short story
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俺、そんなに女子と話す方じゃなくて。
何喋っていいかわかんねーってのが一番。
集団できゃぴきゃぴしてるトコロなんか見ると、違う世界って感じがするし。
俺は自他共に認めるバスケバカだから、多分俺と話してもつまんないだろうなって思ってるのもある。
それでも、今、どうしても話しかけたい女子がいる。
みょうじさん
初めて同じクラスになったみょうじさんとは今までなんの接点もなかったし、同じ班になったりとかそういうのもなくて。
名前と、声だけはわかるっていうくらい。
そんなただのクラスメイトのみょうじさんは俺の斜め前の席。
休み時間、みょうじさんは小さな冊子を開いて見ていて。机には、CDケース。
たまたま目についたそれが何のCDなのか認識した瞬間、心臓が跳ねた。
俺がめちゃくちゃ好きなアーティストのCDだったから。
そのアーティストはすげぇ有名って感じじゃなくて、テレビに頻繁に出るわけでもないし、少なくとも俺の周りでは知ってる人はいなかった。
でも俺にはこの人が作るサウンドも歌詞もぶっ刺さるし、何度もチカラをもらってきた存在で。
まさかクラスメイトにいたとは……
しばらく斜め後ろからチラチラと見ていたけど、話しかけたい気持ちは増すばかり。
見てるだけとかハタから見たら怖いよな…
行くなら早く行かねーと。もたもたしてたら休み時間が終わりそーだし…
でもなー、急に話しかけられるのとかどーなの!?
んーーーー、やっぱ話、したいしな……よし。
あれこれ考えたけど話をしてみたいという好奇心が勝って、意を決して席を立った。
「好きなの?」
「えっ?」
俺の声に頭を上げるみょうじさん。
顔は、驚いてる。
だよな、今までロクに話したことないもんな。
「コレ。この人」
CDを指差すとみょうじさんの表情はみるみる明るくなって
「あ、うん!好き!めっちゃ好きなの!」
「俺も」
「えっ!?越野くんも好きなの!?」
「うん」
「うそぉー!好きな人初めて会った!」
「めっちゃイイよな!?」
「うん!」
「歌詞がさ〜……あ」
せっかくこれから話が弾みそうって感じになってたのに、無情にもチャイムが鳴った。
あー……さっきもたついたせいで……
話しかけるのが遅かったかぁ。
「越野くんまた話そ!話したい!」
「うん」
みょうじさんはCDケースと歌詞カードを両手に持って顔の横に添えるとニカッと笑った。
やっぱりみょうじさんも好きだったんだ。
良かった〜勘違いとかじゃなくて。
次の授業中は、みょうじさんとそのアーティストのどんなコトを話すかで頭の中がいっぱいだった。
それからみょうじさんとはよく話すようになって、好きな音楽のこととか、オススメのCDショップとか、どこで服を買うかとか、沢山。
みょうじさんは明るくてよく喋る人で、口を大きく開けて笑う表情が印象的だった。
俺の今までの学校生活で、こんなにいっぱい話した女子はみょうじさんが初めてだった。
共通の趣味の力ってすげー………
「越野くん!新譜出るって!」
みょうじさんと話すようになってから、初めての新譜のお知らせがきた。
「マジで!?」
「まじ!まじ!楽しみすぎ〜!」
「楽しみだなー」
「絶対買う〜!」
俺も新譜は絶対ゲットしたい。
だけど毎日放課後は遅くまで部活があるから…
発売してすぐにゲットは難しいかな。
あ〜早く聴きてー!
みょうじさんと歌詞とか考察してー!
今日は待ちに待った発売日。
やっぱり俺の予感は的中した。
部活は遅くまで続いて、外はもうとっぷりと暗い。
身体はへとへとで、腹もぺこぺこだ。
とてもじゃないがこれから街に出てCDショップまで行く体力は残っていない。
それに帰ったら宿題もしなきゃいけないなんて……地獄か!?
音楽は好きだ。大好きだ。
リラックスできるし、気分もアガるし、何より楽しい。
今までもこれからも、きっと音楽は俺の生活に欠かせない存在であることは間違いない。
それでも、今の俺にバスケより優先するものはないから……
みょうじさんは今頃家で聴いてんのかなー
明日どうだったか聞いてみよ。
「越野くんっ!」
片付けと着替えを終えて、2年のメンバーとダベりながら門をくぐろうとしたとき声をかけらた。
「みょうじさん!?」
声の主は、こんな時間に学校にいるはずのないみょうじさんで。
「ワリィ!お前ら先帰って!」
「わぁ〜!こしの〜ぉ!」
「そーゆーんじゃねぇから!」
「仙道、行こう」
「越野また明日な」
「おー!」
まさかの人物の登場に戸惑いながらも、とりあえず仲間たちに別れを告げた。
明日仙道に何を言われるか想像しただけでゲンナリするけど、今はそれどころじゃない。
「みょうじさん、どうしたの?」
こんな遅くに。とっくに帰ってるんじゃ…?
