緑の黒髪
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「サムさんこんにちは」
「やあ、小鬼ちゃん。こんにちは。珍しいね、今日は1人なのかい?」
ユウの放課後の目的はそう、何でもインストックなうがウリのサムのお店だ。
ユウはバイトをするなら迷わずまずここにこねば、そう考えていた。
「バイトはインストックなうですか?」
「おや!残念ながら、うちでのバイトは受け付けてないよ、ごめんね!」
「あ!いえいえ、サムさんところで出来たら勿論いいんですけど、学外でも。お休みの日と、授業入ってない日に、魔力なしでも出来る、履歴書なしOKの現金支給で安全なお仕事を…」
「なるほど、誤解していたようだ!そういうことならインストックNOW!とりあえず連絡して聞いてみてからだけど、おすすめはこの……」
トントン拍子。
ユウは翌日に面接をしその日のうちから採用となった。
場所は賢者の島の商店街の一角にある老夫婦が営むパン屋の売り子である。優しそうなその夫婦は、明らかに訳ありであろうユウを快く引き入れてくれた。給料は週払いとその日でた廃棄のパン。給料もありがたいが、廃棄とはいえ美味しいふかふかパンが食べられると、これにはグリムとともに小躍りで喜んだ。
学園長に許可をとってから行ったのだが、なんだかんだ心配性のため、(この場合はユウの事情を間違えて外に盛れないよう) ユウに付いてパン屋に赴いた。
どうやら私は学園長によると、孤児でありながら、院が廃園となり行き場を失いとおーーーーーーいとおーーーーい親類である学園長を頼りナイトレイブンカレッジに訪れ、なんやかんやのあれやそれやで優しい学園長に養ってもらい住居を貸してもらっている居候らしい。きちんとした手続きが済むまで仮初として学校に置いてもらっており、学園長に養ってもらっているのは心苦しいからとせめてもと思い学園長にお願いして食費だけは自分で稼ぎたいと申し出、バイトできる場所を探している健気な女の子らしい。
いや、らしいと言うのは学園長がべらべらべらべら老夫婦の前で話したからだ。おーいおいとハンカチ片手に嘘泣きしながら、うっさん臭い声で話すものだから私は(絶対落ちた……)と思っていたが、老夫婦は予想を裏切り涙目で受け入れてくれた。学園長の「うわ、チョロ」という声が聞こえた。おい!!!人の優しさをなんだと思ってるこの、鳥!!私も思ったけど。
まあそんなこんなで週3回。土日は朝から夕方まで。午後授業休みの平日は13時から締めまでと、少ないながらバリバリ働く予定だ。
「んで、何でモストロで働かなかったわけ?」
「う?っんぐ!」
昼時の食堂。昨日のバイトの戦利品。美味しいベーコンエピを口に含みながらユウはエースの唐突な問いかけに頭を傾げた。お行儀が良く飲み込んでから答える。
「まあ、近くならモストロが1番だろうけど」
「は?じゃなくて、監督生。お前あの見るからにやべ〜方のリーチ先輩のこと好きだ「ぶぅーーーーーーっっつ!!!」うわ!きったねぇ!!!」
「え???はえ?え??」
「え!!監督生、リーチ先輩のことす「キャーーーー!!!!!!!」
「2人ともうっるさい!監督生バグったし」
「な、ななななんなななんなんなんでしってるのの」
「エース、子分の好きなやつ何で知ってるんだゾ」
「ぐぬくぐグリムさん!!??」
「あんなあからさまで何言ってんだよ」
「そんなんしてないわ!!」
「僕も気づかなかったぞ」
「そうだ……こいつら鈍感超えたヤバ人2人だった……」
「ヤバ人て」
「手の付けられない程鈍感ぼけでヤバい2人」
「ひどい!」「そんなことない!」
「自覚ないのヤバ人」
