1章
夢小説設定
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「...。」
2人とも無言のまま、渡された課題曲の歌詞を目で追う。そこにはありきたりな言葉を書き連ねた、片思いの歌詞が書いてあった。
ちらっと一ノ瀬くんの方を見ると、顎に手を当てて、真剣な目で歌詞を追っていた。まつ毛長いな、鼻が高くて綺麗だななんて、いつもランニング中に横顔を見ることは出来るが、この近い距離で見るのは初めてだったのでまじまじと見つめてしまった。
「...なんですか、そんなに見られると気が散ってしまうのですが。」
やば、見てるのがバレたと思って思わず背筋をぴっと伸ばしてしまった。
「...ふふ、冗談ですよ。自由に移動して良いと言ってましたので、どこかに移動して擦り合わせをしましょう。図書館か...湖のほとりのガゼボなんてどうでしょうか。」
「うーん、じゃあせっかくだし外に行く?天気いいし、もし歌うってなっても外ならいつでも歌えるし!」
「そうですね、では行きましょうか。」
一ノ瀬くんの提案もあり、私たちは教室を出てガゼボに向かった。
「誰もいないねー、よかった!」
ガゼボの椅子に掛けながら彼女が言った。彼女とは早朝や晩に一緒にランニングをする機会があるが、こうして日中に外で2人きりになるのはとても新鮮だった。
「とりあえず、擦り合わせをしましょう。歌詞を見てどう思いましたか?」そう質問すると、うーんと頬に手を当てて考えていた。
「ありきたりな歌詞で、どうやって表現すればいいんだろうって思ってるかなー。ザ、片想いの歌詞って感じなんだけど、最終的に叶うのか、失恋しちゃうのかで解釈が変わってくるかもって感じかな。一ノ瀬くんは?」
ぱっと私の方を見た。
「そうですね、私もありきたりな歌詞で表現が難しいと思っていたところです。歌い分けはありますが、どっちが男性担当なのか、女性担当なのか書いてないのも引っ掛かりますね。デモの音源も聴いてみますか?」
そう言ってポータブルCDプレイヤーに歌詞と一緒に手渡されたディスクを入れ、イヤホンを片方手渡してきた。
さっきまでは向かい合わせに座っていたが、それではコードが届かないので一ノ瀬くんの隣に座る。でもまだ届かないので、少しずつ距離を詰め、肩と肩が触れそうな程近づいた。...少し恥ずかしい。どきどきとしていたが、デモ音源を聴くと、龍也先生と林檎ちゃんが歌っていて、思わず笑ってしまった。
「こら、笑わないでしっかり聴きなさい。」一ノ瀬くんが笑顔で叱ってきた。ちょっと笑っちゃってて、かわいいと思ってしまった。
「歌い分けですが、こっちが女性パートでこっちが男性パートという事ですね。逆でもいい気がしますが、とりあえずこれで歌ってみてしっくりこなかったら入れ替えてみますか?」
一ノ瀬くんがスラスラとペンを走らせながら聞いてきた。字も綺麗で感心してしまう。
「うん、それでいいよ!とりあえず歌ってみよっか!」
立ち上がって、一ノ瀬くんの合図を皮切りに歌う。もう完璧に音程が取れている彼に比べ私はダメダメだったが、最後まで歌い切った。
「...ごめん、途中音程わからなくなっちゃった。ごめんね!」堪らず彼に謝る。恥ずかしい。彼の足を引っ張ることだけはしたくないのに。
「いえ、こちらこそ確認不足でした。もう少し聴いてから歌いましょう。...それと、あまり謝らないでください。協力しあうペアなんですから。」
気を遣わせちゃったかな、としゅんとしていると、彼が顔を覗き込んできた。
「...今、貴方が考えていること当てましょうか?私の足を引っ張ってしまうな、とか思っているでしょう。貴方は貴方の良さがあるんですから、そんな事思わないでくださいね。...私も、多分貴方の足を引っ張ってしまうかもしれませんのでお互い様ということで。」
なんでわかるの!と思いばっと顔を上げてしまった。一ノ瀬くんが私の足を引っ張るなんて、そんなことあるはず無いのに。
「...うん。ありがとう。でも、ダメなところあったらすぐ言って欲しい!一ノ瀬くんのアドバイスなら絶対間違ってないだろうし、直すようにするから!」
「あなたも、そうしてくださいね。」
