☆チョッパー、親になる ※夢主は子供です
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
▽箱
「オイ、ちょっとテメーら見てくれ。このおれの傑作品を」
ダイニングに招集をかけたフランキーの隣には、今までダイニングにはなかったはずの、人1人入れそうな程のボックス。
それは、ローソファーや電伝虫が置いてあるところの横に鎮座している。高さは、フランキーより低いが2メートルはありそうだ。
「なんだコレ?すげーな」
すげーな、とキラキラした顔を見合わせるチョッパーとティナ。
「ねェ、それ置いたら威圧感ていうか存在感が凄いのよ。どうにかならないの?」
「なんだこの箱。手品でもするのか」
ナミは不満を訴え、ゾロはドアを軽く叩いて中を覗いている。それに反応し、中を覗こうと群がるルフィとウソップ。
「手品!?人が消えたりすんのかな?ウソップ、お前ちょっと入ってみろよ」
「なんでおれなんだよ!ルフィが入ればいいだろ!まァ、そこまで言うなら入ってやらないでもねーけど」
「じゃあおれが入るから見ててくれよ」
「お前が入んのかよ!」
身長的な問題で中を覗けないティナを見て、チョッパーは人型に変身するとティナを肩車した。
「あは、たっかーい」
「どうだ?見えるか?」
「見えるー」
「うっせーな!おれが今から説明すんだからちょっと黙ってろ!」
皆が口々に言う中、フランキーがそう一喝して黙らせた。
「言うならば、コレはティナの為に作ったものだ」
「え、私!?わーい!私の部屋だって!」
「ティナの部屋か……少し心配だな……」
人獣型に戻ったチョッパーは、隣ではしゃぐティナに、心配や不安を混ぜた表情を向ける。
「え!ティナだけずりぃぞ!おれも欲しい!おれのも作れ!」
「ちょっと待って。まだ1人部屋なんて早すぎるわよ。私は反対よ。するならベッドやドレッサーも置いてかわいくしてちょうだい」
「いや、そこかよ!部屋にしちゃ狭すぎる所を突っ込めよ!寝るスペースすらないぞ!」
「オイ野郎共。分かってるだろーが、テメーらティナちゃんの部屋に入ったらすりおろすぞ」
「だーれーがチビの部屋っつったよ!もう話が進まねーじゃねーか!最後までおれの話を聞いてくれ!」
フランキーが少し話すごとに、次から次にあがる歓喜や不満などの声。
それをロビンは、1人微笑を湛えて傍観している。
「で、だ。海軍なり海賊なり敵に襲われた時、ティナをここに避難させようと思う。強度はすげーぞ。砲弾も斬撃も効かない。傷1つ入ら――……オイやめろ!斬ろうとするな!」
今にも刀を抜いて、技も出しかねないゾロを見て慌てて止めに入る。
「斬撃も効かねェっつーから張り合いたくなっちまったぜ」
「張り合うな!船壊す気か!なんでこういう時だけ元気に起きてんだよ!寝てろよ!」
「ホントに強度高いの?ティナの命かかってんのよ。そんな箱に預けられるの?ティナの命」
「あったりめェよ!このおれを誰だと思ってやがる!おれ様の技術ナメんじゃねーぞ!おれ様は箱1つ作るのにも手は抜かねェ!」
フランキーも、何も遊びで作ったワケではない。
まだ戦に参加させるには無知で非力なティナを少しでも護ろうと、自分の持っている技術や知識を最大限に駆使して作りあげたのだ。
胸を張るフランキーに反して、ダイニングに漂う殺気。
「テメーら。ティナの命、本当にこの箱に預けていいと思うか?」
指の関節を鳴らし、低い声でクルーにそう問いかけたルフィ。
「え、ちょ、ちょっとお前ら落ち着け」
思ってもみない展開に、フランキーは動揺を隠せない。
サンジもタバコに火をつけて戦闘モードに。
「いいや、箱なんざに護れるわけがねェ。ティナちゃんはおれが護る」
「斬撃が効かねェっつーのがどんなものか、お手並み拝見といこうじゃねーか」
「私がこの目でしっかり見定めてあげるわ」
再び柄を握るゾロと、ナミも意気揚々と完成版天候棒 を構える。
