優しい君
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彼はそういう人だった。
優しい所に惹かれたのに、今ではその優しささえも憎く思う。
デート中にも関わらず、泣いている女性とすれ違った時、足を止めて振り返った新八くん。
「知ってる人?」
「知らない人だけど、あの人泣いてた。何かあったんだと思う。ちょっと追いかけてくる」
「は?」
その発言に唖然とする。
「え?なんで?」
それは、お人好しにも程がある。
「なんでって、ほっとけないよ。じゃあ紗羽ちゃんも一緒に行こう」
"じゃあ"?じゃあって何?私の方がついで?
泣いている子はほっとけないという優しい心を持っている新八くんだけど、なんだか許せない。
知らない人なら、わざわざ追いかけてまで話を聞かなくてもいいんじゃないかと思う私の方が、なんだか悪いような気がしてくる。
走り出したその腕を掴んだ。
「待って。私とあの子、どっちと付き合ってるの?」
「え……?」
あ、しまった。感じの悪い女だ。
聞いた事に後悔していると、新八くんは頬をうっすらと染めて困惑の表情をうかべている。
「ごめん。嫌な聞き方した」
「ち、違う!違うよ?紗羽ちゃんは謝るような事してないよ……えと、あ、あの……その……えと、そ、そうだよね……えっと……」
狼狽えて、何が言いたいのか分からないのがもどかしい。
頬だけじゃ飽き足らず、顔は勿論耳や首まで真っ赤にさせ、新八くんの頭にヤカンを置いたらお湯が沸きそうだ。
「ごめん。私テレパシーとか使えないんだよ。だからハッキリ言ってくれないかな?」
そう言うと、新八くんは大きく深呼吸してから、私の目を見て言葉を紡いだ。
「ぼ、ぼぼ僕が、す、すす好きなのは紗羽ちゃんです!」
「…………」
「は、恥ずかしいィィ!ごめんなさいィィ!どもりましたァ!でも許してくださいィィ!慣れてないんですぅぅぅ!」
まさかそんな事言われるとは予想だにしていなかったから、驚いて言葉に詰まっていると、新八くんはペコペコと頭を下げている。
「ちょっと頭上げて。びっくりしただけ。凄い嬉しかったよありがとう。私の方こそ変な事言ってごめん」
「だ、大丈夫です。良かった、紗羽ちゃん怒ってなくて」
「怒らないよ」
笑うと、新八くんもようやく笑顔を覗かせた。
「あ、そういえばあの女の人は?」
「あ、忘れてた……」
女性の姿はどこにも見当たらない。
「なんか、新八くんに今まで彼女いなかった理由分かった気がしたなー……」
「え?え?どういう事?そんなに童貞感が滲み出てる?」
「ちょっと新八くんのそういう所、受け入れるのに時間かかるかも……」
「え?何!?なんか僕傷付けてる?紗羽ちゃんごめん!」
優しい所に惹かれたのに、今ではその優しささえも憎く思う。
デート中にも関わらず、泣いている女性とすれ違った時、足を止めて振り返った新八くん。
「知ってる人?」
「知らない人だけど、あの人泣いてた。何かあったんだと思う。ちょっと追いかけてくる」
「は?」
その発言に唖然とする。
「え?なんで?」
それは、お人好しにも程がある。
「なんでって、ほっとけないよ。じゃあ紗羽ちゃんも一緒に行こう」
"じゃあ"?じゃあって何?私の方がついで?
泣いている子はほっとけないという優しい心を持っている新八くんだけど、なんだか許せない。
知らない人なら、わざわざ追いかけてまで話を聞かなくてもいいんじゃないかと思う私の方が、なんだか悪いような気がしてくる。
走り出したその腕を掴んだ。
「待って。私とあの子、どっちと付き合ってるの?」
「え……?」
あ、しまった。感じの悪い女だ。
聞いた事に後悔していると、新八くんは頬をうっすらと染めて困惑の表情をうかべている。
「ごめん。嫌な聞き方した」
「ち、違う!違うよ?紗羽ちゃんは謝るような事してないよ……えと、あ、あの……その……えと、そ、そうだよね……えっと……」
狼狽えて、何が言いたいのか分からないのがもどかしい。
頬だけじゃ飽き足らず、顔は勿論耳や首まで真っ赤にさせ、新八くんの頭にヤカンを置いたらお湯が沸きそうだ。
「ごめん。私テレパシーとか使えないんだよ。だからハッキリ言ってくれないかな?」
そう言うと、新八くんは大きく深呼吸してから、私の目を見て言葉を紡いだ。
「ぼ、ぼぼ僕が、す、すす好きなのは紗羽ちゃんです!」
「…………」
「は、恥ずかしいィィ!ごめんなさいィィ!どもりましたァ!でも許してくださいィィ!慣れてないんですぅぅぅ!」
まさかそんな事言われるとは予想だにしていなかったから、驚いて言葉に詰まっていると、新八くんはペコペコと頭を下げている。
「ちょっと頭上げて。びっくりしただけ。凄い嬉しかったよありがとう。私の方こそ変な事言ってごめん」
「だ、大丈夫です。良かった、紗羽ちゃん怒ってなくて」
「怒らないよ」
笑うと、新八くんもようやく笑顔を覗かせた。
「あ、そういえばあの女の人は?」
「あ、忘れてた……」
女性の姿はどこにも見当たらない。
「なんか、新八くんに今まで彼女いなかった理由分かった気がしたなー……」
「え?え?どういう事?そんなに童貞感が滲み出てる?」
「ちょっと新八くんのそういう所、受け入れるのに時間かかるかも……」
「え?何!?なんか僕傷付けてる?紗羽ちゃんごめん!」
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