2章
夢小説設定
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人生で初めてしたキスは、生クリームといちごの香りがした。触れた唇はとても柔らかく、指で触れた頬もふわふわとしていて、他にもたくさん柔らかいところがあるのだろうと、想像が掻き立てられた。泣かせてしまったのはとても焦ったが、喜んでくれたのだと思うと胸の奥がきゅっと締め付けられた。私のためにおしゃれをしてくれて、涙してくれて、頬を染めてくれる彼女が愛おしくて仕方がない。もっともっと、と求めたくなるが、そろそろ彼女は帰らなくてはならない時間だ。...どうしよう、帰したくない。
私が時間を気にしていたのが伝わってしまったのか、彼女は突然はっとして、スマートフォンのロック画面で時間をチェックした。ロック画面は前、四葉さんが勝手に送った私の写真だった。
「ね、もうこんな時間だった!...帰らないと」私に向けられた画面の中には、カメラを向けないで、と照れて憎たらしい顔をしている私の頭部のあたりに22:30と表示されていた。「...そうですね、もうこんな時間ですし...タクシー呼びますか?」「大丈夫!普段も帰り遅くなっちゃう時あるし、全然平気だよ!」「せめて駅まで、マネージャーに送ってもらいませんか?」「へーいーき!」...心配なんですよ。なんて言っても彼女は大丈夫!変な人いたら返り討ちにするもん!とか、痴漢とか一回も遭った事ないから絶対平気!とか言うのだろう。...もしそんな事があったら気が狂ってしまう。彼女なりに、私たちに迷惑をかけまいと気を遣っての事なのだろうが、心配で心配で仕方がないのだ。
「愛梨さん、気を遣わなくて良いですから、タクシーか駅まで送ってもらうか選んでください。」「気なんか遣ってない、ほんとに大丈夫なんだってば!いおは心配しすぎ!」...なんて生意気に言い返してくるものだから。...思い切り彼女の腕を掴んで、押し倒した。
「っわ!突然な...に...?」びっくりした顔で私の顔を見上げてくる。「...ほら、抵抗出来ないでしょう。」んー、と頑張って腕に力を入れているらしいが、やはり男女の力の差は歴然だ。「さっきまであんなに大丈夫って言ってたのに、全然大丈夫じゃないですね。私以外の男性にこうされたらどうするんですか。」意地悪く顔を近づけて聞いてみたら、彼女は目を逸らしながらいおなら良いもん、と消え入りそうな声でそう言った。私以外って言っているのに、何を言っているんですかこの人は。...そんな事言われたら、本当に帰したくなくなる。
「...ばかなんですね、あなたは。」さっき指で触れた柔らかい頬にちゅっとキスをすると、彼女はんっ...と声をあげた。やめてください。それ以上、私を刺激しないで。そんな潤んだ目で私を見ないで。
「...ね、口にもして...?」折角、触れるだけのキスで我慢できたのに。彼女のこの一言で何かがぷつん、と切れる音がした。
ちゅっ...ちゅ、と柔らかい唇を軽く吸うと、彼女も仕返し、と言わんばかりに私の唇を吸ってきた。お互い無意識のうちに舌を出してぺろぺろとお互いの舌を舐め合うと、運動とはまた違う息苦しさを感じ、どくんどくん、と鼓動する心音と呼吸音しか聞こえなくなる。
彼女の息苦しさが限界を迎えたのか、んー!と子供が駄々をこねるような声を出した。はっと我にかえり、顔を離すと、涙目で頬を赤く染めた彼女と目があった。
「い、いおのえっち!ばかー!!」「ご、ごめんなさい...」ぽすぽすと胸の辺りを叩いてくる彼女は、本当は全然怒ってないのだろう。とは言え、少し強引だっただろうか、と反省し謝った。頬をわざとらしく膨らます彼女はとても可愛い。両手で頬を包み、可愛い顔が台無しですよ、なんて言ってやれば、彼女はますます照れてしまい、また胸の辺りを叩いてきた。少し痛い。
なんてやりとりをしていたら、さっきまで22:30を表示していた画面が22:50を表示している。流石に彼女も観念したのか、駅までマネージャーが送っていくことになった。お互い顔が赤いの、他の人にばれちゃうね、なんて可愛く言うものだから、赤みが引くまで私の方が少し時間がかかった。
支度をして部屋を出ると、まだ四葉さんと七瀬さんはゲームをしているらしかった。一度帰宅をしていたマネージャーが迎えに来るまで、愛梨さんが2人と話していたが、私はさっきの一部始終がばれていないかとひやひやしていた。
じゃあまたね、と彼女とマネージャーがドアを閉め、玄関を内側から施錠した瞬間、四葉さんと七瀬さんが食い気味に「ねぇ、ちゅーした?したっしょ?」「キスしたの!?ねぇねぇ!!」と一気に聞いてきた。内心ぎくりとしたが、喧しいですよ、と目を合わせずに自室に戻ろうとした。が、だめだった。
