が付いた。
「おべんと渡すの忘れた」
ままごとセットの中から四角い箱を取り出し、ふんふん~と鼻歌を奏でながらゾロを探す。
ただ今、ゾロは仕事という名のサンジとの戦いを終え、別の仕事場であるジムで筋トレ中。
ゾロは、仕事を掛け持ちしているようだ。
「あ、いた」
ひょっこり出した顔に驚きを隠せない。
このジムは展望室と兼ねている為、サニー号の中で1番高い位置にある。
ここまで来るのにロープと梯子という不安定な足場しかない為、一人で登るなとチョッパーにきつく言われているのをゾロも知っている。
ゾロは、慌ててティナを抱きかかえてベンチに座らせた。
「なんで来たんだよ。チョッパーからあれだけ言われてただろ。もし落ちてたら死んでたんだぞ」
ティナの前に腰を落として目線を合わせ、怒気を含んだ声で叱りつける。
いつもゾロは、親であるチョッパー経由で注意してもらう為、直接本人に言うのは今回が初めてだった。
それは決して言うのが面倒なのではなく、チョッパーには親である自覚と、ティナには親の言いつけをきちんと守ってもらいたいという二人を想っての行動。でも今回は勝手が違う。
「あ……あ……え、えっと……」
いつもと違う怖いゾロに、困惑するティナ。
上手く言葉が出てこないのか、口をパクパクさせたかと思えば、何も発さず閉じてしまった。
眉がハの字に下がり、瞳が今にも泣きそうに濡れていく。
「お前に何かあったら、ここの奴ら全員悲しむんだ。悲しませていいのか?」
頭が左右に振られ、やだ……と小さく呟くように言うと俯いた。
「じゃあ、もう1人で上がってくるんじゃねーぞ。約束出来るな?」
俯いた頭が更に沈みこんで、頷いたのが分かった。
いい子だ、とその頭を撫でる。
「で?なんで来たんだ?俺に用事があったのか」
オーバーオールの胸元に入れていた箱を取り出して、見せてきた。
「なんだこれ?」
受け取ってみるが、なんの変哲もないただの箱。
蓋を開けて見ても、その中には何も入っていない。
更に分からず首を傾げる。
機嫌を窺っているのか、チラッと見ては俯くティナ。
「ほら、もう怒ってねぇから言ってみ?」
再び頭に手を置いて親指で前髪をあげると、やっと言葉が出てきた。
「……おべんと。忘れてたからとどけに来た」
まだ続いてたのか……と心の中でげんなりするが、自分の為にここまで来たのかと思うと愛しくてしょうがない。
「悪かったな、怒鳴っちまって」
ううん、と首を振ったかと思えば、ダイブするように抱きついてきた。
「私も1人で来てごめんなさい」
しおらしく謝られてはそれ以上何も言えず、いや、もう、とうに言いたい事は言い終わっているので、必要以上に言葉には乗せず「ん」という一言だけ返す。
抱きついてきたその小さな体の向きを変えて、膝の上に横向きに座らせた。
「あなた汗くさいわよ」
口元を両手で覆って、ふふっと笑うティナの目に涙は見えず、いつもの楽しそうなそれがある。
「仕事頑張ったんだよ。許せ」
「もうお仕事終わる?私もやりたーい」
「お前に出来そうなのねーぞ」
ここのジムは、主にゾロしか使わない為、ゾロ基準の筋トレ道具しか置いていない。
ティナを片腕に乗せて立ち上がり、目についたそこで足を止めた。
「鉄棒やるか」
「これやった事ないよー。こあい?」
ティナを一旦鉄の絨毯に下ろすと、脇に手を入れて持ち上げた。
「大丈夫だ。両手で掴んでぶら下がってみろ」
1度ゾロを見上げてから鉄棒を見て、恐る恐る両手でそれを掴んだ。
「掴めたな?離すぞ。力入れて握ってろよ」
「おー」
ゆっくりと慎重に、ティナの体から両手を離していく。上手にぶら下がれた事に安堵する。
ティナは、「私すごい?」と興奮したような声で問いかけてきた。
「ああ、すげー。そのまま体持ち上げるからな」
腰を持って、鉄棒を腹部に当たるまで持ち上げた。
「ヒヒッ、たかーい!ゾロよりたかーい!」
「手ェ離すぞ。お前は手ェ離すなよ、握ってろよ」
「おー」
ゾロが体から手を離した瞬間、ティナの体が腰から折れ曲がった。
咄嗟に手を差し出すが、鉄棒を離さなかったのか、それ以上落ちる事もなく、鉄棒を支点に折りたたんだまま。
その光景に冷や汗をかいたのはゾロだけのようで、ティナは楽しそうに笑って足をジタバタ動かしている。
落ちなかった事に安堵の息をつく。
「ゾロすごいよコレー。見てー。見てるー?ねー、ゾロ見てるー?」
「ああ、見てる。凄いな」
暫くゾロの手を借りて鉄棒を楽しんだ。
その後は、ゾロの背中に乗って腕立てや指立てに付き合ったり、一緒に筋トレをして過ごした。
「あなたー、朝ごはん出来たわよー」
何度太陽と月が入れ替わろうとも、おままごとは飽きないらしい。
「たまには違う奴相手にしろよ」
「えー!だってゾロがパパ役じゃないとやだもん」
面倒ではあるものの、少しばかり優越感に浸るゾロだった。