1章
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「お待たせしました。アメリカンコーヒーとハニーミルクラテです。」
彼女のオススメはこれだったのか、と初めてこの時認識した。甘くて美味しい。思わず、声に出てしまっていたのか、美味しいですよね!私も苦いの苦手なんですよー、とふんわり笑う彼女に見惚れてしまった。...なんて返そう。オススメ教えて下さりありがとうございます?これなら苦いのが苦手な私でも飲めそうです?...そんな恥ずかしい事は言えない。
「...そうなんですか。」
精一杯の一言がこれだ。彼女の中の私の印象は最悪だろう。さっきまで小鳥遊社長との顔合わせで感じていた手応えはもう無くなっていた。
......?
ごゆっくりどうぞ、とでも言い残し彼女は去ってしまうのでは無いかと思っていたが、彼女は私と兄さんの顔をずっと見比べているようだ。兄さんも頭にクエスチョンマークを浮かべているに違いない。
「あの、失礼ですが、ご兄弟って本当なんですか...?」兄さんが答える。「はい、そうですけど...。やっぱ俺が弟に見えますよね?」「っ、すみません...。ちなみにお兄さんはおいくつですか?」「俺は21!弟の一織は17!」「17歳!?」
自分に話題が移ったこと、そして彼女がびっくりした顔で私を見つめていることに動揺しそうになった。
「なんか...すごく大人っぽいですね...。落ち着いているというか...、高校生なんですね!びっくりしました!」にこにこ笑いながら言う彼女の、私の印象は悪くはないのか。ここで気を利かせたことを言うべきだ。「...ちなみにあなたはおいくつなんですか?」少し嫌味っぽかったか、なんて考える間も無くいくつに見えますか?と返され、咄嗟に19と答えてしまった。根拠はある。彼女は十中八九大学生だ。この時間帯にアルバイトをしているのだから。そして20は行ってない気がする。仕事の慣れ具合から一年間はこのバイトをしていると予想して導いた結果だ。
「残念!正解は20歳の大学三年生でした!お酒合法です!」
「お酒合法って言うの、結構パワーワードだよな!」兄さんが笑い出す。私も無邪気な彼女と兄さんの笑顔につられて笑ってしまった。
「一織くん笑うと年相応だね!」
突然名前で呼ばれた事に驚いて、思わずむせてしまった。「あっすみません、弟さんって言うのもどうかと思ってしまって...」「...べっ、別に気にしていませんけど」......兄さんがまたニヤニヤしてこちらを見出した。...全く兄さんは。
それから彼女は仕事に戻り、私たちも注文したコーヒーをゆっくり飲み干していた。雨は止みそうにない。「仕方ねぇから弱まったタイミングで走るか。いつまでもいても迷惑だしな...」「...そうですね。」本当は少しでも長く居たかったが、店内も混んできて、彼女も忙しそうだ。それでもにこにこしている彼女は、やはり素敵だと思った。
「すみません、お会計お願いします!」兄さんがそう言うと、彼女がレジに小走りで来た。と思ったら少し待ってて下さいと言い残し、裏に行ってしまった。店主であろう男性と、その妻であろう女性もカウンター内で忙しそうだ。
「すみません、お待たせしました!よかったらこれ、帰るのに使ってください。二人入るか分かんないですけど...」と言いながら渡して来たのは可愛らしいピンクの折りたたみ傘だった。兄さんと一緒に申し訳無いから、と断っても、彼女は引かなかった。置き傘あるんで大丈夫です、と言われたら私たちも素直に受け取らずを得ない。「またご来店の際に返して下されば良いので、気にしないでください!」
またここに来る口実が出来た。お礼を言い、会計をし、店を出る際にもう一度彼女を振り返った。
笑顔で手を振ってくれた彼女に、完全に、恋に落ちてしまった。
彼女のオススメはこれだったのか、と初めてこの時認識した。甘くて美味しい。思わず、声に出てしまっていたのか、美味しいですよね!私も苦いの苦手なんですよー、とふんわり笑う彼女に見惚れてしまった。...なんて返そう。オススメ教えて下さりありがとうございます?これなら苦いのが苦手な私でも飲めそうです?...そんな恥ずかしい事は言えない。
「...そうなんですか。」
精一杯の一言がこれだ。彼女の中の私の印象は最悪だろう。さっきまで小鳥遊社長との顔合わせで感じていた手応えはもう無くなっていた。
......?
ごゆっくりどうぞ、とでも言い残し彼女は去ってしまうのでは無いかと思っていたが、彼女は私と兄さんの顔をずっと見比べているようだ。兄さんも頭にクエスチョンマークを浮かべているに違いない。
「あの、失礼ですが、ご兄弟って本当なんですか...?」兄さんが答える。「はい、そうですけど...。やっぱ俺が弟に見えますよね?」「っ、すみません...。ちなみにお兄さんはおいくつですか?」「俺は21!弟の一織は17!」「17歳!?」
自分に話題が移ったこと、そして彼女がびっくりした顔で私を見つめていることに動揺しそうになった。
「なんか...すごく大人っぽいですね...。落ち着いているというか...、高校生なんですね!びっくりしました!」にこにこ笑いながら言う彼女の、私の印象は悪くはないのか。ここで気を利かせたことを言うべきだ。「...ちなみにあなたはおいくつなんですか?」少し嫌味っぽかったか、なんて考える間も無くいくつに見えますか?と返され、咄嗟に19と答えてしまった。根拠はある。彼女は十中八九大学生だ。この時間帯にアルバイトをしているのだから。そして20は行ってない気がする。仕事の慣れ具合から一年間はこのバイトをしていると予想して導いた結果だ。
「残念!正解は20歳の大学三年生でした!お酒合法です!」
「お酒合法って言うの、結構パワーワードだよな!」兄さんが笑い出す。私も無邪気な彼女と兄さんの笑顔につられて笑ってしまった。
「一織くん笑うと年相応だね!」
突然名前で呼ばれた事に驚いて、思わずむせてしまった。「あっすみません、弟さんって言うのもどうかと思ってしまって...」「...べっ、別に気にしていませんけど」......兄さんがまたニヤニヤしてこちらを見出した。...全く兄さんは。
それから彼女は仕事に戻り、私たちも注文したコーヒーをゆっくり飲み干していた。雨は止みそうにない。「仕方ねぇから弱まったタイミングで走るか。いつまでもいても迷惑だしな...」「...そうですね。」本当は少しでも長く居たかったが、店内も混んできて、彼女も忙しそうだ。それでもにこにこしている彼女は、やはり素敵だと思った。
「すみません、お会計お願いします!」兄さんがそう言うと、彼女がレジに小走りで来た。と思ったら少し待ってて下さいと言い残し、裏に行ってしまった。店主であろう男性と、その妻であろう女性もカウンター内で忙しそうだ。
「すみません、お待たせしました!よかったらこれ、帰るのに使ってください。二人入るか分かんないですけど...」と言いながら渡して来たのは可愛らしいピンクの折りたたみ傘だった。兄さんと一緒に申し訳無いから、と断っても、彼女は引かなかった。置き傘あるんで大丈夫です、と言われたら私たちも素直に受け取らずを得ない。「またご来店の際に返して下されば良いので、気にしないでください!」
またここに来る口実が出来た。お礼を言い、会計をし、店を出る際にもう一度彼女を振り返った。
笑顔で手を振ってくれた彼女に、完全に、恋に落ちてしまった。