「おれだってやるぞ。ティナの命を預ける相手はおれが決めるんだ」
蹄にランブルボールを挟んで真剣なチョッパー。
「えぇー……お前らマジかよ……船壊す気満々マンじゃねーか……」
「ティナ、危ないからこっち行ってましょ」
「ロビンちゃん、みんなすごいよー」
今から何が起こるのか何1つ理解出来ていないが、普段よりみんながカッコよく見えるようで、瞳をキラキラと輝かせている。そんなティナの手を引いて、ダイニングから外に促す。
慌ててウソップも外に出てきて、身を隠しながらその様子を窺っている。
「ちょいちょい!お前らやめろ!おめーらが本気出したら船がスーパーに壊れんだろーが!ここがどこだか分かってんのか!?大海原のど真ん中だぞ!」
「問題ねーよ。ちょっと試すだけだ」
「問題しかねーよ!おめーらのちょっとはちょっとじゃねーんだからやめろ!やめてくれェェ頼むー!」
ほぼ土下座の勢いで頭を下げたフランキーを見て、その空気を解く。
サンジは、締めたネクタイを緩め軽く息をついた。
「……ま、そうだな。島も近くにねェ海の真ん中で沈んじゃ世話ねーや」
「しょうがねぇ。今回はお預けとするか。命拾いしたな、箱」と、箱に拳を軽く当てて片頬で笑うゾロ。
「船は大事だな。おれ海に放り出されたら泳げねーし」
頭の後ろで手を組んで、にししと笑うルフィ。
チョッパーも、おれも泳げないんだったと我に返り、ランブルボールをしまう。
そんな光景を見て、ウソップは詰めていた息を吐き出した。
「良かったー……マジかと思って焦ったぜ」
「ティナはまだここにいなさい」
「ロビンちゃん?」
ティナが見上げた先にあるロビンは、思い詰めたような表情をしている。
ダイニングの中は、もうすっかり戦意などない。しかし、顔を青ざめている女が1人。
「みんなごめーん!私、もう雲発生させちゃった!どうしよう!どうしたらいい!?」
「は?……はぁぁぁ!?」
ロビンとティナ以外、つまり男全員の驚愕した声が響き渡るダイニング。
「ナミ、何やってんだよ!」と、ダイニングの外からナミを責めるウソップ。
「なんだ?何が起こるんだ?」
期待や楽しみの中に不安が混ざっているルフィ。
「うわ、マジで雲が出てるぜ。スーパーだなオイ」
ダイニングの天井には、白い雲から暗雲に姿を変え、ダイニングを薄暗くしている。
ゾロも、苦虫を噛み潰したような表情をする。
「マジかよ、冗談じゃねーぞ……ナミ、どうにかならねーのか。お前の技だろ」
「オイ!そうナミさんを責めるな!ナミさんここは一旦落ち着いて。何か対処法を考えよう。ナミさんなら出来るはずさ」
「た、対処って言っても……えーっと……あーんダメ。何も浮かばない。もう撃っちゃう?」
「テンパってそんな事言っちゃうナミさんも素敵だー!」
「ティナ!お前はロビンから離れちゃダメだぞ!」
「うん!……ロビンちゃん……」
チョッパーの言いつけを守って、ロビンの太ももにしがみつく。ロビンは、その場にしゃがんでティナの背に腕を回した。
ロビンは、出入口付近にいるウソップを邪魔だと判断し、ドアを閉めると同時に無慈悲にも彼を中に放り込んだ。その間に、ティナを抱き上げて少し離れた場所に移動し、ティナを護るように抱きしめ背を壁に向ける。
突如、中からバリバリと耳をつんざくような雷が落ちる音がしたと同時に男達の悲鳴。続いて轟いた爆発音。
ロビンが能力を使ってダイニングの様子を窺うが、立ち込める黒煙で何も見えない。
しかし、ナミの技はもうすっかりなりを潜めているようで。
「ティナ、もう大丈夫よ。怖い思いをさせたかしら」
自分の腕の中でしがみついているティナの頭を、安心させるように撫でる。ティナは、ゆっくり顔を上げてにっと笑った。
「怖くなかったよ。ロビンちゃんがギューってしてくれてたかんね、全然怖くなかった。ありがと。でも、雷の音にはビックリしたよー」
凄かったね、と言うティナに小さく笑む。
能力でダイニングのドアを開けるなり、流れ出てきた黒煙。
