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3月21日

魔界統一トーナメントでも実現しなかった夢のカード、黄泉VS軀の戦いの幕が今此処で切って落とされた。

バレンタイン同様、黄泉は何がなんだかさっぱり訳がわからない。ただ菓子折一つ届けに来ただけなのに、どうしてこうなるのか。繰り出された軀のメガトンパンチを逆海老に反ってギリギリかわしつつ、黄泉は自分は何か失言をしただろうかと考えた。

だが、すぐにどうでもよくなった。

今目の前にいる軀は、トーナメントの時とはまるで別人の様な強さだった。まさに鬼神。往時の雷禅をも凌ぐかもしれない。

これが軀の本気……!

豪雨の如く降り注ぐ妖気の槍が、周囲を阿鼻叫喚の地獄絵図に変える。それらをかわし、時に跳ね返していると、黄泉の中に流れるバトルマニアの血が滾り始めた。

最早当初の目的などどうでもよくなってきた。黄泉はすっかりひしゃげ包装紙が焦げてしまった菓子折を放ると、ボロボロになった両袖を破り棄てた。

「俺も本気でいかせてもらう」

「へっ……そう来ないとな!」

いざ尋常に、勝負……!


翌日二人は煙鬼にお説教され、廊下に立たされる事になる。


(おわり)
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