10th ANNIVERSARY
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「諸星〜」
「おーす」
放課後、部活がひと段落ついてから隣のコートにいる男バスキャプテンの諸星に声をかけた。
「どした?」
諸星は体育館の中央を区切っているネットをくぐって女バスの方に来てくれて。
「今日の鍵当番そっちだよね?私最後まで居残り練するから代わる」
「いーけど……みょうじこないだもだったろ?オーバーワークはよくねぇぞ?」
「全然大丈夫!」
強いチームでバスケがやりたくて愛和学院にきた。
男女共にインターハイ常連の強豪校なだけあって先輩達の層は厚く、去年まではベンチ止まり。
今年はキャプテンになって念願のスタメンの座も手に入れた。
私、この夏にかけてるんだ。
「インターハイ、もうすぐだな」
「ね」
「緊張するか?」
「うん。スタメン今年からだもん」
「そっか、そーだな」
「しないの?緊張」
「あんましねぇかな。楽しみ」
「さすが3年連続スタメンのヒトは違うね」
「でも1回も優勝してねぇよ」
「イヤイヤ!全国ベスト4ってすごいから!」
そう。すごい。
全国で4本の指に入るなんてすごすぎる結果だと思う。
でも、ベスト4でも準優勝でも諸星には意味がないんだよね。優勝じゃなきゃ。
自分も、周りも、納得しない。
愛和学院でバスケをするってそういうことだから。
ただバスケを楽しむだけじゃない、強豪校の重圧みたいなものをキャプテンになってから改めて感じた。
インターハイ勝てるかな、っていつも思ってる。不安で涙が溢れる日もある。
チームメイトとは良い関係だけと、誰にも知られたくない気持ちのときも……
進路だってそう。バスケだけやってて大丈夫なの?って。皆塾に行って勉強してるのに。
「勝ちてぇよな」
「うん。勝ちたい」
「周りの目とか気にすんなよ?」
「するよ」
「人一倍練習してんじゃん」
「それは、そうだけど……」
練習しなきゃ、練習してなきゃ、ぐちゃぐちゃな気持ちに飲み込まれそうだから。
私、自信なんてないから、誰よりも努力しないと強い気持ちなんて持てないんだ。
「練習いっぱいしたらさ、自信つくよな?」
「わかる」
「自分最強!ってならねぇ?」
「あはっ!ならないよ。そんなの諸星だけじゃない?」
「そーかぁ?みょうじもちゃんとうめぇのに気ィ弱いよな?」
なんで諸星はいつだってこんなに堂々としていられるんだろう。
実力があるから?……違う。努力してるからだよね。誰よりも努力した実力で結果を掴み取ってるんだ。
諸星は同級生だしキャプテン同士だけど、私には眩しすぎる存在だよ。
「っしゃ、手出して!手!」
「手?」
「そー。手!出して!」
突然の諸星の発言によくわからないまま右手を差し出すと、両手でギュウと包み込まれた。
「なっ!?」
「ハンドパワー!」
「ハンドパワー?」
「そー!みょうじ不安みてぇだからさ、俺のパワーやるよ!」
「くれるの?」
「やるよ。こちとらパワー有り余ってんだから」
そう言って諸星はニカッと笑った。
ほんと、すごい。
人に分け与えられるくらい余っちゃってるなんてどうなってんの?
大きい手だな。あったかい。
ボールを自由自在に操る手……羨ましいや。
諸星の手が離れて、私は自分の右手を左手でさすった。もらったパワーを馴染ませるみたいに。
「ありがとね諸星」
「なぁ、俺がなんて呼ばれてるか知ってるか?」
「愛知の星………ふっ」
「笑うなよ、俺がつけたんじゃねぇよ」
「すごいよね。いーな、私もなんか呼び名欲しい」
「じゃあ〜、愛和の星は?」
「規模小さくなったんだけど?」
「そんくらい気楽にいけよってこと!」
「そっか。そだね」
どれだけ高望みしたって実力以上のものなんて出ないんだから、今の自分で頑張るしかないもんね。
肩の力、ちょっと抜けたかも。
「インターハイ終わったら遊ぼうぜ」
「遊ぶ!カラオケ行きたい!」
「げ。俺音痴なんだけど」
「行こ!聴きたい!」
「ボーリングにしようぜ」
「いいね!ゲーセンも行きたい」
「行こうぜ。全部。みょうじと行ったら楽しそー」
こうやってインターハイ後の楽しみを考えながら、また明日からもボールを追いかける。明日からじゃないや、今日から、今からだ。
そんな毎日を、他でもない私自身が選んだんだもん。
最後に笑うためにも、悔いは残したくない。
「みょうじ、」
「ん?」
「もっかい、ハンドパワー」
「もっかい?はい」
さっきと同じように右手を差し出すと、諸星がまた両手で私の手を包む。
ぎゅっ
ぎゅっ
ぎゅっ
「頑張ろーな」
「頑張ろーね」
「勝つぞ」
「勝とうね」
愛和学院バスケットボール部
部活はもう終わってるのに、まだ何人も残って自主練してる。男子も女子も。
みんな、自慢の部員だよ。
体育館の真ん中で
あなたとわたし
目指すのは、てっぺん
「遊ぶの、ふたりな?」
