いまわのきわ
「……や、」
「間宮、」
「まーみーや」
「うるさい……」
揺すってくる手を払い目を開けてみれば、降り注ぐ日光の中に黒い影がひとつ、間宮を見下ろしていた。眩しさに目が慣れてくると、陰影の中の面差しが徐々に輪郭を現していった。
「佐田 君」
「おはよう。起きれる?」
溌剌とした声。そして姿も、間宮の記憶にあった最期の姿よりも、かなり若かった。紺色のジャケットに、ストライプの入ったネクタイ……彼はいつも、式典のときでもないかぎり、ネクタイの結び目をだらしなく弛めていたものだ…… その服装により、なぜか高校時代まで若返ったのだとわかる。
陽光とともに、雲雀の忙しないさえずりが降ってくる。辺りからは土と草の匂いがした。
目の前に差し出された手は若く瑞々しく、そんな手のひらに重ねた自分の手もまた、まばゆいほど白くて皺ひとつない。
手を引かれ、ゆっくりと立ち上がる。佐田が甲斐甲斐しく間宮の背中についた埃を手で叩き落としてくれたが、
「自分でできる」
つい、礼がわりに間宮はひねくれた口調で言ってしまった。長年逢いたいと思い続けた人にまで、老人特有の甘え含みの嫌味で返してしまう自分が憎らしい。
「もう介護は必要ないからな。僕は死んだんだ、そうだろう?」
そう言って間宮は、自分で自分の尻を叩いて汚れを落とした。視線を足もとに落とすと、グレーのスラックスを履いた膝とローファーの先が見える。間宮もまた高校時代の姿に戻っているのだ。業の深いことだと彼は思った。初めて出逢った高校時代なんかより、大人になって再会してから共に過ごした月日の方が、ずっと長かったというのに。
『でも彼にしてみれば、ツルツルに禿げ上がってからの僕より、ちゃんと髪があった時の僕の方がいいのかもしれないがな』
間宮は佐田をじっと睨んだが、佐田は微笑を崩さないまま「うん?」と小首を傾げた。どうせ忘れっぽい佐田のことだ。かつて『あんたは別に好みじゃないし』と言い放ったことなど、綺麗さっぱり忘れているに違いない。
佐田に手を引かれ、間宮は歩きだした。若返った二本の脚はもはや杖を必要としてはいない。佐田が歩調を合わせてくれているのもあり、間宮はすぐ彼に追いつき横に並んだ。春の雑草の花が咲き乱れた原っぱに、他に人影はない。時々、モンシロチョウが目の前をふわふわと横切ってゆく。
「楽しかった?」
繋いだ手をぶらぶらさせながら、佐田が言った。
「何が?」
「人生」
間宮はふんと鼻を鳴らした。
「楽しい訳がない。日々が色を喪ったようだった。君のいない人生なんか、詰まらなく、くだらなくて、なんの意味もなかった」
「ははっ、ごめんって」
ひと一人の人生を台無しにしたことへの謝罪にしては、あまりにも軽かった。だが、そういう、へらへらしているところが佐田らしいともいえた。
佐田は一度は死んだ身だったが、間宮の研究開発したカビによって、永久不滅のゾンビとして蘇生された。本来ならば、何があろうとも佐田は間宮よりも先に逝くなどあり得ないはずだった。ところが彼はある日、腹痛の薬と間違えて抗生剤を飲んでしまった。薬剤の効力により、体内に共生していた菌が死滅し……彼が事切れるまでに、一日もかからなかった。そうして佐田を喪ってからの数十年を、間宮は失意のうちに過ごしたのだ。
「本当にごめん。でも、間宮がこうして天寿をまっとうして俺に逢いに来てくれて、うれしいよ」
「君がいまわのきわに、“後を追うな、長生きしろ”って言うからだろう」
「だって、気がかりだったから。間宮って、俺のことが大好き過ぎるんだもん」