ほら、また聴きますよ、と腰を下ろしてイヤホンを手渡す彼は優しく笑っていた。
2人とも無言のまま、渡された課題曲の歌詞を目で追う。そこにはありきたりな言葉を書き連ねた、片思いの歌詞が書いてあった。
ちらっと一ノ瀬くんの方を見ると、顎に手を当てて、真剣な目で歌詞を追っていた。まつ毛長いな、鼻が高くて綺麗だななんて、いつもランニング中に横顔を見ることは出来るが、この近い距離で見るのは初めてだったのでまじまじと見つめてしまった。
「...なんですか、そんなに見られると気が散ってしまうのですが。」
やば、見てるのがバレたと思って思わず背筋をぴっと伸ばしてしまった。
「...ふふ、冗談ですよ。自由に移動して良いと言ってましたので、どこかに移動して擦り合わせをしましょう。図書館か...湖のほとりのガゼボなんてどうでしょうか。」
「うーん、じゃあせっかくだし外に行く?天気いいし、もし歌うってなっても外ならいつでも歌えるし!」
「そうですね、では行きましょうか。」
一ノ瀬くんの提案もあり、私たちは教室を出てガゼボに向かった。
「誰もいないねー、よかった!」
ガゼボの椅子に掛けながら彼女が言った。彼女とは早朝や晩に一緒にランニングをする機会があるが、こうして日中に外で2人きりになるのはとても新鮮だった。
「とりあえず、擦り合わせをしましょう。歌詞を見てどう思いましたか?」そう質問すると、うーんと頬に手を当てて考えていた。
「ありきたりな歌詞で、どうやって表現すればいいんだろうって思ってるかなー。ザ、片想いの歌詞って感じなんだけど、最終的に叶うのか、失恋しちゃうのかで解釈が変わってくるかもって感じかな。一ノ瀬くんは?」
ぱっと私の方を見た。
「そうですね、私もありきたりな歌詞で表現が難しいと思っていたところです。歌い分けはありますが、どっちが男性担当なのか、女性担当なのか書いてないのも引っ掛かりますね。デモの音源も聴いてみますか?」
そう言ってポータブルCDプレイヤーに歌詞と一緒に手渡されたディスクを入れ、イヤホンを片方手渡してきた。
さっきまでは向かい合わせに座っていたが、それではコードが届かないので一ノ瀬くんの隣に座る。でもまだ届かないので、少しずつ距離を詰め、肩と肩が触れそうな程近づいた。...少し恥ずかしい。どきどきとしていたが、デモ音源を聴くと、龍也先生と林檎ちゃんが歌っていて、思わず笑ってしまった。
「こら、笑わないでしっかり聴きなさい。」一ノ瀬くんが笑顔で叱ってきた。ちょっと笑っちゃってて、かわいいと思ってしまった。
「歌い分けですが、こっちが女性パートでこっちが男性パートという事ですね。逆でもいい気がしますが、とりあえずこれで歌ってみてしっくりこなかったら入れ替えてみますか?」
一ノ瀬くんがスラスラとペンを走らせながら聞いてきた。字も綺麗で感心してしまう。
「うん、それでいいよ!とりあえず歌ってみよっか!」
立ち上がって、一ノ瀬くんの合図を皮切りに歌う。もう完璧に音程が取れている彼に比べ私はダメダメだったが、最後まで歌い切った。
「...ごめん、途中音程わからなくなっちゃった。ごめんね!」堪らず彼に謝る。恥ずかしい。彼の足を引っ張ることだけはしたくないのに。
「いえ、こちらこそ確認不足でした。もう少し聴いてから歌いましょう。...それと、あまり謝らないでください。協力しあうペアなんですから。」
気を遣わせちゃったかな、としゅんとしていると、彼が顔を覗き込んできた。
「...今、貴方が考えていること当てましょうか?私の足を引っ張ってしまうな、とか思っているでしょう。貴方は貴方の良さがあるんですから、そんな事思わないでくださいね。...私も、多分貴方の足を引っ張ってしまうかもしれませんのでお互い様ということで。」
なんでわかるの!と思いばっと顔を上げてしまった。一ノ瀬くんが私の足を引っ張るなんて、そんなことあるはず無いのに。
「...うん。ありがとう。でも、ダメなところあったらすぐ言って欲しい!一ノ瀬くんのアドバイスなら絶対間違ってないだろうし、直すようにするから!」
「あなたも、そうしてくださいね。」
ほら、また聴きますよ、と腰を下ろしてイヤホンを手渡す彼は優しく笑っていた。