騒がしい食堂とはいえ、誰かに聞かれたらたまったもんじゃない、と、ユウは周囲をキョロキョロと見渡す。どうやら周りはおしゃべりに夢中なようでこちらを見る人はおらずユウはホッとため息。
実際は周りが聞いていないふりをしているだけであるが、監督生がフロイドを好いているとまではいかずとも、懐いているのは誰がどう見ても明らかであった。エースの言う通り態度の差や身なりの気を使いようがあからさまなのだ。本人が無自覚なのかもしれないが、女子に飢えている学園の中の唯一の女子の変化というのはキノコを観察するジェイドが如く敏感であるのだ。あからさまに、フロイドの前だと監督生は〝可愛かった〟。
気を使って気付かないふりをする周りの男共の冷や汗がこいつには見えてないのか。エースは苦笑いを必死に抑えながら会話を続けた。
「てかさぁ。監督生気づいてないだろうし、洒落臭いから言うけど、リーチ先輩。あれ絶対脈ア…
「小エビちゃーん♡ 」
あーあ」
「フリョイドせんぱい」
「あ♡バグエビになった」
小エビちゃんバグったー!と、フロイドは、ユウの後ろ下で緩くまとめたシニヨンを触る。無けなしのバイト代で買われたコテで、緩く巻かれた後れ毛をくるくると指で弄び、ぴんっと話すとユウは反応よく「はひぇ」などだらしのない声で喘ぐため、フロイドは余計面白がって続けた。
「最近小エビちゃん髪の毛かぁーいーね〜。前のさ〜三つ編み後ろで1つ結んでんの。アレまじエビじゃね?下ろしてんのもいいけど、これもすき〜」
「はわはわわわわわわわ」
「これで気づいてなくて、気づかれてないと思ってんのマジ?」
「カニちゃん黙ってろよ。天然エビなのがいいんじゃん」
「ウス」
顔を真っ赤にして、熱暴走したAIさながら同じ言葉を繰り返す監督生。フロイドはぎゃはぎゃは笑いながら観察するのを、マブ2人は何とも言えない目で見ていた。
まぁ……、監督性が好きなら何も言わないけど……。
すると、オクタヴィネルならばお馴染み。フロイドある所にこいつらあり。ジェイドとアズールがやって来た。
「おやおや、監督生さんをあまり虐めてはいけませんよ、フロイド」
「皆さんお揃いで!お食事中の所フロイドが失礼しましたね。……おや、監督生さんとグリムさん、随分、美味しそうなパンを食べてらっしゃる。食堂では見かけなかったものですね」
「あっ、これは」
「子分が外のバイトで貰ったものなんだゾ!!オレ様の分はやらないんだゾ!」
「なんと!!バイトをしていらっしゃると!!それはなんて!健気なことですね」
「グリムくん、誤解ですよ。アズールならいざしらず、他人の食べ物を取ったりなど。卑しいことはしませんよ」
「ジェイド、お前」
「ふふふ、なんです」
「…………いえ、今はもっとやるべきことがあります」
アズールは眼鏡のブリッジを押し上げる。ジェイドとアズールはまるで当たり前のように監督生達の前に座る。フロイドはいつの間にか監督生の椅子の3分の2を陣取って座り、残りのスペースで細くなってユウが座っていた。椅子から落ちないように肩を抱えているものだから、ユウの魂は抜けかけである。傍から見たら恫喝の現場にしか見えないが。
「監督生さん。あなた、どちらでバイトを?学内でもいくつか選択のあるバイトではなく、わざわざ!学外のバイトを選択するとは何か理由があるんでしょう」
「あ、え、と。東の方の商店街あるじゃないですか。1本外れた道の老夫婦がやってる小さなパン屋さんで店番を」
「戸籍も履歴もないあなたをよく雇ってくださいましたね。……おっと失礼しました、不躾ですね」
「いえ、本当の事なので……学園長が色々お話して下さって、お優しい夫婦でしたので」
「……………チッ、わかってはいたがやはり学園長公認か」
「え?アズール先輩?」
「小エビちゃんパン美味し?あ〜〜ん」
「ひゃぁ、ぁぁ〜ん」
「美味し〜ね」
ここはイメクラか?
