1章
夢小説設定
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兄さんと一緒に面接を受けた帰り道、雨に降られてしまった。いつもなら天気予報は必ずチェックしているが、今日だけはしていなかった。小鳥遊事務所ー、私にアイドルにならないかと提案してきたのはそこの社長だ。アイドルは、兄さんがずっと憧れてた夢。私は特に芸能界には興味はなかったが、兄さんも一緒なら、と承諾をした。今日はエントリーシートを出しつつ、少し社長と顔を合わせて来た。手応えはある。
「一織!雨もうヤバイからあそこ入ろう!」
「そうですね、止みそうにもありませんし、少し雨宿りした方が良さそうですね。」
兄さんがたまたま指差したカフェは「rabbit」という店名だった。外観はこじんまりとした普通のカフェで、どこにもうさぎ要素は無さそうだ。少し濡れてしまった頭と肩の雨水を払い、ドアに手を掛けた。
「いらっしゃいませ!2名様ですね!奥の窓際の席へどうぞ。」
一瞬時が止まった気がした。にこにことした彼女は小柄で、ふわふわとしていて、それなのによく通る声でそう言った。「一織どうした?ほら、座ろうぜ。」「っ、はい...」
兄さんはとても察しがいい。一瞬で何かを感じ取ったのか、ニヤニヤと私を見ていた。ニヤニヤしている顔も可愛い兄さんは、奥の席に私を座らせた。無論、奥の席の方が店内が見渡せる。つまり、彼女の様子もよく見える。ー兄さん、色々無駄に気が利きすぎです...。
向こうからメニューとお冷、そしてタオルを持った彼女が歩いてくる。私は何となく気まずくなり、目線を下に落とした。そのあとすぐに彼女の声がした。
「ご来店ありがとうございます。雨大丈夫でしたか...?よろしければこのタオル使ってください!あとメニューとお冷失礼します!」と言い、テーブルにそれらを並べ、タオルは丁寧に渡してくれた。「ありがとうございます!本当助かります!」とお礼を言う兄さんとは対照的に、すごく小さな声でしかお礼が言えなかったことが悔やまれる。何かあったら呼んでくださいね、と言って彼女は戻って行ってしまった。
「俺はアメリカンコーヒーでいいかな。一織は苦いの苦手だろ?何にするんだ?」「っ、えっと...」「よし、店員さんにオススメ聞こうぜ!すみませーん!」ちょっと...!と止める間も無く兄さんは彼女を呼んでしまった。はーい、と言いながら向かって来る彼女に焦っていると、兄さんはわざとらしくウインクをしてみせた。
「ご注文お決まりですか?」
「アメリカンコーヒー1つと、あと弟がまだ決めてないのでオススメ教えて下さい!」
弟というワードに彼女が一瞬困惑した。...まあ、無理もない。私と兄さんが二人で居れば、十中八九私のが上の兄弟に見られるものだ。でも、すぐ顔に出てしまう彼女がとてもわかりやすくてかわ...、なんて考えている場合ではない。
「オススメ...そうですねー。私が好きなものでも良いですか?」と眉毛を下げて笑った彼女が私を見ていた。...近くで見るとより可愛らしく見えた。「...はい、それでいいです。」なんて、可愛くない返事をした私に対して彼女が言ったメニューなんて、聞こえるはずがなかった。
「一織!雨もうヤバイからあそこ入ろう!」
「そうですね、止みそうにもありませんし、少し雨宿りした方が良さそうですね。」
兄さんがたまたま指差したカフェは「rabbit」という店名だった。外観はこじんまりとした普通のカフェで、どこにもうさぎ要素は無さそうだ。少し濡れてしまった頭と肩の雨水を払い、ドアに手を掛けた。
「いらっしゃいませ!2名様ですね!奥の窓際の席へどうぞ。」
一瞬時が止まった気がした。にこにことした彼女は小柄で、ふわふわとしていて、それなのによく通る声でそう言った。「一織どうした?ほら、座ろうぜ。」「っ、はい...」
兄さんはとても察しがいい。一瞬で何かを感じ取ったのか、ニヤニヤと私を見ていた。ニヤニヤしている顔も可愛い兄さんは、奥の席に私を座らせた。無論、奥の席の方が店内が見渡せる。つまり、彼女の様子もよく見える。ー兄さん、色々無駄に気が利きすぎです...。
向こうからメニューとお冷、そしてタオルを持った彼女が歩いてくる。私は何となく気まずくなり、目線を下に落とした。そのあとすぐに彼女の声がした。
「ご来店ありがとうございます。雨大丈夫でしたか...?よろしければこのタオル使ってください!あとメニューとお冷失礼します!」と言い、テーブルにそれらを並べ、タオルは丁寧に渡してくれた。「ありがとうございます!本当助かります!」とお礼を言う兄さんとは対照的に、すごく小さな声でしかお礼が言えなかったことが悔やまれる。何かあったら呼んでくださいね、と言って彼女は戻って行ってしまった。
「俺はアメリカンコーヒーでいいかな。一織は苦いの苦手だろ?何にするんだ?」「っ、えっと...」「よし、店員さんにオススメ聞こうぜ!すみませーん!」ちょっと...!と止める間も無く兄さんは彼女を呼んでしまった。はーい、と言いながら向かって来る彼女に焦っていると、兄さんはわざとらしくウインクをしてみせた。
「ご注文お決まりですか?」
「アメリカンコーヒー1つと、あと弟がまだ決めてないのでオススメ教えて下さい!」
弟というワードに彼女が一瞬困惑した。...まあ、無理もない。私と兄さんが二人で居れば、十中八九私のが上の兄弟に見られるものだ。でも、すぐ顔に出てしまう彼女がとてもわかりやすくてかわ...、なんて考えている場合ではない。
「オススメ...そうですねー。私が好きなものでも良いですか?」と眉毛を下げて笑った彼女が私を見ていた。...近くで見るとより可愛らしく見えた。「...はい、それでいいです。」なんて、可愛くない返事をした私に対して彼女が言ったメニューなんて、聞こえるはずがなかった。