死ぬまで鈍そうにしていたのは、演技だったらしい。そして今になってさらりとネタばらしをしてみせる。生きていようが死んでいようが、小憎らしい奴である。
草に被われた地面は緩やかに下っていき、果てしなく思われた原っぱを、やがて一筋の小川が遮った。助走をつければ跳び越せそうなほどの細い川だったが、それこそがかの有名な三途の川なのだろうと間宮は察した。じっさい、佐田と二人で下流の方へ辿ってゆくと、今にも途切れそうだった川は細かな支流をいくつも呑み込んで急流となり、やがて向う岸も見えないほどの大河となった。
半ば朽ちかけた桟橋のたもとに至った。どうやらここから彼岸へと渡らなければならないらしいが、渡し舟はどこにもない。致し方ないと間宮は思った。自分は佐田を生かすために多くの人を殺めたし、何よりそれで佐田を苦しめたのだ。重罪人は自力で三途の川を渡らなければならないと、聞いたことがある。
「間宮、」
佐田が、向う岸の方に目を凝らしたまま言った。
「なんだ」
「聞いたことある? 女の人が三途の川を渡る時には、初めての男が現れて、背負って向う岸まで連れていってくれるんだって」
「さあ、聞いたことがないな」
「あー、そう? まあ、そういうことなんだよね。で、間宮は女じゃないけど……その、あれの時はどちらかといえば、ポジション的には、そっちだったじゃない?」
気まずそうに頬を指で掻きながらそう言う、佐田の姿はいつの間にか間宮が一番見慣れた姿に戻っていた。三十がらみの、高校時代よりはちょっとくたびれていて、年がら年中、横着してパジャマ姿で、前髪には寝癖がついている。だが、間宮はそんな彼がいちばん好きだった。
「……そうだが」
セックスのポジションなんかで女と同一視されるのは癪だが、間宮は素直に答えた。
「やっぱり、嫌そうな顔をする。でもまあ、そういうことなんだよ。そういうことだから、」
不意に彼は間宮の空いていた方の手を引いて彼と向かい合わせると、軽く屈んで間宮の頬にチュッとキスをした。
「な!」
「俺はここまでだから。じゃ、来世にも縁があればまた!」
「は!? 来世って、佐田君!? 君が背負ってくれるんじゃないのか!?!?!? 佐田君、待っ……」
その時、背後から何者かが呼ぶ声がした。
「沢尻くーん。おーい、沢尻くーん。迎えにきたよー」
両手を大きくぶんぶんと振っているそいつが誰だか、小太りなシルエットですぐにわかった。
「ふざけるな! というか僕をその名前で呼ぶな! それ以前にお前なんか、ノーカンだーーーーっ!!!!!」
***
「クソクソ、なにが来世だ。ふざけるなよ佐田聖二。君は僕と一緒に地獄行きだ」
「えぇ……」
なんて物騒な寝言だ。
深夜、就寝してからものの数時間で目覚めてしまった佐田は、トイレに行って戻る際に間宮がまたうなされているのに気づいた。それはよくあることだったが、今夜は特別に酷いように思われた。間宮の寝室の扉が薄く開いていたので、佐田は様子を見に室内へと滑り込んだ。
また、昔の夢でも見ているのだろうかと思い、ひょっとしたら落ち着かせられるかもと、佐田は間宮のベッドにこっそり上がって添い寝をしてみた。宙空を彷徨う間宮の手を握り締めて、掛け布団の中に入れてやった。すると間宮はうんうんと唸るのは止めたのだが、佐田に対する呪詛の言葉を吐き始めたというわけだ。悪夢の原因は、佐田当人だったらしい。
「どんな夢を見ているのかは、わからないけど……、でも、呪ってくるわりに、離さないんだよなあ」
指と指を絡めてしっかりと繋げた手を、間宮の手がギュッと握り締める。そのまま、間宮はしばらくぶつくさ言っていたが、呟きはやがてすうすうと穏やかな寝息にかわった。険しかった表情も緩み、無防備な寝顔となった。あどけなさすら感じられる、安らかな寝顔だ。
