愛故に
名前変換
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朝もやのかかった静かな江戸。
屯所も、物音1つしない静かな朝を迎えている。
塀の上で、小鳥が2匹、チュンチュンと可愛らしく鳴きながら、向かい合って首を傾げたりしている光景は、癒しを与えてくれる。
そんな光景に目をくれる事もなく、息を殺して慎重に歩みを進める私は、忍び寄るもう1つの影に気付かなかった。
「何してるんでィ?」
「ぎや……っ!」
突然背後から声をかけられ驚愕し、大きな声を出しそうになり、慌てて口を押さえた。
「な、ちょ、沖田さん驚かさないでくださいよー。なんなんですか」
心拍停止になるんじゃないかと思った程驚いた私に、沖田さんは口角を上げる。
「こんな朝早くから犯されに来たのか?紗羽は物好きだ」
「違います。土方さん起きるからどっか行ってください」
「土方さんなら、今見廻り行ってらァ」
見廻り……って事は……
「副長室に入り放題」
沖田さんと別れて、堂々と副長室に向かう。
土方さんの布団の中で帰宅を待つという計画。
気付かずに布団に入って来た土方さんは、嫌でも私と寝る形に……
むふふ、とこれから起こるだろう展開に、期待を膨らませて障子を開ければ、相変わらずの殺風景な部屋がある。
「いつ来ても広いなぁ。いいなぁ」
「羨ましいだろ?」
「うん、羨まし……」
独り言に返答があって、油のきれたカラクリのように首をゆっくり動かして振り返った。
すると、そこには……
「ひ、土方さん!なんで!」
寝巻き姿の土方さんが、眉間に皺を寄せて後ろに立っている。
「なんではこっちのセリフだ!毎朝来やがって!お前は新聞屋か!」
「いやいや、見廻り!見廻りは?」
「は?なんの話だ」
「クソー……騙しやがってー……」
沖田さんに嘘つかれた事に腹を立て、拳をわなわなと震わせる。すると、肩が掴まれ、土方さんの前に座らされた。そういう場合、必然的に正座になってしまうのは何故だろう。
「んで?今日は何やらかした?」
向かい合って座り、タバコに火をつけるその仕草に胸が高鳴る。
あー……やっぱりカッコイイわ。うん。
「聞いてんのか!」
「はいぃ!すんません!」
見惚れていたら、突然怒鳴られて背筋が伸びる。
「えっとー……今からやろうとしてたとこでまだ何も……」
項垂れ、目を逸らして説明する。
ふぅーっと、紫煙が吐かれるのをすかさずチラ見。やっぱりカッコイイ。
「本当ならテメェは監獄行きだぞ。分かってんのか?」
「え?なんで?私そんな悪いことしてな――」
「してんだよ!」
ごごごごという効果音と共に、大きくなる土方さんと小さくなる私。
あ、でも小さくなったら土方さんのポケットに入って――
「聞いてんのかァ!」
「すんません!聞いてませんでしたァ!」
土下座の勢いで深々と頭をさげる。
「あ、あの……こんな時になんなんですが……名前呼んでもらえませんか?」
「呼ぶか!なんで名前なんか呼ばなきゃいけねーんだよ!」
「あ、土方さんってツンデ――」
「紗羽ちゃーん?」
なんか怖い。なんでだか凄く怖い。瞳孔が開いて……って元々か。
「というわけで、屯所出入り禁止だ」
「えええええ!ちょ、土方さん!?というわけって、どんなわけ!?私聞いてないよ!」
「山崎、そいつ捨ててこい」
「捨てる!?」
クソッ!なんで山崎さんとハモるんだ!私は土方さんとハモリたい!