推し(フロイド)に接待(本気)をされてメロメロどころかドロドロにスライム化しているユウを横目に見る。なんて醜い姿だ………。人間あそこまで堕ちれるものか。なんか財布出し始めてる。フロイド先輩が中身の少なさに爆笑してるし。みて〜と、ポッケから出された財布の厚みの差にエースは涙が出そうになった。やめろデュース、グリム。俺たちは空気に徹しろ。触ったら火傷どころか地雷よろしく腕が吹っ飛ぶぞ。
「んで、何で小エビちゃんそこでバイトしてんの?」
「ぇと、お小遣いが欲しくて……。それにパン屋さんは廃棄ももらえたので……」
「モストロも賄い貰えるよ?俺作るやつうめーって評判だし」
「モストロでは最低賃金以上の、仕事量に見合う十分な賃金をお渡ししていると自負しているのですが」
「「モストロでいーじゃん/じゃだめなんですか?」」
エメラルドグリーンとオパールのヘテロクロミアに挟まれ左右からハモった声が脳に直接響く。
好きなウツボと好きなウツボと同じ顔に迫られ、ユウの正気はほぼ消滅していた。もはや聞かれたことは何でも答える自動ショックザハート女の完成であった。
「あの、私鈍臭いので飲食の接客はご迷惑を…、あわ、顔良……す、すすき…あのあのそれに、えっと、あのはわ、フロイドシェンパしゅ、しゅき、はえええななんでもないです」
ちらちらと分かりやすくフロイドを見ては視線を外し見ては視線を外す。フロイドはにこにこし、ジェイドは顔を背けて吹き出した。
誰が見ても、〝あなたが好きだから恥ずかしい所見せたくないし、かっこよすぎて仕事に集中できません〟ということだ。
フロイドはゆっくりと瞬きをしながら、そっかそっかと視線を合わせる。口も彼女は雄弁であるが言葉以上に、彼女の瞳もわかりやすいのであった。彼女の魂はほぼ消えていた。ただでさえ久しぶりのフロイド先輩供給にほぼ半死半生どころでなく全死である。
「……はぁ。分かりました。お邪魔をして失礼いたしました。フロイド、ジェイド。行きますよ」
「はい。皆さん、失礼します」
「ばいばーい♡」
目的は達したと、3人はさっさと帰っていった。嵐よりも監督生の心を荒らして帰りやがって!監督生が死んだ!この人でなし!
「……監督生〜」
「生きてません」
「生きてないな」
「もう時間だから教室行くんだゾ」
ユウはデュースとエースに引っ張られ教室に連れられるのだった。
「やあ、小鬼ちゃん。こんにちは。珍しいね、今日は1人なのかい?」
ユウの放課後の目的はそう、何でもインストックなうがウリのサムのお店だ。
ユウはバイトをするなら迷わずまずここにこねば、そう考えていた。
「バイトはインストックなうですか?」
「おや!残念ながら、うちでのバイトは受け付けてないよ、ごめんね!」
「あ!いえいえ、サムさんところで出来たら勿論いいんですけど、学外でも。お休みの日と、授業入ってない日に、魔力なしでも出来る、履歴書なしOKの現金支給で安全なお仕事を…」
「なるほど、誤解していたようだ!そういうことならインストックNOW!とりあえず連絡して聞いてみてからだけど、おすすめはこの……」
トントン拍子。
ユウは翌日に面接をしその日のうちから採用となった。
場所は賢者の島の商店街の一角にある老夫婦が営むパン屋の売り子である。優しそうなその夫婦は、明らかに訳ありであろうユウを快く引き入れてくれた。給料は週払いとその日でた廃棄のパン。給料もありがたいが、廃棄とはいえ美味しいふかふかパンが食べられると、これにはグリムとともに小躍りで喜んだ。
学園長に許可をとってから行ったのだが、なんだかんだ心配性のため、(この場合はユウの事情を間違えて外に盛れないよう) ユウに付いてパン屋に赴いた。
どうやら私は学園長によると、孤児でありながら、院が廃園となり行き場を失いとおーーーーーーいとおーーーーい親類である学園長を頼りナイトレイブンカレッジに訪れ、なんやかんやのあれやそれやで優しい学園長に養ってもらい住居を貸してもらっている居候らしい。きちんとした手続きが済むまで仮初として学校に置いてもらっており、学園長に養ってもらっているのは心苦しいからとせめてもと思い学園長にお願いして食費だけは自分で稼ぎたいと申し出、バイトできる場所を探している健気な女の子らしい。