眉間に深いシワを寄せていない時には、高校時代の面影がある。あの頃の間宮は癇癪持ちの気難しい奴というよりは、自分の殻に閉じこもった大人しい子だという印象だった。佐田がちょっと話しかけただけで立ち去ってしまうこともあったけれど、佐田に対して悪感情を持っていそうには見えなかった。
『単にあの頃の俺が、ちゃんと空気を読めていなかっただけかもしれないけど』
間宮が佐田の手を握る力が緩んだので、佐田は慎重に間宮の指を一本ずつつまんで自分の手から外した。佐田から離れた手を間宮は眠ったまま彼自身の胸元に引き付けた。そうすると、まるで小動物みたいな寝姿だ。
佐田は間宮の頬の辺りまで、毛布と掛け布団を引き上げた。ぽかぽかと間宮の体温が伝わってくる。佐田の体温は間宮よりも十度ほども低いので、佐田にはちょっと暑く感じられるが、逆に間宮にすれば佐田が側にいると体温を吸い取られてしまうことになる。だからここに長居は無用で、間宮が落ち着いたからには佐田は起こさないようにそうっと抜け出すべきだった。
慎重な動きで、佐田は寝返りを打ち、間宮に背を向けて窓の方をむいた。窓の外は漆黒の闇夜で、夜明けにはまだまだ時間がありそうだった。
そろそろベッドから抜け出そうとした時、佐田の背中にぴったりとぬくもりが寄り添って来た。肩甲骨の辺りに頭がグリグリと押し付けられるのを感じる。
「ふふ……君と僕とは一蓮托生だ」
「……。」
一蓮托生。現実として全くその通りの関係性ではある。だが、そうだとしたら自分は前世に一体何をやらかして間宮とそんなことになったのだろうか。抜け出すタイミングをはかれず、佐田は悶々としながら間宮の隣で息を潜めた。
(おわり)
「間宮、」
「まーみーや」
「うるさい……」
揺すってくる手を払い目を開けてみれば、降り注ぐ日光の中に黒い影がひとつ、間宮を見下ろしていた。眩しさに目が慣れてくると、陰影の中の面差しが徐々に輪郭を現していった。
「
「おはよう。起きれる?」
溌剌とした声。そして姿も、間宮の記憶にあった最期の姿よりも、かなり若かった。紺色のジャケットに、ストライプの入ったネクタイ……彼はいつも、式典のときでもないかぎり、ネクタイの結び目をだらしなく弛めていたものだ…… その服装により、なぜか高校時代まで若返ったのだとわかる。
陽光とともに、雲雀の忙しないさえずりが降ってくる。辺りからは土と草の匂いがした。
目の前に差し出された手は若く瑞々しく、そんな手のひらに重ねた自分の手もまた、まばゆいほど白くて皺ひとつない。
手を引かれ、ゆっくりと立ち上がる。佐田が甲斐甲斐しく間宮の背中についた埃を手で叩き落としてくれたが、
「自分でできる」
つい、礼がわりに間宮はひねくれた口調で言ってしまった。長年逢いたいと思い続けた人にまで、老人特有の甘え含みの嫌味で返してしまう自分が憎らしい。
「もう介護は必要ないからな。僕は死んだんだ、そうだろう?」
そう言って間宮は、自分で自分の尻を叩いて汚れを落とした。視線を足もとに落とすと、グレーのスラックスを履いた膝とローファーの先が見える。間宮もまた高校時代の姿に戻っているのだ。業の深いことだと彼は思った。初めて出逢った高校時代なんかより、大人になって再会してから共に過ごした月日の方が、ずっと長かったというのに。
『でも彼にしてみれば、ツルツルに禿げ上がってからの僕より、ちゃんと髪があった時の僕の方がいいのかもしれないがな』
