秋に鳴くセミ
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※キョンとの関係性はご想像にお任せ
じわりと汗ばむ体。
寝汗が酷い。
恐い夢を見た記憶も、うなされた記憶もない。
体を起こしてベッドの縁に腰をかけ、スウェットの上だけを脱ぎ捨てTシャツだけを残す。
昨晩はあまりの寒さに引きずり出した掛け布団も、今ではベッドの上どころか無惨な形で床に落ちていて意味をなしていない。
今日は土曜日だからか、妹に叩き起こされる事もなく、いつもより長く寝れたがこの暑さじゃ二度寝は出来ん。
「あちぃ……」
サウナの如く蒸した部屋の空気を入れ替えようと、重い腰をあげて窓際に行き、カーテンと窓を開け放った。
涼しい風が入ってくるのを期待していたのに、頬を撫でたのはじんわりとした湿度を含んだ熱い風とうるさいほどの蝉の鳴き声。
カーテンは開けたままで、窓だけをもう一度閉め、今度こそ涼しい部屋にしようとエアコンのリモコンで電源を入れ、冷房にして温度を18度に設定する。
最初からこうすれば良かった。
エアコンのお陰で暑さが和らいでくる。
こう暑かったら、妹に「キョンくーん、プールに連れてってー」とか言われそうだ。
というか、この時期にプールはやっているのか。
落ちている布団を適当にベッドに戻し、その縁に腰をかける。
枕元にある携帯を何気なく開けて画面を見た俺は、意表を突かれた。
いや、寝起きじゃなければすぐ分かる事だったんだ。
寝ぼけていた俺は、それに気付かなかった。
ハッキリと画面が映し出す今日の日付は、こんな蒸し暑いのはおかしい10月も半ば。
「嘘だろ……」
閉め切った窓の外から聞こえる蝉の鳴き声が、現実だと告げる。そして、18度に設定したエアコン。
10月でこの温度は耐えられんだろう。やってみた事がないから分からんが。いや、10月にセミが鳴いている時点でおかしい。
犯人は分かる。ハルヒだ。
どうせハルヒが、もう1度夏にならないかとかそう願ったに違いない。じゃないと、思い当たる節がないからな。
やれやれと軽く息をついていると、コンコンとドアがノックされると同時に、俺のあだ名が呼ばれた。
ドアを開ければ、Tシャツにハーフパンツの格好をした紗羽が立っていた。
寒いからとスウェットを着ていた昨晩とは対称的な格好。
「あっ、起きてた。アイス食べない?」
バニラのカップアイス2個とスプーンが2本、その手に収まっている。
部屋に招き入れると、「キョンの部屋涼しい!」と言いながらベッドにダイブした。
その拍子に上に乗っていたアイスが滑り落ちただけで、柄が握られているスプーンが布団に付く事はなかった。別についても気にしないが。
夏だろうと冬だろうと季節関係なくアイスを食べたがる紗羽の癖が役に立ったらしい。
ひんやりと冷たい上に少し汗をかいたアイスのカップとスプーンを受け取った。
暑さで喉も乾いているから、本当はジュースの方が良かったのだが、黙っておく事にする。
没収される危険性が高いからな。
アイスでも多少喉も潤うし、涼しくなれるからいいだろう。
家に居るのは俺と紗羽の二人だけで、妹はミヨキチと遊びに行ったらしい。
どうりで誘いがなかったわけだ。
誘われても断っていたし、最初から俺に頼らなかったのは賢明な判断だ。この暑さの中遊びに行く小学生の元気は底知れない。
「今日の最高気温34度だって。異常気象にも程があるよね」
アイスをスプーンでつつきながら、不満にも似た声や表情でそう漏らす紗羽。
全くだ。今は秋だぞ。何を考えてやがる。いや、奴は何も考えてなどいないさ。そういう奴だ。
エアコンの頑張りとアイスを食べているのも手伝い、部屋の空気と体が冷えてきた。
「明日は?予報なんか言ってたか?」
問題はそこだ。
俺の問いかけに、紗羽はスプーンに乗ったアイスを口に運ぶのを中断し、目線を俺に寄越して「気温は出なかった」と、長門の真似をしているような淡々とした口調で答えた。
それもハルヒ次第だろう。
夏日がいいと願うか、元に戻るよう願うかは、明日になってみないと分からない。
ちょうど明日も日曜日で休みだ。
自分の分だけでは食い足りないのか、俺の半分も残っていないアイスを、子供みたいにスプーンを咥えて見つめている。
大人気ないが、一口たりともやる気はない。
「明日、今日と同じで暑かったら海、気温が戻ったら遊園地行かないか?」
海は泳げずとも、足をつけるぐらいなら出来るだろうしな。
俺の思い切った誘いに、紗羽は頷いてどっちも楽しみだと笑った。
どっちに転ぶか分からんが、気温より願うは、明日が晴れであるように。
