☆チョッパー、親になる ※夢主は子供です
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▽むらさき
「……うーん……」
何を考えているのか、首を捻って10分が経とうとしている。
「……どうかしたの?」
隣で本を読んでいたロビンが、痺れを切らしたのか、うんうん唸っているティナに声をかけた。
「あんねぇ、むやさきを使いたいんだけどないからねぇ、自分で作ろうと思ったんだけど……ヨビンちゃんはどの色がむやさきに見える?」
「"ロビン"よ。それから"紫"ね」
「はぁい。ねぇ見てー」
見せられた画用紙は、どの色が紫に見えるという以前の問題。
ウソップとフランキーからもらった、赤と青、黒の3色でぐちゃぐちゃに書かれているだけなので、残念ながらどれも紫には見えない。
「……難しいわね」
紙を縦や横にしてみるも、紫は見えてこない。
そもそも、色鉛筆を混ぜあって違う色に出来るのか、というのもロビンの中で疑問ではあった。
考古学は勉強してきたが、いかんせん色鉛筆の色がたりなかった時の事など想定して生きてこなかったので、何もアドバイスは出来ない。そもそも、今までの人生の中で、色鉛筆を使ってお絵描きなどした事があっただろうか。
幼い頃から大人に混ざって考古学を学び、犯罪者となり海軍に追われる日々。お絵描きをする事なんて……
自分の過去を振り返るのもそこそこに、ロビンはティナを見た。
海賊と一緒にいるという事は、今はこの子も海軍から追われている身。経緯は違えど、ティナには苦しくツラい思いはさせたくない、いつでも楽しくお絵描きが出来る環境は誰にも邪魔させたくない、そう思った。
「ごめんなさいね。私には分からないわ」
「んー……そっかー……」
腕を組んで、再び悩むティナに微笑む。
ロビンは、チョッパーに判別してもらうよう促し、本の続きを読み始めた。
ティナは言われた通り、医務室にいるチョッパーのもとへ。
「チョッパー!見てー!」
「なんだ?何を見るんだ?」
薬を調合していた手を止めてティナを見ると、目の前に色鉛筆でぐちゃぐちゃな画用紙を差し出された。
どう見ても、何が書いてあるのか想像すらつかない。
どう褒めようか、正直に言うべきなのか悩んでいると画用紙が消えた。
頭上を見れば、いつの間に来たのかルフィが画用紙を持っている。
「これティナが描いたのか?下手くそだなぁ。おれのがうまいぞ」
ルフィの正直な意見に、チョッパーはハラハラしながらルフィとティナを交互に見る。
「それ絵じゃないよ」
ルフィに言い過ぎだと注意しようとするより前に、ティナから話された事実に安堵の息をついた。
「あんねぇ、いよ鉛筆のね、むやさきが……じゃなくて、えーっと、むーらーさーきー!がないかんね」
「欲しいのか?」
言い終わる前に、ルフィがティナの前に腰を下ろして聞いた。
「え!?買ってくれんの!?」
本来の目的を忘れて目を輝かす。
数分もしないうちに、本日二度目の不安がチョッパーを襲う。
「でも、ルフィ金持ってないんじゃ……」
「あぁ、だからナミに頼んでくる」
「私もー」
飛び跳ねるようにルフィの後を追うティナの背中を、チョッパーも慌てて追いかける。
「いいわよ」
アクアリウムバーにいたナミに事情を話すと、あっさり買う許可がおりた。
「いいの?」
「いいのか?」
その言葉にティナは勿論、ルフィも目を輝かせて同時に聞き返した。
「色鉛筆ぐらい安いもんよ」
ルフィとティナは両手を繋いで回りだし、喜びを露にしている。
「なんでルフィまで喜んでんのよ。あんたのはないわよ」
「えぇー!」
「当たり前でしょ!あるわけないじゃない!バカね!」
ルフィの頭に落ちたナミの拳がルフィに相当の衝撃を与えたらしく、床にめり込んでいる。
「ティナ、島についたらチョッパーと三人でお買い物に行きましょうね」
「うん!ナミさん、おふろであしょべるおもちゃ買ってー」
「ティナもルフィと同じ事になりたいの?」
ゆっくり拳をあげていくナミに、顔を青ざめさせ、ちぎれそうになるぐらい首を振って否定する。
島につき、獣型になったチョッパーの背中にティナを乗せ、ナミと3人で町に繰り出した。
この船の仲間になり初めての島だ。
自然とティナのテンションが上がる。
「うはー!すごいすごい!チョッパーあれなぁに?」
「ティナ、危ないからちゃんと座りなさい」
落ちそうになる程身を乗り出して指をさすティナを、ナミがちゃんと座り直させた。
1軒の店に入ると、ナミは目的の色鉛筆を探し当て、よそ見をする事もなくレジへ。
「ナミさんおもちゃー」
「これお願い」