「ティナは強いのね」
「私つおい?」
「ええ、強いわ」
初めて言われたその褒め言葉に少しの羞恥を見せるが、次には、得意げに腕を曲げて力こぶを作るティナ。
「私つおい!」
「ごめんね。2人とも大丈夫だった?怪我とかしてない?」
ダイニングから顔を覗かせたナミ。
「ええ、大丈夫よ」
「ナミさん、私つおかったってロビンちゃんが」
「そ。偉いじゃない。2人に怪我なくて良かったわ」
そう褒めると、ダイニングに戻ったナミ。
そして、雷撃を食らって焦げている男達に向かって声を張り上げた。
「さ、アンタ達!さっさと起きる!いつまで寝てんの!?」
「おめーは先に言う事あんだろ!」
寝たままの状態で、サンジ以外からの総ツッコミをくらったナミは「あ、やっぱり?」と舌を出した。
「みんなごめんね♡」
両手を合わせて軽く横に頭を傾けるナミ。
「お前悪いって思ってないだろ……」
「思ってるわよ失礼ね!これでもやり過ぎたって反省してんのよ!」
ウソップの指摘に反論した後、ダイニングを見回して肩を落とした。
「ここまで黒焦げになるなんて……私のバカ……」
「ナミさんつおい……」
ロビンと手を繋いでダイニングに入ってきたティナは、男達全員を倒したナミを見て、産まれて初めて尊敬の念を覚えた。それと同時に、やっぱりナミは怒らせてはいけないのだと改めて認識したのだった。
後日、その箱は撤去された。
「あにきー、私の箱なくなってたよー」
「もういらねーだろ。おめェには護ってくれる奴がいっぱいいんだから」
「私の箱もうないのー?私の箱……私の……」
しゅんと項垂れるその姿に、フランキーは「分かったよ!」と言うと、その箱を利用して再び違う箱を作った。
「おらよ!おれ様特製オモチャ箱だ!これでどうだ!どんな攻撃からもスーパーにオモチャを護ってくれるぜ!」
「うわー!すごーい!チョッパー!オモチャ箱ー!見てー!」
「良かったな。フランキーにお礼言ったか?」
「あにきありがとう!」
満面の笑みでお礼を言われ、最初からティナが使うような物を作れば良かったのかと考えを改めたとか……
「オイ、ちょっとテメーら見てくれ。このおれの傑作品を」
ダイニングに招集をかけたフランキーの隣には、今までダイニングにはなかったはずの、人1人入れそうな程のボックス。
それは、ローソファーや電伝虫が置いてあるところの横に鎮座している。高さは、フランキーより低いが2メートルはありそうだ。
「なんだコレ?すげーな」
すげーな、とキラキラした顔を見合わせるチョッパーとティナ。
「ねェ、それ置いたら威圧感ていうか存在感が凄いのよ。どうにかならないの?」
「なんだこの箱。手品でもするのか」
ナミは不満を訴え、ゾロはドアを軽く叩いて中を覗いている。それに反応し、中を覗こうと群がるルフィとウソップ。
「手品!?人が消えたりすんのかな?ウソップ、お前ちょっと入ってみろよ」
「なんでおれなんだよ!ルフィが入ればいいだろ!まァ、そこまで言うなら入ってやらないでもねーけど」
「じゃあおれが入るから見ててくれよ」
「お前が入んのかよ!」
身長的な問題で中を覗けないティナを見て、チョッパーは人型に変身するとティナを肩車した。
「あは、たっかーい」
「どうだ?見えるか?」
「見えるー」
「うっせーな!おれが今から説明すんだからちょっと黙ってろ!」
皆が口々に言う中、フランキーがそう一喝して黙らせた。
「言うならば、コレはティナの為に作ったものだ」
「え、私!?わーい!私の部屋だって!」
「ティナの部屋か……少し心配だな……」
人獣型に戻ったチョッパーは、隣ではしゃぐティナに、心配や不安を混ぜた表情を向ける。
「え!ティナだけずりぃぞ!おれも欲しい!おれのも作れ!」
「ちょっと待って。まだ1人部屋なんて早すぎるわよ。私は反対よ。するならベッドやドレッサーも置いてかわいくしてちょうだい」
「いや、そこかよ!部屋にしちゃ狭すぎる所を突っ込めよ!寝るスペースすらないぞ!」