それと、ハルヒからの招集がないように。
じわりと汗ばむ体。
寝汗が酷い。
恐い夢を見た記憶も、うなされた記憶もない。
体を起こしてベッドの縁に腰をかけ、スウェットの上だけを脱ぎ捨てTシャツだけを残す。
昨晩はあまりの寒さに引きずり出した掛け布団も、今ではベッドの上どころか無惨な形で床に落ちていて意味をなしていない。
今日は土曜日だからか、妹に叩き起こされる事もなく、いつもより長く寝れたがこの暑さじゃ二度寝は出来ん。
「あちぃ……」
サウナの如く蒸した部屋の空気を入れ替えようと、重い腰をあげて窓際に行き、カーテンと窓を開け放った。
涼しい風が入ってくるのを期待していたのに、頬を撫でたのはじんわりとした湿度を含んだ熱い風とうるさいほどの蝉の鳴き声。
カーテンは開けたままで、窓だけをもう一度閉め、今度こそ涼しい部屋にしようとエアコンのリモコンで電源を入れ、冷房にして温度を18度に設定する。
最初からこうすれば良かった。
エアコンのお陰で暑さが和らいでくる。
こう暑かったら、妹に「キョンくーん、プールに連れてってー」とか言われそうだ。
というか、この時期にプールはやっているのか。
落ちている布団を適当にベッドに戻し、その縁に腰をかける。
枕元にある携帯を何気なく開けて画面を見た俺は、意表を突かれた。
いや、寝起きじゃなければすぐ分かる事だったんだ。
寝ぼけていた俺は、それに気付かなかった。
ハッキリと画面が映し出す今日の日付は、こんな蒸し暑いのはおかしい10月も半ば。
「嘘だろ……」
閉め切った窓の外から聞こえる蝉の鳴き声が、現実だと告げる。そして、18度に設定したエアコン。
10月でこの温度は耐えられんだろう。やってみた事がないから分からんが。いや、10月にセミが鳴いている時点でおかしい。
犯人は分かる。ハルヒだ。
どうせハルヒが、もう1度夏にならないかとかそう願ったに違いない。じゃないと、思い当たる節がないからな。
やれやれと軽く息をついていると、コンコンとドアがノックされると同時に、俺のあだ名が呼ばれた。
ドアを開ければ、Tシャツにハーフパンツの格好をした紗羽が立っていた。
寒いからとスウェットを着ていた昨晩とは対称的な格好。
「あっ、起きてた。アイス食べない?」
バニラのカップアイス2個とスプーンが2本、その手に収まっている。
部屋に招き入れると、「キョンの部屋涼しい!」と言いながらベッドにダイブした。
その拍子に上に乗っていたアイスが滑り落ちただけで、柄が握られているスプーンが布団に付く事はなかった。別についても気にしないが。
夏だろうと冬だろうと季節関係なくアイスを食べたがる紗羽の癖が役に立ったらしい。
ひんやりと冷たい上に少し汗をかいたアイスのカップとスプーンを受け取った。
暑さで喉も乾いているから、本当はジュースの方が良かったのだが、黙っておく事にする。
没収される危険性が高いからな。
アイスでも多少喉も潤うし、涼しくなれるからいいだろう。
家に居るのは俺と紗羽の二人だけで、妹はミヨキチと遊びに行ったらしい。
どうりで誘いがなかったわけだ。
誘われても断っていたし、最初から俺に頼らなかったのは賢明な判断だ。この暑さの中遊びに行く小学生の元気は底知れない。
「今日の最高気温34度だって。異常気象にも程があるよね」
アイスをスプーンでつつきながら、不満にも似た声や表情でそう漏らす紗羽。
全くだ。今は秋だぞ。何を考えてやがる。いや、奴は何も考えてなどいないさ。そういう奴だ。
エアコンの頑張りとアイスを食べているのも手伝い、部屋の空気と体が冷えてきた。
「明日は?予報なんか言ってたか?」
問題はそこだ。
俺の問いかけに、紗羽はスプーンに乗ったアイスを口に運ぶのを中断し、目線を俺に寄越して「気温は出なかった」と、長門の真似をしているような淡々とした口調で答えた。
それもハルヒ次第だろう。
夏日がいいと願うか、元に戻るよう願うかは、明日になってみないと分からない。
ちょうど明日も日曜日で休みだ。
自分の分だけでは食い足りないのか、俺の半分も残っていないアイスを、子供みたいにスプーンを咥えて見つめている。
大人気ないが、一口たりともやる気はない。
「明日、今日と同じで暑かったら海、気温が戻ったら遊園地行かないか?」
海は泳げずとも、足をつけるぐらいなら出来るだろうしな。
俺の思い切った誘いに、紗羽は頷いてどっちも楽しみだと笑った。
どっちに転ぶか分からんが、気温より願うは、明日が晴れであるように。
それと、ハルヒからの招集がないように。
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