間宮は佐田をじっと睨んだが、佐田は微笑を崩さないまま「うん?」と小首を傾げた。どうせ忘れっぽい佐田のことだ。かつて『あんたは別に好みじゃないし』と言い放ったことなど、綺麗さっぱり忘れているに違いない。
佐田に手を引かれ、間宮は歩きだした。若返った二本の脚はもはや杖を必要としてはいない。佐田が歩調を合わせてくれているのもあり、間宮はすぐ彼に追いつき横に並んだ。春の雑草の花が咲き乱れた原っぱに、他に人影はない。時々、モンシロチョウが目の前をふわふわと横切ってゆく。
「楽しかった?」
繋いだ手をぶらぶらさせながら、佐田が言った。
「何が?」
「人生」
間宮はふんと鼻を鳴らした。
「楽しい訳がない。日々が色を喪ったようだった。君のいない人生なんか、詰まらなく、くだらなくて、なんの意味もなかった」
「ははっ、ごめんって」
ひと一人の人生を台無しにしたことへの謝罪にしては、あまりにも軽かった。だが、そういう、へらへらしているところが佐田らしいともいえた。
佐田は一度は死んだ身だったが、間宮の研究開発したカビによって、永久不滅のゾンビとして蘇生された。本来ならば、何があろうとも佐田は間宮よりも先に逝くなどあり得ないはずだった。ところが彼はある日、腹痛の薬と間違えて抗生剤を飲んでしまった。薬剤の効力により、体内に共生していた菌が死滅し……彼が事切れるまでに、一日もかからなかった。そうして佐田を喪ってからの数十年を、間宮は失意のうちに過ごしたのだ。
「本当にごめん。でも、間宮がこうして天寿をまっとうして俺に逢いに来てくれて、うれしいよ」
「君がいまわのきわに、“後を追うな、長生きしろ”って言うからだろう」
「だって、気がかりだったから。間宮って、俺のことが大好き過ぎるんだもん」
死ぬまで鈍そうにしていたのは、演技だったらしい。そして今になってさらりとネタばらしをしてみせる。生きていようが死んでいようが、小憎らしい奴である。
草に被われた地面は緩やかに下っていき、果てしなく思われた原っぱを、やがて一筋の小川が遮った。助走をつければ跳び越せそうなほどの細い川だったが、それこそがかの有名な三途の川なのだろうと間宮は察した。じっさい、佐田と二人で下流の方へ辿ってゆくと、今にも途切れそうだった川は細かな支流をいくつも呑み込んで急流となり、やがて向う岸も見えないほどの大河となった。
半ば朽ちかけた桟橋のたもとに至った。どうやらここから彼岸へと渡らなければならないらしいが、渡し舟はどこにもない。致し方ないと間宮は思った。自分は佐田を生かすために多くの人を殺めたし、何よりそれで佐田を苦しめたのだ。重罪人は自力で三途の川を渡らなければならないと、聞いたことがある。
「間宮、」
佐田が、向う岸の方に目を凝らしたまま言った。
「なんだ」
「聞いたことある? 女の人が三途の川を渡る時には、初めての男が現れて、背負って向う岸まで連れていってくれるんだって」
「さあ、聞いたことがないな」
「あー、そう? まあ、そういうことなんだよね。で、間宮は女じゃないけど……その、あれの時はどちらかといえば、ポジション的には、そっちだったじゃない?」
気まずそうに頬を指で掻きながらそう言う、佐田の姿はいつの間にか間宮が一番見慣れた姿に戻っていた。三十がらみの、高校時代よりはちょっとくたびれていて、年がら年中、横着してパジャマ姿で、前髪には寝癖がついている。だが、間宮はそんな彼がいちばん好きだった。
「……そうだが」
セックスのポジションなんかで女と同一視されるのは癪だが、間宮は素直に答えた。
「やっぱり、嫌そうな顔をする。でもまあ、そういうことなんだよ。そういうことだから、」