「紗羽さんごめんなさい!」
門を出た所で、山崎さんに物凄い勢いで背中を押され、つんのめった。丁寧に門まで閉められる始末。
めげずに塀をよじ登り侵入しようとしたら、私の行動を読んでいたのか、山崎さんが塀の向かいから顔を出した。
「あの、山崎さん。土方さんにお会いしたいのですが……」
「ごめんなさい。出禁になってるので、こっから先は通せません」
「嘘でしょ!?なんでよ!あんパンあげるから入らせて!」
「いりません」
「山崎さん、こんな事をしても、私の土方さんへの愛は止まりませんよ」
一旦塀から降りて、土方さんの部屋が見えるであろう場所に行き、塀によじ登った。
「あっ!土方……」
土方さんの姿が見えた瞬間、無言で障子を閉められた。そんなあなたに今日も心奪われる。
「土方さァァァん!どうしてアナタは土方さんなのォォ!」
「紗羽懲りてねーですぜィ?むしろ前より燃えてらァ。ハハッ」
「もう勘弁してくれ……」
屯所も、物音1つしない静かな朝を迎えている。
塀の上で、小鳥が2匹、チュンチュンと可愛らしく鳴きながら、向かい合って首を傾げたりしている光景は、癒しを与えてくれる。
そんな光景に目をくれる事もなく、息を殺して慎重に歩みを進める私は、忍び寄るもう1つの影に気付かなかった。
「何してるんでィ?」
「ぎや……っ!」
突然背後から声をかけられ驚愕し、大きな声を出しそうになり、慌てて口を押さえた。
「な、ちょ、沖田さん驚かさないでくださいよー。なんなんですか」
心拍停止になるんじゃないかと思った程驚いた私に、沖田さんは口角を上げる。
「こんな朝早くから犯されに来たのか?紗羽は物好きだ」
「違います。土方さん起きるからどっか行ってください」
「土方さんなら、今見廻り行ってらァ」
見廻り……って事は……
「副長室に入り放題」
沖田さんと別れて、堂々と副長室に向かう。
土方さんの布団の中で帰宅を待つという計画。
気付かずに布団に入って来た土方さんは、嫌でも私と寝る形に……
むふふ、とこれから起こるだろう展開に、期待を膨らませて障子を開ければ、相変わらずの殺風景な部屋がある。
「いつ来ても広いなぁ。いいなぁ」
「羨ましいだろ?」
「うん、羨まし……」
独り言に返答があって、油のきれたカラクリのように首をゆっくり動かして振り返った。
すると、そこには……
「ひ、土方さん!なんで!」
寝巻き姿の土方さんが、眉間に皺を寄せて後ろに立っている。
「なんではこっちのセリフだ!毎朝来やがって!お前は新聞屋か!」
「いやいや、見廻り!見廻りは?」
「は?なんの話だ」
「クソー……騙しやがってー……」
沖田さんに嘘つかれた事に腹を立て、拳をわなわなと震わせる。すると、肩が掴まれ、土方さんの前に座らされた。そういう場合、必然的に正座になってしまうのは何故だろう。
「んで?今日は何やらかした?」
向かい合って座り、タバコに火をつけるその仕草に胸が高鳴る。
あー……やっぱりカッコイイわ。うん。
「聞いてんのか!」
「はいぃ!すんません!」
見惚れていたら、突然怒鳴られて背筋が伸びる。
「えっとー……今からやろうとしてたとこでまだ何も……」
項垂れ、目を逸らして説明する。
ふぅーっと、紫煙が吐かれるのをすかさずチラ見。やっぱりカッコイイ。
「本当ならテメェは監獄行きだぞ。分かってんのか?」
「え?なんで?私そんな悪いことしてな――」
「してんだよ!」
ごごごごという効果音と共に、大きくなる土方さんと小さくなる私。
あ、でも小さくなったら土方さんのポケットに入って――
「聞いてんのかァ!」
「すんません!聞いてませんでしたァ!」
土下座の勢いで深々と頭をさげる。
「あ、あの……こんな時になんなんですが……名前呼んでもらえませんか?」
「呼ぶか!なんで名前なんか呼ばなきゃいけねーんだよ!」
「あ、土方さんってツンデ――」
「紗羽ちゃーん?」
なんか怖い。なんでだか凄く怖い。瞳孔が開いて……って元々か。
「というわけで、屯所出入り禁止だ」
「えええええ!ちょ、土方さん!?というわけって、どんなわけ!?私聞いてないよ!」
「山崎、そいつ捨ててこい」
「捨てる!?」
クソッ!なんで山崎さんとハモるんだ!私は土方さんとハモリたい!
「紗羽さんごめんなさい!」
門を出た所で、山崎さんに物凄い勢いで背中を押され、つんのめった。丁寧に門まで閉められる始末。
めげずに塀をよじ登り侵入しようとしたら、私の行動を読んでいたのか、山崎さんが塀の向かいから顔を出した。
「あの、山崎さん。土方さんにお会いしたいのですが……」
「ごめんなさい。出禁になってるので、こっから先は通せません」
「嘘でしょ!?なんでよ!あんパンあげるから入らせて!」
「いりません」
「山崎さん、こんな事をしても、私の土方さんへの愛は止まりませんよ」
一旦塀から降りて、土方さんの部屋が見えるであろう場所に行き、塀によじ登った。
「あっ!土方……」
土方さんの姿が見えた瞬間、無言で障子を閉められた。そんなあなたに今日も心奪われる。
「土方さァァァん!どうしてアナタは土方さんなのォォ!」
「紗羽懲りてねーですぜィ?むしろ前より燃えてらァ。ハハッ」
「もう勘弁してくれ……」
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