愛用の香水(学パロ)
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長年愛用している香水は、香りもボトルの形も色も気に入っている。
すれ違いざまに、ふわりと風に乗って流れてきた香りは、落ち着きさえも覚えさせてくれる。
誰かが私と同じ香水を使ってるんだな、と少し嬉しくなった。
自分が気に入っている物を、同じように好きな人がいると知れば、少なからず悪い気はしない。
昼休み、食堂でご飯を済ませた後、退に会う為に中庭に足を運んだ。
「…………」
嫌なものを見てしまった。
前述の意味に、人間は含まない事を了承していただきたい。
「……紗羽……あれ?」
中庭のベンチで寝る事を習慣にしている私の彼氏が、知らない女にキスで起こされている。
寝ぼけた状態でも、自分の置かれた状況を把握したのか、驚きを隠せないと言った表情で女を一瞥した後、こっちに駆け寄ってきた。
「ごめん!俺も寝てて、何がなんだか」
頭を下げる退の横を通り過ぎて、女との距離を詰めていく。
女は、怯みも逃げもしない。まるで私を待っているかのようにも見える。
「私の男に手ェ出すな」
睨み付ければ、鼻で笑ってきた。
「そう言ってられるのも今のうちよ。奪ってやるから覚悟しとけ」
そう捨て台詞を叩き付けると、スカートを翻して去って行った。その時に、ふわりと漂ってきたお気に入りの香り。あれだけ気に入っていたのに、今ではその匂いに吐き気を覚えた。
側に寄ってきた退は、バツが悪そうに私の機嫌を窺っている。
「ねぇ、香水、別のにするから一緒に選んでくれない?」
そう言って微笑めば、人の良さそうな笑顔で、嬉しそうに頷いた。
今日、私は愛用の香水を手放した。
でも、愛している人を手放す気はない。
すれ違いざまに、ふわりと風に乗って流れてきた香りは、落ち着きさえも覚えさせてくれる。
誰かが私と同じ香水を使ってるんだな、と少し嬉しくなった。
自分が気に入っている物を、同じように好きな人がいると知れば、少なからず悪い気はしない。
昼休み、食堂でご飯を済ませた後、退に会う為に中庭に足を運んだ。
「…………」
嫌なものを見てしまった。
前述の意味に、人間は含まない事を了承していただきたい。
「……紗羽……あれ?」
中庭のベンチで寝る事を習慣にしている私の彼氏が、知らない女にキスで起こされている。
寝ぼけた状態でも、自分の置かれた状況を把握したのか、驚きを隠せないと言った表情で女を一瞥した後、こっちに駆け寄ってきた。
「ごめん!俺も寝てて、何がなんだか」
頭を下げる退の横を通り過ぎて、女との距離を詰めていく。
女は、怯みも逃げもしない。まるで私を待っているかのようにも見える。
「私の男に手ェ出すな」
睨み付ければ、鼻で笑ってきた。
「そう言ってられるのも今のうちよ。奪ってやるから覚悟しとけ」
そう捨て台詞を叩き付けると、スカートを翻して去って行った。その時に、ふわりと漂ってきたお気に入りの香り。あれだけ気に入っていたのに、今ではその匂いに吐き気を覚えた。
側に寄ってきた退は、バツが悪そうに私の機嫌を窺っている。
「ねぇ、香水、別のにするから一緒に選んでくれない?」
そう言って微笑めば、人の良さそうな笑顔で、嬉しそうに頷いた。
今日、私は愛用の香水を手放した。
でも、愛している人を手放す気はない。
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