「へへへ!ジャジャーン!」
「それ……」
「そう!新譜!」
「わ、買ったんだ!?」
「うん!放課後買いに行ってまた戻ってきたんだ〜越野くんと聴こうと思って!」
「えっ!?」
みょうじさんが手に持っていたのは、今日発売のCDだった。
「マジ!?」
「やばいでしょ!わぁ〜どんなのかなぁ」
「え、みょうじさんは…?」
「まだ聴いてないよ。越野くんと一緒に聴きたかったから」
こんな真っ暗な中……外で、俺の部活が終わるまで待っててくれたのか…?
「寒かったろ…?」
「平気!カイロ持ってるし!」
いや、カイロ持ってたって…
しかも女子ってスカートだし、そんな、寒くないわけがないよな。
ニコニコと笑うみょうじさんを前に、嬉しい気持ちと申し訳なさでいっぱいになった。
「ね、聴こ!」
「うん」
「私ウォークマン持ってるから!」
「準備いいね」
「えへへ、ハイ!半分こして聴こ!」
「あ、ありがとう」
校門の近くにある花壇の段差に並んで座るとイヤホンを渡されて。
みょうじさんは左耳、俺は右耳にイヤホンをつけた。
この距離感には正直ドギマギしてしまうんだけど、せっかくみょうじさんがこれを聴くために待っててくれたんだから。
雑念を振り払って右耳に集中する。
音楽が流れると、そんな雑念なんて杞憂だった。
「わ、イントロかっけぇ…」
「えー!今回こういう感じなんだぁ」
「サビ〜!サビ良くない!?」
「やば……アガる」
「良かった……」
「ね。良かったね」
「ありがとう。マジで。」
「全然!逆に部活で疲れてるのにゴメンね」
右耳のイヤホンを返すと、ウォークマンにくるくるとコードを巻きつけながらみょうじさんが謝る。
「いや、そんな全然大丈夫」
ほんと、マジで全然大丈夫。
ビックリして、嬉しくて…
部活の疲れとか全部吹っ飛んだもん。
「そっか、良かった。…んふふ、来て良かったぁ」
安心したように笑うみょうじさん。
俺の、この波打つ鼓動は待望の新曲を聴いたからなのか……それとも……
「送るよ」
「そんな、いいよ悪いし」
「ううん、俺が送りたいから」
「………ありがと」
次の新譜も、君と聴きたい。
イヤホンを半分こして、隣同士で。
何喋っていいかわかんねーってのが一番。
集団できゃぴきゃぴしてるトコロなんか見ると、違う世界って感じがするし。
俺は自他共に認めるバスケバカだから、多分俺と話してもつまんないだろうなって思ってるのもある。
それでも、今、どうしても話しかけたい女子がいる。
みょうじさん
初めて同じクラスになったみょうじさんとは今までなんの接点もなかったし、同じ班になったりとかそういうのもなくて。
名前と、声だけはわかるっていうくらい。
そんなただのクラスメイトのみょうじさんは俺の斜め前の席。
休み時間、みょうじさんは小さな冊子を開いて見ていて。机には、CDケース。
たまたま目についたそれが何のCDなのか認識した瞬間、心臓が跳ねた。
俺がめちゃくちゃ好きなアーティストのCDだったから。
そのアーティストはすげぇ有名って感じじゃなくて、テレビに頻繁に出るわけでもないし、少なくとも俺の周りでは知ってる人はいなかった。
でも俺にはこの人が作るサウンドも歌詞もぶっ刺さるし、何度もチカラをもらってきた存在で。
まさかクラスメイトにいたとは……
しばらく斜め後ろからチラチラと見ていたけど、話しかけたい気持ちは増すばかり。
見てるだけとかハタから見たら怖いよな…
行くなら早く行かねーと。もたもたしてたら休み時間が終わりそーだし…
でもなー、急に話しかけられるのとかどーなの!?