「オイ野郎共。分かってるだろーが、テメーらティナちゃんの部屋に入ったらすりおろすぞ」
「だーれーがチビの部屋っつったよ!もう話が進まねーじゃねーか!最後までおれの話を聞いてくれ!」
フランキーが少し話すごとに、次から次にあがる歓喜や不満などの声。
それをロビンは、1人微笑を湛えて傍観している。
「で、だ。海軍なり海賊なり敵に襲われた時、ティナをここに避難させようと思う。強度はすげーぞ。砲弾も斬撃も効かない。傷1つ入ら――……オイやめろ!斬ろうとするな!」
今にも刀を抜いて、技も出しかねないゾロを見て慌てて止めに入る。
「斬撃も効かねェっつーから張り合いたくなっちまったぜ」
「張り合うな!船壊す気か!なんでこういう時だけ元気に起きてんだよ!寝てろよ!」
「ホントに強度高いの?ティナの命かかってんのよ。そんな箱に預けられるの?ティナの命」
「あったりめェよ!このおれを誰だと思ってやがる!おれ様の技術ナメんじゃねーぞ!おれ様は箱1つ作るのにも手は抜かねェ!」
フランキーも、何も遊びで作ったワケではない。
まだ戦に参加させるには無知で非力なティナを少しでも護ろうと、自分の持っている技術や知識を最大限に駆使して作りあげたのだ。
胸を張るフランキーに反して、ダイニングに漂う殺気。
「テメーら。ティナの命、本当にこの箱に預けていいと思うか?」
指の関節を鳴らし、低い声でクルーにそう問いかけたルフィ。
「え、ちょ、ちょっとお前ら落ち着け」
思ってもみない展開に、フランキーは動揺を隠せない。
サンジもタバコに火をつけて戦闘モードに。
「いいや、箱なんざに護れるわけがねェ。ティナちゃんはおれが護る」
「斬撃が効かねェっつーのがどんなものか、お手並み拝見といこうじゃねーか」
「私がこの目でしっかり見定めてあげるわ」
再び柄を握るゾロと、ナミも意気揚々と
「おれだってやるぞ。ティナの命を預ける相手はおれが決めるんだ」
蹄にランブルボールを挟んで真剣なチョッパー。
「えぇー……お前らマジかよ……船壊す気満々マンじゃねーか……」
「ティナ、危ないからこっち行ってましょ」
「ロビンちゃん、みんなすごいよー」
今から何が起こるのか何1つ理解出来ていないが、普段よりみんながカッコよく見えるようで、瞳をキラキラと輝かせている。そんなティナの手を引いて、ダイニングから外に促す。
慌ててウソップも外に出てきて、身を隠しながらその様子を窺っている。
「ちょいちょい!お前らやめろ!おめーらが本気出したら船がスーパーに壊れんだろーが!ここがどこだか分かってんのか!?大海原のど真ん中だぞ!」
「問題ねーよ。ちょっと試すだけだ」
「問題しかねーよ!おめーらのちょっとはちょっとじゃねーんだからやめろ!やめてくれェェ頼むー!」
ほぼ土下座の勢いで頭を下げたフランキーを見て、その空気を解く。
サンジは、締めたネクタイを緩め軽く息をついた。
「……ま、そうだな。島も近くにねェ海の真ん中で沈んじゃ世話ねーや」
「しょうがねぇ。今回はお預けとするか。命拾いしたな、箱」と、箱に拳を軽く当てて片頬で笑うゾロ。
「船は大事だな。おれ海に放り出されたら泳げねーし」
頭の後ろで手を組んで、にししと笑うルフィ。
チョッパーも、おれも泳げないんだったと我に返り、ランブルボールをしまう。
そんな光景を見て、ウソップは詰めていた息を吐き出した。
「良かったー……マジかと思って焦ったぜ」
「ティナはまだここにいなさい」
「ロビンちゃん?」
ティナが見上げた先にあるロビンは、思い詰めたような表情をしている。
ダイニングの中は、もうすっかり戦意などない。しかし、顔を青ざめている女が1人。
「みんなごめーん!私、もう雲発生させちゃった!どうしよう!どうしたらいい!?」
「は?……はぁぁぁ!?」
ロビンとティナ以外、つまり男全員の驚愕した声が響き渡るダイニング。
「ナミ、何やってんだよ!」と、ダイニングの外からナミを責めるウソップ。
「なんだ?何が起こるんだ?」