ナミは、ティナの指さすおもちゃに見向きもせず、色鉛筆を購入した。その様子を見たティナは、ナミを真似て「こえおながい」と、おもちゃをレジに置く。
「お願いしなくていいの。帰るわよ」
「あーん、おもちゃー」
ナミはティナを抱きかかえると、レジに置かれたおもちゃを売り場へ戻し、その店から足早に去った。
「なぁナミ、ティナにふぐっ!」
「ん?ふぐ?」
服を買ってやらないのかと聞きたかったのだが、先読みされて頭に拳が落ちた。
地面に沈み込むチョッパーに「おー……」と感嘆を漏らす。
「チョッパー疲れてるみたい。船に戻りましょ」
「え?もう?もっと見たいよ。ナミさーん」
「ダメよ。チョッパー休ませてあげないと」
唇を尖らせていじけるティナを宥めるナミの後ろを、涙ながらについていくチョッパー。
ナミは、子供服を買うつもりがなかったわけではない。むしろ買う予定をしていたのだが、歩きながら目に止まった子供服の値段の高さに驚愕し、買うのをやめたのだ。
船に戻り、早速買ってもらった色鉛筆で画用紙に絵を描き始めた。
「かけたー!ヨビ……えっと、ロービーン!ちゃん見てぇー」
「何かしら?」
読んでいた本を閉じて、差し出されたそれを見る。
画用紙いっぱいに描かれた、紫の服を着た髪の長い女の子の絵。その女の子は、とても楽しそうに笑っている。
「ヨビンちゃんかいたの。あのねー、ヨビンちゃんね、むや……むりゃさきが似合うと思ってね。あげるー」
「それで紫を……」
ニコニコと笑うティナに、ロビンは愛しさを覚えた。
「ありがとう」
「え、ヨ、ヨビンちゃん泣かないでー」
言われて初めて、自分が泣いている事に気が付いた。
頬を伝う涙を拭う。
どうしようどうしようと、服の裾を掴んで右往左往しているティナ。
「ティナ、泣いてないから落ち着いて」
立ち止まってロビンを見上げたティナの目にも、今にもこぼれそうな程の涙が浮かんでいる。
大丈夫よとロビンが言うけれど、眉間に深く皺を寄せて、微かに震えている唇をかみしめている。泣くまいとしていたティナだが、我慢しきれなかったのか、大粒の涙を流しながら声をあげて泣き出した。
「ヨビンちゃん泣かないれー!」
「あらあら」
小さく笑ってティナを抱き上げ、自分の膝に乗せて泣きやむまであやした。
「ねぇ、ティナ。今度、私も一緒にお絵描きしていいかしら?」
ロビンの問いかけに、ティナは花が咲いたように笑って頷いた。
ティナが描いた絵は、女部屋に大切に飾られている。
「……うーん……」
何を考えているのか、首を捻って10分が経とうとしている。
「……どうかしたの?」
隣で本を読んでいたロビンが、痺れを切らしたのか、うんうん唸っているティナに声をかけた。
「あんねぇ、むやさきを使いたいんだけどないからねぇ、自分で作ろうと思ったんだけど……ヨビンちゃんはどの色がむやさきに見える?」
「"ロビン"よ。それから"紫"ね」
「はぁい。ねぇ見てー」
見せられた画用紙は、どの色が紫に見えるという以前の問題。
ウソップとフランキーからもらった、赤と青、黒の3色でぐちゃぐちゃに書かれているだけなので、残念ながらどれも紫には見えない。
「……難しいわね」
紙を縦や横にしてみるも、紫は見えてこない。
そもそも、色鉛筆を混ぜあって違う色に出来るのか、というのもロビンの中で疑問ではあった。
考古学は勉強してきたが、いかんせん色鉛筆の色がたりなかった時の事など想定して生きてこなかったので、何もアドバイスは出来ない。そもそも、今までの人生の中で、色鉛筆を使ってお絵描きなどした事があっただろうか。
幼い頃から大人に混ざって考古学を学び、犯罪者となり海軍に追われる日々。お絵描きをする事なんて……
自分の過去を振り返るのもそこそこに、ロビンはティナを見た。
海賊と一緒にいるという事は、今はこの子も海軍から追われている身。経緯は違えど、ティナには苦しくツラい思いはさせたくない、いつでも楽しくお絵描きが出来る環境は誰にも邪魔させたくない、そう思った。
「ごめんなさいね。私には分からないわ」
「んー……そっかー……」
腕を組んで、再び悩むティナに微笑む。
ロビンは、チョッパーに判別してもらうよう促し、本の続きを読み始めた。
ティナは言われた通り、医務室にいるチョッパーのもとへ。
「チョッパー!見てー!」
「なんだ?何を見るんだ?」
薬を調合していた手を止めてティナを見ると、目の前に色鉛筆でぐちゃぐちゃな画用紙を差し出された。
どう見ても、何が書いてあるのか想像すらつかない。
どう褒めようか、正直に言うべきなのか悩んでいると画用紙が消えた。
頭上を見れば、いつの間に来たのかルフィが画用紙を持っている。
「これティナが描いたのか?下手くそだなぁ。おれのがうまいぞ」