「わかってるよ」
「おーす」
放課後、部活がひと段落ついてから隣のコートにいる男バスキャプテンの諸星に声をかけた。
「どした?」
諸星は体育館の中央を区切っているネットをくぐって女バスの方に来てくれて。
「今日の鍵当番そっちだよね?私最後まで居残り練するから代わる」
「いーけど……みょうじこないだもだったろ?オーバーワークはよくねぇぞ?」
「全然大丈夫!」
強いチームでバスケがやりたくて愛和学院にきた。
男女共にインターハイ常連の強豪校なだけあって先輩達の層は厚く、去年まではベンチ止まり。
今年はキャプテンになって念願のスタメンの座も手に入れた。
私、この夏にかけてるんだ。
「インターハイ、もうすぐだな」
「ね」
「緊張するか?」
「うん。スタメン今年からだもん」
「そっか、そーだな」
「しないの?緊張」
「あんましねぇかな。楽しみ」
「さすが3年連続スタメンのヒトは違うね」
「でも1回も優勝してねぇよ」
「イヤイヤ!全国ベスト4ってすごいから!」
そう。すごい。
全国で4本の指に入るなんてすごすぎる結果だと思う。
でも、ベスト4でも準優勝でも諸星には意味がないんだよね。優勝じゃなきゃ。
自分も、周りも、納得しない。
愛和学院でバスケをするってそういうことだから。
ただバスケを楽しむだけじゃない、強豪校の重圧みたいなものをキャプテンになってから改めて感じた。
インターハイ勝てるかな、っていつも思ってる。不安で涙が溢れる日もある。
チームメイトとは良い関係だけと、誰にも知られたくない気持ちのときも……
進路だってそう。バスケだけやってて大丈夫なの?って。皆塾に行って勉強してるのに。
「勝ちてぇよな」
「うん。勝ちたい」
「周りの目とか気にすんなよ?」
「するよ」
「人一倍練習してんじゃん」
「それは、そうだけど……」
練習しなきゃ、練習してなきゃ、ぐちゃぐちゃな気持ちに飲み込まれそうだから。
私、自信なんてないから、誰よりも努力しないと強い気持ちなんて持てないんだ。
「練習いっぱいしたらさ、自信つくよな?」
「わかる」
「自分最強!ってならねぇ?」
「あはっ!ならないよ。そんなの諸星だけじゃない?」
「そーかぁ?みょうじもちゃんとうめぇのに気ィ弱いよな?」
なんで諸星はいつだってこんなに堂々としていられるんだろう。
実力があるから?……違う。努力してるからだよね。誰よりも努力した実力で結果を掴み取ってるんだ。
諸星は同級生だしキャプテン同士だけど、私には眩しすぎる存在だよ。
「っしゃ、手出して!手!」
「手?」
「そー。手!出して!」
突然の諸星の発言によくわからないまま右手を差し出すと、両手でギュウと包み込まれた。
「なっ!?」
「ハンドパワー!」
「ハンドパワー?」
「そー!みょうじ不安みてぇだからさ、俺のパワーやるよ!」
「くれるの?」
「やるよ。こちとらパワー有り余ってんだから」
そう言って諸星はニカッと笑った。
ほんと、すごい。
人に分け与えられるくらい余っちゃってるなんてどうなってんの?
大きい手だな。あったかい。
ボールを自由自在に操る手……羨ましいや。
諸星の手が離れて、私は自分の右手を左手でさすった。もらったパワーを馴染ませるみたいに。
「ありがとね諸星」
「なぁ、俺がなんて呼ばれてるか知ってるか?」
「愛知の星………ふっ」
「笑うなよ、俺がつけたんじゃねぇよ」
「すごいよね。いーな、私もなんか呼び名欲しい」
「じゃあ〜、愛和の星は?」
「規模小さくなったんだけど?」
「そんくらい気楽にいけよってこと!」
「そっか。そだね」
どれだけ高望みしたって実力以上のものなんて出ないんだから、今の自分で頑張るしかないもんね。
肩の力、ちょっと抜けたかも。
「インターハイ終わったら遊ぼうぜ」
「遊ぶ!カラオケ行きたい!」
「げ。俺音痴なんだけど」
「行こ!聴きたい!」
「ボーリングにしようぜ」
「いいね!ゲーセンも行きたい」
「行こうぜ。全部。みょうじと行ったら楽しそー」
こうやってインターハイ後の楽しみを考えながら、また明日からもボールを追いかける。明日からじゃないや、今日から、今からだ。
そんな毎日を、他でもない私自身が選んだんだもん。
最後に笑うためにも、悔いは残したくない。
「みょうじ、」
「ん?」
「もっかい、ハンドパワー」
「もっかい?はい」
さっきと同じように右手を差し出すと、諸星がまた両手で私の手を包む。
ぎゅっ
ぎゅっ
ぎゅっ
「頑張ろーな」
「頑張ろーね」
「勝つぞ」
「勝とうね」
愛和学院バスケットボール部
部活はもう終わってるのに、まだ何人も残って自主練してる。男子も女子も。
みんな、自慢の部員だよ。
体育館の真ん中で
あなたとわたし
目指すのは、てっぺん
「遊ぶの、ふたりな?」
「わかってるよ」
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