いや、らしいと言うのは学園長がべらべらべらべら老夫婦の前で話したからだ。おーいおいとハンカチ片手に嘘泣きしながら、うっさん臭い声で話すものだから私は(絶対落ちた……)と思っていたが、老夫婦は予想を裏切り涙目で受け入れてくれた。学園長の「うわ、チョロ」という声が聞こえた。おい!!!人の優しさをなんだと思ってるこの、鳥!!私も思ったけど。
まあそんなこんなで週3回。土日は朝から夕方まで。午後授業休みの平日は13時から締めまでと、少ないながらバリバリ働く予定だ。
「んで、何でモストロで働かなかったわけ?」
「う?っんぐ!」
昼時の食堂。昨日のバイトの戦利品。美味しいベーコンエピを口に含みながらユウはエースの唐突な問いかけに頭を傾げた。お行儀が良く飲み込んでから答える。
「まあ、近くならモストロが1番だろうけど」
「は?じゃなくて、監督生。お前あの見るからにやべ〜方のリーチ先輩のこと好きだ「ぶぅーーーーーーっっつ!!!」うわ!きったねぇ!!!」
「え???はえ?え??」
「え!!監督生、リーチ先輩のことす「キャーーーー!!!!!!!」
「2人ともうっるさい!監督生バグったし」
「な、ななななんなななんなんなんでしってるのの」
「エース、子分の好きなやつ何で知ってるんだゾ」
「ぐぬくぐグリムさん!!??」
「あんなあからさまで何言ってんだよ」
「そんなんしてないわ!!」
「僕も気づかなかったぞ」
「そうだ……こいつら鈍感超えたヤバ人2人だった……」
「ヤバ人て」
「手の付けられない程鈍感ぼけでヤバい2人」
「ひどい!」「そんなことない!」
「自覚ないのヤバ人」
騒がしい食堂とはいえ、誰かに聞かれたらたまったもんじゃない、と、ユウは周囲をキョロキョロと見渡す。どうやら周りはおしゃべりに夢中なようでこちらを見る人はおらずユウはホッとため息。
実際は周りが聞いていないふりをしているだけであるが、監督生がフロイドを好いているとまではいかずとも、懐いているのは誰がどう見ても明らかであった。エースの言う通り態度の差や身なりの気を使いようがあからさまなのだ。本人が無自覚なのかもしれないが、女子に飢えている学園の中の唯一の女子の変化というのはキノコを観察するジェイドが如く敏感であるのだ。あからさまに、フロイドの前だと監督生は〝可愛かった〟。
気を使って気付かないふりをする周りの男共の冷や汗がこいつには見えてないのか。エースは苦笑いを必死に抑えながら会話を続けた。
「てかさぁ。監督生気づいてないだろうし、洒落臭いから言うけど、リーチ先輩。あれ絶対脈ア…
「小エビちゃーん♡ 」
あーあ」
「フリョイドせんぱい」
「あ♡バグエビになった」
小エビちゃんバグったー!と、フロイドは、ユウの後ろ下で緩くまとめたシニヨンを触る。無けなしのバイト代で買われたコテで、緩く巻かれた後れ毛をくるくると指で弄び、ぴんっと話すとユウは反応よく「はひぇ」などだらしのない声で喘ぐため、フロイドは余計面白がって続けた。
「最近小エビちゃん髪の毛かぁーいーね〜。前のさ〜三つ編み後ろで1つ結んでんの。アレまじエビじゃね?下ろしてんのもいいけど、これもすき〜」
「はわはわわわわわわわ」
「これで気づいてなくて、気づかれてないと思ってんのマジ?」
「カニちゃん黙ってろよ。天然エビなのがいいんじゃん」
「ウス」
顔を真っ赤にして、熱暴走したAIさながら同じ言葉を繰り返す監督生。フロイドはぎゃはぎゃは笑いながら観察するのを、マブ2人は何とも言えない目で見ていた。
まぁ……、監督性が好きなら何も言わないけど……。
すると、オクタヴィネルならばお馴染み。フロイドある所にこいつらあり。ジェイドとアズールがやって来た。
「おやおや、監督生さんをあまり虐めてはいけませんよ、フロイド」
「皆さんお揃いで!お食事中の所フロイドが失礼しましたね。……おや、監督生さんとグリムさん、随分、美味しそうなパンを食べてらっしゃる。食堂では見かけなかったものですね」