期待や楽しみの中に不安が混ざっているルフィ。
「うわ、マジで雲が出てるぜ。スーパーだなオイ」
ダイニングの天井には、白い雲から暗雲に姿を変え、ダイニングを薄暗くしている。
ゾロも、苦虫を噛み潰したような表情をする。
「マジかよ、冗談じゃねーぞ……ナミ、どうにかならねーのか。お前の技だろ」
「オイ!そうナミさんを責めるな!ナミさんここは一旦落ち着いて。何か対処法を考えよう。ナミさんなら出来るはずさ」
「た、対処って言っても……えーっと……あーんダメ。何も浮かばない。もう撃っちゃう?」
「テンパってそんな事言っちゃうナミさんも素敵だー!」
「ティナ!お前はロビンから離れちゃダメだぞ!」
「うん!……ロビンちゃん……」
チョッパーの言いつけを守って、ロビンの太ももにしがみつく。ロビンは、その場にしゃがんでティナの背に腕を回した。
ロビンは、出入口付近にいるウソップを邪魔だと判断し、ドアを閉めると同時に無慈悲にも彼を中に放り込んだ。その間に、ティナを抱き上げて少し離れた場所に移動し、ティナを護るように抱きしめ背を壁に向ける。
突如、中からバリバリと耳をつんざくような雷が落ちる音がしたと同時に男達の悲鳴。続いて轟いた爆発音。
ロビンが能力を使ってダイニングの様子を窺うが、立ち込める黒煙で何も見えない。
しかし、ナミの技はもうすっかりなりを潜めているようで。
「ティナ、もう大丈夫よ。怖い思いをさせたかしら」
自分の腕の中でしがみついているティナの頭を、安心させるように撫でる。ティナは、ゆっくり顔を上げてにっと笑った。
「怖くなかったよ。ロビンちゃんがギューってしてくれてたかんね、全然怖くなかった。ありがと。でも、雷の音にはビックリしたよー」
凄かったね、と言うティナに小さく笑む。
能力でダイニングのドアを開けるなり、流れ出てきた黒煙。
「ティナは強いのね」
「私つおい?」
「ええ、強いわ」
初めて言われたその褒め言葉に少しの羞恥を見せるが、次には、得意げに腕を曲げて力こぶを作るティナ。
「私つおい!」
「ごめんね。2人とも大丈夫だった?怪我とかしてない?」
ダイニングから顔を覗かせたナミ。
「ええ、大丈夫よ」
「ナミさん、私つおかったってロビンちゃんが」
「そ。偉いじゃない。2人に怪我なくて良かったわ」
そう褒めると、ダイニングに戻ったナミ。
そして、雷撃を食らって焦げている男達に向かって声を張り上げた。
「さ、アンタ達!さっさと起きる!いつまで寝てんの!?」
「おめーは先に言う事あんだろ!」
寝たままの状態で、サンジ以外からの総ツッコミをくらったナミは「あ、やっぱり?」と舌を出した。
「みんなごめんね♡」
両手を合わせて軽く横に頭を傾けるナミ。
「お前悪いって思ってないだろ……」
「思ってるわよ失礼ね!これでもやり過ぎたって反省してんのよ!」
ウソップの指摘に反論した後、ダイニングを見回して肩を落とした。
「ここまで黒焦げになるなんて……私のバカ……」
「ナミさんつおい……」
ロビンと手を繋いでダイニングに入ってきたティナは、男達全員を倒したナミを見て、産まれて初めて尊敬の念を覚えた。それと同時に、やっぱりナミは怒らせてはいけないのだと改めて認識したのだった。
後日、その箱は撤去された。
「あにきー、私の箱なくなってたよー」
「もういらねーだろ。おめェには護ってくれる奴がいっぱいいんだから」
「私の箱もうないのー?私の箱……私の……」
しゅんと項垂れるその姿に、フランキーは「分かったよ!」と言うと、その箱を利用して再び違う箱を作った。
「おらよ!おれ様特製オモチャ箱だ!これでどうだ!どんな攻撃からもスーパーにオモチャを護ってくれるぜ!」
「うわー!すごーい!チョッパー!オモチャ箱ー!見てー!」
「良かったな。フランキーにお礼言ったか?」
「あにきありがとう!」
満面の笑みでお礼を言われ、最初からティナが使うような物を作れば良かったのかと考えを改めたとか……