「否定しないんじゃしたって事じゃん!てかいおりん気付いてないかもだけど、唇にピンクのキラキラ付いてんよ。ちゅーしたんでしょ。」条件反射で唇をばっと隠してしまった。やってしまった、これでは肯定しているのと同義だ。「あ、隠したってことはそうだよね?一織は意外と手が早いんだね!」「や、喧しいです!関係ないでしょ、早く寝てください!!」どうやら2人の目は欺けなかったらしい。自室に戻ってから手で口を拭うと、彼女にとても似合っていたリップグロスが少し付いていた。...不覚だ、と思うのと同時に、彼女とのキスの名残だと思ってしまい、少し寂しさを感じた。
私が時間を気にしていたのが伝わってしまったのか、彼女は突然はっとして、スマートフォンのロック画面で時間をチェックした。ロック画面は前、四葉さんが勝手に送った私の写真だった。
「ね、もうこんな時間だった!...帰らないと」私に向けられた画面の中には、カメラを向けないで、と照れて憎たらしい顔をしている私の頭部のあたりに22:30と表示されていた。「...そうですね、もうこんな時間ですし...タクシー呼びますか?」「大丈夫!普段も帰り遅くなっちゃう時あるし、全然平気だよ!」「せめて駅まで、マネージャーに送ってもらいませんか?」「へーいーき!」...心配なんですよ。なんて言っても彼女は大丈夫!変な人いたら返り討ちにするもん!とか、痴漢とか一回も遭った事ないから絶対平気!とか言うのだろう。...もしそんな事があったら気が狂ってしまう。彼女なりに、私たちに迷惑をかけまいと気を遣っての事なのだろうが、心配で心配で仕方がないのだ。
「愛梨さん、気を遣わなくて良いですから、タクシーか駅まで送ってもらうか選んでください。」「気なんか遣ってない、ほんとに大丈夫なんだってば!いおは心配しすぎ!」...なんて生意気に言い返してくるものだから。...思い切り彼女の腕を掴んで、押し倒した。
「っわ!突然な...に...?」びっくりした顔で私の顔を見上げてくる。「...ほら、抵抗出来ないでしょう。」んー、と頑張って腕に力を入れているらしいが、やはり男女の力の差は歴然だ。「さっきまであんなに大丈夫って言ってたのに、全然大丈夫じゃないですね。私以外の男性にこうされたらどうするんですか。」意地悪く顔を近づけて聞いてみたら、彼女は目を逸らしながらいおなら良いもん、と消え入りそうな声でそう言った。私以外って言っているのに、何を言っているんですかこの人は。...そんな事言われたら、本当に帰したくなくなる。
「...ばかなんですね、あなたは。」さっき指で触れた柔らかい頬にちゅっとキスをすると、彼女はんっ...と声をあげた。やめてください。それ以上、私を刺激しないで。そんな潤んだ目で私を見ないで。
「...ね、口にもして...?」折角、触れるだけのキスで我慢できたのに。彼女のこの一言で何かがぷつん、と切れる音がした。
ちゅっ...ちゅ、と柔らかい唇を軽く吸うと、彼女も仕返し、と言わんばかりに私の唇を吸ってきた。お互い無意識のうちに舌を出してぺろぺろとお互いの舌を舐め合うと、運動とはまた違う息苦しさを感じ、どくんどくん、と鼓動する心音と呼吸音しか聞こえなくなる。
彼女の息苦しさが限界を迎えたのか、んー!と子供が駄々をこねるような声を出した。はっと我にかえり、顔を離すと、涙目で頬を赤く染めた彼女と目があった。
「い、いおのえっち!ばかー!!」「ご、ごめんなさい...」ぽすぽすと胸の辺りを叩いてくる彼女は、本当は全然怒ってないのだろう。とは言え、少し強引だっただろうか、と反省し謝った。頬をわざとらしく膨らます彼女はとても可愛い。両手で頬を包み、可愛い顔が台無しですよ、なんて言ってやれば、彼女はますます照れてしまい、また胸の辺りを叩いてきた。少し痛い。
なんてやりとりをしていたら、さっきまで22:30を表示していた画面が22:50を表示している。流石に彼女も観念したのか、駅までマネージャーが送っていくことになった。お互い顔が赤いの、他の人にばれちゃうね、なんて可愛く言うものだから、赤みが引くまで私の方が少し時間がかかった。
支度をして部屋を出ると、まだ四葉さんと七瀬さんはゲームをしているらしかった。一度帰宅をしていたマネージャーが迎えに来るまで、愛梨さんが2人と話していたが、私はさっきの一部始終がばれていないかとひやひやしていた。
じゃあまたね、と彼女とマネージャーがドアを閉め、玄関を内側から施錠した瞬間、四葉さんと七瀬さんが食い気味に「ねぇ、ちゅーした?したっしょ?」「キスしたの!?ねぇねぇ!!」と一気に聞いてきた。内心ぎくりとしたが、喧しいですよ、と目を合わせずに自室に戻ろうとした。が、だめだった。
「否定しないんじゃしたって事じゃん!てかいおりん気付いてないかもだけど、唇にピンクのキラキラ付いてんよ。ちゅーしたんでしょ。」条件反射で唇をばっと隠してしまった。やってしまった、これでは肯定しているのと同義だ。「あ、隠したってことはそうだよね?一織は意外と手が早いんだね!」「や、喧しいです!関係ないでしょ、早く寝てください!!」どうやら2人の目は欺けなかったらしい。自室に戻ってから手で口を拭うと、彼女にとても似合っていたリップグロスが少し付いていた。...不覚だ、と思うのと同時に、彼女とのキスの名残だと思ってしまい、少し寂しさを感じた。