「あっ、これは」
「子分が外のバイトで貰ったものなんだゾ!!オレ様の分はやらないんだゾ!」
「なんと!!バイトをしていらっしゃると!!それはなんて!健気なことですね」
「グリムくん、誤解ですよ。アズールならいざしらず、他人の食べ物を取ったりなど。卑しいことはしませんよ」
「ジェイド、お前」
「ふふふ、なんです」
「…………いえ、今はもっとやるべきことがあります」
アズールは眼鏡のブリッジを押し上げる。ジェイドとアズールはまるで当たり前のように監督生達の前に座る。フロイドはいつの間にか監督生の椅子の3分の2を陣取って座り、残りのスペースで細くなってユウが座っていた。椅子から落ちないように肩を抱えているものだから、ユウの魂は抜けかけである。傍から見たら恫喝の現場にしか見えないが。
「監督生さん。あなた、どちらでバイトを?学内でもいくつか選択のあるバイトではなく、わざわざ!学外のバイトを選択するとは何か理由があるんでしょう」
「あ、え、と。東の方の商店街あるじゃないですか。1本外れた道の老夫婦がやってる小さなパン屋さんで店番を」
「戸籍も履歴もないあなたをよく雇ってくださいましたね。……おっと失礼しました、不躾ですね」
「いえ、本当の事なので……学園長が色々お話して下さって、お優しい夫婦でしたので」
「……………チッ、わかってはいたがやはり学園長公認か」
「え?アズール先輩?」
「小エビちゃんパン美味し?あ〜〜ん」
「ひゃぁ、ぁぁ〜ん」
「美味し〜ね」
ここはイメクラか?
推し(フロイド)に接待(本気)をされてメロメロどころかドロドロにスライム化しているユウを横目に見る。なんて醜い姿だ………。人間あそこまで堕ちれるものか。なんか財布出し始めてる。フロイド先輩が中身の少なさに爆笑してるし。みて〜と、ポッケから出された財布の厚みの差にエースは涙が出そうになった。やめろデュース、グリム。俺たちは空気に徹しろ。触ったら火傷どころか地雷よろしく腕が吹っ飛ぶぞ。
「んで、何で小エビちゃんそこでバイトしてんの?」
「ぇと、お小遣いが欲しくて……。それにパン屋さんは廃棄ももらえたので……」
「モストロも賄い貰えるよ?俺作るやつうめーって評判だし」
「モストロでは最低賃金以上の、仕事量に見合う十分な賃金をお渡ししていると自負しているのですが」
「「モストロでいーじゃん/じゃだめなんですか?」」
エメラルドグリーンとオパールのヘテロクロミアに挟まれ左右からハモった声が脳に直接響く。
好きなウツボと好きなウツボと同じ顔に迫られ、ユウの正気はほぼ消滅していた。もはや聞かれたことは何でも答える自動ショックザハート女の完成であった。
「あの、私鈍臭いので飲食の接客はご迷惑を…、あわ、顔良……す、すすき…あのあのそれに、えっと、あのはわ、フロイドシェンパしゅ、しゅき、はえええななんでもないです」
ちらちらと分かりやすくフロイドを見ては視線を外し見ては視線を外す。フロイドはにこにこし、ジェイドは顔を背けて吹き出した。
誰が見ても、〝あなたが好きだから恥ずかしい所見せたくないし、かっこよすぎて仕事に集中できません〟ということだ。
フロイドはゆっくりと瞬きをしながら、そっかそっかと視線を合わせる。口も彼女は雄弁であるが言葉以上に、彼女の瞳もわかりやすいのであった。彼女の魂はほぼ消えていた。ただでさえ久しぶりのフロイド先輩供給にほぼ半死半生どころでなく全死である。
「……はぁ。分かりました。お邪魔をして失礼いたしました。フロイド、ジェイド。行きますよ」
「はい。皆さん、失礼します」
「ばいばーい♡」
目的は達したと、3人はさっさと帰っていった。嵐よりも監督生の心を荒らして帰りやがって!監督生が死んだ!この人でなし!
「……監督生〜」
「生きてません」
「生きてないな」
「もう時間だから教室行くんだゾ」
ユウはデュースとエースに引っ張られ教室に連れられるのだった。
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