不意に彼は間宮の空いていた方の手を引いて彼と向かい合わせると、軽く屈んで間宮の頬にチュッとキスをした。
「な!」
「俺はここまでだから。じゃ、来世にも縁があればまた!」
「は!? 来世って、佐田君!? 君が背負ってくれるんじゃないのか!?!?!? 佐田君、待っ……」
その時、背後から何者かが呼ぶ声がした。
「沢尻くーん。おーい、沢尻くーん。迎えにきたよー」
両手を大きくぶんぶんと振っているそいつが誰だか、小太りなシルエットですぐにわかった。
「ふざけるな! というか僕をその名前で呼ぶな! それ以前にお前なんか、ノーカンだーーーーっ!!!!!」
***
「クソクソ、なにが来世だ。ふざけるなよ佐田聖二。君は僕と一緒に地獄行きだ」
「えぇ……」
なんて物騒な寝言だ。
深夜、就寝してからものの数時間で目覚めてしまった佐田は、トイレに行って戻る際に間宮がまたうなされているのに気づいた。それはよくあることだったが、今夜は特別に酷いように思われた。間宮の寝室の扉が薄く開いていたので、佐田は様子を見に室内へと滑り込んだ。
また、昔の夢でも見ているのだろうかと思い、ひょっとしたら落ち着かせられるかもと、佐田は間宮のベッドにこっそり上がって添い寝をしてみた。宙空を彷徨う間宮の手を握り締めて、掛け布団の中に入れてやった。すると間宮はうんうんと唸るのは止めたのだが、佐田に対する呪詛の言葉を吐き始めたというわけだ。悪夢の原因は、佐田当人だったらしい。
「どんな夢を見ているのかは、わからないけど……、でも、呪ってくるわりに、離さないんだよなあ」
指と指を絡めてしっかりと繋げた手を、間宮の手がギュッと握り締める。そのまま、間宮はしばらくぶつくさ言っていたが、呟きはやがてすうすうと穏やかな寝息にかわった。険しかった表情も緩み、無防備な寝顔となった。あどけなさすら感じられる、安らかな寝顔だ。
眉間に深いシワを寄せていない時には、高校時代の面影がある。あの頃の間宮は癇癪持ちの気難しい奴というよりは、自分の殻に閉じこもった大人しい子だという印象だった。佐田がちょっと話しかけただけで立ち去ってしまうこともあったけれど、佐田に対して悪感情を持っていそうには見えなかった。
『単にあの頃の俺が、ちゃんと空気を読めていなかっただけかもしれないけど』
間宮が佐田の手を握る力が緩んだので、佐田は慎重に間宮の指を一本ずつつまんで自分の手から外した。佐田から離れた手を間宮は眠ったまま彼自身の胸元に引き付けた。そうすると、まるで小動物みたいな寝姿だ。
佐田は間宮の頬の辺りまで、毛布と掛け布団を引き上げた。ぽかぽかと間宮の体温が伝わってくる。佐田の体温は間宮よりも十度ほども低いので、佐田にはちょっと暑く感じられるが、逆に間宮にすれば佐田が側にいると体温を吸い取られてしまうことになる。だからここに長居は無用で、間宮が落ち着いたからには佐田は起こさないようにそうっと抜け出すべきだった。
慎重な動きで、佐田は寝返りを打ち、間宮に背を向けて窓の方をむいた。窓の外は漆黒の闇夜で、夜明けにはまだまだ時間がありそうだった。
そろそろベッドから抜け出そうとした時、佐田の背中にぴったりとぬくもりが寄り添って来た。肩甲骨の辺りに頭がグリグリと押し付けられるのを感じる。
「ふふ……君と僕とは一蓮托生だ」
「……。」
一蓮托生。現実として全くその通りの関係性ではある。だが、そうだとしたら自分は前世に一体何をやらかして間宮とそんなことになったのだろうか。抜け出すタイミングをはかれず、佐田は悶々としながら間宮の隣で息を潜めた。
(おわり)