んーーーー、やっぱ話、したいしな……よし。
あれこれ考えたけど話をしてみたいという好奇心が勝って、意を決して席を立った。
「好きなの?」
「えっ?」
俺の声に頭を上げるみょうじさん。
顔は、驚いてる。
だよな、今までロクに話したことないもんな。
「コレ。この人」
CDを指差すとみょうじさんの表情はみるみる明るくなって
「あ、うん!好き!めっちゃ好きなの!」
「俺も」
「えっ!?越野くんも好きなの!?」
「うん」
「うそぉー!好きな人初めて会った!」
「めっちゃイイよな!?」
「うん!」
「歌詞がさ〜……あ」
せっかくこれから話が弾みそうって感じになってたのに、無情にもチャイムが鳴った。
あー……さっきもたついたせいで……
話しかけるのが遅かったかぁ。
「越野くんまた話そ!話したい!」
「うん」
みょうじさんはCDケースと歌詞カードを両手に持って顔の横に添えるとニカッと笑った。
やっぱりみょうじさんも好きだったんだ。
良かった〜勘違いとかじゃなくて。
次の授業中は、みょうじさんとそのアーティストのどんなコトを話すかで頭の中がいっぱいだった。
それからみょうじさんとはよく話すようになって、好きな音楽のこととか、オススメのCDショップとか、どこで服を買うかとか、沢山。
みょうじさんは明るくてよく喋る人で、口を大きく開けて笑う表情が印象的だった。
俺の今までの学校生活で、こんなにいっぱい話した女子はみょうじさんが初めてだった。
共通の趣味の力ってすげー………
「越野くん!新譜出るって!」
みょうじさんと話すようになってから、初めての新譜のお知らせがきた。
「マジで!?」
「まじ!まじ!楽しみすぎ〜!」
「楽しみだなー」
「絶対買う〜!」
俺も新譜は絶対ゲットしたい。
だけど毎日放課後は遅くまで部活があるから…
発売してすぐにゲットは難しいかな。
あ〜早く聴きてー!
みょうじさんと歌詞とか考察してー!
今日は待ちに待った発売日。
やっぱり俺の予感は的中した。
部活は遅くまで続いて、外はもうとっぷりと暗い。
身体はへとへとで、腹もぺこぺこだ。
とてもじゃないがこれから街に出てCDショップまで行く体力は残っていない。
それに帰ったら宿題もしなきゃいけないなんて……地獄か!?
音楽は好きだ。大好きだ。
リラックスできるし、気分もアガるし、何より楽しい。
今までもこれからも、きっと音楽は俺の生活に欠かせない存在であることは間違いない。
それでも、今の俺にバスケより優先するものはないから……
みょうじさんは今頃家で聴いてんのかなー
明日どうだったか聞いてみよ。
「越野くんっ!」
片付けと着替えを終えて、2年のメンバーとダベりながら門をくぐろうとしたとき声をかけらた。
「みょうじさん!?」
声の主は、こんな時間に学校にいるはずのないみょうじさんで。
「ワリィ!お前ら先帰って!」
「わぁ〜!こしの〜ぉ!」
「そーゆーんじゃねぇから!」
「仙道、行こう」
「越野また明日な」
「おー!」
まさかの人物の登場に戸惑いながらも、とりあえず仲間たちに別れを告げた。
明日仙道に何を言われるか想像しただけでゲンナリするけど、今はそれどころじゃない。
「みょうじさん、どうしたの?」
こんな遅くに。とっくに帰ってるんじゃ…?
「へへへ!ジャジャーン!」
「それ……」
「そう!新譜!」
「わ、買ったんだ!?」
「うん!放課後買いに行ってまた戻ってきたんだ〜越野くんと聴こうと思って!」
「えっ!?」
みょうじさんが手に持っていたのは、今日発売のCDだった。
「マジ!?」
「やばいでしょ!わぁ〜どんなのかなぁ」
「え、みょうじさんは…?」
「まだ聴いてないよ。越野くんと一緒に聴きたかったから」
こんな真っ暗な中……外で、俺の部活が終わるまで待っててくれたのか…?
「寒かったろ…?」
「平気!カイロ持ってるし!」
いや、カイロ持ってたって…
しかも女子ってスカートだし、そんな、寒くないわけがないよな。
ニコニコと笑うみょうじさんを前に、嬉しい気持ちと申し訳なさでいっぱいになった。
「ね、聴こ!」
「うん」
「私ウォークマン持ってるから!」
「準備いいね」
「えへへ、ハイ!半分こして聴こ!」
「あ、ありがとう」
校門の近くにある花壇の段差に並んで座るとイヤホンを渡されて。
みょうじさんは左耳、俺は右耳にイヤホンをつけた。
この距離感には正直ドギマギしてしまうんだけど、せっかくみょうじさんがこれを聴くために待っててくれたんだから。
雑念を振り払って右耳に集中する。
音楽が流れると、そんな雑念なんて杞憂だった。
「わ、イントロかっけぇ…」
「えー!今回こういう感じなんだぁ」
「サビ〜!サビ良くない!?」
「やば……アガる」
「良かった……」
「ね。良かったね」
「ありがとう。マジで。」
「全然!逆に部活で疲れてるのにゴメンね」
右耳のイヤホンを返すと、ウォークマンにくるくるとコードを巻きつけながらみょうじさんが謝る。
「いや、そんな全然大丈夫」
ほんと、マジで全然大丈夫。
ビックリして、嬉しくて…
部活の疲れとか全部吹っ飛んだもん。
「そっか、良かった。…んふふ、来て良かったぁ」
安心したように笑うみょうじさん。
俺の、この波打つ鼓動は待望の新曲を聴いたからなのか……それとも……
「送るよ」
「そんな、いいよ悪いし」
「ううん、俺が送りたいから」
「………ありがと」
次の新譜も、君と聴きたい。
イヤホンを半分こして、隣同士で。
