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3月21日

黄泉が入り口を探そうとするよりも早く、百足の脇腹がパカッと開き、兵士達がわらわらと出てきた。たちまち黄泉の周りをぐるりと囲む。

何やら歓迎されているムードではない。兵士達はそれぞれ得意の武器を構え、待てと命じられた猟犬の様に唸り、待てさえ解除されれば今にも飛び掛かって来そうな勢いである。

束になってかかられたってそう易々と負ける黄泉ではないが、何もしていないのにふわふわうきうきしていた心に冷水をぶっかけられた気がして、若干怯んだ。彼は脇に抱えた風呂敷を両手で持ち直した。

「黄泉ィ!貴様何をしに来た!?」


「や、俺はただ軀にこれを渡しに来ただけなのだが……」

闘いに飢えた躯軍の視線が痛い。恐怖というよりあまりの場違い感に消え入りたい気持ちだ。
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