ルフィの正直な意見に、チョッパーはハラハラしながらルフィとティナを交互に見る。
「それ絵じゃないよ」
ルフィに言い過ぎだと注意しようとするより前に、ティナから話された事実に安堵の息をついた。
「あんねぇ、いよ鉛筆のね、むやさきが……じゃなくて、えーっと、むーらーさーきー!がないかんね」
「欲しいのか?」
言い終わる前に、ルフィがティナの前に腰を下ろして聞いた。
「え!?買ってくれんの!?」
本来の目的を忘れて目を輝かす。
数分もしないうちに、本日二度目の不安がチョッパーを襲う。
「でも、ルフィ金持ってないんじゃ……」
「あぁ、だからナミに頼んでくる」
「私もー」
飛び跳ねるようにルフィの後を追うティナの背中を、チョッパーも慌てて追いかける。
「いいわよ」
アクアリウムバーにいたナミに事情を話すと、あっさり買う許可がおりた。
「いいの?」
「いいのか?」
その言葉にティナは勿論、ルフィも目を輝かせて同時に聞き返した。
「色鉛筆ぐらい安いもんよ」
ルフィとティナは両手を繋いで回りだし、喜びを露にしている。
「なんでルフィまで喜んでんのよ。あんたのはないわよ」
「えぇー!」
「当たり前でしょ!あるわけないじゃない!バカね!」
ルフィの頭に落ちたナミの拳がルフィに相当の衝撃を与えたらしく、床にめり込んでいる。
「ティナ、島についたらチョッパーと三人でお買い物に行きましょうね」
「うん!ナミさん、おふろであしょべるおもちゃ買ってー」
「ティナもルフィと同じ事になりたいの?」
ゆっくり拳をあげていくナミに、顔を青ざめさせ、ちぎれそうになるぐらい首を振って否定する。
島につき、獣型になったチョッパーの背中にティナを乗せ、ナミと3人で町に繰り出した。
この船の仲間になり初めての島だ。
自然とティナのテンションが上がる。
「うはー!すごいすごい!チョッパーあれなぁに?」
「ティナ、危ないからちゃんと座りなさい」
落ちそうになる程身を乗り出して指をさすティナを、ナミがちゃんと座り直させた。
1軒の店に入ると、ナミは目的の色鉛筆を探し当て、よそ見をする事もなくレジへ。
「ナミさんおもちゃー」
「これお願い」
ナミは、ティナの指さすおもちゃに見向きもせず、色鉛筆を購入した。その様子を見たティナは、ナミを真似て「こえおながい」と、おもちゃをレジに置く。
「お願いしなくていいの。帰るわよ」
「あーん、おもちゃー」
ナミはティナを抱きかかえると、レジに置かれたおもちゃを売り場へ戻し、その店から足早に去った。
「なぁナミ、ティナにふぐっ!」
「ん?ふぐ?」
服を買ってやらないのかと聞きたかったのだが、先読みされて頭に拳が落ちた。
地面に沈み込むチョッパーに「おー……」と感嘆を漏らす。
「チョッパー疲れてるみたい。船に戻りましょ」
「え?もう?もっと見たいよ。ナミさーん」
「ダメよ。チョッパー休ませてあげないと」
唇を尖らせていじけるティナを宥めるナミの後ろを、涙ながらについていくチョッパー。
ナミは、子供服を買うつもりがなかったわけではない。むしろ買う予定をしていたのだが、歩きながら目に止まった子供服の値段の高さに驚愕し、買うのをやめたのだ。
船に戻り、早速買ってもらった色鉛筆で画用紙に絵を描き始めた。
「かけたー!ヨビ……えっと、ロービーン!ちゃん見てぇー」
「何かしら?」
読んでいた本を閉じて、差し出されたそれを見る。
画用紙いっぱいに描かれた、紫の服を着た髪の長い女の子の絵。その女の子は、とても楽しそうに笑っている。
「ヨビンちゃんかいたの。あのねー、ヨビンちゃんね、むや……むりゃさきが似合うと思ってね。あげるー」
「それで紫を……」
ニコニコと笑うティナに、ロビンは愛しさを覚えた。
「ありがとう」
「え、ヨ、ヨビンちゃん泣かないでー」
言われて初めて、自分が泣いている事に気が付いた。
頬を伝う涙を拭う。
どうしようどうしようと、服の裾を掴んで右往左往しているティナ。
「ティナ、泣いてないから落ち着いて」
立ち止まってロビンを見上げたティナの目にも、今にもこぼれそうな程の涙が浮かんでいる。
大丈夫よとロビンが言うけれど、眉間に深く皺を寄せて、微かに震えている唇をかみしめている。泣くまいとしていたティナだが、我慢しきれなかったのか、大粒の涙を流しながら声をあげて泣き出した。
「ヨビンちゃん泣かないれー!」
「あらあら」
小さく笑ってティナを抱き上げ、自分の膝に乗せて泣きやむまであやした。
「ねぇ、ティナ。今度、私も一緒にお絵描きしていいかしら?」
ロビンの問いかけに、ティナは花が咲いたように笑って頷いた。
ティナが描いた絵は、女部屋に大切に飾られている。